後継者育成にかかる期間や必要な準備は?社内、社外の教育方法も紹介
タグ: #M&A後継者の育成には時間がかかります。経営者の持つノウハウを十分に伝え、会社の運営を任せられるようになるまでには、どのような教育が必要なのでしょうか?効果的な後継者教育に役立つ後継者育成計画の策定についても解説します。
目次 [閉じる]
1.後継者の育成を始める時期
後継者が経営に必要な知識や技術を身につけるには、時間が必要です。目安として、どのくらいの時期に育成を始めるとよいのでしょうか?
1-1.経営者が健在のうちに後継者の育成を開始
経営者の健康状態が良好であっても、突然引退せざるを得ない可能性はゼロではありません。高齢になれば病気のリスクが高まることに加え、事故に遭って急死するリスクもあります。経営者本人ではなく、家族の事情で引退するケースもあるでしょう。
急な引退に対応できるようにするためにも、経営者が健在のうちに後継者を定め、育成を始めるのがおすすめです。会社を率いる経営者がいなくなり、経営が立ち行かなくなる事態を避けられます。
参考:事業継承したい場合、何から始める?準備と活用必須の支援制度
1-2.育成期間は最低でも4~5年は必要
1人で会社のリーダーとして経営判断ができるようになるには、後継者教育を始めてから4~5年はかかるといわれています。業種や会社の規模によっては、10年以上かかる可能性もあるでしょう。
会社経営に必要な知識や技術・ノウハウなどは、多岐にわたります。十分に後継者に伝えるためには、期間に余裕を持って育成を始めると安心です。
2.後継者育成計画を作成する
サクセッションプランとも呼ばれる後継者育成計画の策定は、後継者教育を行うために必要な準備です。後継者教育における定義・選定・育成の3ステップについて、それぞれの段階で行う項目を解説します。
2-1.自社に合った経営者像の定義
後継者を選ぶためには、自社の経営者像をはっきりさせなければいけません。求める人物の特徴が明確になっていなければ、自社に合う後継者を選べないためです。
事業に対してどの程度のスキルや知識が必要なのでしょうか?全体を引っ張っていく力強いリーダーシップを期待するのか、組織をまとめ上げる調整力の高さを期待するのかによっても、適した人物は異なります。
明確にした経営者像をもとに、後継者を選びましょう。
2-2.経営理念や企業風土の明確化
会社の根幹にある経営理念や企業風土についても明らかにします。単に技術やノウハウを引き継ぐだけでは、自社ならではの強みを後継者に伝えきれません。
経営理念や企業風土は、経営者や従業員にとっては当たり前のもののため、見えにくい部分でもあります。今一度どのような特徴があるのか見直し、後継者に伝えるべき自社らしさを明確にすることで、効果的な後継者教育が可能です。
2-3.必要な教育内容を策定
後継者を選んだら、経営理念や企業風土に関する内容も盛り込んだ教育内容を策定しましょう。何をどのようなスケジュールで身につけていくのか、全体のスケジュールを決定して進めます。
後継者が必要な能力を身につけられない場合には、候補から外した方が適切なケースもあるでしょう。自社に合った技術やノウハウの評価方法や、評価が基準に満たない場合の処遇についても決めておきましょう。
参考:事業承継に必須のスケジュール作成。いつ、どんなことを実施するのか
3.社内で行う後継者育成のための教育
後継者教育には、社内で行うものと社外で行うものがあります。社内で行う代表的な後継者教育の内容をチェックしましょう。
3-1.業務の実務経験を積む
会社の事業について後継者の理解を深めるには、社内の部署を一通り経験するのが有効です。各部署の仕事に従事すれば、事業に関する専門的な知識が身につきます。
また各部署をローテーションすると、社内の人脈形成にも役立ちます。後継者候補として従業員とコミュニケーションを取ることで、事業承継をしたときに受け入れられやすい雰囲気を醸成できるでしょう。
3-2.後継者に経営ノウハウを伝える
経営者ならではの視点や心構えを伝えることも重要です。中小企業では、経営者の持つノウハウが会社の安定に強く結びついているケースが多いでしょう。事業承継で重要なノウハウが失われないよう、漏れなく教えなければいけません。
効果的に経営ノウハウを教えるには、経営者とともに行動する『カバン持ち』を経験させるとよいでしょう。取引先や金融機関にも同行させれば、後継者を関係者に知らせることにもつながります。
3-3.経営に参画させる
ノウハウは実際に使うことにより定着します。後継者が経営ノウハウを自分の能力にできるよう、経営に参画する経験も必要です。
最初は、このまま任せて大丈夫だろうかと、不安に感じる場合もあるでしょう。後継者も怖いと感じるかもしれません。しかし、経験を通して徐々に自信を持って判断できるようになるはずです。
回数を重ねることで、リーダーシップを発揮できる人材へと成長していきます。
3-4.タフアサインメントを行う
経営者になると、神経をすり減らすような難しい判断が必要な場合もあります。例えば、事業拡大や設備投資に向けて何億円もの融資を受ける判断をする際や、経営状況の改善に向けてリストラを決行しなければいけないケースなどです。
追い詰められた状態で適切な判断を下す能力を訓練によって育てるため、困難な状況で仕事を任せる『タフアサインメント』を実施するのも有効でしょう。
例えば、軌道に乗せるのが難しい新規事業の立ち上げを後継者に任せ、困難な状況でどのように道を切り開いていけばよいか体験させます。
4.社外で行う後継者育成のための教育
社外で行う後継者教育も活用しましょう。視野が広がり、会社の経営に新しい視点を取り入れられるかもしれません。また社外の人と知り合うきっかけになり、人脈を広げられる可能性もあります。
4-1.セミナーやビジネススクールで学ぶ
短期間でビジネスに関する知識を体系的に学べる、セミナーやビジネススクールを受講してもよいでしょう。民間の企業や商工会議所が主催しているセミナーのほか、大学の講義にも、後継者教育に役立つ内容があります。
これまでになかった知見を得るきっかけにもなるでしょう。セミナーには、テーマに関心を抱いている人が多いはずです。他の参加者と積極的にコミュニケーションを取ることで、人脈形成にも役立てられます。
4-2.同業他社に勤務する
経営者同士のつながりで受け入れ先があるなら、同業他社に後継者を勤務させるのもよいでしょう。後継者候補の視点で他社の経営手法を間近に見る経験が、新たなアイデアやノウハウを考えるきっかけになるかもしれません。
また、仕事を通したコミュニケーションによって、同業他社で働く人との人脈づくりにもつながります。
5.後継者の育成は早めかつ計画的に行おう
会社の経営のために身につける知識や技術・ノウハウは多岐にわたるため、後継者教育には最低でも4~5年は必要です。場合によっては10年ほどかかるケースもあるため、できるだけ早く取りかかりましょう。
後継者教育を始める際には、後継者育成計画を作成すると効果的です。計画を策定するときには、経営者像と後継者に伝える経営理念をはっきりさせた上で、教育内容を決定しましょう。
具体的には社内で実務を経験させるほか、経営者と行動をともにしながらノウハウを教えたり、実際に経営に参画させたりします。社外のセミナーや同業他社での勤務も有効です。
教育の成果が出て後継者が事業を引き継ぐときには、贈与税や相続税・法人税などの税金が関わってくるため、事業承継の実績が豊富な税理士に相談しましょう。
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後継者育成については、以下もご覧ください。
会社の跡継ぎは誰が最適?後継者候補の選び方と育成方法|税理士法人チェスター
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