自社株承継の税負担を軽減!事業承継税制の平成30年度改正ポイント

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自社株承継の税負担を軽減!事業承継税制の平成30年改正ポイント

平成30年度税制改正は、所得税の基礎控除の改正などが注目されましたが、相続税・贈与税でも重要な改正があります。

この記事では、相続税・贈与税の事業承継税制の改正についてご紹介します。10年の期間を設けて、自社株を引き継いだときの税負担をさらに軽減することで、高齢化が進む中小企業経営者の世代交代を促し、中小企業の廃業を抑えることが期待されます。

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1.自社株承継の税負担がさらに軽減

平成30年の税制改正では、相続税・贈与税の事業承継税制に特例が設けられ、平成30年からの10年間に行われる事業承継について税負担がさらに軽減されることとされました。

従来の制度である一般措置では、納税が猶予される相続税・贈与税の税額は、下記の表のとおり一部にとどまっています。改正により設けられる特例措置では、相続税・贈与税ともに、取得したすべての株式について税額が全額猶予されることとされました。

事業承継税制で納税が猶予される税額

後継者が先代経営者から自社株を相続したときは、一般措置では自社株にかかる相続税が約53%(株式数2/3×税額80%)しか猶予されませんが、特例措置では100%猶予されるようになりました。

猶予された相続税・贈与税は一定の要件を満たすとそのまま免除されるため、税負担なく自社株を引き継ぐこともできるようになりました。

2.後継者が複数いても適用可能に

従来の一般措置は、先代経営者と後継者1名の1対1の関係の場合のみ適用することができましたが、特例措置は、先代経営者以外からの贈与・相続(遺贈)、または複数の後継者への贈与・相続も納税猶予の対象になりました。

適用の対象が広がることで、さまざまなパターンで事業承継税制が活用できるようになりました。たとえば、複数の株主から1人の後継者に自社株を集約したい場合や、後継者を1人に絞り切れない場合でも事業承継税制が活用できます。

自社株を無税で承継!事業承継税制の平成30年改正ポイント

注1)先代経営者以外からの自社株の贈与・相続(遺贈)では、特例承継期間(5年)内に贈与税・相続税の申告期限を迎える場合に限り納税猶予の対象になります。

注2)自社株を引き継ぐ後継者は最大3人まで納税猶予の対象になります。ただし、それぞれ議決権数の10%以上を保有し、各後継者が同族関係者(他の後継者を除く)の中で最も多くの議決権数を保有していることが必要です。

3.さらに使いやすい税制に

平成30年度税制改正で設けられる特例措置では、事業承継税制を活用するうえで適合が難しかった雇用確保の要件が緩和されました。また、業績悪化などを理由に自社株の譲渡などをした場合に納税が一部免除されることとされました。

3-1.雇用確保要件の緩和

一般措置では、承継後5年間の平均で雇用の80%以上を確保することが求められていました。雇用が確保できなければ猶予が打ち切られ、猶予されていた相続税・贈与税に利子税を加えて納税しなければなりませんでした。

特例措置では、雇用が確保できなくても都道府県に理由書を提出すれば猶予が継続されるよう弾力化されました。理由書には、認定経営革新等支援機関の意見を記載し、場合によっては支援機関の指導・助言を受ける必要があります。

平成29年度税制改正では、雇用を確保すべき人数の計算方法を端数切り上げ(例:3人×80%=2.4人→3人)から端数切り捨て(例:3人×80%=2.4人→2人)に変更して、零細企業でも事業承継税制が活用できるようになっていました。特例措置では、一定の条件はあるものの雇用確保要件がさらに緩和されました。

3-2.業績悪化による自社株の譲渡等は納税を一部免除

特例措置では、業績悪化などの理由で、特例承継期間の経過後に自社株を譲渡する場合または会社を合併・解散する場合に、一定の条件のもと納税が一部免除されます。

4.「特例承継計画」の提出が必要

事業承継税制で特例措置を適用するには、一定期間内(平成30年4月1日~令和5年3月31日(注))に都道府県に「特例承継計画」を提出して認定を受ける必要があります。

(注)「特例承継計画」の提出期限は、2度にわたって延長され、令和6年度税制改正後は、令和8年3月31日までとなっています。

自社株承継の税負担を軽減するためには、上記の期間内で後継者の選定から具体的な承継計画まで、どのようにして事業承継を進めていくかを策定することが重要です。

「特例承継計画」は認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けて作成することとされています。また、事業承継税制を用いてどのようにより有利に承継を進めていけば良いか、という部分は専門的な知見が必須となりますので、事業承継に詳しい税理士など専門家に相談することをおすすめします。

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