零細企業M&Aでは買い手のメリットへの意識を。業種別の動向も確認
タグ: #M&A厳しい状況に追い込まれた零細企業にとって、M&Aによる売却が解決策となる可能性があります。買い手が求めているのが取引先や技術などであれば、零細企業でも十分に売却できるでしょう。業種ごとのM&Aの動向や、M&Aの流れも紹介します。
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1.零細企業もM&Aは可能
買い手が見つかれば、零細企業もM&Aによる売却が可能です。実際に小規模なM&Aが数多く行われているという調査結果もあります。できるだけ高く売却したいと考えているなら、自社の資産を必要としている買い手を探すのがポイントです。
1-1.日本の企業は小規模事業者がほとんど
全体的に見て、日本の企業は小規模事業者の割合が高いのが特徴です。中小企業基本法では、製造業は従業員が20人以下、商業・サービス業は5人以下の企業を、小規模企業と定めています。
以下は小規模事業者の多い業種です。
- 卸売・小売業
- 建設業
- 製造業
- 不動産業
- 運輸通信業
また後継者がいないために倒産に追い込まれる小規模事業者は、サービス業・建設業・製造業に多いといわれています。倒産すれば従業員の仕事が失われてしまうため、雇用を守るためにもM&Aの活用は有効です。
参考:後継者不足を理由に廃業はもったいない。M&A検討で可能性は広がる
1-2.買い手が見つかれば売却できる
零細企業であってもM&Aによる売却は可能です。事業承継・引継ぎ支援センターによると、2021年度に成立したM&Aのうち、売上が3,000万円未満の売り手企業は30%ありました。
ただし、買い手がいなければM&Aは成立しません。自社内で売却に向けた準備を進めるだけでなく、買い手を見つけるための行動が必要です。
参考:令和3年度 事業承継・引継ぎ支援事業の実績について~事業承継・引継ぎ支援センターの成約、相談件数ともに過去最高~|中小企業基盤整備機構
1-3.零細企業のM&A価格
売り手と買い手の双方が合意した条件で、M&Aは成立します。価格も同様で、案件ごとに交渉が行われ決定するため、参考にできる相場は存在しません。
そこでベースとなる価格を算出し交渉します。算出に用いられる要素として、純資産・M&A後に獲得見込みの利益・市場価値・無形資産などが代表的です。
1-3-1.年買法による評価方法
零細企業では、交渉のベースとなる価格を算出するために『年買法』を用いるケースが多いでしょう。『時価純資産+営業権(のれん)』というシンプルな計算式が、直感的に分かりやすいことから多用されています。
時価純資産のみを企業の価値とすると、帳簿に計上されない無形資産を考慮できません。ノウハウ・人材・販路などの無形資産を評価に加えるため、営業利益3~5年分を営業権(のれん)として加えているのが年買法の特徴です。
1-3-2.高く評価してくれる買い手を探す
自社の資産を高く評価する買い手が見つかれば、売却できる可能性が高まります。買い手が自社を買収することで得られるメリットは何かを考え、戦略的に売り込みましょう。
例えば独自の技術を持っているのであれば、その技術を活用できる見込みがあるのはどのような企業か考えます。技術を欲しがっている買い手であれば、高額であっても買収したいと考えるはずです。
参考:個人事業もM&Aは可能。買い手の見つけ方や必要な手続きを解説
2.買い手が求める零細企業の財産の例
買い手が欲しがっている財産を保有していれば、零細企業であっても売却できます。零細企業に対して、どのような財産を求められるケースが多いのでしょうか?
2-1.取引先や顧客
魅力的な『取引先』や『顧客』は、買い手にとってメリットが大きいため、売却できる可能性が高いでしょう。例えば、開拓が難しい企業や高い技術力を持つ取引先と良好な関係を築いている場合です。
ほかに長い期間にわたり収益を期待できる顧客や、買い手のサービスや商品と親和性のある顧客も、買い手が魅力的に感じやすい財産といえます。
2-2.専門性の高い事業の技術や許認可
獲得までに時間のかかる『技術』や『許認可』も、売却時に評価される財産です。特に調剤薬局・物流・設備工事・建設関連の事業では、技術と許認可が求められる傾向があります。
従業員が技術を習得するまでには、長い時間と教育コストがかかります。許認可も、申請から取得までに数カ月以上かかるものが多いでしょう。
時間をかける必要がありますが、その間に商機を逃す可能性も考えられます。タイミングを逃したくないと考える買い手にとって、技術や許認可を取得できる買収は魅力的です。
3.小規模小売業の動向と買い手の狙い
コンビニエンスストアやスーパーマーケットなど小規模小売業は、激しい競争が日々行われている業種です。買い手はスケールメリットを狙いM&Aを計画しているケースが多いため、ほかにはない仕入れルートを持っていると強みになるでしょう。
3-1.競争の激化で厳しい状況に置かれる
激しい競争が起こっている小規模小売業は、M&Aを含めた経営戦略を検討すべきタイミングといわれています。プライベートブランドによる収益アップや、消費者とじかに接点を持つD2C企業も増加中です。
厳しい状況の中、従来のやり方で取り組むだけでは競争に負けてしまいかねません。M&Aは、小規模小売業を営む零細企業が置かれている苦しい状況の打開策となる可能性があるでしょう。
3-2.買い手はスケールメリットを狙う
小売業でM&Aを行う場合、買い手はスケールメリットを期待して買収を行います。同じものを大量に仕入れられれば、取引先から有利な条件を引き出しやすくなり、コスト削減につなげられるためです。
同じ地域へ運ぶ荷物を混載すれば、物流コストを抑えられるメリットもあります。売り手である零細企業がほかにない仕入れルートを持っている場合、その点が魅力となりM&Aが成立するケースもあるでしょう。
4.小規模建設業の動向と買い手の狙い
小規模建設業の課題は人材不足です。将来的にさらに深刻な事態に陥る可能性が予想されています。そのため、M&Aで人材獲得を目指す流れが加速していくでしょう。
4-1.人手不足が深刻な業界
建設業の人材不足は深刻で、有効求人倍率にも表れています。全体の有効求人倍率が1.06なのに対し、建設・採掘の職業は『4.64』と4倍以上です。特に零細企業の人材不足は深刻で、早急な対策が必要な状況といえます。
加えて、2021年の建設資材価格の高騰も、建設業に大きなダメージを与える出来事でした。事業を取り巻く環境は厳しさを増しています。
参考:一般職業紹介状況(令和4年4月分)について|厚生労働省
4-2.M&Aにより買い手は有資格者を獲得できる
M&Aを行うと、買い手はスピーディーに有資格者や優秀な人材を獲得できます。そのため人材不足が深刻な建設業では、課題解決に向けM&Aを活用する企業が増加中です。
建設業は、『改正労働関係法令』で定められている『時間外労働の上限規制』の適用が猶予されている状態でも、人材が足りていません。2024年からの適用が決まっていますが、規制が始まればますます人材は不足していくでしょう。
教育の手間やコストをかけることなく人材を確保できるM&Aを行う流れは、今後も加速していくと考えられます。
5.小規模製造業の動向と買い手の狙い
資金力が脆弱な小規模製造業の零細企業は、高い技術力があっても経営の不安定さから存分に力を発揮できていないケースが多いでしょう。豊富な資金を持つ規模の大きな企業やファンドへの売却によって、技術力を生かせる可能性があります。
5-1.受注単価の低さや資金難に悩む
小規模製造業の多くは、資金に関する課題を抱えています。受注単価が低い上、量が少なく不安定なため、資金力をなかなか強化できません。規模が小さいほど資金に悩む企業が多い傾向です。
一方、規模の大きな企業は技術開発力が不足しているというデータがあります。技術力はあるけれど資金力が不足している零細企業と、資金力はあるけれど技術力が不足している大企業との組み合わせにより、相乗効果を期待できるでしょう。
参考:M&Aのメリットを細かく紹介。M&Aによる相乗効果や節税効果とは
5-2.企業価値を高める余地がある
製造業でM&Aを実施する際には、自社より規模の大きな企業かファンドへの売却が一般的です。高い技術力を持つ零細企業であれば、大手企業による買収を期待できるでしょう。
技術力を持っている企業は、資金を投入できれば成長する可能性があります。企業価値を高められる余地があるため、株価上昇によるキャピタルゲインを期待したファンドによる買収の可能性もあるでしょう。
6.小規模運送業の動向と買い手の狙い
単価の下落や燃料費の高騰が、小規模運送業の経営状況を悪化させています。そこで出てきているのが、M&Aの実施により効率化を目指す流れです。
6-1.単価の下落や燃料費高騰で厳しい状況に
運送業は、激しい競争の中で単価が大幅に下がりました。インターネットショッピングの急成長によって需要は拡大しましたが、収益率は低下し人件費をはじめ運営に必要な費用を賄うのが難しくなってきています。
加えて、燃料費の高騰により経費がかさみ、働き方改革への対応も急務です。厳しい状況で増していく負担を軽減するには、『協同組合』の活用が役立ちます。
全国に約600ある協同組合に加入することで、燃料の共同購入や高速道路料金の割引、稼働率改善などが可能です。加えて効率化を実現するためのM&Aも役立つでしょう。
6-2.M&Aにより拠点を増やし効率化を目指す
買い手となる規模の大きな企業では、M&Aによって中間拠点を増やしたいというニーズが高まっています。時間外労働の上限規制に罰則が設けられる2024年問題に向けた対策です。加えて、規模を拡大しスケールメリットを生かしつつ成長を目指す企業もあります。
売り手側も2024年問題への十分な対応が難しいことから、売却を希望するケースが増加中です。売り手・買い手の需給が合致したことで、M&Aが増えています。
7.M&Aの際は情報の管理に注意が必要
M&Aを行うときには、情報漏えいがないよう厳重に管理しなければいけません。周囲にM&Aについての情報が漏れれば、取引が白紙になるリスクもあります。
7-1.情報漏えいによるリスク
情報漏えいが発生するとトラブルに発展し、M&Aが破談に至る可能性があります。零細企業の買収を検討している買い手は、売り手の持つ取引先や従業員などに魅力を感じているケースが多いでしょう。
取引先に計画と異なるタイミングでM&Aについての情報が漏れると、今後の方針に不安を感じ、取引が中止になるかもしれません。また情報漏えいしたのが従業員であれば、不安感から辞める人も出てくるでしょう。
買い手が魅力に感じていた取引先や従業員の状態に変化があると、売却時の条件も変更されます。状況によっては、M&Aが破談になる可能性もある事態です。
7-2.従業員の流出には細心の注意を払う
零細企業は1人でも従業員が欠けると、事業に大きな影響が出ます。そのためM&Aをきっかけに従業員が退職することのないよう、対応には注意が必要です。
まずは適切なタイミングで、M&Aについて経営者から直接説明する機会を設けましょう。今後の経営方針や企業風土がどのように変化していくのかを、分かりやすく丁寧に伝える必要があります。
このとき、従業員の待遇に関する不安を解消できるよう、M&A後の雇用条件について買い手に確認しておきましょう。従業員を引き続き雇用し続ける点や雇用条件については、基本合意書や契約書の作成時に盛り込んでおくと安心です。
参考:買収された会社の末路。考えられる社員や買い手企業とのトラブルは?
8.零細企業の買い手はどのように見つける?
買い手が見つからなければM&Aは成立しません。そのため自社の売却を検討し始めたら、買い手を探す必要があります。
仲介会社を利用するほか、事業承継・引継ぎ支援センターやマッチングサイトを活用してもよいでしょう。日ごろから取引のある得意先が買い手になる可能性もあります。
8-1.M&A仲介会社のリストから
M&Aの検討を始めたら、『M&A仲介会社』を利用するとスムーズです。まずは社名を伏せ企業情報を記載した『ノンネームシート』を作成します。
買い手がリストの中から気になる企業を選び、秘密保持契約を交わしたら、社名やより詳細な情報を記載している『企業概要書』を提示する流れです。仲介会社であれば、その後の交渉や契約のサポートも任せられます。
依頼する仲介会社を選ぶときには、零細企業を対象としているか確認しましょう。大企業や中小企業を対象としている仲介会社の場合、零細企業のM&Aは扱っていないかもしれません。
依頼できたとしても報酬が割高になり、手取額が大幅に減る可能性も考えられます。
参考:ノンネームシートの役割とは。記載内容や作成上の注意点を解説
8-2.事業承継・引継ぎ支援センターによる紹介
国の機関である中小機構が運営している『事業承継・引継ぎ支援センター』を利用してもよいでしょう。無料で相談できるため、M&Aの検討を始めたらまず連絡するのがおすすめです。
相談後の対応は案件により異なります。民間のM&A仲介会社の紹介を受けるほか、買い手とのマッチングを直接行うケースもあるでしょう。必要に応じて専門家の紹介も受けられます。
8-3.M&Aマッチングサイトへの登録
『M&Aマッチングサイト』へ登録するのもおすすめです。売り手として利用する場合には、企業情報をマッチングサイトへ掲載し、興味を持った買い手からの連絡を待つスタイルが多いでしょう。
買い手と直接やり取りするため、自社の魅力を伝えやすいのが特徴です。間に人を挟まない分、連絡がスムーズにいきやすく、早期にM&Aが成立する可能性も期待できます。
加えて、売り手は無料で使えるため、売却にかかるコストを抑えやすいでしょう。零細企業に向いている方法といえます。
参考:M&A仲介サイトで小規模な事業の売買も可能。六つのサイトを紹介
8-4.得意先なども候補の一つ
お互いのことをよく知っている『得意先』が買い手になるケースもあります。自社の事業についてよく知っており信頼関係も構築されているため、スムーズに話が進みやすいでしょう。
ただし交渉がうまく運ばなければ、トラブルとなり信頼関係が崩れるかもしれません。トラブルを避けようとするあまり、希望条件を伝えられない可能性もあります。
得意先はあくまでも候補の一つです。他の候補先も検討しつつ進めていくとよいでしょう。
9.零細企業の売却方法は主に二つ
零細企業が自社を売却する手法は、『株式譲渡』か『事業譲渡』で実施されるケースがほとんどです。二つの手法の特徴や、どのような案件で利用されるのか確認しましょう。
9-1.株式譲渡
議決権付き株式の売却によって、会社を丸ごと買い手に移転するのが株式譲渡です。会社の持つあらゆる資産を、負債も含めて買い手に譲渡できます。零細企業の場合は、株式を100%売却するケースが多いでしょう。
各種契約や許認可なども引き継がれるため、以下のようなケースでは株式譲渡がよく用いられます。
- 従業員の雇用を守りたい
- 許認可が必要な事業を手がけている
- 魅力的な取引先との関係を構築している
手続きがシンプルで比較的手間のかからない手法のため、小規模な企業のM&Aにおいて一般的です。経営者は株式の対価を受け取り、利益には約20%の所得税や住民税等が課されます。
参考:株式譲渡にはどんな手続きが必要?契約や税金に関する基礎知識
9-2.事業譲渡
事業の一部もしくは全部を選び買い手に譲り渡す『事業譲渡』が用いられるケースもあります。会社そのものやその経営権は変わらず経営者の元にあり、事業や資産のみを譲渡する手法です。
買い手に移転するものを選べるため、以下のようなケースに向いています。
- 展開している複数の事業のうち一部のみを売却したい
- 許認可や契約などを引き継ぐ必要がない
- 買い手が簿外債務のリスクを抑えたいと考えている
株式譲渡と比べると事業譲渡の手続きは複雑です。資産や契約ごとに手続きをしなければならず、手間がかかるでしょう。
また対価が法人に対して支払われるのも特徴です。法人の収益にプラスされるため、法人税や法人住民税などがかかります。
参考:事業譲渡の目的、主な特徴とは。専門家の知識が欠かせない理由
10.M&Aの取引開始までの流れ
M&Aの取引が始まるまでには、準備や合意を形成するプロセスが必要です。段階ごとにどのようなことを行うのか見ていきましょう。
10-1.重要書類の整理など準備をする
まず行うのは『重要書類』の整理です。買い手とマッチングし秘密保持契約を結ぶと、財務資料・契約書・従業員名簿などを提示しなければいけません。
零細企業では、書類の提示を求められてもすぐに見つけられないケースも見られます。スムーズに取引を進めるためにも、早いタイミングで書類を整理しておきましょう。
併せて今後の事業計画も作成しておくのがおすすめです。M&A後にどのくらいの収益を期待できるか分かれば、買い手は自社を高く評価しやすいでしょう。
10-2.トップ面談
売り手・買い手の経営者が直接会うことを『トップ面談』といいます。トップ面談の目的は相互理解を深めることです。買い手の人柄やM&A後の経営方針などを確認しましょう。
トップ面談で確認した内容が、最終決断を下す前の判断材料となります。加えて、売り手が買い手に自社をアピールする場でもあります。自社の魅力を整理し、端的に伝えられるようにしておくとよいでしょう。
10-3.意向表明・基本合意締結
トップ面談後に本格的な取引に入る決断をしたら、『意向表明』と『基本合意締結』のタイミングです。意向表明は買い手が買収する意思を示すことで、意向表明書と呼ばれる書類を交わします。
基本合意締結では、この時点で合意している内容を明らかにした上で、合意の内容を証明する基本合意締結書を結びます。二つの書類には、どちらも法的拘束力はありません。また零細企業M&Aでは省略するケースもあります。
11.合意が固まれば契約へと進む
本格的に取引に入ると、買い手が売り手に対しデューデリジェンスという調査を実施します。最終契約で設定される場合の多い、表明保証や競業避止義務についても確認しましょう。
11-1.デューデリジェンスが実施される
デューデリジェンスという詳細な調査によって、買い手は買収対象の会社にリスクがないか調べます。帳簿上に表れない簿外債務の調査も欠かせません。中でも、零細企業では『未払い残業代』を入念に確認するケースが多いでしょう。
リスクが見つかると、その後の交渉で買収価格に反映するため、値引き交渉が行われる場合もあります。最終的に合意した内容で契約書を作成し、株式や資産の引き渡しを行う流れです。
参考:M&Aにおけるデューデリジェンスの役割。調査項目や進め方を知る
11-2.表明保証を行う
最終契約書ではデューデリジェンスを補完する役割で、『表明保証』に関する条項を設けるのが一般的です。法務・税務・労務などについて、表明した内容に誤りがないことを保証します。
万が一クロージング後に違反が判明すれば、買い手から損害賠償の支払いを求められるかもしれません。ただし売り手に十分な資金がなく、買い手が損害賠償を回収できない事例もあります。
滞りなく最終契約を締結するには、買い手から信頼されなければいけません。そのために必要な情報は隠すことなく全て提示し、誠実な対応を心がけましょう。
参考:簿外債務の種類や見つけ方。買い手と売り手それぞれの対策は?
11-3.競業避止義務を負う
売り手は『競業避止義務』を負うのが一般的です。株式譲渡では最終契約書に盛り込まれるもので、事業譲渡では会社法第二十一条に定められています。
競業避止義務を負うと、買い手は売却したのと同じ事業を一定期間は行えません。事業に関するノウハウや人脈を持っている買い手が同じ事業を行えば、買い手に損失を与える可能性があるためです。
売り手が同じ事業を行えない期間や範囲について、詳細は契約書に記載されるため、よく確認しましょう。特に会社や事業を売却後、新たな事業を始めようと考えている場合には、その事業が競業避止義務違反になる内容ではないか注意が必要です。
M&Aの流れを解説している以下もぜひご覧ください。
事業・会社をM&Aで売却する基本的な流れ【税理士法人チェスター】
12.買い手候補に自社の魅力を売り込もう
零細企業がM&Aを実施する際には、自社の資産を整理した上で、その資産を必要としている買い手を見つけるのがポイントです。自社の持っているものに魅力を感じる買い手が見つかれば、会社を高く評価してもらいやすいでしょう。
株式譲渡や事業譲渡を実施すると、対価に税金が課されます。課される税金は手法によって異なるため、どちらが適しているのか案件ごとに確認するのがおすすめです。
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