M&Aの必要書類には何がある?それぞれの特徴も解説
タグ: #M&AM&Aにはさまざまな書類が必要です。具体的にどのような書類がどのタイミングで必要なのか把握することで、スムーズに成約までの手続きを実行できるでしょう。M&Aの流れを確認した上で、必要書類の種類や特徴を解説します。
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1.M&Aの手順を確認
自社をM&Aで売却するときには、まずは仲介会社と契約するのが一般的です。その後マッチングした買い手と面談し合意形成できたら、買い手による調査を実施し最終契約へと進みます。M&Aの流れを段階ごとに見ていきましょう。
1-1.仲介会社と契約する
M&Aを実施するに当たり、買い手とのマッチングや手続き・交渉などのサポートを行う仲介会社と契約するのが一般的です。自社の売却を検討しているなら、まずは仲介会社へ相談しましょう。
手続き自体は自社のみでも行えますが、法律や会計などに関する専門的な知識が要求されるため、対応できる人材が自社内にいないケースが多いはずです。そもそも自社だけでは、買収したいと申し出る買い手を探すのも難しいかもしれません。
まずは信頼できる仲介会社を探し、契約しましょう。
参考:M&A仲介サポートの内容とは?特徴や選び方、有名な5社も紹介
1-2.買い手とのマッチングと基本合意
仲介会社と契約すると、まずは買い手との『マッチング』を行います。売却の条件を洗い出し、合致する買い手候補を探す作業です。買い手候補へは社名を伏せた状態で、どのような会社や事業なのかが分かる資料を開示します。
資料を確認した買い手候補がM&Aを進めたいと希望した場合、売り手・買い手双方の意思決定者が参加する『トップ面談』を実施します。面談はお互いのビジョンや希望に対し、理解を深めるのが目的です。
面談によって本格的にM&Aを進めることとなった場合、合意した内容を記した『基本合意書』を作成し次の段階へ進みます。
1-3.調査を経て契約締結、クロージング
本格的にM&Aの手続きを進めることが決まったら、買い手による調査『デューデリジェンス(DD)』が行われます。法務・財務・税務など、さまざまな専門領域ごとに、売り手の現状を確認する調査です。
売り手は資料の提供や面談に応じ、調査へ協力します。調査結果がはっきりし、必要であれば『最終交渉』を行いましょう。場合によっては値下げの交渉やスキームの変更もあり得ます。
最終交渉で合意に至ると『最終契約』の締結です。最終交渉で合意した内容を反映させ、契約書を作成します。成約後は契約書で定めたスケジュールにのっとり、経営権の移転や対価の授受を実施し『クロージング』です。
参考:M&Aの流れを知ってスムーズに進めよう。契約の種類や必要な手続き
2.仲介会社との間で交わす書類
自社のM&Aを進めるとき、まず行うのは仲介会社との契約です。このとき仲介会社と取り交わす書類には、『秘密保持契約書』と『アドバイザリー契約書』の2種類があります。
2-1.秘密保持契約書(NDA)
仲介会社にM&Aのサポートを依頼する際には、会社にとって重要な情報も開示しなければいけません。万が一情報が外部に漏れると、存続の危機に瀕する可能性もあります。
そこで情報漏えいが起こった事態に備え、責任の所在を明らかにする目的で、秘密保持契約書を締結します。
またM&Aを進める際には、買い手にも会社の情報を開示しなければいけません。情報を開示するタイミングで、買い手との間にも秘密保持契約書を締結します。
2-2.アドバイザリー契約書
仲介会社との契約に当たり取り交わすのは『アドバイザリー契約書』です。契約書に含める条項は以下が代表的です。
- 秘密保持の範囲
- 契約期間
- 途中解約
- 費用
- 直接交渉の禁止
- 再委託の禁止
契約書を交わす前に、必ず内容を確認し、著しく不利な条項がないか確認しましょう。例えば途中解約について定めがなく認められていない契約内容では、M&Aを中断しても費用が発生し続けかねません。
また途中解約に違約金がかかる内容になっている場合も、売り手の負担が大きいため、削除の交渉をした方がよいでしょう。
参考:M&Aのアドバイザリー契約とは。仲介との違いや契約時の確認事項
3.買い手とのマッチングに必要な書類
仲介会社とアドバイザリー契約を結んだ後は、買い手とマッチングするための書類を用意します。まずは『ロングリスト』『ショートリスト』で買い手候補をリスト化しましょう。
その上で、社名を伏せ自社の情報を開示する『ノンネームシート』でアプローチし、興味を持った買い手候補に対し『企業概要書』を提示する流れです。
3-1.ロングリスト、ショートリスト
買い手とのマッチングを行うに当たり、まずは買い手候補をリスト化します。売り手の希望に合致した条件の会社をピックアップする作業です。
ロングリストは広範囲から買い手候補を選んだリストで、多い場合には100社ほどリスト化するケースもあります。その中からさらに絞り込んで作成するのがショートリストです。
作成したショートリストに記載されている会社の優先順位と打診方針を決め、アプローチします。
参考:ロングリストがM&Aで必要な理由。具体的な作成方法も解説
参考:M&Aにおけるショートリストとは。作成方法、注意点を解説
3-2.ノンネームシート
買い手候補へアプローチするときには、売り手の情報を提示しなければいけません。まず開示するのがノンネームシートです。
ただしこの時点では、M&Aの手続きを実際に進めるかどうか分かりません。また従業員や取引先などに売却の意向を知られると、いらぬ混乱を招く場合もあるでしょう。
そこで自社が特定されないよう、社名を伏せた状態で情報を提示します。その他の情報も、業種・地域・売上などM&Aを進めるかどうか判断するために必要な最低限の内容にとどめます。
参考:ノンネームシートの役割とは。記載内容や作成上の注意点を解説
3-3.企業概要書
買い手候補にM&Aを進める意向があれば、秘密保持契約書を交わした上で企業概要書を提示します。ノンネームシートとは異なり、社名が記載されている書類です。
事業内容についても詳細に記載します。自社の詳しい情報に加え、M&Aによって買い手が得られるメリットも記載しておくと、魅力が伝わりやすくなるでしょう。
入念に企業概要書を作り込み必要な情報を網羅できれば、買い手は記載されている情報からM&Aに関する意思決定ができます。短期間での成約を実現させるには、作り込みが重要です。
参考:M&Aでティーザーは非常に重要。作成方法や企業概要書の提示時期
4.買い手との契約に必要な書類
M&Aの成約に向け、買い手との間で取り交わす書類には、『意向表明書』『基本合意書』『最終契約書』があります。3種類の書類について、それぞれの特徴を見ていきましょう。
4-1.意向表明書
意向表明書はトップ面談後に買い手が用意し、売り手へ提出する書類です。「買収します」という意思を、売り手に伝えるために提出されます。買収の意思のほかに、買収目的やスケジュールの希望も記載するのが一般的です。
ただし全ての案件で意向表明書の提出が必要なわけではありません。提出されるのは、買い手候補が複数いる場合が多いでしょう。候補が1社のみであれば基本合意書に含め、意向表明書を省いても問題ありません。
4-2.基本合意書(LOI)
トップ面談後、もしくは意向表明書を受け取った後に締結されるのが基本合意書です。この時点で売り手・買い手が合意している内容で取り交わします。記載する内容は以下が代表的です。
- スキーム
- 対象範囲
- 譲渡日
- 譲渡価額
- スケジュール
- デューデリジェンスの実施
- 独占交渉権
- 秘密保持
最終契約書の元になる書類ですが、法的拘束力は基本的にありません。ただし独占交渉権といった特定の条項にのみ、法的拘束力を持たせるケースがあります。
参考:基本合意書の意味と内容。独占交渉権の付与など重要なポイント
4-3.最終契約書(DA)
基本合意書の内容を元に、デューデリジェンス実施後の交渉で合意した内容を盛り込み作成するのが最終契約書です。最終契約書を取り交わすと、M&Aが成約します。
ただし最終契約書という名称の契約書はありません。採用するスキームによって最終契約書の名称は異なり、株式譲渡であれば『株式譲渡契約書』、事業譲渡であれば『事業譲渡契約書』を締結します。
5.必要書類と流れを把握しスムーズなM&Aを
M&A実施時にはさまざまな書類が必要です。仲介会社と交わす書類は、秘密保持契約書とアドバイザリー契約書です。
買い手とのマッチングには、ロングリスト・ショートリスト・ノンネームシート・企業概要書を用意します。成約に向け、買い手からは意向表明書が提出されるケースもあるでしょう。その後、基本合意書を交わし、最終契約書の締結です。
必要書類の作成には時間がかかります。書類作成のために用意すべき資料もあるでしょう。必要書類と契約までの流れを知っておくと、スムーズにM&Aを進められるはずです。
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M&Aの流れについて詳しく解説している以下も、ぜひご覧ください。
事業承継・M&Aを検討の企業オーナー様は
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