事業買収とは?事業譲渡との違いや手続きの流れ、ポイントを解説

事業買収は、企業の成長戦略の一手段と位置づけられています。他社の事業を買収すると、どのようなメリットが享受できるのでしょうか?事業譲渡との違いやプロセスの流れ、中小企業における事業買収の成功事例を紹介します。

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1.事業買収とは

1.事業買収とは

かつては買収と聞くと、『会社の乗っ取り』というイメージがありましたが、近年は成長戦略やビジネス戦略の一つに、事業買収を選択する企業が増えています。事業買収とはどのような行為なのでしょうか?事業譲渡や合併との違いについても解説します。

1-1.買い手が事業を買収すること

事業買収とは、企業や個人が事業を買収する行為を指します。買収の手法には、株式取得や事業譲渡などがあり、会社法に則って手続きを行うのが一般的です。一般的な物品の売買と違い、買収の完了までに1年以上かかるケースも珍しくありません。

以前は、大手企業や外資系企業のみが行う特別な経営戦略と見なされていましたが、近年は中小企業や小規模事業者の間でも事業買収が広がっています。

本記事では、事業を買収する側を『買い手』、事業を売却する側を『売り手』と表記して説明します。

1-2.事業譲渡との違い

事業買収は買い手から見た行為であり、事業譲渡は売り手から見た行為です。したがって、事業買収=事業譲渡と考えて差し支えありません

また、事業買収を実現する手段の一つが事業譲渡であるとも考えられます。事業買収の手段は、株式取得と事業譲渡に大別され、株式取得はさらに、株式譲渡や株式移転、株式交換などに細分化されます。

事業譲渡は、会社の事業の全部または一部を売却する方法です。株式取得と異なり、会社の経営権の移動は伴いません。2018年版『中小企業白書』によると、中小企業の事業買収(M&A)では、以下のように事業譲渡が最も多く用いられています。

  • 事業譲渡:41.0%
  • 株式譲渡:40.8%
  • 合併:15.0%
  • その他:3.1%

参考:M&Aの実施形態 中小企業白書 2018|中小企業庁
参考:事業譲渡の目的、主な特徴とは。専門家の知識が欠かせない理由

1-3.合併との違い

合併とは、2社以上の企業が統合して一つになることです。例えば、A社がB社を合併した場合、B社の権利義務はA社に包括的に引き継がれ、B社の法人格は消滅します。

事業買収の手法では、買収された側の法人格は存続するため、法人格が消滅するかどうかが大きな違いといえるでしょう。

合併は、会社法における組織再編行為の一つで、グループ企業内の運営の効率化や事業規模の拡大、シナジーの創出などを目的に実施されます。なお、事業買収と合併はまとめて、『M&A(Mergers and Acquisitions)』と呼ばれます。

参考:新設合併とはどんなM&A手法?対等合併で好イメージな点がメリット
参考:吸収合併とはどんなM&A手法?メリット・デメリットや手続きを解説

2.事業買収を行う主な目的

2.事業買収を行う主な目的

上場企業の場合、相手の同意なく買収を仕掛ける敵対的買収が起きるケースがありますが、中小企業では、双方の経営陣の同意に基づく友好的買収がほとんどです。事業買収を行う目的・メリットには、どのようなものがあるのでしょうか?

2-1.買収によるシナジー効果

一つ目の目的は、事業買収によるシナジーの創出です。シナジーとは、複数のものが互いに作用し合い、1+1=2以上の大きな効果や結果を生み出すことを意味します

例えば、自社ビジネスと同業種の事業を買収すれば、市場におけるシェア拡大につながります。販路が広がって、1年後に売上が5倍に増えたとすれば、売上シナジーがもたらされたといえるでしょう。

また、他社の優れた技術やノウハウが活用できれば、自社のみでは実現しなかった新製品が開発できる可能性もあります。そのほかに、仕入れコストの削減や資金調達力の強化など、期待できるシナジーは多方面にわたります。

2-2.事業規模の拡大

事業買収で事業規模が拡大すれば、スケールメリットを享受できます。スケールメリットとは、同種のものを多く集めることによって得られる優位性やメリットです

例えば、同業種のドラッグストアを買収し、全国に店舗を拡大した場合、商品の一括大量仕入れによるボリュームディスカウントが実現します。店舗数の増加によって知名度が向上すれば、顧客からの信頼も獲得できるでしょう。

物流・運送業では、貨物量のスケールメリットを享受できます。目的地が同じ荷物をできるだけ多く混載することで、運送コストの削減が可能です。

2-3.新規事業への進出

新規事業を立ち上げる場合、製品開発や人材教育、販路の拡大などに多大な時間・労力・資金を投入しなければなりません。2年、3年とかかっているうちに市場参入のタイミングが遅れ、千載一遇のビジネスチャンスを逃す可能性があります。

既存の事業を買収すれば、優れた技術やノウハウ、人材を一度に獲得でき、一から事業を立ち上げるよりもスピーディーに市場に参入できます。投資回収までの時間を大幅に短縮できるため、事業買収は『時間をお金で買う行為』といわれているのです。

2-4.多角化によるリスク分散

近年はプロダクトライフスタイルが短期化しています。特定の商品やサービスのみに頼っている企業は、早晩衰退期を迎え、収益が大きく減少する可能性があるでしょう。

『卵を一つのかごに盛るな』という言葉があるように、事業の多角化には経営リスクを分散する効果があります。事業買収によって既存事業とは異なる市場に進出すれば、収益の柱が増えると同時に、企業環境の変化によるリスクを最小限に抑えられます

参考:垂直型M&Aの例を紹介。水平型M&Aとの違い、戦略の立て方も

3.事業買収で広く使われる「株式取得」とは

3.事業買収で広く使われる「株式取得」とは

株式取得とは、株式の取得によって対象企業の経営権を獲得する方法です。主に、株式譲渡・株式移転・株式交換・第三者割当増資があり、企業の規模や目的によって最適なものが選択されます。

3-1.株式譲渡

売り手の発行済株式の過半数を獲得し、経営権を掌握する方法です。非上場企業の株式は証券取引所で取引できないため、買い手と売り手の株主が『相対取引※』を行います。

譲渡が完了すると、売り手と買い手は子会社と親会社の関係です。買い手は売り手の資産や負債を包括的に承継するため、従業員の雇用や取引先との関係はそのまま維持されます。それぞれに個別で承諾を得る必要はありません。

参考:株式譲渡にはどんな手続きが必要?契約や税金に関する基礎知識

中小企業の事業買収では、株式譲渡が多く用いられます。2018年版『中小企業白書』によると、株式移転・株式交換・第三者割当増資が用いられる割合は全体の5%にも満たないのが実情です。

※相対取引:売り手と買い手が直接的に話し合い、取引価格や価格などを決める方法

参考:M&Aの実施形態 中小企業白書 2018|中小企業庁

3-2.株式移転

1社または複数の会社が新たに会社を設立し、自社の発行済株式のすべてを移転させる方法です。株式の移転後、新設会社は既存会社の完全親会社となります。

株式移転は株式の直接的な売買行為ではなく、会社法の組織再編行為に該当します。異なる企業の経営統合や持株会社の設立を目的に、採用されるのが一般的でしょう。

持株会社とは、複数の子会社の経営を掌握するために設立される会社で、グループ全体の統治や意思決定を行うのが主な役割です。

持株会社の設立によって、経営(親会社)と事業(子会社)が分離されると、グループ経営の効率化やリスク分散などのメリットを享受できます。

3-3.株式交換

株式移転と同様、株式交換も組織再編行為です。二つの会社がそれぞれの株式を交換し合うことで、完全な支配関係を構築します

具体的には、売り手の発行済株式のすべてと、買い手の発行済株式の一部を交換します。株式取得の対価を現金で支払う代わりに、自社の株式の一部を割り当てる方法と考えましょう。一般的には、買い手が上場企業の場合に用いられます

株式譲渡において、買い手は買収のための資金を調達する必要がありますが、株式交換では手元資金がなくても、他社を完全子会社化できるのがメリットです。売り手は株式交換を通じ、完全親会社の経営に参画できます。

参考:株式交換のメリットや仕組みを解説。税制適格の要件とは

3-4.第三者割当増資

第三者割当増資とは、新規発行した株式を特定の第三者に引き受けてもらう方法です。一般的に、自社の取引先や金融機関、役職員などが買い手になるケースが多いため、縁故募集とも呼ばれます。

主な目的は増資ですが、事業買収や業務提携先との関係強化のために用いられるケースも少なくありません。

経営権の譲渡を伴う場合、買い手は株式保有比率を50%以上にする必要があります。既存株主の持株比率によっては、より多くの資金を調達しなければならないのがデメリットでしょう。

4.事業買収の事前準備

事業買収では、入念な事前準備が欠かせません。売り手候補を探す前に、目的の明確化や買収計画の立案、専門家の選定などを行いましょう。

4-1.事業買収を行う理由を明確に

事業買収では、買収の目的や理由を明確にする必要があります。事業買収は単なる手段であって、ゴールではありません

目的や理由を設定しないままプロセスが進むと、途中で迷いが生じます。社内の賛同が得られない可能性があるのに加え、売り手からも不信感を抱かれ、事業買収は失敗に終わるでしょう。

例えば、既存事業の強化を目的とする場合、事業買収のほかに他社との業務提携や資本提携といった選択肢もあります。なぜ事業買収でなければならないのかを、はっきりさせることが肝要です。

4-2.専門家への相談

事業買収に当たり、買い手に専門的な知識や経験が不足していると、高値づかみをする要因になります。企業価値の判断を誤ったり、簿外債務や偶発債務が発見できなかったりして、買収後に後悔するケースも珍しくありません

参考:簿外債務の種類や見つけ方。買い手と売り手それぞれの対策は?
参考:M&Aにおける偶発債務のリスクとは。売り手、買い手の対策を解説

まずは、事業買収やM&Aの専門家に相談するところからスタートしましょう。M&Aの仲介業者やファイナンシャルアドバイザー(FA)のほか、事業買収に精通した弁護士や税理士、公認会計士などに相談できます。

税理士法人チェスターを中核とするチェスターグループは、中小企業のM&Aをワンストップでサポートします。税金対策はもちろん、中長期的な視点からのアドバイスを行うため、悩んだら一度相談してみましょう。

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5.交渉段階での流れ

5.交渉段階での流れ

企業買収で最も多く用いられる手法は、株式譲渡と事業譲渡です。買収先の選定からデューデリジェンスまで、交渉段階の大まかな流れとポイントを解説します。

5-1.ノンネームシートでの確認

交渉段階に入る前に、M&A仲介業者やアドバイザーからノンネームシートが提供されます。ノンネームシートとは、売り手の社名が特定されない範囲内で会社情報をまとめたもので、対象業種・事業エリア・事業規模などの大まかな情報が記載されます

参考:ノンネームシートの役割とは。記載内容や作成上の注意点を解説

買収を前向きに進めたい案件があれば、秘密保持契約書(NDA)を締結した上で、詳細情報の開示を求める流れです。売り手との交渉に入る前に、簡易的な企業価値評価を実施し、取引価格の目安を算出します。

5-2.トップ面談・条件交渉

本格的な交渉の前にトップ面談を行います。経営者同士が顔を合わせながら、ビジョンや方向性、買収(売却)の目的などを確認し合う機会で、細かい条件交渉は行わないのが通常です

その後、取引価格やスキームなどの諸条件を交渉し、概ね条件が合意したところで、契約条件や独占交渉権の付与などを記載した『基本合意書』を締結します。

基本合意書に法的効力はありませんが、独占交渉権や秘密保持義務などの一部には法的効力を持たせるのが一般的です。

参考:基本合意書の意味と内容。独占交渉権の付与など重要なポイント

5-3.デューデリジェンスの実施

デューデリジェンスとは、買い手が売り手に対して行う買収調査です。将来性や自社とのシナジー効果、リスクの洗い出しを行い、事業買収の可否を判断します。

調査項目は税務・財務・法務・ビジネス・ITなど多方面にわたりますが、すべてを調査すると膨大な時間と費用がかかります。中小企業の場合、税務・財務・法務をピックアップするケースが多いようです。

デューデリジェンスで重大なリスクが発覚した場合、事業買収自体が破談となるケースもあります。

参考:M&Aにおけるデューデリジェンスの役割。調査項目や進め方を知る

6.契約締結への流れ

6.契約締結への流れ

デューデリジェンスの後は、最終交渉を経て最終契約を締結し、クロージングへと進みます。クロージングが完了するまでに、数カ月~1年ほどの期間を要します。必要な手続きをリストアップした上で、段取りよく進めていきましょう。

6-1.最終交渉を経て契約締結へ

重大なリスクがある場合は取引中止となりますが、リスクが中程度であれば再交渉を経て、譲渡価格の値下げやスキームの変更で対処します。

最終交渉の後に交わす最終契約書(株式譲渡契約書・事業譲渡契約書など)は、記載されるすべての内容に法的効力があるため、慎重に検討を進めなければなりません

取引内容のほかに、クロージングの前提条件や誓約事項、遵守事項に違反した際のペナルティなどが記載されます。

6-2.クロージング

クロージングとは、最終契約から引き渡し完了までのプロセスです。買い手は対価の支払いを行い、譲渡完了に向けた具体的な手続きを進めます。同時に、社内外の利害関係者に対する情報開示を行います。

株式譲渡の場合、売り手と買い手が共同で会社に名簿書換請求を行い、株主名簿の書換へと進む流れです。

事業譲渡の場合は、移管される権利義務について個別に契約を結び直す必要があります。株式譲渡と比べて手続きが煩雑なため、専門家にサポートを依頼しましょう。

参考:M&Aのクロージングで行う手続きや、取引が中止になる条件を解説

7.事業買収に必要な書類

7.事業買収に必要な書類

事業買収の各プロセスでは、さまざまな書類を準備する必要があります。単なる確認書もあれば、法的効力を有する契約書もあるため、いつ・どのようなものを準備しなければならないのかをしっかり把握しておきましょう。

7-1.買収側が必要な書類

事業買収で買収側が準備する書類には、以下のようなものがあります。

  • アドバイザリー契約書
  • 秘密保持契約書
  • 意向表明書
  • 基本合意書
  • 最終契約書

アドバイザリー契約書とは、M&A仲介業者やアドバイザーと契約をする際に交わす書面で、業務範囲や業務の費用負担、守秘義務などの内容が盛り込まれます。

参考:M&Aのアドバイザリー契約とは。仲介との違いや契約時の確認事項

秘密保持契約書は主に、売り手候補先に企業情報の開示を求める際に締結します。情報漏えいや不正利用を防ぐと同時に、違反行為があった際の対応を明確化するのが目的です。

意向表明書は、売り手に買収の意思を示すために任意で提出するもので、法的効力はありません。

参考:意向表明書の役割とは。基礎知識と具体的な書き方を紹介

8.事業買収で発生する「のれん」とは?

8.事業買収で発生する「のれん」とは?

事業買収では、のれん(営業権)が発生します。売り手の純資産と買収額の差額であり、会計上では資産に計上されます。のれんが大きければ大きいほど、のれん償却費が増える点に留意しましょう。

8-1.目に見えない無形の価値を指す

のれん代とは、買収金額と売り手の時価純資産の差額を指します。以下のような無形資産は、資産として財務諸表に反映されませんが、企業にとっては重要な収益の源泉です。売り手に対する買い手の期待値ともいえるでしょう。

  • 技術力
  • ノウハウ
  • ブランド力
  • 顧客や取引先との信頼関係
  • 企業文化
  • 優秀な人材
  • 特許・著作権・商標権

のれんは貸借対照表において、無形固定資産として処理する必要があります。

8-2.のれん代の償却とは?

事業買収で生じたのれん代は、一定期間内に償却する必要があります(のれん代の償却)。ただし、会計と税務では、のれんの償却ルールが大きく異なる点に注意しましょう。

会計基準の償却期間は最長20年間で、毎年均等金額を償却する『定額法』を採用するのが一般的です。

税務上、のれんは『資産調整勘定』と呼ばれます。償却期間は5年(60カ月)で、月割り均等で損金算入するのが原則です。資産調整勘定は、非適格再編と事業譲渡に限定されており、株式譲渡では発生しません。

参考:M&Aで知っておきたい「のれん」の意味。仕組みや会計処理も解説

9.事業買収を成功させるポイント

9.事業買収を成功させるポイント

事業買収を成功させるには、買収後の統合プロセスを視野に入れながら交渉に臨む必要があります。初期の検討段階では安易に案件を選ばず、シナジーや投資対効果を検証しましょう。事業買収を成功に導くためのポイントを解説します。

9-1.売り手企業と良好な関係を築く

事業買収では、売り手との良好な関係を築くことに注力しましょう。資金力のある買い手の場合、「買ってやる」という上から目線になりやすい傾向があります。

経営者同士の関係性が対等でなかったり、売り手への理解が不足していたりすると、買収成立後の経営統合がスムーズに進みません。経営者の交代を機に従業員やキーマン、取引先などが離れていき、企業価値が大きく毀損する恐れがあります。

引き継ぎの際は、元経営者を顧問や会長などに就任させ、新旧の経営者同士で助け合う体制を構築しましょう。

9-2.売り手企業を選ぶポイント

売り手を選ぶ際は、目的や買収戦略に基づいて絞り込みを行います。買収の目的はケースバイケースですが、検討の初期段階では以下のポイントを見極めておきましょう。

  • シナジーが創出できるか
  • 投資対効果はどのくらいか
  • 企業文化や社風が自社に合っているか
  • 売り手の譲渡理由は何か
  • ステークホルダーや従業員からの賛同が得られそうか

具体的な候補先を絞り込む段階になると、仲介業者は自らの利益を考え、買い手に最適な相手ではなく、成約しやすい相手を優先して紹介してくる可能性があるため、注意が必要です。

9-3.買収後のPMIが重要

クロージング後は、統合によるシナジー効果を最大限に発揮するための『PMI(Post Merger Integration)』を進めます。

PMIとは、事業買収後の統合プロセスを指します。以下のように、経営方針や業務フロー、企業風土などの擦り合わせを行い、双方の足並みをそろえるのが主な目的です。買い手にとってはここからが正念場といえるでしょう。

  • 経営面の統合(経営理念・方向性・ビジョンなど)
  • 業務面の統合(業務フロー・拠点・システムなど)
  • 意識面の統合(企業文化・風土など)

PMIの実施計画は基本合意書よりも前の段階で検討され、デューデリジェンスを機に徐々に具体化していくのが一般的です。基本方針を策定した後、ランディングプランや100日プランなどに内容を落とし込み、スケジュールに沿ってPMIを実行します。

参考:M&Aで重要なPMIとは。経営、業務、意識の三つの統合について

10.事業買収の成功事例

10.事業買収の成功事例

これから事業買収を検討する企業や個人は、できるだけ多くの事例に触れることが重要です。中小企業における事業買収は、どのような目的・スキームで行われているのでしょうか?近年の成功事例をピックアップして紹介します。

10-1.新栄工業株式会社

新栄工業株式会社(以下、新栄工業)は千葉県にある金属プレス加工メーカーです。事業エリアの拡大や技術力の強化を目的に、埼玉県にあるアポロ工業株式会社(以下、アポロ工業)を株式譲渡のスキームでグループ化しました。

アポロ工業は1967年創業の金属プレス加工メーカーで、自動車部品や電子部品に強みがあります。新栄工業にはないEV向けの金型を手掛けていた点や、優秀な人材や技術力を保有していた点などが、事業買収の決め手となったようです。

参考:アポロ工業株式会社

10-2.株式会社SDアドバイザーズ

株式会社SDアドバイザーズは、金融システム開発およびFintechに関する研究開発に取り組む企業です。金融システム以外の分野に事業領域を広げるため、2020年に株式会社コウイクス(以下、コウイクス)の全株式を取得し、グループ会社に加えました。

コウイクスはDX推進やシステム開発事業を手掛ける会社で、経験豊富なエンジニアが多数在籍しています。

参考:「事業承継のお知らせ」|株式会社コウイクス

10-3.株式会社エルテス

株式会社エルテス(以下、エルテス)は、ビッグデータ解析によるソリューションを提供する企業です。2022年、岡山県に本社を構えるアクター株式会社(以下、アクター)の株式を100%取得し、完全子会社化しました。

アクターは、Webコンテンツの運営やシステムの企画・開発などを行う企業で、中国銀行をはじめとする地元の金融機関が主な顧客です。

エルテスは、アクターが持つ地方銀行とのネットワークを活用し、地方銀行向けのデジタルマーケティングや不正送金検知などの技術・ノウハウを展開していく方向です。

参考:「エルテス、地方銀行への積極展開を目指しアクターを完全子会社化」|株式会社エルテス

10-4.株式会社サツキャリ

株式会社サツキャリ(以下、サツキャリ)は、店舗のスタッフ紹介や派遣業務などを行う会社です。東証グロース市場の上場企業であるインパクトホールディングス株式会社の完全子会社として、積極的な事業拡大を行っています。

2022年、サツキャリは同業種の株式会社ブライトサッポロ(以下、ブライトサッポロ)より、量販店における推奨販売事業を譲り受けました。

ブライトサッポロが培ってきたノウハウや人材を引き継ぎ、北海道における人材紹介・人材派遣事業をさらに盛り上げていく構えです。

参考:「サツキャリ、業歴34年のブライトサッポロより量販店における推奨販売事業を継承」|PR TIMES

11.慎重な事前準備で買収目的を果たそう

事業買収は、シナジーの創出やスケールメリット、優秀な技術・人材の獲得などを目的に行われます。

買い手は買収目的と戦略を明確にした上で、自社に最適な売り手を選定しなければなりません。思い描いた事業買収が実現できるように、入念な事前準備を行いましょう。

初めての事業買収では、各分野の専門家やアドバイザーにサポートを依頼することをおすすめします。

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