建設業がM&Aを行うメリットは?成功のポイントや事例も紹介

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建設業界ではM&Aが増加傾向にあります。どのような目的で行われているのでしょうか?売り手・買い手のメリットや注意点・より高く売却するポイントを紹介します。また実際に行われた建設業のM&Aの事例も確認しましょう。

この記事の目次

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1.建設業におけるM&Aの動向

1.建設業におけるM&Aの動向

建設業は注文を受けてから生産する受注生産型のため、規模が拡大することによる利益を得にくい業態です。加えて、会社同士がM&Aで一つになると、公共工事への入札機会が減ってしまいます。

それほど大きな利益につながらずデメリットもあるため、建設業ではこれまでM&Aが行われにくい状況でした。しかし近年はM&Aが行われるケースが増えています。

1-1.就業者の高齢化が課題

総務省の「労働力調査」をもとに国土交通省が算出したデータによると、建設業で働く人の高齢化が進んでいます。2020年の調査結果では、建設業就業者の約36%は55歳以上です。2019年から2020年にかけ、55歳以上の就業者は約1万人増えています。

一方、29歳以下の就業者数に大きな変化はなく、全体の約12%にとどまります。建設業就業者の高齢化が進んでいる結果といえるでしょう。また就業者全体の人数も、2010年に498万人だったのが、2020年には492万人と約6万人減っています。

就業者の高齢化はもちろん、就業者の減少により、次世代への技術承継がスムーズに行われにくくなっている状況も課題です

参考:建設業の働き方改革の現状と課題|国土交通省

1-2.人材不足を解決するM&Aが行われている

就業者数が減っている建設業では、人材不足が深刻です。不足している人材をカバーするためにM&Aを実施するケースが増えています。

M&Aで企業を買収すれば、売り手企業で働いている人材を迎え入れられるためです。実務経験を積み技術やノウハウを身につけている人材を、一度に大勢獲得できるかもしれません。

また中小企業では、親族や社内で事業承継できる人材が見つからない場合に、M&Aによって事業承継を行うケースが増えています。

1-3.隣接する異業種による買収も行われている

建設業と関わりのあるハウスメーカーや不動産会社などが、建設業を営む企業を買収するM&Aも増加中です。資材価格や人件費の高まりから、建設に関するコストは上がっています。

自社内に建設業を取り込みトータルサポートを行うことで、コスト削減やシナジー効果による利益アップをねらうM&Aです

1-4.海外進出を目的としたM&Aが増えている

今後市場が拡大していく見込みのある新興国への進出を目的に、海外企業を買収するクロスボーダーM&Aを実施する企業もあります。国内の市場規模はこの先縮小していく予想となっており、大幅な拡大は見込めません。

企業の成長を目指し、これからインフラ整備の需要が高まっていくであろう新興国で事業を展開するためのM&Aです。

2.建設業のM&Aを行う売り手のメリット

2.建設業のM&Aを行う売り手のメリット

建設業のM&Aにおいて、売り手側のメリットは事業を継続できることと関係しています。後継者がいなければ廃業せざるを得ませんが、M&Aが実現すれば事業も従業員も買い手へと引き継げるでしょう。

また経営者にとっては、対価を受け取り、個人保証の心配がなくなるメリットもあります。

2-1.後継者問題を解決できる

少子高齢化が進む中、企業の61.5%は後継者がいません。建設業も例外ではなく、子どもをはじめとする親族を後継者とする親族内承継や、従業員を後継者とする社内承継ができない企業もあります。

多くの企業が直面している、後継者問題の解決策として有効とされているのが、M&Aです。M&Aを活用して第三者に企業を引き継げば、親族や社内で後継者が見つからなくても事業承継できます

参考:後継者不足を理由に廃業はもったいない。M&A検討で可能性は広がる
参考:2022年版 小規模企業白書|中小企業庁

2-2.廃業を避けられる

後継者がいない状態で経営者が引退する場合には、廃業以外に選択肢がありません。しかしM&Aで事業を承継できれば廃業を避けられます。廃業するためには、以下の費用が必要です。

  • 解散・清算人・清算結了の登記費用
  • 官報公告料
  • 証明書の取得費用

これらの手続きを司法書士や税理士などの士業へ依頼すると、報酬も支払わなければいけません。さらに資材や設備などの処分費用も必要です

手続きや処分には手間もかかります。M&Aで事業承継できれば、経営者が引退しても余計なコストや手間がかかりません。

参考:事業承継できず廃業する際の注意点

2-3.従業員の雇用を守れる

従業員の雇用を守れるのも、M&Aのメリットです。廃業すると従業員は仕事を失ってしまいます。従業員やその家族の生活に、大きな影響を与えてしまうでしょう。

M&Aにより事業承継できれば、従業員の雇用を守れます。ただし買い手の意向によっては、従業員の雇用継続が難しいケースもあります。

従業員の雇用を守るためにM&Aを実施するなら、交渉時に買い手の意向を確認し、契約書へも雇用の継続について盛り込んでおくと安心です

2-4.対価を受け取れる

株式や事業を売却しM&Aを行うと、売り手は対価を受け取れます。事業規模や収益などによっては、数千万~数億円の資金を得られるかもしれません

経営者はこの資金を引退後の生活費や、残った債務の返済、次の事業資金などに利用が可能です。まとまった資金を受け取れるため、創業時の投資を上回るリターンを得られる可能性もあります。

参考:中小企業のM&Aが増加する理由。第三者への事業承継とは

2-5.個人保証から解放される

経営者は、多額の創業資金や運営資金などを借り入れている場合もあるでしょう。企業名義の借入だとしても、経営者が個人保証を負っているケースは少なくありません。

M&Aにより事業承継すると、買い手が負債も含めて企業を引き継ぐ可能性もあります。その後の返済は買い手が担うため、経営者が負っている個人保証の解除も可能です。

3.建設業のM&Aを行う買い手のメリット

3.建設業のM&Aを行う買い手のメリット

M&Aは買い手にもメリットがあります。優秀な人材や優れた技術を獲得できるのに加え、コスト削減の効果も期待できるでしょう。優れたサービスをリーズナブルに提供しやすくなります。異業種の企業が建設業を買収する場合、素早い事業の立ち上げが可能です。

3-1.優秀な人材を獲得できる

建設業の就業者は減少傾向が続いており、特に若手の人材は不足しています。買い手の中には、優秀な人材の獲得を目的としてM&Aを実施するケースもあるでしょう。

人材は採用にも教育にも、多大な時間とコストがかかります。M&Aによって獲得した人材は即戦力です。教育に手間とコストをかけずに人材を得られる点も、メリットといえます。

3-2.より高い技術力でサービスの質を向上できる

企業や事業を買収すると、売り手の持つ技術も獲得できます。ほかにはない技術を獲得できれば、業界内で大きなシェアを獲得しやすくなるかもしれません。

技術は自社で一から培うことも可能です。ただし、昨今は商品のライフサイクルが短くなっているため、技術が完成したころには既に陳腐化している可能性もあるでしょう。

目の前の市場で求められている技術を持っている企業を買収すれば、効率的に技術を獲得でき、利益を得やすくなります

3-3.コストを削減できる

コスト削減を期待できるのも、M&Aのメリットです。買収すると企業の規模が大きくなり、使用する資材の量も増えます。大量発注が可能になることで、仕入時の単価交渉を有利に進めやすくなるでしょう

特に一度に同一の資材を大量購入できる業態であれば、コストを抑えやすいでしょう。また大量に購入して一気に運搬できるのであれば、輸送コストも抑えられます。

3-4.スピーディーに事業を立ち上げられる

事業を一から立ち上げるには時間がかかります。

例えばハウスメーカーが自社で建設もできるよう事業を立ち上げるのであれば、人材や資材の仕入先の確保を行わなければいけません。実際に自社で建設から販売までできるようになるには、長い時間が必要です。

一方、M&Aで建設業を内製化すれば、すぐに事業として動き出します。技術を持った人材も仕入先も既にあるため、効率的です

4.建設業におけるM&Aの注意点

4.建設業におけるM&Aの注意点

メリットがある建設業のM&Aですが、注意点もあります。特に買い手は売り手企業の情報を正確に把握できていないと、買収後に思わぬリスクが発覚する可能性がある点に要注意です。

4-1.経営業務の管理責任者はいるか?

建設業は、ほかの業界とは異なる経営上の特徴があります。適切な経営を続けるためには、『経営業務の管理責任者』が必要です。経営業務の管理責任者がいなければ、建設業の許可を取得できません

買収する際には、企業なら常勤役員のうち1人が、個人事業なら事業主本人か支配人のいずれかが、管理責任者であることを確認しましょう。

4-1-1.経営業務の管理責任者の要件

経営業務の管理責任者になるには、以下のいずれかの要件を満たしている必要があります。

  1. 建設業の経営業務の管理責任者として5年以上の経験がある
  2. 1に準ずる地位(経営業務執行の権限の委任を受けた者)で5年以上の経営業務の管理経験がある
  3. 1に準ずる地位で経営業務の管理責任者を補佐する業務の経験が6年以上ある
  4. 建設業の役員として2年以上経験があり、5年以上役員か役員に次ぐ地位で財務管理・労務管理・業務運営に携わった経験がある。加えて、常勤役員を補佐する役割で財務管理・労務管理・運営業務の業務経験が5年以上ある
  5. 5年以上の役員経験と建設業での2年以上の役員経験があり、常勤役員を補佐する役割で財務管理・労務管理・運営業務の経験が5年以上ある

4-2.デューデリジェンスを行っているか?

M&Aを実施するにあたり、買い手が売り手に対して行う調査をデューデリジェンスといいます。買収した企業に問題がある状態だと、買い手は思わぬリスクを抱える事態になりかねません。

安心して買収できるよう、契約締結前に入念なチェックが必要です。デューデリジェンスが必要な分野は、法務・財務・税務など多岐にわたります。必要に応じて十分な調査を行いましょう。

参考:M&Aにおけるデューデリジェンスの役割。調査項目や進め方を知る

4-2-1.デューデリジェンスで特に注意すべき点

特に調査が必要なのは粉飾決算です。建設業は会計基準が特殊なことや、縦社会の職場環境であることから、粉飾決算をしている企業が多い傾向があるとされます。中には、提出先ごとに異なる決算書を作っている企業もあるほどです。

提示された決算書のみを見ても、実態をつかみきれないケースもあるでしょう。買収後に粉飾決算が判明すれば、多額の追徴課税が発生したり企業の信頼低下を招いたりするため、注意深く調査すべき点です。

また売り手が買い手に代金の一部を払い戻すリベートや、入札の参加者同士で落札者と価格を決めておく談合の有無も、デューデリジェンスによるチェックが必要です。

4-2-2.売り手自身でも調査しておくと安心

法務・税務・財務などの調査は、買い手が実施するデューデリジェンスの前に、売り手自身でも実施するとよいでしょう。自社で調査しておくと、M&Aの交渉前に課題を把握できます。

把握した内容に対して事前に対策すれば、課題を理由に買収価格の値下げ交渉が行われる可能性を減らせるでしょう。知らないうちに不正を行っている可能性もあるため、専門家に調査を依頼するのがおすすめです。

税務に関する調査であれば、『税理士法人チェスター』に相談するとよいでしょう。
事業承継コンサルティングなら税理士法人チェスター

5.建設業のM&Aを成功させるポイント

5.建設業のM&Aを成功させるポイント

M&Aを成功させるには、自社の強みや、なぜM&Aを行うのかという目的を把握しなければいけません。その上で目的を達成できる買い手を選ぶとよいでしょう。

5-1.自社の強みを把握する

M&Aを行う際には、まず自社の強みをはっきりさせます。優秀な人材が多数在籍している・ほかにはない技術を持っている・多くの受注実績があるなど、強みを把握することで、どのような企業にアピールすれば売却しやすいかが分かるでしょう

自社の強みを欲しがっている企業を見つけられれば、想定していたより高額での売却も期待できます。

5-2.M&Aの目的をはっきりさせる

なぜM&Aを行うのかも、明確にしておかなければいけません。後継者がおらず廃業を回避するためのM&A、従業員の雇用を維持するためのM&A、創業者利益を得るイグジットとしてのM&Aでは、同じM&Aでも適切な売却先や手法が異なります。

目的を意識せずに実施すると、M&Aは成立しても期待したほどの成果を得にくいでしょう

5-3.目的を達成できる買い手を選ぶ

M&Aで目的を達成するには、買い手選びも重要です。例えばエグジットを目的にM&Aを行うなら、できるだけ高額で売却できる買い手を見つけるとよいでしょう。そのためには、自社の持つ強みとシナジー効果の見込める買い手を選ぶのがおすすめです。

また従業員の雇用を継続する目的で行うM&Aなら、従業員の獲得を検討している買い手へ売却するとよいでしょう。この場合、交渉の段階で待遇を確認し、契約書へも盛り込むと安心です。

参考:M&Aによるイグジットとは。IPOやバイアウトとの違い、注意点も

5-4.専門家を活用する

建設業のM&Aについて実績が豊富な専門家へ依頼すると、スムーズに進みやすいでしょう。M&Aについての知識はもちろん、建設業許可や工事の技術・特殊な経営業務などについて精通している専門家のサポートが役立ちます。

仲介業者を選ぶときには、建設業を専門にしているところがおすすめです。また弁護士や税理士などの士業を選ぶ際にも、M&Aと同時に建設業にくわしいかという点を確認するとよいでしょう。

参考:事業承継の相談ができる専門家とは。選ぶときのポイントなどを解説

6.M&Aの買い手が現れやすい売り手の特徴

6.M&Aの買い手が現れやすい売り手の特徴

買い手へアプローチしたからといって、すべての企業が売却できるわけではありません。買い手が現れやすいのは、従業員の平均年齢が若く、受注が安定していて、地域での活躍が目立つ企業です。

6-1.社員の平均年齢が50歳以下

就業者の高齢化が課題となっている建設業では、若く優秀な人材が求められます。社員の平均年齢が50歳以下の企業であれば、M&Aの買い手が見つかりやすいでしょう

人材不足で従業員を獲得したいと願っている買い手にとって、好条件の案件と判断されやすいためです。反対に平均年齢が60歳を超える企業は、買い手がなかなか見つからない可能性もあります。

6-2.元請けで受注が安定している

受注の安定しやすい元請けの企業も、買い手が現れやすいでしょう。発注者からじかに工事を受注しているため、利益が多い傾向があるのも特徴です。

また買い手はM&Aによって、工事の発注者とのつながりも得られます。取引先の件数を増やし拡大を目指す買い手にとって、元請けの企業を買収できるのはメリットにつながりやすいでしょう。

6-3.地域での存在感が大きい

地域での活躍が目覚ましいのも、M&Aで買い手が現れやすい特徴といえます。例えば公共工事の入札資格を持っている企業や、近隣でのシェアが高い企業などです。

買い手の中には事業を展開するエリアを広げ、規模を拡大していこうと計画している企業もあります。拡大を目指している企業にとって、地域で存在感を放つ企業は魅力的に映るでしょう。

7.より高く自社を売却するには?

7.より高く自社を売却するには?

「売却するなら高く売りたい」と考えているなら、自社を「欲しい」という買い手に売却するのがポイントです。建設業で「欲しい」と買い手に望まれやすくするには、資格保有者の雇用とコンプライアンスの遵守がポイントです。

7-1.資格保有者を雇用する

慢性的な人材不足にある建設業では、人材を獲得するためのM&Aが行われています。買い手が求めるのは優秀な人材です。技術やノウハウを身につけている経験豊富な従業員が大勢いれば、売却しやすいでしょう。

ただし技術やノウハウは、客観的に示すのが難しいケースもあります。客観的に分かりやすい目安は資格です。例えば一級建築士は、取得するまでの勉強に1,000時間は必要だといわれています。

難易度の高い資格を持っている従業員がいれば、買い手から見ても優秀な従業員が多いと分かりやすいでしょう。ほかにも建築施工管理技師・土木施工管理技師・電気工事士などは、買い手から高く評価されやすい資格です。

7-2.コンプライアンスを遵守する

コンプライアンスを守れているかという点も、売却価格を左右します。例えば社会保険に正しく加入できていない、未払い残業代がある、主任技術者が適切に配置されていないなどのコンプライアンス違反は、買い手にとって大きなリスクです

リスクを引き受けるかわりに、その分の価格を差し引くよう価格交渉が行われる可能性があります。コンプライアンスを守ることで、値引き交渉を避けやすくなるでしょう。

8.スキームが建設業許可の引き継ぎに影響する

8.スキームが建設業許可の引き継ぎに影響する

建設業を営むには、建設業許可が必要です。買い手が異業種の場合は、建設業許可の引き継ぎも希望するかもしれません。

ただしM&Aで採用するスキームによっては、建設業許可を引き継げない場合もあります。違いを把握した上で、適切なスキームを選びましょう。

8-1.建設業許可を引き継げる「株式譲渡」

株式を売却することで会社を丸ごと買い手へ譲渡する株式譲渡では、建設業許可も買い手に引き継げます。株式譲渡のスキームでM&Aを実施した場合、変わるのは株主のみです。

会社自体は何も変わらないため、買い手は許認可も含めて引き継げます。異業種の企業が買収により建設業を取り込む場合には、株式譲渡を利用すると許認可の申請にかかる手間が不要です。

ただし、会社のすべてを引き継ぐ点には注意しましょう。買い手は財産だけでなく負債も承継しなければいけません

8-2.自動的に引き継ぎできない「事業譲渡」

事業の全部もしくは一部を売却する事業譲渡でM&Aを行う場合、何もしなければ建設業許可を引き継げません。買い手が建設業許可の引き継ぎを希望しているなら、売り手・買い手の両者で都道府県知事か国土交通大臣へ認可を申請する必要があります

引き継ぐ財産を指定して個別に移転の手続きをしなければいけない点でも、株式譲渡とくらべると手間のかかるスキームです。ただし引き継ぐ財産を選べるため、不要な負債を承継する心配がありません。

M&Aの手法については以下で解説しているので、ぜひご覧ください。
M&Aの代表的な4つの手法|税理士法人チェスター

9.建設業のM&A事例

近年は、建設業においてM&Aを行うケースが増えています。具体的にどのようなM&Aが行われているのでしょうか?事例を見ていきましょう。

9-1.清水建設による日本道路へのTOB

日本道路は、1954年より長らく清水建設の関連会社でした。2022年になり、清水建設が日本道路の持株比率を50.1%に引き上げるための株式公開買付(TOB)を実施し子会社化したのは、道路舗装業界の厳しい状況に関連しています。

道路舗装業界は、かつてとは違い公共工事の減少が大きな課題です。加えて原材料コストが上昇しており、収益を上げにくくなっています。そこで清水建設は、TOBによる日本道路の子会社化を行い、連携による受注拡大を目指すこととしました。

9-2.鹿島建設の連結子会社によるセントラルの子会社化

M&Aにより希少性の高い財産を手に入れたのは、鹿島建設です。鹿島建設の連結子会社に、シンガポールを拠点とするカジマ・デベロップメント・PTE・リミテッドがあります。

この連結子会社は、シンガポールでオフィスビルの賃貸や管理を行うセントラル・キャピタル・ホールディングス・PTE・リミテッドの全株式を買収しました。

セントラルは、希少性の高いオフィスビルを保有しています。子会社化を通し、鹿島建設はこのオフィスビルを取得しました。

9-3.SDSホールディングスとイエローキャピタルオーケストラの株式譲渡

SDSホールディングスは、イエローキャピタルオーケストラの株式を取得し、連結子会社化しました。SDSホールディングスの基本方針は、地球温暖化・災害・衛生リスクに対する解決策の提供です。

ただしコロナ禍の影響もあり、悪化した業績の回復が難しい状況に陥っていました。

受託事業や補助金関連事業への依存体質から脱し、自助努力による業績回復を目指す目的で行われたのが、リノベーションによる住宅販売を行っているイエローキャピタルオーケストラの連結子会社化です。

9-4.髙松建設による大昭工業の子会社化

髙松建設と大昭工業は、得意とする建築工事の規模が異なります。そこで髙松建設は大昭工業の全株式を取得して子会社化し、営業情報を共有することとしました。営業情報の共有により、お互いの建築工事の受注数を増やすねらいがあります。

大昭工業の持つ不動産を活用し、投資成果を向上させるのもねらいの一つです。また大昭工業には、子会社のTSKハウジングがあります。このM&Aにより、TSKハウジングは髙松建設の孫会社となりました。

9-5.前田建設工業による前田道路への敵対的買収

前田建設工業はインフラ運営事業を拡大する目的で、前田道路を買収しました。買収により連結子会社化することで、高収益を得るための基盤を確立するのが目的です。

もともと親子関係のある前田建設工業と前田道路ですが、株式公開買付による買収に前田道路は反対意見を表明しました。この表明により、敵対的買収としてM&Aが行われた事例です。

9-6.ヤマダ電機によるレオハウスの買収

家電販売店を全国に展開しているヤマダ電機は、注文住宅の建設を請け負っているレオハウスを買収しました。住宅に関連する事業を獲得することで、家電販売店の事業とのシナジー効果を期待したM&Aです。

レオハウスはもともと、レンタル事業を営むナックの子会社でした。そのためヤマダ電機は、ナックの保有するレオハウスの全株式を買収し、M&Aを行いました。

9-7.アートクレーンと塚本工務店のM&A

アートクレーン(現アートフォース)は、お互いの得意分野で事業を補完し合う目的で、塚本工務店を連結子会社化しています。

営繕工事を担う塚本工務店以外にも、建設事業を行うアクシスや土留めパネルのリースを行うクラウン工業なども傘下です。

それぞれの技術を生かし、グループ内でワンストップのサービスを提供できる体制を築きました。

9-8.FFFホールディングスと友建設のM&A

友建設はもともと、廃業も視野に入れていたそうです。しかし従業員・顧客・取引先も関係する重大な事案である点を考慮し、M&Aで第三者へ株式譲渡を行い、事業を引き継ぐ決断をしました。

FFFホールディングスを売却先に選んだのは、住宅に関連する企業が集まる会社であることが理由です。エリアや提供サービスの拡大など、今後の成長をイメージしやすい点も功を奏し、M&Aが成立しました。

9-9.エスイーと森田工産のM&A

森田工産は順調に業績を伸ばしており、株価も高まっていました。その結果、親族内で事業承継をすると、想像していた以上の高額な相続税がかかると税理士から聞いたそうです。

高額であるにもかかわらず換金するのが難しい自社株を、子どもや社員へ引き継ぐのは現実的ではないとの判断から、森田工業はM&Aを決定しました。

売却先を上場企業であるエスイーへ決めたポイントは、安定性です。会社が長く続き発展していくこと、社員が安心して胸を張って働けることを意識しました。

10.M&Aは建設業の課題解決に役立つ

10.M&Aは建設業の課題解決に役立つ

市場規模が回復傾向にある建設業の課題は、人材不足です。M&Aを活用すれば、人材不足の解決に役立つでしょう。

10-1.建設業の市場規模は回復傾向

建設業の市場規模がピークを迎えたのは1992年です。約84兆円の市場規模がありましたが、その後は減少し、2010年には1/2の約42兆円に落ち込んでいます。

ただし近年は回復傾向です。復興需要・民間投資などで、2021年の市場規模は約58兆4億円まで上がっています。今後は、コロナ禍の影響で落ち込んでいた観光業界の盛り上がりに合わせ、施設のリニューアルによる需要拡大が期待されています。

また2027年に控えたリニア新幹線の開業によっても、前向きな影響が見込まれている状況です。

参考:建設業の働き方改革の現状と課題|国土交通省

10-2.M&Aは人材不足の解消に有効

市場規模が回復傾向にある建設業で、課題になっているのは人材不足です。発注者から依頼があったとしても、人材が不足していれば受注できません。収益拡大のチャンスを逃す事態も起こり得るでしょう。

人材不足を解消する方法として注目されているのがM&Aです。優秀な人材の獲得を目指し、M&Aを実施する企業が増加しています

11.建設業のM&Aは注意点を踏まえて実施

11.建設業のM&Aは注意点を踏まえて実施

人材不足が深刻な建設業では、優秀な人材を獲得するためのM&Aが増えています。買収による人材の獲得は効率的ではありますが、リスクがある点に注意が必要です。

買い手はあらかじめリスクを把握できるよう、デューデリジェンスで売り手の調査を実施しましょう。売り手側も自社で調査しておくと、M&A前に自社の課題を把握できます。あらかじめ課題に対策すれば、高額で売却できるかもしれません

調査は法務・税務・財務など、分野ごとに専門家へ依頼します。税務に関する調査なら『税理士法人チェスター』がおすすめです。

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