ノンコア事業の売却で経営を効率化できる。売却の手法も確認

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ノンコア事業の売却は、企業の収益アップにつながる可能性があります。ではノンコア事業とは、どのような性質を持っているのでしょうか?売り手・買い手それぞれのメリットや、ノンコア事業を売却する方法も見ていきましょう。

1.ノンコア事業とは?基本の意味を解説

企業が展開する事業は、コア事業とノンコア事業に分類できます。ノンコア事業にはどのような特徴があるのでしょうか?経営戦略との関わりを理解するため、基本的な知識をチェックしましょう。企業がノンコア事業を保有する理由も解説します。

1-1.コア事業をサポートする非中核事業

ノンコア事業は、企業の収益の核であるコア事業を支える非中核事業です。例えば、広告業が収益のメインで、そのほかに広告業ほどの収益はないフリーペーパーの事業を行っている会社があるとします。この場合、フリーペーパーはノンコア事業です。

企業によっては、ノンコア事業を複数保有しているケースもあります。

1-2.複数のノンコア事業でリスク分散が可能

効率的に利益を得られるコア事業があれば、企業の経営は成り立ちます。しかしコア事業が何らかの理由で立ち行かなくなると、収益が激減する可能性もあるでしょう。

継続的な成長を目指すには、企業が何か一つの事業に依存するのは高リスクとする考え方があります。これに基づき、過去にはリスク分散を目的としたノンコア事業の展開が重視されていました。

2.経営の多角化から選択と集中へ

かつてコア事業を支えるノンコア事業は、企業のリスク分散に大切なものと考えられていました。しかし現在は、収益の効率が悪いノンコア事業を売却する流れが加速中です。

2-1.選択と集中とは

ノンコア事業を売却により切り離し、コア事業に集中することを『選択と集中』と呼びます。多くの分野で市場は成熟した状態にあり、商品やサービスが巷にあふれているのが現状です。

このような市場で企業が生き残っていくには、得意分野に集中する方が効果的でしょう。実際に、選択と集中により業績を大きく伸ばしている企業もあります。

2-2.ノンコア事業の売却事例が増えている

ノンコア事業であっても、コストはかかり人材も投入しなければいけません。企業の経営は非効率になり、コア事業を支えるはずのノンコア事業が企業全体の足を引っ張る事態も起こり得ます。

加えてコロナ禍による業績悪化の影響もあり、ノンコア事業を売却するケースが増加中です。例えば東芝も、選択と集中により事業売却を実施しています。

東芝は企業価値の向上を目的として、2016年に家電事業やヘルスケア機器事業を売却後、2018年にもパソコン事業・テレビ事業を売却しました。この期間に売却を20数件行い、積極的に選択と集中に取り組んでいます。

さらに2022年2月には、空調事業・昇降機事業・照明事業を売却する計画も発表されました。

3.ノンコア事業の売却で得られるメリット

ノンコア事業を売却すると、売り手企業はより多くの利益を得られる可能性があります。収益の効率が高いコア事業に資金や人材を集中できるからです。

3-1.経営を効率化できる

選択と集中によりノンコア事業を売却すると、それまでノンコア事業に充てていた資金をはじめとするリソースを、全てコア事業に集められます。社内の資源を全てコア事業に集中できれば、これまで以上に利益を得やすくなるでしょう。

また売却が正しい判断であれば、投資家や株主からの評価が高まります。それに伴い企業価値も上昇していくはずです。より資金を得やすい状況を作り出せるでしょう。

3-2.人材を集中させられる

ノンコア事業を売却すれば、対象事業に携わっていた人材をコア事業へ集中できます。優秀な人材を採用したいと計画を立て採用活動をしても、少子化の影響もあり思うようには集まりません。

そこで、これまでノンコア事業に携わっていた従業員をコア事業に配置します。コア事業に関わる仕事は、自分が取り組んでいる業務が利益に貢献していることを自覚しやすくなり、モチベーションアップにつながる可能性が高いでしょう

事業売却の手順を解説した以下もぜひご覧ください。

事業・会社をM&Aで売却する基本的な流れ|【税理士法人チェスター】

4.買い手にもメリットがある

売り手が経営効率化による収益アップを実現できる一方で、買い手にもメリットがあります。ノンコア事業を買収することで、事業に必要なものをすぐに獲得できる点や、事業規模をスピーディーに拡大できる点です。

4-1.事業に必要な人材やノウハウを獲得できる

事業を買収すると設備・ノウハウ・販路など、必要なものを全て手に入れられます。新たに事業を立ち上げ、一から全てそろえるのは大変です。なかなか黒字化できず、事業から手を引かなければいけない結果もあり得るでしょう。

売り手企業でノンコア事業と判断され切り離されたとしても、採算が取れている事業は存在します。すでに利益の出ている事業を買収できれば、新規創業にまつわるリスクの軽減が可能です。場合によっては初月から利益を得られる可能性もあるでしょう。

4-2.事業規模の拡大

買い手が企業であれば、事業規模の拡大に役立ちます。必要なものがそろっているため、早いタイミングでの拡大を目指す場合に効果的です。

例えば衣料品の小売店を営む企業が、異なるエリアの衣料品店やECサイト事業を買収すれば、販売チャネルを拡充できます。規模が大きくなることで、仕入れのコスト削減につなげられる可能性もあるでしょう。

培ってきたノウハウを活用し事業を軌道に乗せられれば、企業価値の向上にも役立ちます。

5.ノンコア事業を売却する手法

ノンコア事業の売却に用いる手法は『事業譲渡』や『会社分割』が代表的です。それぞれの手法の特徴を見ていきましょう。売却後に注意が必要なポイントも解説します。

5-1.事業譲渡や会社分割で行われる

事業を売却する際の代表的な手法は事業譲渡です。企業の持つ事業の一部もしくは全部を選んで売却する手法ですが、資産や契約を引き継ぐ手続きを個別に行わなければいけません。そのため事業規模や事業内容によっては、大きな手間が生じます。

手続きの手間を避けスムーズに売却するには、まずは会社分割を実施するとよいでしょう。ノンコア事業を別法人として切り離した上で株式譲渡を行えば、法人を丸ごと売却できます。

買い手にとって不要な資産がある場合には事業譲渡が、規模が大きく手続きが煩雑になりやすい場合には会社分割が、それぞれ向いているでしょう。

参考:事業譲渡の目的、主な特徴とは。専門家の知識が欠かせない理由
参考:会社分割とは何かわかりやすく解説。メリット、デメリットは?

5-2.従業員の雇用や競業避止義務に注意

ノンコア事業の売却を事業譲渡で行う場合、『雇用契約』や『競業避止義務』に注意が必要です。事業譲渡では、契約の引き継ぎは全て個別に行う必要があります。

雇用契約も例外でなく、従業員に同意を得た上で買い手が個別に雇用契約を結び直さなければいけません。転籍を希望しない従業員がいれば、売り手企業内での異動を行ったり、退職手続きを行ったりします。

また定められた期間やエリアで売却した事業と同じ事業に取り組めないよう、競業避止義務が課されるケースがほとんどです。売却後に取り組みたい事業がある場合には、あらかじめ競業避止義務に違反しないか確認しておくとよいでしょう。

参考:2-2.競業避止義務

6.ノンコア事業の売却は経営戦略の一つ

市場が成熟している中、高いシェアを取れず収益率の低いノンコア事業を保有し続けるのは、企業にとってマイナスになりかねません。そこで経営の効率化を行い、より多くの利益を得るために、ノンコア事業を売却する流れが加速しています。

資金や人材などをコア事業に集中させることで、経営の無駄を省き収益アップを目指す戦略です。売却手法は事業譲渡や会社分割が用いられるケースが多いでしょう。どちらを採用するかによって、必要な手続きや負担すべき税金が異なります。

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