相続税の税務調査!臨宅調査は8割以上の確率で申告誤りを指摘される

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相続税の税務調査!臨宅調査は8割以上の確率で申告誤りを指摘される

税務署の税務調査には種類があり、調査担当者が自宅に訪問し申告内容を調べることを臨宅調査といいます。

臨宅調査は税務署が申告漏れを把握してから実施することが多く、相続税の臨宅調査を受けた8割以上の人が非違事項(計算誤りや申告漏れ)を指摘されています。
そのような臨宅調査の流れと、臨宅調査で実施される内容についてご説明します。

1.税務調査の種類と臨宅調査を実施する理由

税務署の調査方法は3種類あり、臨宅調査は実地調査の別称です。

税務署が実施する相続税の税務調査の種類

相続税の臨宅調査は、税務署が相続人に直接申告内容について確認したい場合や、相続財産の保管状況を調べる目的があります。

臨宅調査は任意調査であるため、相続人側の同意があってから調査が行われます。
ただし、任意調査とはいっても正当な理由(急病など)がない場合には調査拒否はできず、基本的には調査に協力しなければいけません。

2.税務署からの調査連絡と臨宅調査の流れについて

税務署が臨宅調査を実施する際には、事前に調査を実施する連絡があります。
突然税務署職員が自宅に訪問し、調査が始まるといったことはほとんどありません。

2-1.臨宅調査の9割以上は事前に調査実施日の日程調整をする

税務署の臨宅調査の9割以上は事前に税務調査を行う連絡があり、お互いが同意した日時に税務調査が実施されます。
突然自宅に調査担当者が押しかけてくるのは、事前連絡をすることで財産を隠したり証拠隠滅することが予見される納税者に対してのみです。

したがって、相続税の申告書を提出した人が無予告で税務調査を受けることはほとんどありません。

2-2.相続税の臨宅調査当日は1日中税務署の対応をする

相続税の臨宅調査は朝から夕方まで1日中実施し、その間相続人は同席しなければいけません。
そのため臨宅調査当日は、仕事などを休んで税務署の対応をすることになります。

また臨宅調査で税務署が不明点を解明できなかった場合には、後日2度目の臨宅調査を申し出ることもあります。

2-3.臨宅調査が終了する際には調査結果と指摘内容の説明を受ける

税務署が一連の調査を終了する際、調査担当者から調査結果の説明が口頭および文書により行われます。
臨宅調査によって申告内容の誤りが指摘された場合には申告誤りの内容とその理由が記載された文書を、税務調査を受けて申告内容に誤りがなかった際には「是認通知書」を交付されます。

臨宅調査終了以後は、税務署が新たな調査事項を発見しない限り再調査は実施されません。
そのため1度相続税の税務調査が終われば、その相続税の申告について税務署から指摘を受けることはなくなります。

3.相続税の臨宅調査で税務署職員が確認する内容

相続税の臨宅調査は他の税目と違い、税務署職員が二人一組となって調査をします。
また臨宅調査は午前と午後で調べる項目は異なり、午前中は生前の生活状況の確認、午後は財産の現物確認するのが一般的な流れです。

相続税の臨宅調査で行われる内容と流れ

3-1.午前中は被相続人の身の上話を中心に聴取される

相続税の臨宅調査の午前中は、亡くなった人(被相続人)の生前の生活状況や亡くなる直前の状況について、調査担当者から尋ねられます。

税務署が生前の行動を確認するのは、被相続人の生活費や財産の管理状況を把握する目的が主ですが、質問に対しての回答に不自然な点がないかを確かめる目的もあります。
脱税をする人は、脱税がバレるのを隠すために虚偽の回答をすることが多く、税務署は虚偽答弁を追求することで不正の手口を暴こうとします。

もっとも不正をしていない場合には、税務署の質問に対して正直に回答してマイナスになることはありません。
質問された内容の記憶が定かではない場合には、「わからない」と回答することも必要で、あいまいな回答をすると返って税務署が疑念を抱く原因となります。

3-2.午後は財産の所在や通帳などの現物確認を行う

臨宅調査の午後は、相続財産の保管状況や通帳の中身を確認します。

相続税の臨宅調査では、税務署は被相続人が生前住んでいた自宅を訪問先として指定するため、税務署で調査に応じることはできません。
理由としては、被相続人の生前の生活状況を確認したり、当時の財産の管理状況を具体的に確認したりするためです。

事前に税務署に提示する通帳をリビングなどに用意しておいたとしても、税務署職員は保管していた場所(金庫やタンス)を直接確認し、金庫の中身まで全部取り出すことを要求することもあります。

3-3.臨宅当日に解決しなかった問題点があれば再臨宅もある

税務署は臨宅調査で確認した内容に基づき、申告内容の精査や銀行調査などを行い調査の収束に向けて準備を進めます。
臨宅調査で税務署の疑問点がすべて解消された場合には、再度臨宅調査が行われることはありません。

しかし調査事項が解明できない場合や、銀行調査などによって新たに確認しなければならない項目が発生した場合には、2度目の臨宅調査の実施の申し出があります。
2回目以降の臨宅調査時に税務署が聴取書を作成することがあります。聴取書とは税務調査時の答弁を証拠として書面で残したものです。

重加算税を賦課する際には仮装隠ぺいの証拠として聴取書を作成しますが、聴取書を作成していたからといって重加算税が賦課されるわけではありませんので過剰に心配する必要はありません。

4.税理士に委任した場合の相続税の臨宅調査への影響

相続税の申告書作成は、所得税などと比べて専門性が高く、提出される相続税の申告書の8割は税理士が作成しています。
また税理士は、申告書作成以外にも税務署との連絡の仲介もしますので、相続人の税務署対応の時間が短くなります。

税理士に委任した場合の臨宅調査への影響

4-1.税務署からの調査連絡は税理士を通して行われる

申告書作成を税理士に依頼した場合、税理士は「税務代理権限証書」を申告書に添付して税務署に提出します。
税務署は税務代理権限証書が提出された場合、必ず関与税理士を通して連絡をしなければなりません。

相続人は、税務調査の連絡を税理士から受けることになるので、突然税務署から調査連絡があるよりも精神的な負担が軽減されます。

4-2.税理士は税務署の対応に慣れているので日程調整の意見を出しやすい

税務署が臨宅調査の日程調整を行う場合、調査担当者の都合に合わせた日程を申し出てきます。

相続人側の都合を税務署に直接伝えるのは大変ですが、税理士に依頼していれば日程調整は税務署と税理士の間で行われますので、税理士に対して希望日時を伝えるだけで済みます。
またどうしても丸1日調査対応が難しい場合には、臨宅調査の時間を短くしたり、調査の開始(終了)時刻を調整依頼することも可能です。

4-3.税務署とのやりとりは税理士が行うため調査で拘束される時間が短くなる

臨宅調査が行われる際は担当税理士も同席しますので、税務署への反論もしやすくなります。

また臨宅調査が終わり、税務署が2度目の臨宅調査が不要と判断した場合には、それ以後のやり取りについては税務署と税理士の間で行われます。
そのため税務調査に応対する時間を最小限で済ませられるのも、税理士に申告書作成を依頼するメリットです。

4-4.書面添付制度を利用すると税理士が先に意見聴取される

書面添付制度とは、税理士が相続人から相続財産についての内容を確認・聴取した結果を申告書に添付して提出する制度です。

相続税の申告書を提出する際に書面添付制度を利用すると、税務署は臨宅調査を実施する前に必ず税理士に意見聴取をしなければなりません。
税務署は税理士が回答した内容で調査事項が解明できれば臨宅調査を実施しませんので、相続人が臨宅調査を受けずに済む可能性もあります。

ただ、この書面添付制度は、相続税専門の税理士であっても利用していなかったり、別料金のオプション扱いとなっていたりする場合もあるので、依頼の際に確認が必要です。

書面添付制度についての詳細は「相続税の書面添付制度の適用有り無しで何が違う!?」をご覧ください。

5.相続税の申告書を正しく提出していれば臨宅調査を受ける心配はない

相続税の臨宅調査を受けるとなると、相続人は調査のために1日中時間を拘束されます。

先ほどご説明しました書面添付制度は、税務署が積極的に推進している制度となっており、制度を利用している申告書は臨宅調査が実施されにくい傾向にあります。
実際、弊社では書面添付制度の活用を基本料金に含んでおり全ての申告書に添付しているため、調査割合はわずか1%です。

相続税の申告は節税に意識が行きがちですが、税務調査を受けないことも重要です。
そのため相続税の相談・申告書作成につきましては、相続税専門の税理士事務所にお問い合わせください。

>>相続税専門の税理士法人チェスター

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