サーチファンドが日本の中小企業を救う?仕組みと日本における事例

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サーチファンドとは、経営者を目指すサーチャーと呼ばれる人材が魅力的な企業を見つけ、投資家から出資を受けて買収する手法です。後継者不在で黒字なのに廃業する企業が増える見込みの今、解決策としてサーチファンドが注目されています。

1.日本は大廃業時代を迎える

1.日本は大廃業時代を迎える

今後日本では、多くの中小企業が廃業するといわれています。中には黒字であるにもかかわらず、後継者がいないことで事業の継続を断念するケースもあるでしょう。このような背景下で、注目されているのがサーチファンドです。

1-1.2025年問題とは

日本企業の約99%は中小企業です。これらの中小企業の経営者は団塊世代の占める割合が高く、2025年には後期高齢者の年齢(75歳)に達します。

引退を考える経営者も多い年齢のため、たくさんの中小企業が廃業の危機を迎えるでしょう。事業が順調で財務的にも何ら問題のない状態であったとしても、体力面から事業をやめなければいけないかもしれません。

後継者がいれば、事業承継により廃業を免れます。しかし後継者がいなくても特に対策をせず、自分の代で廃業しようと決めている経営者も少なくありません。

引退する経営者の多さに対し、親族内承継を望む後継者や若手経営者が少ないことから、深刻な後継者不足が問題視されています

1-2.サーチファンドが救世主となる?

後継者不足により発生する大量の中小企業の廃業に対し、サーチファンドで対策できるかもしれません。経営者を目指す人材が投資家を集め、出資してもらい企業を買収する仕組みを利用し、後継者不在の企業を事業承継する方法です。

まだ事例は少なく、出口戦略まで実施された案件は国内にはないようです。ただし実施されているサーチファンドの動きにおいては、事業承継の受け皿として、金融機関や自治体が資金を出し合っています。

そのため、買収した企業を成長させ、より高額で売却し売買差益を得る方向性ではなさそうです。長く企業を存続させられるような経営を求められる可能性が高いでしょう。

1-2-1.欧米におけるサーチファンド

国内では買収企業の存続を求められるケースが多いようですが、欧米では買収企業の成長後に売却して得られる、売買差益に重きが置かれています

欧米ではMBA(経営学修士)の取得後に目指すキャリアとして、サーチファンドで経営者となる起業家が増えているようです。中には、買収した企業を大企業へ成長させたケースもあります。

1-3.サーチファンドを活用した事業承継の方法

サーチファンドの手法で事業承継を実施するには、経営者を目指す人材(サーチャー)を支援する『サーチファンド投資事業者』を活用します。日本初の案件を実施した事業者として知られているのが『サーチファンド・ジャパン』です。

サーチファンド・ジャパンは2020年10月の設立以降、サーチャーを支援し事業承継投資の実施を目的に活動しています。

2.サーチャーの特徴

2.サーチャーの特徴

通常であれば、企業を買収するには大きな資金が必要です。買収金額は対象企業により異なりますが、数億円といった高額になるケースも珍しくありません。

サーチファンドを利用すれば、サーチャーは高額な資金を用意しなくても買収できます。そして買収後は、企業価値の向上に努める役割を担います。

2-1.リスクを抑えて経営者を目指せる

企業を買収し経営者になるには、高額な資金が必要です。すべての資金を自己資金で用意できない場合は、融資を受けなければいけません。

買収し引き継いだ事業が好調であれば問題ありませんが、業績が低迷すれば返済が滞るケースもあるでしょう。万が一返済できなくなれば、生活がままならなくなる可能性もあります。

このような大きなリスクを負うことなく企業を買収できるのがサーチファンドです。サーチファンドでは、投資家から出資を募り資金を集め、投資家が株式を保有します。

投資家の持つ株式のうち一部をサーチャーへ提供し、経営を委託する形式を取ります。そのため優秀な人材であれば、リスクを抑えつつ経営者を目指せるでしょう。

2-2.役割は買収した会社の企業価値を高めること

投資家から集めた資金によって企業を買収し、経営者となったサーチャーは『企業価値』を向上させるのが務めです。経営者として、企業が持つ資産を活用し利益を最大化することを目指します。

国内のサーチファンドでは、企業価値を高めて売却するより、長く経営を続けることが重視される傾向が見られますが、投資資金回収のために収益アップは欠かせません。

3.サーチファンドの仕組み

3.サーチファンドの仕組み

サーチファンドの仕組みについても確認しましょう。買収企業の候補を探し、さまざまな手続きを行うのはサーチャーの役割です。一方投資家は、サーチャーへの出資を通して、企業買収に関わります。

3-1.サーチャーが買収企業の候補を探す

買収する企業を探すのは、サーチャーの役割です。候補を挙げ、交渉を実施し、デューデリジェンスで詳細を調査するのも、サーチャーが担当します

どのような企業を買収のターゲットにするか、買収すべき企業をどのように判断するかなどは、サーチャーの腕の見せどころといえるでしょう。

サーチャーが経営者として参画することで、企業価値を高められる見込みがあるか考えることも重要なポイントです。万が一、適切な買収先が見つからない場合には、ファンドはクローズとなります。

3-2.投資家によるサーチャーへの出資

一方、投資家の役割はサーチャーへの資金提供です。投資家が資金を提供するか判断するタイミングは、以下の通り2回あります。

  • 1回目:ファンドが組まれるとき
  • 2回目:買収する企業が見つかったとき

1回目は買収する企業を探す期間に対する出資、2回目は買収に対する出資です。2回目は1回目の出資割合に応じて、出資する権利が与えられます。

投資判断をする2回のタイミングがあるため、サーチャーの能力を見極め、優秀な人材への投資が可能です。その後買収が完了すると、配当や上場などにより利益が分配されます。

4.譲渡会社にとってのメリット

4.譲渡会社にとってのメリット

サーチファンドによる企業の買収は、対象の譲渡企業にとってもメリットのある方法です。後継者がおらずこのまま廃業するはずの企業であれば、廃業を避けられます。後継者となる人物を直接見極め、熱意ある人材に承継できるのも利点です。

4-1.廃業を回避できる

親族内に後継者となる人物がおらず、これまでライバルだった競合他社に買収されたくない場合、企業は廃業するしかありません。廃業にはさまざまなデメリットがあります。

従業員を失業させてしまうことに加え、取引先の状況によっては連鎖倒産の可能性もあるでしょう。企業がなくなることで、地域経済にも影響を及ぼします。

また廃業には費用がかかり、資産を売却するにしても、安く見積もられてしまいがちです。これまでの努力の結晶ともいえる事業がなくなってしまい、つらく感じる人もいるでしょう。

サーチファンドによる買収を選べば、企業を存続させられます。デメリットの多い廃業を選ばずに済む方法です

参考:事業承継できず廃業する際の注意点

4-2.熱意ある人材を後継者にできる

サーチファンドでは、後継者となるサーチャーが、じかに買収対象企業とやりとりします。そのため現経営者は、サーチャーの人柄や能力を判断した上で、後継者としてふさわしい人物か見極めが可能です

十分な熱意があることはもちろん、社風や社内のキーパーソンとの相性なども見た上で企業を任せられるため、現経営者は安心して引退できるでしょう。

5.事業承継が進む可能性を秘めている

5.事業承継が進む可能性を秘めている

後継者不足が深刻な日本の中小企業は、黒字であるにもかかわらず廃業するケースが増加するといわれています。そのような事態の対策として役立つと考えられているのがサーチファンドです。

経営者を目指すサーチャーが買収する企業を探し、交渉を実施し、投資家から出資を受けて買収します。サーチャーにとっては、莫大な買収資金を用意するリスクを負わずに経営者になれる方法です。

投資家は少ない資金で優秀な人材に投資でき、譲渡企業は熱意ある人材に後を任せることで廃業を避けられます。上手に活用することで、廃業するはずだった企業の事業承継が進むかもしれません

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