プロラタ方式とは。複数の金融機関から融資がある場合に活用しよう

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プロラタ方式とは。複数の金融機関から融資がある場合に活用しよう

プロラタ方式は返済額を決定する方法です。複数の金融機関から融資を受けていて返済のリスケを希望するときに、不公平感のない方法として採用されます。残高プロラタ・信用プロラタの2種類の違いについて知った上で、具体的な交渉手順を確認しましょう。

1.融資で悩んだときのリスケとプロラタ返済

融資で悩んだときのリスケとプロラタ返済

資金繰りが難しく融資の返済に悩んだ企業は、金融機関へ『リスケ』を相談します。このとき不公平感をなくす方法として採用されるのが『プロラタ方式』です。リスケとプロラタ方式にはどのような関係があるのか確認します。

1-1.融資のリスケとは返済条件変更のこと

リスケは企業の資金繰りを改善する目的で行われる、返済条件の変更です。銀行と話し合いを実施した上で、毎月の返済額を一定期間減額したり、返済期限を延長したりします。

以前と比較して中小企業のリスケが金融機関に受け入れられやすくなったのは、法律や要請により環境が整ってきたからです。例えば2009年の『中小企業金融円滑化法』施行や『金融検査マニュアル別冊』の改訂が該当します。

これらの施行や改訂に伴い、経営改善計画がない状態でリスケを申し出た企業でも、1年以内に作成の見込みがあれば不良債権にならない決まりとなりました。

また経済産業省は、中小企業からのリスケの申し込みに柔軟に対応するよう、公益社団法人リース事業協会へ要請しています。

1-2.プロラタ方式で不公平感を解消する

『比例配分できる』という意味の『プロラタ』は、債権額に応じて毎月の返済額を決定する方法です。融資を受けている金融機関が一つであれば、リスケの申し込みをするだけでもいいでしょう。

しかし複数の金融機関に債務がある場合、Aはリスケに応じBは応じないというのでは不公平感が発生します。このような金融機関ごとの不公平感を解消するのがプロラタ方式です。

各金融機関の債権額が全体に占める割合を計算し、それに応じて毎月の返済額が決まります。

2.プロラタ方式の種類

プロラタ方式の種類

プロラタ方式には『残高プロラタ』と『信用プロラタ』の2種類があります。それぞれの特徴と、どちらを選べばよいのかを見ていきましょう。

2-1.残高プロラタ

金融機関ごとの借入残高に応じて、返済額を案分するのが残高プロラタです。例えば借入残高が合計で5,000万円あり、金融機関Aから4,000万円、Bから1,000万円借りている状況とします。

このとき毎月の返済額が合計10万円と決まった場合、借入残高が全体の80%であるAは月8万円、全体の20%であるBは月2万円の返済額を受け取れる計算です。

借入金額の割合に応じて返済額が決まるため、返済額は異なるものの、同じタイミングで完済します。

2-2.信用プロラタ

借入金に不動産といった担保を設定しているケースもあるでしょう。信用プロラタでは借入残高から担保の金額を差し引いた額の割合で、毎月の返済額を決定します。

担保が設定されている借入金であれば、企業が返済しきれなくなったとしても、担保の分は回収可能です。担保を設定していない金融機関は、同じ状況でも債権を回収できません。

このリスクを考慮している方式といえるでしょう。例えば先のケースでAは不動産3,000万円分の担保があり、Bは担保を設定していない場合、無担保部分はどちらも1,000万円です。

50%ずつのため、どちらの金融機関も毎月5万円ずつ返済を受けます。

2-3.どちらの方式を選ぶべきか

残高プロラタと信用プロラタのどちらを採用するかは、ケースによりさまざまです。例えば会社更生や民事再生といった『法的整理』なら、信用プロラタが一般的に用いられます。

一方、残高プロラタは『私的整理』で用いられることが多い方式です。信用プロラタでは、担保の評価や、自宅や第三者の担保が設定されているケースの扱いが複雑になります。

担保を設定し、多額の融資をしているメインバンクへの返済額が、少なくなってしまう可能性もあるでしょう。できるだけ公平な返済が行われるよう、残高プロラタを用いるのが一般的です。

3.プロラタ返済の交渉手順

プロラタ返済の交渉手順

プロラタ返済の交渉は、企業の経営者が自ら行うケースもあります。しかし専門家へ依頼した方が有利に進められるでしょう。全行一致の実施を目指す交渉手順を解説します。

3-1.専門家に計算や交渉の同席を依頼する

交渉するためにまず必要なのは、借入残高の確認です。それぞれの金融機関からいくらずつ借りていて、現時点でどれだけ借入金が残っているのかはっきりさせます。

このとき『税理士』や『公認会計士』など、専門家へ依頼すると確実です。また洗い出した借入残高をもとに交渉するときには、『弁護士』に同席してもらうと有利に進めやすくなります。

経営者にとっては交渉力が高まる・精神的な余裕を得られる・本業に専念できるという点がメリットです。加えて金融機関にとっても、客観的な情報を得られるメリットがあります。

3-2.プロラタ返済の開始は全行一致が原則

金融機関と交渉し、プロラタ返済を実施してもらうなら『全行一致』での開始が基本です。全ての金融機関が同じスケジュールに応じるなら、不公平感は生まれにくいでしょう。

しかしリスケに応じる金融機関と応じない金融機関があると、応じた金融機関に不利な状況です。リスケできた金融機関は返済を待つため、企業は預金残高を出金しリスケできなかった金融機関の返済に充てるでしょう。

これではリスケに応じた金融機関のリスクは高まるばかりです。不公平な状態が長く続けば、それだけプロラタ返済の実施は難しくなると予想されます。

そのため不公平感を抑えられる全行一致を目指します。

4.金融機関から信用を得やすくなる返済方法

金融機関から信用を得やすくなる返済方法

借入金の返済が難しくなったとき、企業が金融機関へ申し出るのが『リスケ』です。中でも複数の金融機関から借り入れているケースでは、不公平感の少ないプロラタ方式によるリスケ交渉をするとよいでしょう。

借入残高や担保を差し引いた借入残高の割合で返済額を決定するプロラタ方式は、全行一致で行えば同時に完済できます。不公平感を解消できれば、信用されやすくなるのもポイントです。

交渉を成功させるには、入念な準備やサポートをする専門家が欠かせません。借入残高の詳細な調査なら『税理士法人チェスター』へ依頼するのがおすすめです。

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