M&A手数料の相場を確認。レーマン方式の計算方法も解説

M&Aを行う際の手数料として、どのような費用がいくらかかるのでしょうか?M&A仲介業者や、税理士・弁護士などの士業へ支払う手数料について見ていきましょう。成功報酬の計算方法や、手数料に利用できる補助金についても解説します。

1.M&A手数料の種類と相場

1.M&A手数料の種類と相場

専門知識が必要なM&Aを、自社のみで行うのは難しいでしょう。仲介業者や専門家にサポートを依頼する前に、手数料の種類や相場を確認しておくと費用のイメージがつきやすくなります。

1-1.M&A仲介業者への手数料5種類

M&A仲介業者に依頼すると、M&Aのマッチングから成約までのサポートを受けられます。仲介業者を利用するのに必要な手数料として、以下の5種類が代表的です。

  • 相談料:依頼する前の相談にかかる費用
  • 着手金:契約を締結し本格的に依頼する段階で発生する費用
  • 中間金:基本合意書締結のタイミングで支払う費用
  • リテイナーフィー:契約を締結している期間中、毎月支払う費用
  • 成功報酬:最終契約締結のタイミングで支払う費用

1-2.手数料の相場

5種類の手数料の相場についても確認しましょう。それぞれ、以下のような金額になるのが一般的です。

  • 相談料:~1万円
  • 着手金:~200万円
  • 中間金:~100万円
  • リテイナーフィー:~200万円/月(以上)
  • 成功報酬:譲渡費用による

ただし、すべての手数料が必ず必要なわけではありません。仲介業者によって必要な手数料は異なり、成功報酬のみの場合もあれば、着手金と成功報酬が必要なケースもあります

どのような手数料がかかるのかについて、契約前に確認しておくと安心です。

参考:M&Aにかかる仲介手数料の目安。費用項目や計算方法、節約法も

1-3.専門家へ支払う手数料

M&Aでは、税理士に税務調査を依頼したり、弁護士に契約書のリーガルチェックを依頼したりする場合もあります。これらの専門家へ支払う手数料も必要です。

弁護士に支払う代表的な手数料と相場を紹介します。

  • 相談料:~1万円
  • 着手金:数十万円
  • 顧問契約料:3万~5万円/月
  • 契約書作成料:~30万円
  • デューデリジェンス料:数十万~数百万円
  • 成功報酬:譲渡費用による

税理士に依頼する場合の費用相場も見ていきましょう。

  • バリュエーション料:30万~50万円
  • デューデリジェンス料:30万~50万円
  • ファイナンシャルアドバイザー業務の報酬:約150万円

依頼内容や会社の規模によって、手数料の金額は異なります。紹介した手数料は目安と考えましょう。

参考:事業承継の相談ができる専門家とは。選ぶときのポイントなどを解説

2.成功報酬の計算方法

2.成功報酬の計算方法

仲介業者や専門家へM&Aに関する業務を依頼すると、成功報酬の計算にはレーマン方式を用いるケースが多いでしょう。ただし同じレーマン方式でも、取引金額に何を用いるかにより報酬金額が変わる点に注意が必要です。

2-1.レーマン方式を用いるケースが多い

レーマン方式は、取引金額が大きくなるほど料率が減っていく報酬の計算方式です。一般的に用いられている料率を紹介します。

  • 5億円以下の部分:5%
  • 5億円超10億円以下の部分:4%
  • 10億円超50億円以下の部分:3%
  • 50億円超100億円以下の部分:2%
  • 100億円超の部分:1%

例えば取引金額が9億円なら『5億円×5%+4億円×4%=4,100万円』です。

2-2.取引金額に注意

同じレーマン方式を採用している業者でも、何を取引金額として用いるかによって、支払う成功報酬には大きな差が生じます。成功報酬の計算に用いる4種類の取引金額を見ていきましょう。

  • 株価:株式の売却額に料率をかける
  • オーナー受取額:株価に役員借入金を加えた金額に料率をかける
  • 企業価値:オーナー受取額に有利子負債の合計額を加えた金額に料率をかける
  • 移動総資産:企業価値に買掛金や未払金などの負債合計額を加えた金額へ料率をかける

成功報酬を低く抑えやすいのは、株価を取引金額とする場合です。一方、移動総資産で計算する場合には、取引金額が大きくなり成功報酬も高額になります

参考:M&A会社への報酬はレーマン方式で計算が一般的。メリットは?

3.手数料に使える補助金は?

3.手数料に使える補助金は?

『事業承継・引継ぎ補助金』を利用すれば、仲介業者や専門家への依頼で生じる手数料の負担を減らせます。負担を減らしつつ、効果的なM&Aを実施するのに役立つ補助金について見ていきましょう。

3-1.事業承継・引継ぎ補助金

仲介業者や専門家への手数料は高額ですが、スムーズにM&Aを実施するにはむやみに削るべきではないでしょう。サポートを受けつつ負担を減らすには、事業承継・引継ぎ補助金が役立ちます

経営革新事業、専門家活用事業、廃業・再チャレンジ事業の3種類があり、専門家活用事業で仲介業者や専門家に支払う費用の補助を受けられます。

参考:事業承継・引継ぎ補助金

3-2.売り手支援型(II型)の要件

会社を売却する売り手が使えるのは、専門家活用事業の中でも『売り手支援型(II型)』です。対象となるのは、地域経済をリードする事業を行っており、M&Aで第三者に事業が引き継がれる見込みがある中小企業です。

加えて、以下の10の要件を満たしていなければいけません。

  • 国内で事業を営んでいる
  • 反社会勢力でない
  • 法令を遵守している
  • 事務局からの質問や資料提出の依頼に従う
  • 事務局が必要と認めるとき、補助金の承認や結果通知に修正を加え再通知することに同意している
  • 補助金返還の事由が発生しても、補助金にかかった費用は事務局で負担しないことに同意している
  • 経済産業省の補助金指定停止措置又は指名停止措置が講じられていない
  • 補助対象事業の情報は統計的な処理をされ利用される可能性がある点に同意している
  • 事業に関するアンケートや調査に協力できる
  • ファイナンシャルアドバイザーや仲介業者の費用を補助対象経費にするには、M&A支援機関登録制度に登録された業者による実績報告に同意している

参考:専門家活用/補助対象者 | 令和4年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金

3-3.利用できるM&A仲介業者が決まっている

仲介業者やファイナンシャルアドバイザーといった専門家への手数料を補助金の対象とするには、M&A支援機関登録制度に登録されている業者の利用が必須です。登録されていない業者を利用すると、補助金を受け取れません。

業者を選ぶ際には、M&A支援機関登録制度への登録を確認した上で契約しましょう。中小企業庁の登録機関データベースで検索できます。

参考:登録機関データベース | M&A支援機関登録制度

4.M&A手数料は業者や譲渡費用で異なる

4.M&A手数料は業者や譲渡費用で異なる

M&Aにかかる手数料は、業者の料金体系や譲渡費用によって異なります。どのような手数料が必要で、どのように算出するのか、仲介業者や弁護士などへ契約前に確認しておくと安心です

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