M&Aにかかる仲介手数料の目安。費用項目や計算方法、節約法も

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M&Aを実施する際には、仲介手数料を支払い、仲介業者を利用するケースが多いでしょう。仲介手数料は具体的にいくらかかるのでしょうか?費用項目ごとの金額を確認します。またかかる費用の節約方法もチェックしましょう。

1.M&Aの仲介手数料の特徴

M&Aの仲介手数料の特徴

スムーズな取引には、専門知識を持つ人のサポートが欠かせません。M&Aを行う際は、仲介業者を利用するのが一般的です。M&Aのサポートを依頼する際に支払う仲介手数料について知るため、まずは仲介手数料の基本的な特徴を把握しましょう。

1-1.そもそもM&Aの仲介とは

M&Aは売り手も買い手も相手探しが大変です。自社を買いたい相手がどこにいるか知らない会社がほとんどな上、希望に合う条件で買い取りしてくれる相手となると、さらにハードルは上がります。

そこで役立つのが『仲介業者』です。M&Aの売り手と買い手をマッチングする役割を担い、公正中立の立場で交渉を仲介します

交渉や契約書の作成など専門知識が必要なシーンも多いため、そのときどきに適した士業との連携も仲介します。そのため税理士・弁護士・公認会計士などと個別にやり取りせずに済むのです。

仲介業者へ依頼すれば、スムーズなM&Aに必要なサポートを包括的に受けられるでしょう。

1-2.人件費が多くかかり高額になりやすい

仲介業者を利用する場合には仲介手数料を支払います。金額は取引の規模に応じて変わるため、規模の大きなM&Aでは数千万円から億単位の用意が必要かもしれません。

中小企業のM&Aは比較的規模が小さいケースが多いため、手数料は安い傾向です。それでも自力で弁護士や税理士へ依頼するのと比較すると、マージンがプラスされる分、費用は高額になります。

マージンが高くなりやすいのは、仲介業務に携わる人材の人件費と関係しています。M&A・法律・金融などの専門知識を持つ優秀な人材でないとできない業務のため、人件費が高くマージンが高額になりやすいのです。

加えて関わる人数が増える、期間が長くなるといった事情により、ランニングコストが膨らみます。

1-3.誰が払うかは両手取引か片手取引かによる

仲介手数料を誰が負担するかは、両手取引か片手取引かで異なります。両手取引は買い手と売り手が両方とも仲介手数料を支払い、片手取引はどちらか一方のみが負担する方式です。

両手取引では業者が中立の立場で仲介し、友好的なM&Aを実施しやすいのが特徴といえます。双方が仲介手数料を支払うため、負担を軽減しやすいのもポイントです。

ただし買い手がM&Aのリスクを調査するデューデリジェンスの費用については、一般的に買い手側のみが負担します。その際は、買い手が自ら選んだ弁護士や会計士へ依頼するケースが多いでしょう。

また両手取引であっても、リピートが見込める買い手を優遇するケースも存在します。

2.相談や依頼にかかる費用

相談や依頼にかかる費用

仲介業者には具体的にどのくらいの費用を支払うのでしょうか?中でも相談や依頼にかかる費用の内訳を見ていきましょう。

2-1.無料の場合もある「相談料」

正式に依頼する前に、まずは業者へ相談するのが一般的です。そのときに必要な『相談料』の相場は0~1万円程といわれています。M&Aの実施件数が増えることで、相談の時点では無料という業者も増加中です。

契約前に相談できるのは、M&Aをした方がよいのか・自社の業種や状況で買い手が見つかる見込みはあるか・売却価格の概算などについてです。専門的な知識や経験からアドバイスを受けられます。

2-2.依頼時に支払う「着手金」

相談の結果、正式に依頼する際に支払うのが『着手金』です。M&Aの成否にかかわらず必要な費用のため、たとえ成功しなかった場合にも戻ってくることはありません。

近年では着手金を請求しない仲介業者も増えています。費用を節約できるという面ではお得です。ただし中小企業のM&Aを仲介するのは、マッチングの相手探しに相当な労力を要します。

そのため着手金を受け取っていない案件は後回しにされるケースもあるでしょう。できるだけ早くM&Aを成立させたいと考えている場合には、マイナスに働く可能性も考えられます。

3.サポート開始後にかかる費用

サポート開始後にかかる費用

実際に仲介のサポートが始まったときに必要となる費用もあります。一般的に求められる費用について知ることで、適切な費用の業者を選びやすくなるはずです。

3-1.リテーナーフィーとも呼ばれる「月額報酬」

仲介業者によっては『月額報酬(リテーナーフィー)』を請求されることもあります。契約期間中ずっと支払い続けなければいけない費用です。M&Aの成立が遅れるほど、月額報酬の負担は大きくなっていきます。

費用の相場は50万円ほどですが、難易度や担当するコンサルタントによっては高額になるケースもあるでしょう。中には月額報酬を設けていない仲介業者もあります。

3-2.基本合意書締結の段階で「中間報酬」

M&Aのマッチング相手が見つかり交渉が進んだ結果、基本合意書を締結すると『中間報酬』を支払うタイミングです。その名の通り、手続きが中間地点に到達したときに発生します

仲介業者のここまでの働きに対して支払われるインセンティブ報酬の意味合いが強いため、たとえその後破談になったとしても返金されません。

3-3.士業、専門家に支払う費用も

仲介手数料のほかに『士業や専門家に支払う費用』も発生します。中小企業のM&Aでは100万円程度の費用を用意しておくとよいでしょう。

弁護士による契約書のチェックや、税理士による税務に関する助言などに必要な費用です。必須ではありませんが、M&Aをスムーズに進めたい・少しでも有利にしたいと考えている場合に役立ちます。

また買い手側はデューデリジェンスの費用として、約50~300万円も必要です。

4.M&A成立の際にかかる費用

M&A成立の際にかかる費用

M&Aが成立すると仲介業者への費用が発生します。その際、報酬の計算に用いられる代表的な方式についてもチェックしましょう。

4-1.仲介手数料のほとんどを占める「成功報酬」

売り手と買い手が合意しM&Aが成立すると、仲介業者へ『成功報酬』を支払います。M&Aの成立は、株式譲渡の手法で実施されたなら株式の所有権が移転した日です。

成立した日に支払いの義務が生じ、後日請求されることが多いでしょう。中には成立時ではなく最終契約時に支払うケースもあるため、あらかじめ契約書で確認しておくと安心です。

注意が必要なのは、成功報酬であって成果報酬ではない点です。成功報酬では『M&Aの成立』を成功と定義します。そのため希望する価格で売却できなかった場合にも、成立すれば成功報酬を支払わなければいけません。

また仲介手数料の大部分が成功報酬のため、他の費用と比較して高額です。

4-2.レーマン方式、最低報酬制度とは?

成功報酬の計算には、一般的に『レーマン方式』が用いられます。取引金額に応じて報酬料率が変化する仕組みです。取引金額に使う数値が下記のように業者ごとに異なる点には注意しましょう。

  • 株価レーマン:株式譲渡対価
  • 企業価値レーマン:株式価格+有利子負債
  • 移動総資産レーマン:株価+負債総額

加えて『最低報酬制度』により、どのような小規模の依頼にも適用される最低限の報酬が決められているケースもあります。

契約書に『成功報酬が○○円を下回るときは、△△円を成功報酬とする』などと記載がある場合には、最低報酬制度が採用されているため注意しましょう。

5.M&Aにかかる費用を抑えるポイント

M&Aにかかる費用を抑えるポイント

自力でのマッチングが難しいM&Aでは、仲介業者を利用することが多いでしょう。ただし高度な知識が必要なM&Aの仲介は高額になりやすい傾向です。そこで効果的に費用を抑えるポイントを紹介します。

5-1.完全成功報酬を採用している会社に依頼

まず挙げられるのは『完全成功報酬』の業者を選ぶことです。完全成功報酬であれば、着手金・月額報酬・中間報酬などM&Aの成立前に支払う費用はありません

もし仮にM&Aに失敗したとしても、完全成功報酬であれば費用を無駄にせずに済みます。ただし中には、成功報酬を早く受け取るために、売り手に合う会社ではなく成立しやすい会社をあてがうケースもあるでしょう。

また完全成功報酬であっても、条件によって仲介手数料はさまざまです。そこであらかじめ3パターンほど見積もりを出してもらうと役立ちます。例えば成立・直前で破談・マッチングしないといった3種類です。

見積もり無料の業者であれば、安心して試算してもらえます。

5-2.手数料に含まれる費用を確認する

手数料の料金体系は仲介業者によってさまざまです。そのため手数料に含まれる費用も業者ごとに異なります。手数料の価格が同じであれば、その他の費用ができるだけたくさん手数料に含まれている方がお得です。

含まれる費用と含まれない費用をはっきりさせることで、予想外の出費で予算が不足する事態を避けられます。また企業価値評価費用が手数料に含まれていると、費用を抑えやすくなります

企業価値評価費用は簡易なもので約50万円以上、ヒアリングや事業計画の修正も含む内容だと約100万円以上必要です。これらが手数料に含まれているか否かで費用に大きな差が出ます。

5-3.公的な窓口に相談する方法もある

公的な窓口である『事業引継ぎ支援センター』を利用するのもよいでしょう。中小企業のM&Aをサポートするため各都道府県に設置されています。中小企業診断士や金融機関のOBなどへ無料で相談可能です。

仲介会社とも連携しており、在籍するコンサルタントについてもよく把握しているため、仲介会社選びの相談先としても向いています。

6.料金体系の確認、試算依頼で計画的に進めよう

料金体系の確認、試算依頼で計画的に進めよう

M&Aを実施する際には、仲介業者を利用するケースが多いでしょう。そのとき発生するのが仲介手数料です。業者ごとに料金体系が異なるため、どのような費用が含まれているのかよくチェックしましょう。

費用をできるだけ安く抑えるには、完全成功報酬を選ぶことや公的な窓口への相談も役立ちます。あらかじめかかる費用を試算してもらい、比較検討するのも重要です。

また税務に関するアドバイスを受けるなら、税理士への依頼も必要です。多数の実績を持つ『税理士法人チェスター』へ問い合わせてみましょう。

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