相続登記に必要な登録免許税の計算方法・納付方法を解説
タグ: #相続登記相続した不動産の名義変更(相続登記)には、必ず登録免許税がかかります。
登録免許税の税率は目立って高いわけではありませんが、登記する不動産の評価額が高いと税額も高くなります。また、相続人が相続した場合と相続人以外の人が取得した場合では税率が異なるため注意が必要です。
この記事では、相続登記に必要な登録免許税の計算方法と納付方法について解説します。
なお、相続登記の手続き全般についての解説は、下記の記事を参照してください。
(参考)相続登記の手続きを自分一人で行うことができる完全ガイド
目次 [閉じる]
1.登録免許税とは
登録免許税は、主に不動産や会社の登記をする場合に課税される税金です。
不動産については、所有権保存、所有権移転、地上権・抵当権の設定などで登記をする場合が対象になります。
(参考)国税庁ホームページ No.7191 登録免許税の税額表
1-1.相続登記の登録免許税は税率0.4%
不動産の相続登記は、所有権移転登記として登録免許税の課税対象になります。
相続登記の登録免許税の税率は0.4%で、税額は以下の式で計算します。
- 相続登記の登録免許税=不動産の固定資産税評価額×0.4%
不動産の固定資産税評価額は、「固定資産評価証明書」の「価格」または「評価額」の欄に記載されている金額を参照します。「固定資産税課税標準額」ではないので間違えないようにしましょう。
固定資産評価証明書は市町村役場(東京23区は都税事務所)で取得します。
登録免許税の計算では、固定資産税評価額の1,000円未満の端数を切り捨てます。
(1,000円未満の場合は1,000円とします。)
計算結果に100円未満の端数がある場合は、その端数を切り捨てたものが登録免許税の税額になります。(計算結果が1,000円未満の場合は、登録免許税は1,000円となります。)
(参考)法務局ホームページ 登録免許税の計算
事前に登録免許税の金額を知っておきたいときは、手元にある「固定資産税課税明細書」(納税通知書)で固定資産税評価額を確認することもできます。固定資産税課税明細書(納税通知書)は、毎年4月~6月頃に不動産の所有者に対して送られます。
1-2.遺言で不動産をもらった場合は税率2.0%
遺言により相続人以外の人が不動産を取得した場合(遺贈の場合)の登記も、所有権移転登記として登録免許税の課税対象になります。
遺贈の場合の登録免許税の税率は2.0%であり、相続の場合に比べて高くなります。
税額は以下の式で計算します。
- 遺贈の場合の登録免許税=不動産の固定資産税評価額×2.0%
遺贈のうち、相続人以外の人に対する特定遺贈(特定の財産を指定して行う遺贈)の場合は、さらに相続では課税されない不動産取得税がかかります。
不動産取得税の税額は固定資産税評価額に税率をかけて求めますが、特例で減額される場合があります。税率は、土地と住宅用の家屋については3%(※)、住宅以外の家屋については4%です。
(※:令和6年3月31日までの特例ですが、3年間延長される見通しです。)
2.登録免許税が免税になる場合がある
土地の相続登記で次のいずれかの要件を満たす場合は、登録免許税が免除されます。
(建物については対象外です。)
- 相続人が相続登記をしないまま死亡した場合(数次相続)
- 評価額が低い土地を相続した場合
この免税措置は、所有者不明の土地が増えて社会問題になっていることを受けて、相続登記を促すために実施されているものです。当初は令和3年3月31日までの時限措置でしたが、令和7年3月31日まで延長されています。
(参考)法務局ホームページ 相続登記の登録免許税の免税措置について
2-1.相続登記しないまま死亡した場合(数次相続)
土地を相続した人が相続登記をしないまま死亡したことで相続登記が2回必要になる場合に、1回目の相続登記の登録免許税が免税になります。
免税を受けるには、登記申請書に登録免許税の税額を記載するかわりに、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載します。
なお、2回目の相続登記の登録免許税は免税になりません。
2-2.評価額が低い土地を相続した場合
評価額が低い土地を相続した場合にも、相続登記の登録免許税が免税になります。
免税の対象になるのは、土地の価額(固定資産税評価額)が100万円以下の土地です。
免税を受けるには、登記申請書に登録免許税の税額を記載するかわりに、「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と記載します。
なお、施行当初は、市街化区域外で法務大臣が指定する区域にある価額が10万円以下の土地が対象でしたが、令和4年度税制改正で対象が拡充されました。
3.登録免許税の納付方法
相続登記(遺贈の場合も含む)の登録免許税は、登記を申請するときに申請者が負担します。
税額が3万円以下であれば収入印紙で納付することができます。A4の用紙に収入印紙を貼り、登記申請書とつづり合わせます。収入印紙に割印はしませんが、つづり合わせた部分には契印を押します。
税額が3万円を超える場合は、事前に金融機関や税務署で現金を納付して、領収証書を貼った用紙を登記申請書に添付します。ただし、実務では収入印紙で納付してもよいことになっています。詳しくは届け出先の法務局または司法書士に確認してください。
なお、登記申請をオンラインで行う場合は、インターネットバンキングなどを利用して登録免許税を電子納付することができます。詳しくは、登記・供託オンライン申請システムのホームページを参照してください。
(参考)登記・供託オンライン申請システム 電子納付による手数料等のお支払いについて
4.相続登記についての相談は司法書士へ
ここまで、相続登記に必要な登録免許税について詳しくご紹介しました。
相続登記は、簡単なものであれば自分で手続きをすることができます。
ただし、次のような場合は、登記の専門家である司法書士に依頼することをおすすめします。
- 相続人が多い
- 相続する不動産が多い
- 手続きをするための時間がない
- 相続する不動産が祖父母より前の人の名義になっている
相続手続き専門の司法書士法人チェスターでは、不動産を相続された方の相続登記の代行をお引き受けしております。相続登記以外の相続手続きもあわせてお任せいただくこともできます。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
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