ネットデットとは?計算方法、企業価値評価における使い方を解説

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ネットデットとは純有利子負債を指します。どのように算出し、どのようなシーンで使用する数値なのでしょうか?ネットデットについての基本的な知識を押さえておきましょう。あわせてネットキャッシュについても解説します。

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1.ネットデットの求め方

ネットデットとは?計算方法、企業価値評価における使い方を解説

ネットデットを計算するときに必要なのは『有利子負債』と『余剰現預金』です。ただし有利子負債には、『デットライクアイテム』を含む場合もあります。具体的にどのようなものがデットライクアイテムになるのか見ていきましょう。

1-1.有利子負債から余剰現預金を引く

『純有利子負債』とも呼ばれる『ネットデット』は、『有利子負債-現預金など非事業資産』で算出可能です。シンプルな計算式で算出できるため、簡単に把握できます。

有利子負債とは、金利を含めて返済しなければいけない負債です。例えば金融機関からの借入金は有利子負債の代表例といえます。

また有利子負債から差し引く現預金など非事業資産は、事業に用いていない現金や現金同等に扱える資産全般です。すぐに売却し現金化できる資産と考えるとよいでしょう。

例えば『現金』『預金』『売掛金』『有価証券』『建物』『土地』などが該当します。

1-1-1.有利子負債とは

有利子負債について、より詳しく見ていきましょう。返済時に金利や社債クーポンを付けて返す負債のことで、金融機関からの借入金以外にも以下が含まれます。

  • 社債
  • CB(転換社債)
  • CP(コマーシャル・ペーパー)

企業価値の面から見ると、企業は『債権者価値』と『株主価値』で成り立っているとも考えられます。有利子負債はこのうち債権者価値の部分です。

ネットデットの計算では、帳簿上の有利子負債に有利子負債のように扱われるデットライクアイテムも加えて計算するのが特徴です。

1-2.「デットライクアイテム」を含む場合も

ネットデットの計算で有利子負債に加えるデットライクアイテムとは、将来的な支出・損失・収入減少などのことです。帳簿に含まれない負債も含め、全てデットライクアイテムに該当します。

具体的には『退職給付債務』『リース債務』『資産除去債務』『偶発債務』などがあります。ただしどの項目を有利子負債に含めるかは、立場によって考え方が異なるのが一般的です。

例えばM&A実施時に計算する場合であれば、売り手はできるだけ有利子負債が少なくなるよう計算しようとするでしょう。一方、買い手はリスク回避の目的から、できるだけ有利子負債に含めて算出したいと考えるはずです。

2.ネットデットを使用する場面

2.ネットデットを使用する場面

『企業価値評価』や『財務安定性』の判断を行うタイミングは、代表的なネットデットの使用場面です。ネットデットがどのように使われるのか、それぞれの計算式とともに紹介します。

2-1.企業価値評価

M&Aを実施するときに行う企業価値評価では、企業が将来稼ぐお金を考慮し算定する『DCF法』があります。DCF法で株式時価総額を算出するときの計算式が『企業価値(EV)-ネットデット』です。

計算式でネットデットを使うときには、企業価値の中にネットデットが含まれていないか注意しましょう。企業価値を算出するときにネットデットを用いている場合、二重で計算に使うことになってしまいます。

そのほかの企業価値評価方法については下記記事を参考にしてください。
マーケットアプローチの特徴。マルチプル法の計算方法、指標など

2-2.財務安定性の判断

企業の財務状況の安定性を判断する際に用いる『ネットD/Eレシオ』は、ネットデットを純資産で割って算出します。そのため『純有利子負債比率』とも表現できる数値です。

算出したネットD/Eレシオが0倍なら、実質的な無借金を意味します。また1倍が財務の健全性を判断する基準で、低いほど安定している状態です。

3.ネットキャッシュが多い状態が望ましい?

3.ネットキャッシュが多い状態が望ましい?

『ネットキャッシュ』が多いほど、企業はお金を潤沢に持っている状態といえます。しかし業種によっては設備投資に資金が必要なケースもあり、手元にキャッシュを常に持っているとは限りません。

ネットキャッシュの基礎知識や適切な有利子負債について解説します。

3-1.ネットキャッシュとは

企業にどれだけ余裕資金があるかを表すのがネットキャッシュです。『現金』『預金』『有価証券』の合計額から有利子負債を差し引いて算出します。

ネットキャッシュが多いということは、借入金が少なく手持ちの現金に余裕がある状態といえるでしょう。しかし企業の成長フェーズや業種によっては、大きな設備投資が必要で、ネットキャッシュが少ないケースもあります。

例えば創業間もない企業や、製造業・インフラ事業を営む企業では、タイミングによっては有利子負債が膨らみ、ネットキャッシュが小さくなっているかもしれません。

ネットキャッシュが多いと倒産のリスクが少ない反面、現金を有効活用できていないと判断される可能性もあります。場合によっては企業買収の対象になるケースもあるでしょう。

3-2.適切な有利子負債とは

有利子負債とは、簡潔に表現すれば借金です。借金が多過ぎれば返済が難しくなり企業の財務状況は悪化してしまいます。一方、適切な規模の借金であれば、企業が成長するのに役立つでしょう。

企業にとって適切な有利子負債がどのくらいかを知るには、同一状況の複数社を選び、自社と有利子負債を比較します。このとき、業績の異なる複数の同業他社を比べることで、自社がどのような状況に近いのか判断が可能です。

もし有利子負債が多過ぎるなら、返済したり現預金を増やしたりして改善しましょう。

4.企業の分析や評価に役立つ数値

有利子負債から余剰現預金を差し引いて算出するネットデットは、企業価値評価や財務状況のチェックに役立つ数値です。

帳簿上の有利子負債に将来の支出や収入減少につながるものを全て加えるため、実質的な企業の状況を把握できます。ネットデットのほかに、企業の余裕資金を表すネットキャッシュもチェックするとよいでしょう。

企業の価値評価はM&A実施時に負担する納税額にも関わります。税金についての相談は『税理士法人チェスター』へ相談するとよいでしょう。

相続税の申告相談なら【税理士法人チェスター】

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