回収期間法のメリット、デメリット。NPV法やIRR法との違いは?

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回収期間法のメリット、デメリット。NPV法やIRR法との違いは?

回収期間法とは、設備の導入に投資する際に資金回収までの期間を計算し、投資を実行するか判断する投資評価方法です。計算が簡単で多くの企業で使われていますが、メリット・デメリットがあります。NPV法やIRR法との違いと合わせ、特徴を解説します。

1.回収期間法とは

投資判断を正しく行うのは難しいものです。投資資金の回収期間を求める回収期間法は、難しい投資判断をする際の基準の一つとして用いられます。具体的な計算方法や、設備投資計画の作成方法を確認しましょう。

1-1.設備投資の経済性を判断する手法の一つ

大きな資金を投入する設備投資は、適切な判断をしなければ経営状態の悪化につながりかねません。そこで、設備投資を行った場合に採算が取れるかどうか判断する手法として、『回収期間法』が使われます

『投資額÷各期の平均キャッシュフロー』で回収期間を算出し、回収期間が適正な範囲内であれば投資を実行します。ただしこの計算で回収期間が適正範囲内だからといって、必ずしも投資資金を順調に回収できるとは限りません。

キャッシュフローの取り扱いが単純なため、シンプルで分かりやすい反面、誤った判断を導く可能性があります。

1-1-1.設備投資計画を作成する

設備投資の実行を判断するときには『設備投資計画』を作成しましょう。主な必要項目は以下の通りです。回収期間法は経済性評価の項目で用います。

  • 設備投資の目的
  • 資金調達計画
  • 設備投資の概要
  • 経済性評価
  • 利益計画
  • 資金計画

設備投資計画を作成するにあたり、投資の目的をはっきりさせましょう。どのような設備を、何を目的として導入するのでしょうか?またその費用はどこから捻出するのでしょうか?

投資判断の失敗を避けるには、売上予測を厳し目に見積もります。受注が増える見込みだとしても、確実に増えるとは限りません。当初想定していたより増えない可能性もあるはずです。

それでも資金を回収できるか判断するため、入念な利益計画や資金計画の作成が欠かせません。

1-2.適正な投資回収期間の決め方

回収期間法で算出した投資資金の回収期間をもとに投資判断をするには、適正な投資回収期間を決めておかなければいけません。中小企業であれば『2年以内』が適正水準といえ、『1年以内』が望ましいでしょう

検討している設備投資が数十億単位と極めて大きい場合は、事業活動のフリーキャッシュフローを1~2年以内にプラスにできるかを基準とします。

回収期間はできるだけ短い方が、失敗のリスクを低く抑えられます。そのため回収期間法で算出した期間が基準より長いなら投資を控えましょう。

ただしここで示す適正な投資回収期間の決め方には、あいまいな部分もあります。そのため回収期間法のみで判断するのではなく、他の指標と照らし合わせて判断しましょう。

2.回収期間法の特徴

2.回収期間法の特徴

回収期間法は、投資判断の指標として完璧なものとはいえません。それでも多くの企業で利用されているのは、簡単に計算でき使い勝手がよいからです。回収期間法の特徴を知れば、デメリットに注意しつつ活用できます。

2-1.簡単な計算であることがメリット

計算が簡単にできるのは回収期間法のメリットです。単純な割り算で投資期間を計算できるため、誰でも分かりやすく説得に使いやすいという特徴があります。

その反面、適正な投資回収期間の設定にはあいまいな部分があり、論理的とはいえません。そのため投資案が複数ある場合に、最初の絞り込みに使うと効果的です。

数が多いうちは、個別に厳密な計算をしていると手間がかかり過ぎてしまいます。大まかに目星を付けるのに役立つ手法です。

2-2.回収後のキャッシュフローは考慮されない

資金を回収した後のキャッシュフローがまったく考慮されない点は、回収期間法のデメリットです。そのため、投資資金を回収しきった翌年から大きなキャッシュフローが見込める投資は、回収期間法のみで判断する場合には選ばれません。

資金回収後のキャッシュフローがゼロの見込みであっても、回収期間がより短ければそちらが選ばれてしまいます。

3.他の投資評価方法との違い

3.他の投資評価方法との違い

投資評価方法は、回収期間法のほかにも『割引回収期間法』や『NPV法』『IRR法』などがあります。回収期間法だけでは考慮しきれない点をカバーできるため、それぞれの違いを把握した上で併用するとよいでしょう。

3-1.割引回収期間法との違い

回収期間法では、現在の1万円と将来の1万円を同じものとして扱います。しかし実際には現在の1万円を年5%で運用できれば、1年後には1万500円になっているため、両者の価値は異なります。

例えば1年後の10万円が年7%で運用した結果だとすれば、現在の価値は10万円-7,000円(10万円×7%)=9万3,000円です。

この価値の違いを考慮し割引するのが『割引回収期間法』です。回収期間法ではキャッシュフローをそのまま用い計算しますが、割引回収期間法では『現在価値』に直した上で計算します

3-2.NPV法、IRR法との違い

『NPV法』と『IRR法』も、割引回収期間法と同じように、お金の価値が時間の経過とともに下がる性質を考慮し、割引を行う投資評価方法です。

NPV法では、投資によってどれだけ利益を得られるかを示す『正味現在価値』がより高い投資案を選びます。一方IRR法は、正味現在価値がゼロになる割引率である『内部収益率』が割引率を上回っているかどうかで比較するのが特徴です。

キャッシュフローの金額やタイミングが毎年異なるなら、金額の絶対値ではなく割合で比較するIRR法で判断しやすいでしょう

4.複数の視点で見極め、投資判断を

4.複数の視点で見極め、投資判断を

投資の判断は企業にとって重要な決断です。経営状態を左右する重要な判断をするには、投資評価方法を参考にしましょう。

簡単に計算できる回収期間法はもちろん、時間経過とともに価値が下がるお金の性質を考慮した割引回収期間法や、投資による利益を比較するNPV法、キャッシュフローの金額が毎年違っても比較しやすいIRR法などを併用します

投資計画は税額にも関わるものです。設備投資後の税金については『税理士法人チェスター』へ相談しましょう。

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