商工会議所とは?専門家相談、イベント、共済制度など活動は幅広い
タグ: #M&A商工会議所とはどのような役割を持つ団体なのでしょうか?商工会議所の概要や、会員になる手続きについて見ていきましょう。経営について相談ができる内容や、どのようなサービスが提供されているのかといった点も解説します。
目次 [閉じる]
1.商工会議所とは何か
詳しいサービスについて知る前に、まずは商工会議所がどんな団体なのか確認します。どのような役割を担って運営されているのかはもちろん、商工会との違いも押さえておきましょう。
1-1.地域の経営者を支援する公的機関
商工会議所は、設置されている地域の地元企業の発展に役立つ活動をしています。1878年に東京・大阪・神戸の実業家が提唱したことをきっかけに設立された、古い歴史のある団体です。
1953年に『商工会議所法』が制定されて以降、現在と同じ制度で運営されてきました。国や地方自治体の組織のようにも見えますが、実際は同法律に基づいて運営される非営利の経済団体です。
基本的には会員制の組織であり、会員である経営者をサポートするためのさまざまなサービスを提供しています。また地域振興・福祉増進なども役割の一つです。
1-1-1.500を超える商工会議所が存在
2020年4月時点で、商工会議所は全国に『515カ所』あります。会員数はさまざまですが、1万会員を抱える商工会議所も珍しくありません。
例えば東京商工会議所は8万1000会員以上、横浜商工会議所は1万1000会員以上、名古屋商工会議所は約1万7000会員が所属しています。これだけの数の事業者が集まる、スケールの大きな団体です。
1-2.地域性、公共性などの特徴を持つ
商工会議所は四つの特徴を持っています。『地域性』は活動の基盤が地域にあるということです。そのため1都市1商工会議所と決まっています。
特別認可法人として、商工業の発展から社会福祉の増進まで担う『公共性』の高さも特徴です。世界各国の商工会議所と連携する『国際性』も備えています。
また商工会議所に所属する企業は、業種も規模もさまざまで、法人も個人も含まれます。商工業者であればどのような人でも加入できる『総合性』も併せ持つ団体です。
1-3.商工会は別の団体
混同されやすい団体に『商工会』があります。商工会議所と同じように業種を問わず事業者が加入する団体です。全国の約78万事業者が加入しています。
事業者のサポートを実施する点では同様の商工会と商工会議所ですが、根拠となる法律は異なるものです。商工会議所が商工会議所法に基づくのに対し、商工会は商工会法に基づき運営されています。
規模も異なり、商工会議所は市区単位で、商工会は町村単位で設置される仕組みです。加入者の事業規模においても、商工会は中小企業や個人事業主など小規模なケースが多いでしょう。
2.商工会議所の会員になるには
商工会議所の会員になると、どのようなメリットを得られるのでしょうか?会員になるための手順や加入資格についても見ていきましょう。
2-1.会員になるメリット
会員になる最大のメリットは『交流の場』へ参加できることです。商工会議所ではさまざまなイベントを実施しており、たくさんの経営者や事業主が集まります。
普段は会うことのない業種の相手とも交流でき、まったく新しいビジネスの展開が生まれる可能性も期待できる場です。ビジネス交流会はもちろん、娯楽の集まりもあるため、興味のあるイベントに参加するのもよいでしょう。
業種ごとに実施される部会では、セミナーや視察旅行も行っています。サークル活動や青年部・女性会など、似た仲間が集まりやすい場に参加するのもおすすめです。
有益な情報を得られることが期待でき、新たなビジネスパートナーとの出会いもあるかもしれません。
2-1-1.非会員でも支援を受けることは可能
基本的には会員になることで、イベントに参加したり相談をしたりできます。しかし『非会員』でも受けられるサポートはあります。例えば経営相談や販路拡大、人材確保・育成の支援などです。
相談したいことがあるなら、非会員であってもまずは連絡してみるとよいでしょう。
2-2.入会資格
商工会議所の会員になるには、入会資格が必要です。ただしそこまで難しいものではなく、一般的な法人であればまず間違いなく入会できます。加入するのは事業所を置いている地域の商工会議所です。
また、法人以外にも、各種団体や個人事業主の加入も可能です。これらの団体に該当しないケースでも、特別会員としてであれば入会できます。
特別会員とは、商工会議所の議会選挙で選挙権も被選挙権も持たない会員のことです。運営への参加はできませんが、商工会議所のイベントやサービスの利用はできます。経営者や事業主はもちろん、一般の会社員も参加可能です。
2-3.入会方法
入会する際には、商工会議所で用意している『入会申込書』に必要事項を記入し、提出しなければいけません。ほかに提出が必要な書類はないため、比較的簡単に手続きできるはずです。下記の流れの通り実施しましょう。
- 資料請求をして申込書を用意( ※ホームページで申込書のダウンロードも可能)
- 必要事項を記入し商工会議所へ申込書を提出
- 加入金・会費の請求が来たら支払う
- 会員証が発送される
商工会議所ごとに、入会に対して特典やキャンペーンを設けているケースもあります。
3.商工会議所で受けられる支援とは
法人はもちろん個人事業主や会社員も入会できる商工会議所では、さまざまな支援を受けられます。受けられる支援の内容について知り、経営に活用しましょう。
3-1.経営に関わることを専門家に相談できる
経営者や事業主として経営に携わっていると、法務や税務などの専門知識が必要になるケースがあります。そのようなとき、商工会議所を通して専門家への相談が可能です。
例えば弁護士・税理士・社会保険労務士・弁理士・ITコンサルタントなどへ相談できます。債務整理や経理処理・会社設立などの相談にも利用できるでしょう。
相談したいと考えていても、日頃から付き合いのある専門家がいない場合、どこへ相談すればよいかも分からないものです。商工会議所を利用すれば、八方ふさがりの状況から抜け出すきっかけになります。
3-2.イベントやセミナーに参加できる
イベントやセミナーを通した支援も受けられます。個別に相談するほどではないけれど、特定のテーマについて知っておきたいということもあるでしょう。
そのようなときには、多種多様なテーマで実施されているイベントやセミナーに参加するのがおすすめです。入会していれば会員価格で参加できます。
決算書の読み方や経営分析の仕方など、事業をする上で知っておきたいテーマが多くそろっており役立つ内容です。またライブ配信によるセミナーも開催されているため、オンラインで受講できます。
4.商工会議所が行うサービスは幅広い
商工会議所が行っているのは、経営支援だけではありません。さまざまなサービスを提供しているため、事業の状況に合わせて活用しましょう。
4-1.資金調達に関する相談窓口
『資金調達』をしたいと考えているときにも、商工会議所が役立ちます。商工会議所自体がじかに融資を行う仕組みや基盤はありません。しかし窓口となり融資獲得の橋渡しをしてくれるのです。
例えば無担保・無保証人融資を受けられる国の制度『小規模事業者経営改善資金(マル経融資)』は、商工会議所の推薦に基づいて申し込めます。また会員限定の融資制度の利用もできるかもしれません。
政府系金融機関である日本政策金融公庫や、一般金融機関から融資を受けるためのあっせんも行っています。
4-2.手ごろな掛け金の共済制度の提供
1万事業者以上が加入している地域もある商工会議所では、スケールメリットを生かし『共済制度』も提供しています。大勢の会員がいることにより、通常より割安の掛け金で利用できる制度です。
もしものときに備え保障は必要でも、できるだけ費用は抑えたいというのが実情でしょう。そのようなときには、商工会議所の共済制度を検討するのがおすすめです。
掛け金が割安な上、加入形態によっては全額損金算入もできるかもしれません。うまく活用すれば、節税につながる可能性もあるでしょう。
5.商工会議所でサポートを受けるデメリットは?
さまざまなサポートやサービスを受けられる商工会議所は、メリットの多い団体です。しかしデメリットもあるため、加入の前にチェックしておきましょう。
5-1.相談はほぼ無料でできる分、制限はある
商工会議所で実施している相談は、ほぼ無料で受けられるものばかりです。しかし無料だからこそ制限が設けられています。時間が決まっていたり、受けられるサービスの範囲が決められていたりするのです。
経営や事業の悩みを解決するための『エキスパートバンク』では、専門家に事業所を訪問してもらい、問題解決のサポートを受けられます。しかし訪問は年間3回までです。
ケースによっては問題解決に至る前に、回数の上限を迎えることもあるでしょう。また経理処理について相談はできるけれど、確定申告書作成の代行はできない点もデメリットです。
5-2.会員になる場合は費用が発生する
会員になるには『加入金』と『会費』の支払いが必要です。加入金は法人も個人も一律『3,000円』で、会費は下記の通り発生します。
- 法人:1口(1万5,000円)で、資本金に応じて定められている口数以上
- 個人:1口(1万円)以上
- 団体:1口(1万5,000円)で、職員数に応じて定められている口数以上
初年度の会費は入会月によって異なるため注意しましょう。4~9月であれば全額、10~2月は1/2、3月ならかかりません。
イベントへの参加や相談の利用など、商工会議所を活用する頻度が高いなら、費用は決して無駄になりません。しかし入会してそれほど利用しないようであれば、費用が発生するのはデメリットといえるでしょう。
6.商工会議所は悩める経営者の味方
経営について悩みや相談があるなら、まずは商工会議所を利用するとよいでしょう。加入金と会費は必要ですが、無料で専門家に相談できます。
日々の経理処理や経営相談はもちろん、債務整理や事業譲渡などの相談をしたいというケースにも対応可能です。ただし商工会議所でできるのは相談のみで、手続きに関するサポートには受けられないものもあります。
もし税務のサポートが必要なら『税理士法人チェスター』への相談がおすすめです。事業承継に関わる税務についても、豊富な実績をもとに対応してくれるでしょう。
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