事業拡大の成功ポイントは?具体的な方法と成功事例から学ぼう!
タグ: #M&A事業拡大は会社を継続的に成長させるために実施する戦略です。どのような方法で事業拡大を目指すのでしょうか?4種類の戦略と、成功させるためのポイントを見ていきましょう。事業拡大することによるメリットとデメリットについても解説します。
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1.事業拡大とは?
同じ商品やサービスを同じターゲットに販売し続けるだけでは、企業の成長は見込めません。目先は安定しているとしても、市場が変化すれば業績悪化につながるケースもあるでしょう。
事業拡大を行えば継続的成長の可能性がありますが、タイミングを誤らないよう注意が必要です。
1-1.継続的成長のために事業を広げること
事業拡大は企業の経営戦略の一つです。ニーズの多様化やインターネットの普及が進んだことにより、市場のニーズはかつてより早いサイクルで変化するようになりました。既存の体制を維持しようとするだけでは、市場から取り残される恐れがあります。
今後も継続的に会社を成長させていくには、既存の事業をより大きくしたり、新しい市場を開拓したりする事業拡大が役立つでしょう。取り組み方によっては、素早くマーケットシェアを獲得できる可能性があります。
1-2.事業を拡大するタイミングは?
会社の成長には事業拡大への取り組みが必要ですが、実施する上でタイミングが重要です。長期計画になりやすい事業拡大は、始めたからといってすぐに成果が出るものではありません。
計画を実行しても、初期段階ではコストがかかるだけで、利益が出ないケースが多いでしょう。利益が出ずリターンを見込めない期間をあらかじめ想定し、その間にかかる費用をまかなえる資金があるなら、事業拡大へのチャレンジに適したタイミングです。
現状として経営が不安定で資金も不足しがちなら、事業拡大をあせるより足元の経営の安定を目指しましょう。
2.事業拡大の二つの方法
事業拡大は、今手掛けている事業を拡大する方法と、新しい事業に進出する方法の2種類に分類できます。それぞれの方法には、どのような特徴があるのでしょうか?
2-1.既存事業の拡大
既存の事業を深掘りし、利益アップを目指すのが既存事業の拡大です。成功のために必要なのは市場の分析です。市場で何が求められているか、商流は変化しているか、技術革新は起こっているかといったポイントを確認します。
分析の結果、市場にシェアを拡大できる余地があると判断した場合に有効な戦略です。これまで築いてきた技術やノウハウを生かして取り組めるため、新規事業に取り組むよりリスクを抑えられます。
2-2.新規事業への進出
これまで手掛けてきたのとは異なる分野で、新たな利益を追求する方法もあります。成功すれば、会社の収益の柱になるかもしれません。既存の収益源から得られる利益が減少しても、もう一方の収益源で会社の業績をカバーできます。
ただしリスクは高めです。新規事業に取り組むための体制作りが必要で、これまでと異なる販路の開拓も必要です。自社にとって未知の分野のため、市場環境や他社製品に関する情報収集も欠かせません。コストと手間がかかる戦略です。
3.事業拡大のメリット
会社の継続的な成長に役立つ事業拡大を行うと、利益アップが期待できます。ほかにも会社の認知度向上や、リスク分散にもつながるでしょう。加えて、人材の獲得にもプラスに働くといわれています。
3-1.利益の増加
市場のニーズに合わせた製品やサービスを開発し事業拡大に取り組めば、会社の利益を増やしていけるでしょう。マーケットシェアを拡大し既存事業を伸ばすことも、新規事業に参入し新たな収益源を開拓することも可能です。
事業拡大により利益を増やしていくことで、会社が安定的に成長し収益を生み続ける体制を構築できます。
3-2.認知度の向上
事業拡大に取り組むと会社の認知度が高まるのもメリットです。既存事業でシェアの拡大を目指す場合も、新規事業に進出する場合も、これまでとは異なる顧客に対して製品やサービスをアピールします。
その過程で、メディアに露出されたり、SNSで拡散されたりするケースもあるでしょう。より多くの人が自社や製品について知ることで、興味を持ち顧客になる人が増えていくと期待できます。
3-3.リスクの分散
会社の収益の柱が1本のみの場合、市場の変化によって収益性が悪化すると、会社の業績は大きな影響を受けます。場合によっては、経営の継続が難しい可能性も生じるでしょう。
新しい事業に取り組み新しい収益源ができると、既存事業の収益性が悪化したとしても、会社全体の業績に対する影響を低減できます。
人口減少により、国内市場は縮小していくことが予想されています。事業拡大を進めれば、このような変化にも対応しやすくなります。
3-4.人材の獲得
事業拡大に取り組むにしても、今いる社内の人材だけではリソースが不足しがちです。そのため事業拡大は、新しい人材を採用するきっかけでもあります。
入社したての人材は、自社ならではの当たり前を知りません。社内の常識にとらわれないからこそ、事業拡大がスムーズに進むような新しいアイデアを生む可能性があります。
新たに採用した人材がこれまでに築いてきたネットワークが、新規顧客の開拓に役立つ可能性や、優秀な人材に刺激を受けた既存社員の成長も期待できるでしょう。
また事業拡大により認知度が高まると、求人に対して多くの応募が寄せられます。より優秀な人材を採用しやすくなるのもメリットです。
4.事業拡大のデメリット
多くのメリットがある事業拡大ですが、デメリットもあります。コストやマネジメントの負担が増えるデメリットを知った上で、実施を判断するとよいでしょう。
4-1.先行投資が必要
事業拡大に取り組む際には、まず先行投資が必要です。設備・人材・開発などにかかる多額の費用を投入しなければいけません。
加えて、先行投資の結果としてのリターンを得られるまでには時間がかかります。事業内容によっては、リターンを回収するまでに長い歳月が必要でしょう。
リターンを得られるようになるまでに支払うコストは、自己資金でまかなえるでしょうか?自己資金のみでカバーできない場合、資金調達のあてはあるでしょうか?資金繰りも含めて検討が必要です。
4-2.コストの増大
利益の増加が見込める事業拡大には、維持にかかるコストが増えるというデメリットがあります。
例えば飲食店を展開している会社が店舗数を増やせば、利益アップが見込めるでしょう。ただし、増えた店舗の維持に要する家賃・光熱費・人件費などのコストも増えます。
コストが増えた状態で収益性が悪化すると、利益が減少します。場合によっては、事業拡大で築いた体制を維持できないかもしれません。
4-3.マネジメントの負担の増加
事業拡大で組織が大きくなると、マネジメントの業務が大幅に増えます。これまでは先輩社員が後輩社員を教育してきたという職場でも、従業員数が増えると教育や管理の仕組みの整備が必要です。
体制や仕組みが整わないまま従業員を増やすと、トラブルが頻発したり、個々のモチベーションの違いから仕事の質に差が出たりします。このような状態では、従業員のやる気を損ねてしまいかねません。
モチベーションの低下は、事業の成果にも影響を与えます。マネジメントスキルを身に付けた、従業員を育成・管理できる管理職の養成も必要です。
5.事業拡大における四つの戦略
事業拡大の戦略は、新製品か既存製品か、新規市場か既存市場かによって『市場浸透戦略』『新製品開発戦略』『新規市場開拓戦略』『多角化戦略』の4種類に分類が可能です。それぞれの戦略の特徴を把握することで、自社の事業拡大に役立てられます。
5-1.市場浸透戦略
今ある製品を今ある市場でより多く販売し、売上アップを目指すのが市場浸透戦略です。売上を伸ばすために必要な要素は、顧客1人あたりの購入回数アップや購入量アップ・単価アップです。
何度も繰り返し購入してもらえるよう、広告や宣伝で製品をアピールします。まずは手軽に使いやすいよう、値引きやサンプルの配布を行うケースもあります。既存顧客に合う戦略でアプローチできるよう、入念な市場分析を行い施策を検討しましょう。
ただし市場浸透戦略で事業拡大を目指せるのは、市場が飽和しておらず自社のシェアがそれほど高くない場合に限ります。市場が飽和していると、取り組んだとしても成長につながりにくい戦略です。
5-2.新製品開発戦略
新製品開発戦略では、今ある市場で新しい製品を販売し、顧客を増やしてマーケットシェア拡大を目指す戦略です。売れる製品作りにつながるよう、既存市場でこれから流行するものが何かを分析しなければいけません。
加えて顧客に対しては、今ある製品と新製品がどのように異なるのかを正確に伝えます。分かりやすく差別化し魅力を伝えましょう。
5-3.新規市場開拓戦略
新しい市場で今ある製品を販売するのは新規市場開拓戦略です。これまでと異なるターゲットに製品を売るには、どのような人を対象とするか見直さなければいけません。
例えば男性向きに販売していた製品を女性向けにアピールしたり、国内市場で販売している製品を海外市場で販売したりします。市場において適切なポジショニングができれば、市場におけるシェアを高められるでしょう。
これまでより多くの顧客が製品を買い求めるようになれば、大量生産しやすく利益が出やすくなることも期待できます。
5-4.多角化戦略
多角化戦略では、新製品を新規市場で販売します。今ある製品はこれまで通りの市場で販売しつつ、新しい製品を作るのが特徴です。これまで取り扱っていなかった製品を新たな市場に売り込むのは、リスクが高い方法といわれています。
成功しやすいよう工夫する際には、既存事業で培ってきた技術を生かすとよいでしょう。関連性がなさそうに見える技術が、思わぬところで役立ち、ヒットするケースも起こり得ます。
6.事業拡大の進め方
事業拡大の工程のすべてを自社で行うにはコストがかかり、時間も人材も必要です。一方M&Aを活用して事業拡大を進めると、必要な労力を抑えられます。2種類の事業拡大の進め方を確認しましょう。
6-1.自社で行う
事業拡大に必要なすべての工程を自社で行うと、社内にノウハウが蓄積されます。ただし、事業拡大に必要な以下の工程をすべて自社で行うのは、コストも手間もかかりすぎるでしょう。
- 市場調査
- 事業拡大を実行するための組織作り
- 製品やサービスの開発
- 製品やサービスの営業
- 成果をもとに改善
社内のメンバーのみでこれらの工程を進める場合、必要に応じて調整を加えやすい点はメリットですが、人材は不足しがちです。また多くの資金と時間を使ったからといって、すぐに利益が出るとも限りません。
6-2.M&Aを行う
既存事業の拡大や新規事業への参入を行う場合、既にその事業を手掛けている会社をM&Aで取得する方法もあります。取得する対象会社は事業運営に必要な設備・技術・人材・取引先・販売網など、必要なものをすべて持っている状態です。
対象会社が時間をかけて築き上げてきたノウハウを手に入れることで、時間や労力を抑えながらスムーズに事業拡大を目指せます。
参考:M&Aのメリットを細かく紹介。M&Aによる相乗効果や節税効果とは
7.事業拡大のステップ
既存製品でも新製品でも、既存市場でも新規市場でも、事業拡大を目指す上では、まず市場調査が必要です。市場のニーズを把握した上で製品開発を行い、戦略を実行に移します。事業拡大を行う工程を確認しましょう。
7-1.市場調査を実施
市場について深く理解していなければ、どのようなターゲットに向けて何を提供すればよいのか分かりません。事業拡大を目指すにあたり市場調査を行い、今あるものや流行しているもの、以前流行していたが今は下火になったものなどを明確にします。
調査結果をもとに、自社の強みを生かした製品作りができそうか検討しましょう。斬新なアイデアがあるだけでは、売れる製品作りはできません。市場調査による裏付けが必要です。
7-2.新製品の開発
調査を行うと、顧客がどのような製品を求めているのか、ニーズが見えてきます。新製品を開発する場合には、市場調査で分かったニーズを満たす製品作りをしましょう。
今ある製品に使用している技術やアイデアを用いた新製品を作る場合は、これまでのノウハウを活用できます。一方で、これまでに開発したことのない製品を作るなら、新しいチームの立ち上げや人材の採用が必要です。
7-3.経営戦略の実行
新製品ができたら、目的に応じた戦略を実行に移す段階です。今ある事業の拡大を目指すのか、新しい事業を始めて拡大を目指すのかによって、実行する戦略は異なります。
社内に蓄積したノウハウを生かし、リスクを抑えながら事業拡大を目指すには、既存事業の拡大が可能か模索しましょう。収益の柱作りが目的なら、リスクは高まるものの、新規事業の拡大が向いています。
8.事業拡大を成功させるポイント
リスクのある事業拡大を成功させるには、市場分析・利益率・小さな展開がポイントです。三つのポイントを押さえることで、スムーズに事業拡大を進めやすくなります。
8-1.綿密な市場分析
市場調査が不足していると、戦略を実行しても期待したほどの成果を得られません。確かにニーズがあるのか、定めたターゲットが欲しいと感じる製品なのか、事前に分析が必要です。
併せて、市場そのものの状態も確認します。今後大きくなっていくと予想される市場であれば、事業拡大が成功する可能性が高まりますが、衰退していく市場では失敗のリスクが大きいでしょう。
ニーズや市場の状態に合わせた戦略を選ぶのがおすすめです。
8-2.利益率の確保を優先
利益率のチェックも重要です。事業拡大を行うと、売上とともに維持費が増大します。売上だけでは順調に成長しているように見えても、膨大な維持費がかかり赤字になるケースもあるでしょう。
事業拡大を成功させるには、売上より利益率を重視して経営判断を行います。売上が増えるからと無理に拡大しようとするのではなく、利益率がプラスになる規模で運営するのがポイントです。
8-3.小さく始める
新規事業の拡大を行うなら、まずは小規模なところから事業を試してみましょう。小さい規模でターゲットに製品やサービスを提供すれば、顧客がどのような反応を示すか確認できます。
好評であればそのまま販売できるかもしれません。不足している部分や問題点がある場合は、大規模に展開する前に改善できるため、大きな失敗を避けられます。
コストも手間もかかる戦略だからこそ、最初は小さく始めてリスクを洗い出し、解消していく過程が必要です。
9.事業拡大の成功企業事例
利益を増やし会社の安定性を高めるのに役立つ事業拡大ですが、大きなコストがかかるため、実行をためらっている会社もあるかもしれません。ただし、事業拡大は成功すると、市場におけるシェアを大きく伸ばせる可能性があります。
取り組みの参考になる事業拡大の成功事例を確認しましょう。
9-1.WOTA株式会社
持続可能な世界の実現に向けて国連で採択されたテーマであるSDGsの市場で事業拡大を続けているのは、水の自給率アップをコンセプトに、製品開発を行っているWOTA株式会社(以下WOTA)です。
当初はレジャーや暮らしの中で利用できる製品を想定していましたが、2018年の西日本豪雨をきっかけに、水道の代わりになる製品の開発にかじを切り、WOTA BOXが生まれました。
WOTA BOXを利用すれば、排水の98%を循環利用できる仕組みで、水道のない場所でも安全な水の使用が可能です。被災地で水道インフラの代替になるほか、コロナ禍による手洗いニーズの増加をきっかけに、商業施設や飲食店などへの導入も増えています。
小型で大きなコストをかけずに使える水処理システムは、世界中に需要があることから、今後も順調な拡大が予想されます。
参考:「水問題の構造的な解決に取り組むWOTA DBJをリード投資家として、シリーズB資金調達を実施」|PR TIMES
9-2.株式会社CureApp
テクノロジーと医療をつなぎ、治療アプリによるデジタル療法の普及を目指している株式会社CureAppでは、既存事業をもとに作成した禁煙サポートアプリ『ascure卒煙プログラム』を、健康保険組合に向けて提供しています。
禁煙に向けた治療は、日頃の意識や習慣などへの介入も必要です。治療アプリを活用すると、意識や習慣にも介入しやすくなります。適切なフォロー体制を構築しやすいのもポイントです。
また2017年には第三者割当増資により資金3億8,000万円を集め、研究開発の推進に利用されました。加えて高血圧症向けの治療アプリを提供しているほか、アルコール依存症向け治療アプリの治験も行っています。
参考:「株式会社キュア・アップ、総額3.8億円の第三者割当増資を実施」|PR TIMES
10.事業拡大は会社を成長させる一つの手段
事業拡大は会社を成長させるための戦略の一種です。経営が安定し十分な資金を確保できるタイミングで実施すれば、利益を増やして認知度を高め、経営のリスク分散もできます。
ただし、実施するには先行投資が必要です。拡大に伴い維持費が増え、コストが膨らみがちな点も、考慮しなければいけません。できる限りリスクを抑えて事業拡大を実施するには、M&Aの活用がポイントです。
M&Aで会社や事業を買収すれば、事業の運営に必要なものがそろった状態で事業拡大に取り組めます。M&Aを利用して事業拡大する場合には、リスクを引き継がないよう、対象会社や事業の調査を行いましょう。
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