市街地価格指数による取得費の計算はどんな時に使える?

市街地価格指数による取得費の計算はどんな時に使える?

土地を譲渡したときの譲渡所得の計算では、取得費がわからなくて困るケースがあります。

取得費は通常、売買契約書に記載の購入価額に手数料等を加えて計算しますが、土地の購入時期が古いと契約書が見つからない場合もあります。相続した土地であれば、被相続人が購入したときの価格を調べなければならないため、取得費の算定はより困難になります。

譲渡した土地の取得費が不明の場合は、概算取得費として売却価額の5%の金額を使うことができます。しかし、売却価額の95%が課税対象になるため、概算取得費を使うのはできれば避けたいところです。

土地の取得費を推計する方法の一つとして、市街地価格指数を使うことができます。この記事では、どのような場合に市街地価格指数による取得費の計算ができるのか解説します。

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1.取得費が不明の場合は市街地価格指数から計算する方法もある

市街地価格指数とは、市街地の宅地価格の推移を指数化したものです。
一般財団法人日本不動産研究所が、全国の主要198都市の宅地を対象に毎年2回調査を実施して、指数を計算しています。

最新の市街地価格指数はインターネットで公開されるほか、過去分を含めたすべてのデータは冊子として販売されています。

(参考)一般財団法人 日本不動産研究所

市街地価格指数を使うと、下記の式により土地の取得費のおおよその値を求めることができます。

  • 土地の取得費≒土地の譲渡価格×(取得時の市街地価格指数÷譲渡時の市街地価格指数)

2.市街地価格指数による取得費の計算が認められるケースは限定的

市街地価格指数による取得費の計算は、法令で定められたものではなく、国税不服審判所の過去の裁決(いわゆる「平成12年11月16日裁決」)によって認められたものです。

(参考)国税不服審判所 公表裁決事例 (平12.11.16裁決、裁決事例集No.60 208頁)

市街地価格指数による取得費が一度認められたことで、中には売買時の資料を十分に確認しないで安易に利用しているケースもみられます。実際にその後の国税不服審判所の裁決では、市街地価格指数による取得費が否認された例もあります。

市街地価格指数による取得費の計算が認められるには、次の要件をすべて満たす必要があると考えられます。

  • 購入価格を知る手掛かりとなる資料がない
  • 取得時の地目が宅地である
  • 土地が所在する地域の地価(路線価や公示地価など)が市街地価格指数と同じ水準で推移している

ただし、これらの要件を満たしたとしても、税務調査で否認される恐れがないとはいえません。

2-1.購入価格を知る手掛かりとなる資料がない

購入価格を知る手掛かりとなる資料には、預金通帳の記録、購入当時のパンフレット、売主や仲介業者による取引記録などがあります。土地を担保にローンを組むときは登記簿に借入額が記載されますが、その金額を参考にすることもできます。

市街地価格指数による取得費は、これらの資料がない場合にはじめて認められると考えられます。

2-2.取得時の地目が宅地である

市街地価格指数は「市街地の宅地価格」の推移を表す指標であることから、取得時の地目が宅地であったことも要件の一つとなります。取得時に農地であった土地が宅地に転換された場合は、市街地価格指数から合理的に取得費を推計することはできません。

2-3.路線価・公示地価が市街地価格指数と同じ水準で推移している

市街地価格指数は、全国、六大都市、地方別、三大都市圏などの地域単位でまとめられた数値で、特定の市を対象にした指数はありません。したがって、あらゆる場所の地価の推移を適切に反映しているとまではいえません。

土地の所在地によっては、路線価や公示地価の推移と市街地価格指数の推移が大きく異なる場合があります。その場合は、市街地価格指数から合理的に取得費を推計することはできません。

過去の路線価・公示地価を調べる方法

  • 路線価
    路線価は国税庁ホームページに掲載されていますが、直近の7年分しかありません。
    それより前のものは、国立国会図書館に冊子またはマイクロフィルムで所蔵されています。
    国税庁ホームページ 路線価図・評価倍率表
    国立国会図書館 リサーチ・ナビ 相続税路線価
    (路線価方式が始まったのは1955年(昭和30年)です。)
  • 公示地価
    国土交通省の土地総合情報システムでは、過去の公示地価を検索することができます。
    国土交通省 土地総合情報システム 地価公示・地価調査・取引価格情報
    (地価公示が始まったのは1970年(昭和45年)です。)

3.一度5%の概算取得費で申告すれば更正はできない

はじめにお伝えしたように、譲渡した土地の取得費がわからない場合は、概算取得費として売却価額の5%の金額を使うことができます。概算取得費による譲渡所得の申告は、国税庁ホームページにも記載されている基本的な方法です(租税特別措置法第31条の4、租税特別措置法通達31の4-1)。

(参考)国税庁ホームページ タックスアンサー No.3258 取得費が分からないとき

一方、市街地価格指数による取得費の計算は、専門家の間でもあまり知られていない方法です。

市街地価格指数による取得費で申告すれば、概算取得費で申告する場合に比べて税額が少なくなることが多いです。しかし、このことを知ったからといって、一度概算取得費で行った申告について、市街地価格指数による取得費を適用した更正の請求をすることはできません。

更正の請求は、当初の申告が「法律の規定に従っていなかった」または「計算に誤りがあった」ことによって税額が過大になっていた場合にできるものです(国税通則法第23条第1項第1号)。

概算取得費による申告は法律の規定に従ったものであるため、計算に誤りがない限り更正の請求はできません。また、法律の規定に従った処理方法が複数あっていずれかを選択する場合では、処理方法の適用替えのために更正の請求をすることはできません。

4.まとめ

譲渡した土地の取得費がわからない場合は、概算取得費(売却価額の5%)を使うことができますが、所得が多額になるデメリットがあります。市街地価格指数から取得費を計算することもできますが、税務上否認される可能性があります。

土地の取得費を推計する場合は、できるだけ手がかりを探して合理的な方法で行う必要があります。過去の路線価や公示地価も参考にするとよいでしょう。


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