相続税の申告期限|期限はいつまで?過ぎたら罰則?対処法も紹介

相続税の申告期限|期限はいつまで?過ぎたら罰則?対処法も紹介

相続税の申告期限はいつなのか、期限を過ぎてしまったらどのような罰則があるのか、よくわからず、ご不安ではないでしょうか。

相続税の申告期限は、被相続人の死亡を「知った日」の翌日から10ヶ月以内と定められています。

揉め事もなく、順調に資料作成を進めることができれば期限通りに申告・納税をすることは可能ですが、実際はスムーズにいかないことも多いです。

  • 申告書の作成が間に合わない(財産の評価が決定できない)
  • 遺産の分割(誰が、どの財産を引き継ぐか)が決まらない

といった場合、期日までに申告・納税することは難しくなります。

話がまとまらない状況はやむをえない事情と思われるかもしれませんが、一旦申告書を形にして提出しておかなければ無申告加算税や延滞税(追徴課税)が課せられる恐れもあります。

ここでは相続税の申告期限と、その間にやらなければいけないこと、申告期限に間に合わなかった場合の対処法をお話します。

今現在、申告期限に間に合わなさそうという方は、「3.万が一、申告期限を超えそうな場合にすぐにとるべき対処法」からご覧ください。

動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。

1.相続税の申告期限は「被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月」。あなたの期限の正確な日付を把握しよう

相続税の申告は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行うことが義務付けられています。
例えば被相続人の死亡をある年の4月5日に知った場合、申告期限は翌年の2月5日になります。

よく間違いやすいポイントですが、ここでいう相続税の申告とは下記のことを指します。

  • 相続税をいくら支払うのかを算出した相続税の申告書を税務署に提出
  • 税務署、金融機関、郵便局の窓口で相続税を納税

相続税申告は書類を税務署に提出するだけではなく、納税も含まれることに注意しましょう。

1-1.期限にあたる日が土日祝の場合は翌日が申告期限になる

申告期限にあたる日が土曜日、日曜日、祝日に当たるときは、これらの日の翌日が申告期限になります。

相続税の申告書提出を受け付けている税務署が、土・日・祝はお休みのためです。

コラム「“死亡したことを知った日“とは?被相続人の死亡を知らなかった場合はどうなる?」

上述のように相続税の申告は被相続人が死亡したことを「知った日」の翌日から10ヶ月以内に行うことが義務付けられているとご紹介しました。

被相続人の死亡を知った日は、死亡したその日であるケースが圧倒的に多いですが、まれに「死亡したことを知った日」が相続人間で異なるケースがあります。

例えば相続人の一人と疎遠になっていて、被相続人の死亡に関する連絡が取れなかった場合などです。

このような場合どうなるかと言いますと、相続人間で死亡したことを知った日が別々だった場合は、申告期限も別々になります。相続人が兄と弟で、父が死亡した際に弟と連絡がつかなかった場合、以下のようになります。

例)

・死亡したことを知った日(=父の死亡日):1月2日
・兄の相続税申告期限:11月2日


・死亡したことを知った日:1月28日
・弟の相続税申告期限:11月28日

2.申告が遅れたときのリスクを理解して無理をしてでも期限内に申告することを考えよう

財産の評価が決定できないときや、遺産の分割が決まらないときは、期限までに相続税を申告・納税することが難しい場合もあります。

しかし、相続税の申告が遅れることにはリスクがあるため、無理をしてでも期限内に申告することを考えましょう。

2-1.申告期限を過ぎてはいけない3つの理由

相続税の申告が期限を過ぎてはいけない理由は、主に次の3つです。

  1. 相続税の軽減ができる特例が使えなくなる
  2. 1日でも申告期限を超えたら追徴課税
  3. 申告期限の延長は原則できない

理由(1).相続税の軽減ができる特例が使えなくなる

相続税には、一定の要件を満たすと納める税金の額を軽減できる特例があります。
ここで注意が必要となるのが、申告期限内に申告する場合は、資料を添付しなければ使えない特例があることです。

後から特例を適用する旨を申告しても特例の適用が認められないケースがあります。

気を付けるべき特例は、
・配偶者の税額軽減(配偶者控除)
・小規模宅地等の特例
・農地の納税猶予
などです。

こういった特例が使えないと、大幅に減額できたはずの相続税が通常通りの税額になってしまうため、あなたが支払う税額が大きく変わってきてしまいます。

理由(2).1日でも申告期限を超えたら追徴課税

追徴課税・罰則の対象となるのは「納税が遅れた」ことと「申告書提出が遅れた」ことの2つです。

もし納税と申告書の提出が両方とも遅れたら、
・納税が遅れたことへの追徴課税
・申告書の提出が遅れたことへの追徴課税

の両方を支払います。

どのような行為により追徴課税になるのかを解説します。

相続税の「納税」期限を過ぎた際にかかる延滞税

相続税の納税が期限を過ぎた場合は、期限の翌日から納付の日までの日数に応じて延滞税が課されます。

延滞税の税率は、納税までの期間に応じて2段階に分かれ、銀行の貸出金利に応じて毎年変わります。各年の延滞税の税率は、国税庁「延滞税の割合」でご確認ください。

相続税の「申告」期限を過ぎた際にかかる無申告加算税

正当な理由がなく申告期限までに相続税の申告を行わなかった場合は、新たに納付することになる相続税額に対して無申告加算税が課されます。
無申告加算税の税率は以下のとおりです。

相続税額のうち税務調査の事前通知を受ける前に自主的に申告した場合税務調査の事前通知を受けてから税務調査を受けるまでに申告した場合税務調査を受けてから申告した場合
50万円以下の部分5%(※)10%15%
50万円を超える部分15%20%
【申告期限が令和6年1月1日以降の場合】
300万円を超える部分
25%30%

(※)税務調査の事前通知を受ける前に自主的に申告した場合は、納付すべき税額の区分にかかわらず一律5%の税率が適用されます(国税通則法66条5項)。

事実の隠ぺいや仮装を行った場合にかかる重加算税

相続税の課税を免れるために事実の隠ぺいや仮装を行った場合は、無申告加算税に代えて重加算税が課されます。
無申告の場合の重加算税の税率は40%です。

延滞税と加算税の両方が課される

前述しましたが、注意するべき点は
・納税が遅れたことに対する罰則
・申告が遅れたことに対する罰則

2つの罰則があることです。

例えば相続税の支払いと相続税申告書の提出が1日でも遅れた場合は、「延滞税」と「無申告加算税・重加算税のいずれか1つ」が課される可能性があります。

理由(3).申告期限の延長は原則できない

相続税の申告期限延長は原則認められていません。例外として特殊な事情がある場合にのみ、税務署に申請をして最大2ヶ月間の期限延長が可能になりますが、相続税を専門とする税理士でも延長が認められる事例に関わることはほとんどないほどまれと言えます。

特殊な事情とは、申告期限の直前(1ヶ月以内)に以下の3つのことが起こった場合です。

  • 相続人の異動があった
  • 遺贈に係る遺言書が見つかった
  • 相続人の人数に入っていた胎児が生まれた

なお、遺留分侵害額の請求があった場合は申告期限の延長事由には該当しないため、いったん遺留分侵害額の請求がなかったものとして期限内に申告・納税し、その後、支払金額が確定した日の翌日から4ヶ月以内に「更正の請求」(支払う側)または修正申告・期限後申告(受け取る側)を行うことになります(相続税法32条1項3号30条31条)。

ここでは実務的な主なものを中心に見ていきましょう。

例外1.相続人の異動があった

相続人の異動とは、子の認知や相続人の廃除、相続の回復、失踪宣告などで相続人の人数が変化することを言います。

申告期限の直前に相続人の人数に変更があった場合は各相続人の遺産取得額や納税額が変わるため、申告期限の延長が認められます。

例外2.遺贈に係る遺言書が見つかった

財産の受取人に法定相続人以外を指定した遺言書が、申告期限の直前に見つかったなどの場合です。
ただし、実務ではほとんど見ません。

例外3.相続人の人数に入っていた胎児が生まれた

相続人となる胎児が申告期限の直前に生まれたときは、その胎児が生まれたときから2ヶ月は延長が認められますが、同様に実務ではほとんど見られません。

3.万が一、申告期限を超えそうな場合にすぐにとるべき対処法

相続税は法律で申告・納税の期限が定められており、期限内に適正な申告・納税を行うことは納税者の義務です。

期限内にきちんと申告・納税している方との公平性を確保し、適正な申告を促す観点から、申告期限を過ぎても税金を支払わない場合や申告した相続税額が少ない場合には、本来の税額に加えて延滞税や加算税といった附帯税が課されることになっています。

  • 申告書の作成が間に合わない(財産の評価が決定できない)
  • 遺産の分割(誰が、どの財産を引き継ぐか)が決まらない

上記2つは、特殊な事情がなくても通常起こりうるものです。

こうした事情の有無は法律上の申告期限に影響しないため、個別の事情があった場合でも、申告期限を超えると原則として本来の相続税に加えて延滞税や加算税が課されます。

ただし、申告期限内に通常通りの申告ができない場合でも、負担を軽減する方法が2つあります。

  1. 申告期限内に概算申告で税額を一旦多めに支払っておく方法(計算が間に合わない場合)
  2. “3年内分割見込書”を提出し未分割申告を行う方法(分割が間に合わない場合)

しかしこれらの対処法を行う上で注意する点も一つあります。

1回目の申告と納税は必ず申告期限内に行うことです。概算での申告や未分割申告を行う場合でも期限内に完了する必要があります。

具体的にどのようにして申告を行うのか見ていきましょう。

3-1.申告期限内に概算申告で税額を一旦多めに支払っておく方法

申告期限までに財産評価するための情報収集が間に合わず、遺産総額および税額を確定することが困難な場合には、期限内に一旦多めに税金を支払います。

多めに支払った税金は、後日、税額が誤っていた旨を伝える申請(更正の請求)を行い還付を受けることができます。
まずは、なんとかして期限内に申告を行うことを優先しましょう。

3-2.“3年内分割見込書”を提出し未分割申告を行う方法

申告期限までに遺産分割がまとまらない場合には、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出の上、未分割で申告をします。

誰がいくらの財産を受け継ぐのか決まっていない状態ですと、各相続人が納めるべき相続税が正確に算出できません。

また、分割が確定していなければ適用できない特例もあります。
例えば配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例がそれにあたり、これらは税額を大きく下げるものなので、相続税を節税するためには必ず使いたい制度です。

具体的な手続きは「仮に法定相続分で分割したと仮定」して未分割の状態で申告を行います。

申告後、遺産の分割が確定したら、分割の割合に応じ税額が増える人は追加で税額を納め、税額が減る人は税務署から税金の還付を受けるための手続き(更正の請求)を行います。

注意点は必ず「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出をすることです。
この書面を提出しておかないと、分割が決まった後の再申告の際に節税効果の高い特例の適用ができなくなります。

4.申告期限が迫っている方、すぐご相談ください!

相続税の申告期限は被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内です。

万が一、相続税の申告や納税が期限内に間に合いそうにない場合は、原因に応じて2つの対処法をとります。

  • ①財産の評価が間に合わない場合
    →申告期限内に概算申告を行う

  • ②遺産の分割が間に合わない場合
    →3年内分割見込書を提出し未分割申告を行う

注意点は、これらの対処法を行ったとしても財産の評価(遺産の正しい価値を計算・決定する作業)が間違っていれば、税務調査が実施され追徴課税されることです。

税務署は理論武装をして、あなたの申告書の間違いを指摘・追徴課税をする前提で調査をしていきます。

そういったリスクを考えると、相続が専門の税理士に相談の上、自分でやるかお任せするか判断するのがベストな方法になります。

相続が専門の税理士に相談するには「相続税の相談先を選ぶときに知っておきたい3つのこと」をご覧の上、ご相談先の税理士をお探しください。

なお、相続税申告実績が豊富な税理士法人チェスターでは、申告期限が迫っている方向けの申告プランをご用意しており、問題なくご対応しております。

参考記事:遺産相続で期限がある9つの手続きについて“税理士”が徹底解説

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