#85 不動産小口化商品の賢い選び方とは?

2022.11.15

不動産投資 選び方

不動産小口化商品を選ぶポイントは?

不動産小口化商品には3つのタイプがあり、それぞれ特徴やメリット、注意点が異なっています。しかも、同じタイプに属していても投資対象となっている物件や運用期間、手数料設定、中途解約に関するルールなどは個々に違いが見られます。

したがって、どれを選んでも同じような結果を期待できるわけではありません。同じように不動産小口化商品と呼ばれていても、各々の中身は千差万別ですから、自分のニーズを本当に満たしてくれそうなものを選び抜くことが重要となってきます。

投資対象が異なれば、おのずと期待できる成果には少なからず格差が生じるものです。不動産小口化商品は現在の預貯金ではとても得られない利回りの分配金を期待できる反面、それらとは違って元本の支払い(返還)が保証されているわけではないため、選択を誤ると想定外の結果となってしまう恐れもあります。
だとすれば、不動産小口化商品に注目する際には、どういったポイントに視点を置いて、善し悪しを判断すべきでしょうか?

先に結論から言えば、「元本の保全性」が高いものにターゲットを絞るのが賢明だと言えるでしょう。

「元本の保全性」が高い不動産小口化商品

では、相対的に「元本の保全性」が高い不動産小口化商品を見極めるうえでは、どのようなところに注目するのが有効なのでしょうか?

やはり、「元本の保全性」を大きく左右するのは、投資対象となっている物件です。
元本が毀損するリスクが低い物件は、①空室が発生しても新たな入居者が速やかに見つかりやすい、②中長期的に資産価値が低下しにくい(高い付加価値が施されている)という2つの条件を満たしています。

入居者に選ばれやすく、末永く資産価値が保全されるためには、安定的な賃貸需要が見込まれる場所に建っていることが前提条件の一つとなってきます。
そして、もう一つの前提条件である高い付加価値とは、周辺の競合物件に対する差別化です。建物の共有施設や管理に魅力を感じれば、おのずと選ばれやすい物件となります。
これらの前提条件を満たす物件に投資している不動産小口化商品なら、見込み通りの分配金(家賃収入)が得られるとともに、「元本の保全性」を懸念する必要はないでしょう。

東京都内の人気エリアにある優良物件に投資しているものが典型例

堅調な賃貸需要が見込まれ、競合に対して差別化が図られているという2つの前提条件を満たす典型例として挙げられるのは、東京都内の人気エリアに建っている優良物件でしょう。日本全体では少子高齢化が進んでいく中で、今後も東京都(区部)の人口は2030年まで増加傾向を示し、以後も緩やかな減少にとどまる推計となっています。

地方から東京への人口流入が今後も続いていくことがその背景にある模様で、都内の人気エリアにおける賃貸需要は安定的に推移していくものと目されています。そういったエリアにある優良物件なら、空室が発生してもすぐに埋まりやすいと言えるでしょう。

この優良物件とは、設計面や施工面にこだわることで間取りや景観において競合に差をつけ、入居者から高い支持を獲得する建物のことです。そのうえで十分なメンテナンスも施していれば、築年数が経過しても入居者に選ばれやすく、中長期的に資産価値も低下しにくくなります。
ただし、都内の人気エリアにある優良物件の多くはどうしても販売価格が高くなりがちです。多額の投資が必要になれば、家賃収入を原資とする分配金の利回りもかなり低くなってしまいます。

できるだけ高い利回りを期待したいなら、都内の人気エリアにある優良物件の中でも開発コストを極力抑える工夫が施されたものに的を絞る必要があるのです。こう言われると選び抜くのが難しそうに感じるかもしれませんが、事業者の開発実績にフォーカスすれば、意外とたやすく見分けがつくようになります。

都内の人気エリアで「不整形地」に建つ物件は相対的に収益力が高い

都内の人気エリアにおいて低予算で優良物件を開発するには、様々なテクニックやノウハウが求められます。

たとえば、あえて「不整形地」を選んで開発するというのがその一つです。不動産の世界では、正方形や長方形に区画整理されている土地を「整形地」、四隅が直角ではなく歪な形状になっている土地を「不整形地」と呼んでいます。通常、建物は正方形や長方形、もしくはそれらの組み合わせであるケースが多く、「整形地」における開発は相対的に容易だと言えます。

これに対し、「不整形地」における建物の建設には何かと制約が生じやすく、そのような事情を踏まえて近隣の「整形地」よりも割安な価格で取引されるのが通常です。つまり、「不整形地」に優良物件を建てれば、利回りの向上を期待できるわけです。
しかも、入居者は「不整形地」に建っていることを特に気に留めないケースが多く、安定的な賃料収入を期待できます。こうしたことから、都内人気エリアの「不整形地」を開発した物件は、相対的に収益力が高いと言えるでしょう。

なお、開発が難しい「不整形地」に対しては、税制上においても軽減措置が設けられており、近隣の「整形地」よりも「相続税評価額」が低くなります。したがって、人気エリアの「不整形地」に建つ優良物件が投資対象の不動産小口化商品は、先々で相続が発生した際の税負担も軽減されます。

不動産小口化商品の“出口戦略”はどのように考えるのが基本?

自分だけで一棟もの賃貸マンションなどに投資する際には、あらかじめ“出口戦略”をきちんと練っておく必要があります。この場合の“出口戦略”とは、「いつ頃、どういった状況を見込んで、どの程度の価格で手放すつもりなのか?」に関するプランニングです。

賃貸物件への投資の場合、相続対策としてひとまず次の代にそのまま受け継がせるというのが主流です。ただ、相続後も承継者のその後のために、できるだけ高い価格で売却できるか否かというポイントも重要となってきます。もちろん、どのようなシナリオに沿ったとしても、誰もができるだけ高い価格で売却したいと思うはずでしょう。そういった点まで踏まえれば、個人が単独で賃貸不動産に投資した場合は、いろいろと考えておくべきことが多くあります。

その点、不動産小口化商品は運用期間もあらかじめ定められており、その終了時(出口)に物件を売却することも決定事項です。したがって、特に個別には“出口戦略”を練る必要はありません。
ただ、中長期的な資産価値の保全を意識して建築された物件なら、売却された後に新しくそのオーナーとなった人も、リノベーションなどにコストや手間をさほど費やさなくてすみます。その分だけ売却価格も高くなりやすく、“出口戦略”も有利になると言えるでしょう。