#72 田舎の土地を相続するメリットとデメリットは?活用が困難なときの対処法も解説

2022.03.04

「田舎にある土地を家族に相続してもよいのだろうか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。とくに先祖代々同じ場所に住んでいると、もともと所有する土地を手放す判断はしにくいかもしれません。

田舎の土地の相続は、メリットもあればデメリットもあります。もし残された家族にとって、デメリットが大きいときは相続せずに手放すのも選択肢の一つです。

本記事では、田舎の土地を相続するメリットやデメリット、活用が困難なときの対処法などをわかりやすく解説していきます。

田舎の土地を相続するメリット

田舎の土地を家族が相続する主なメリットは、以下の2点です。

● 取得時のコストを抑えられる
● 土地という資産を手にできる

それぞれについてみていきましょう。

取得時のコストを抑えられる

相続税は、取得した遺産の価値を示す相続税評価額をもとに算出されます。現金や株式などは、基本的に時価と評価額が同じですが、土地については時価の8割程度である「路線価」を用いて評価額が計算されます。そのため田舎の土地を売却し、現金に換えて相続するよりも、土地のまま相続したほうが相続税の負担を抑えられる可能性があるのです。

例えば、土地の時価が3,000万円、路線価が時価の8割であった場合、相続税評価額は、3,000万円×0.8=2,400万円となります。

また、亡くなった人が居住用として利用していた土地や、賃貸経営など事業をしていた土地を相続したときは、所定の要件を満たすと「小規模宅地等の特例」を適用できます。小規模宅地等の特例を適用できると、土地部分の評価額が以下のように一定の限度面積まで50%または80%減額されます。

例えば、亡くなった人が賃貸マンションを経営するために使用していた土地を家族が相続した場合、土地の評価額は200㎡まで50%減額されます。土地の面積が200㎡、評価額が2,400万円であった場合は、2,400万円×50%=1,200万円に減額されるのです。

土地に建物が建っていた場合、建物の評価額は時価の7割程度である固定資産税評価額を用いて計算されます。建物が賃貸アパートや賃貸マンションであると、評価額がさらに一定の割合減額されます。

また、相続によって土地を引き継いだときは、不動産取得税がかかりません。不動産登記の際に支払う税金(登録免許税)は、不動産の購入や贈与よりも相続のほうが税率が低いため、税額は安くなります。

このように田舎にある土地をそのまま家族に相続することで、コストを抑えて引き継げる可能性があります。

土地という資産を手にできる

相続した家族は、土地をさまざまな形で利用できます。例えば、相続した土地に自宅を建てるのも選択肢の一つです。たとえ家族が都会で暮らしていても、年齢を重ねたときに田舎に移住する選択ができるようになるでしょう。

また需要があれば、賃貸マンションや賃貸アパートなどを経営することで、土地を引き継いだ家族は家賃収入を得られます。家賃収入を生活費に充てることで、家計に余裕が生まれるでしょう。老後を迎えたあとは、家賃収入を第2の年金として活用が可能です。

さらには、将来的に土地の価値が上がれば、高値で売却することも可能です。このように土地を相続することで、家族を経済的に支えてくれる可能性があります。

田舎の土地を相続するデメリット

田舎の土地を相続した家族は、多くのメリットを得られる可能性があります。しかし、家族のライフスタイルや土地があるエリアによっては、以下のデメリットが発生することがあります。

● 家族が管理に苦労する可能性がある
● 維持・管理コストがかかる
● 活用できるとは限らない

ひとつずつ解説していきます。

家族が管理に苦労する可能性がある

土地を相続した家族は、維持・管理をしていかなければなりません。しかし家族が、相続した土地がある場所から離れて暮らしていると、維持や管理をするのは困難です。

土地の管理を放置すると、草木が伸びて隣の家に侵入したり、ゴミが不法投棄されて悪臭や害虫・害獣が発生したりして、近隣住民に迷惑をかけるかもしれません。景観が悪化して、周辺の住環境に悪影響を与える可能性もあります。

また建物が建っている場合、老朽化による倒壊や放火をはじめとした犯罪が発生する恐れもあります。建物の倒壊によって、近隣の住宅を損傷させてしまうと、損害賠償責任を負うこともあるのです。

所有者には、こうしたトラブルを防ぐために土地を維持・管理する義務があります。離れた家族が土地を引き継いだ場合、維持や管理に苦労するかもしれません。

維持・管理のコストがかかる

土地の管理を業者に委託する場合、費用が発生します。また土地を所有している人は、固定資産税を負担しなければなりません。土地が市街化区域にあると、都市計画税も負担する必要があります。

土地に個人が住むための建物があれば、固定資産税と都市計画税を計算するときに「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税は最大1/6、都市計画税は最大1/3に軽減されます。

しかし更地のまま相続すると、住宅用地の特例は適用されません。人が住むための建物が建っていたとしても、空き家のまま管理せずに放置し、自治体から「特定空家等」に認定されて所定の行政処分を受けると、住宅用地の特例が適用されなくなります。

加えて自治体が代わりに土地の草木を伐採すると、実費を請求されることもあります。このように管理が難しい土地や建物を相続すると、残された家族に金銭的な負担が発生することがあるのです。

活用ができるとは限らない

土地の活用方法には、賃貸経営だけでなく駐車場経営やトランクルーム経営などさまざまな種類があります。しかし、過疎地をはじめとした人口が少ないエリアにある土地は、どの方法でも活用できないことがあります。また、いびつな形の土地や面積が狭い土地も活用が難しい場合があります。

土地活用をしても、需要が見込めなければ安定した収入は得られません。例えば、所有する土地で賃貸経営を始めたとしても、需要がないエリアだと空室が目立つようになって赤字が発生し、家族の貴重な財産を食いつぶしてしまうかもしれません。

また、需要がないエリアにある土地は、地価の上昇も期待できないでしょう。ご自身が利用や活用に困っている土地は、家族に相続してもメリットはあまりないと考えられます。

土地は相続放棄も可能

残された家族が、土地の相続を希望しないときは「相続放棄」を選択できます。

相続放棄とは、亡くなった人(被相続人)の権利や義務を相続人が一切受け継がないことです。相続人は、原則として相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てをすると相続放棄できます。

相続放棄をした家族は、土地だけでなく借金をはじめとしたマイナスの資産も一切引き継ぎません。一方で、現金や有価証券などプラスの財産も引き継がれなくなるため、家族は慎重な選択を迫られることになるでしょう。

土地を手放して都心部の不動産を取得するのも方法

利用や活用が難しい土地を所有しているのであれば、それが先祖代々引き継がれてきたものであったとしても手放したほうが良いと考えられます。そして、都心部のような賃貸需要が見込めるエリアの土地を取得し直すのが有効です。

需要があるエリアの土地を取得することで、マンションやアパートとして活用したときに、安定した家賃収入が期待できます。そのため貴重な財産を食い潰す心配がなく、建物の建築費も無駄にせずに済むでしょう。

また取得後も人口増加が見込めるエリアであれば、将来的に地価が上昇し、高値で売却してまとまった現金に換えることも可能です。有効な使い道が思いつかないのであれば、土地を売却してより多くの方法で活用が可能な土地へと、資産を組み替えるのがおすすめです。

田舎の土地を手放す方法

土地を手放す方法には「売却」「譲渡」「寄付」があります。このうち、まず検討すべきなのが、売却です。不動産会社に仲介してもらって買主を見つけてもらうのがベストですが、田舎にある土地の場合はそれが難しいかもしれません。

仲介による売却が難しい場合は、不動産会社の買い取りも検討すると良いでしょう。不動産会社に買い取ってもらった場合、売却価格は相場の7割程度となります。しかし買主を見つける必要がなく、土地をすぐに現金化できます。

また、近隣住民と交渉して土地を買い取ってもらうのも方法の1つです。近隣住民に譲渡するのも選択肢ですが、土地を引き継いだ人に贈与税が課せられる可能性があります。

土地を、国や自治体に寄付するのも方法でしょう。ただし、寄付できるのは行政目的に利用できる土地のみであり、必ずしも受け付けてくれるとは限りません。他にも、町内会や自治会などに寄付できることがあります。

このように土地は、さまざまな方法で手放せます。売却を優先的に検討し、最も有利な方法で土地を処分すると良いでしょう。

まとめ

田舎の土地を相続するメリットには「取得時のコストを抑えられる」「土地という資産を手にできる」があります。一方で田舎の土地は、相続した家族が管理に困る可能性があるだけでなく、固定資産税をはじめとしたコストが重くのしかかるかもしれません。

また土地が田舎にあると、どの方法でも活用が困難なことがあります。有効な活用方法が思いつかない土地を所有しているのであれば、それを手放して賃貸需要があるエリアの土地を取得し直すのが有効です。

賃貸需要があるエリアの土地は、マンションやアパートなどさまざまな方法で活用できます。活用が困難な土地よりも、さまざまな手段で活用できる土地のほうが、相続した家族は喜んでくれるはずです。使い道に困っている田舎の土地を所有している方は、資産の組み換えを検討してみてはいかがでしょうか。