#61 不動産投資で地震保険は必要?補償内容や必要性をわかりやすく解説

2021.12.03

地震保険とは、地震や津波、噴火によって生じた損害を補償する保険です。不動産投資をする際に、地震保険に加入すべきか悩むオーナーは少なくありません。

結論からいえば、賃貸マンションや賃貸アパートのオーナーにとって、地震保険は必要性が高いといえます。本記事では、不動産投資における地震保険の補償内容や加入するメリットデメリットなどわかりやすく解説していきます。

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地震保険とは? 補償内容や保険料の計算方法を解説

マンションやアパートを所有する人の多くが、建物やその中にある家財(家具・家電など)が火事で燃えてしまった場合に備えて火災保険に加入しています。また火災保険に加入していれば、補償内容次第では台風や洪水、土砂災害などが原因で生じた損害もカバーできます。

しかし地震が原因で発生した火災や津波による床上浸水、流失などは、火災保険の補償対象外です。地震や津波による損害に備えるためには、地震保険に加入しなければなりません。

地震保険は、損害保険会社と日本政府が共同で運営する保険です。大規模な地震によって甚大な被害が発生しても、保険金が支払われるよう、政府が再保険をして支えています。

なお地震保険は、必ず火災保険とセットで加入する必要があり、単独では加入できない点に注意しましょう。

地震保険の補償内容

地震保険や火災保険に加入する際は「保険金額」を設定します。自然災害で建物や家財など、補償の対象に指定したものが損害を負った場合、契約時に設定した保険金額を上限に、実際の損害額が支払われる仕組みです。

地震保険の保険金額は、火災保険の30〜50%で設定します。例えば火災保険の保険金額が、5,000万円である場合、地震保険の保険金額は1,500万〜2,500万円となります。

地震保険の保険金額は、建物5,000万円、家財1,000万円が限度です。補償対象をマンション1棟にする場合、建物部分の保険金額は、お部屋の数×5,000万円が上限となります。

地震や津波による損害を負ったときに支払われる保険金の額は、以下の通り、建物の損害状況に応じて決まります。

 

支払保険金の上限
全損

「主要構造部の被害額が建物の時価の50%以上」

または「焼失・流失した部分の床面積が延床面積の70%以上」

保険金額の100%

(時価が限度)

大半損

「主要構造部の被害額が建物の時価の40〜50%未満」

または「焼失・流失した部分の床面積が延床面積の50〜70%未満」

保険金額の60%

(時価の60%が限度)

小半損

「主要構造部の被害額が建物の時価の20〜40%未満」

または「焼失・流失した部分の床面積が延床面積の20〜50%未満以上」

保険金額の30%

(時価の30%が限度)

一部損

「主要構造部の被害額が建物の時価の3〜20%未満以上」

または「床上浸水または地盤面から45cmを超える浸水を受け、全損・大半損・小半損のいずれにも至らない場合」

保険金額の5%

(時価の5%が限度)

 

主要構造部とは、建物の柱やはり、壁などです。例えば、所有しているマンションが地震の被害に遭い、主要構造部の被害額が建物の時価の40〜50%未満であった場合は「大半損」と認定されます。地震保険の保険金額が3,000万円であった場合、その60%である1,800万円を上限に、保険金が支払われます。

家具や家電などの家財を補償の対象にしている場合、損害を受けたときに支払われる保険金は、家財の損害額に対する時価の割合に応じて決まる仕組みです。

なお地震保険の保険金は、時価をもとに算出されます。時価とは、同等のものを再築したり再購入したりするために必要な金額(再調達価額)から、使用による消耗分を差し引いた金額です。一方で火災保険の保険金は、再調達価額をもとに算出されるのが一般的です。

地震保険の保険料の決まり方

地震保険の保険料は、主に「建物の所在地」と「建物の構造」に応じて決められています。

建物の所在地によって地震保険の保険料が異なるのは、都道府県ごとに地震が発生する確率や想定される被害が異なるためです。東京都や千葉県など、強い地震によって大規模な被害が発生すると予測されるエリアは、保険料率が高くなります。

また建物の構造が鉄骨造や鉄筋コンクリート造などの耐火構造である場合、地震による火災が発生しにくいため、地震保険の保険料率は低くなります。対して木造のような非耐火構造の建物は、保険料率が高く設定されているのです。

なお地震保険の保険料は、保険会社による違いはありません。地震保険は、民間保険会社と政府が共同で提供する公共性の高い保険であり、地震保険の保険料に保険会社の利益が含まれないためです。

地震保険料の割引制度

地震保険は、以下の通り建物の耐震性能に応じた割引制度があり、保険料が最大で50%割引されます。ただし、割引の重複適用はできません。

割引率
免震建築物割引 50%
耐震等級割引

耐震等級1:10%

耐震等級2:30%

耐震等級3:50%

耐震診断割引 10%
建築年割引 10%

 

地震保険料を安く抑えたいのであれば、建物に適用される耐震性能を確認し高い割引が受けられる物件に投資をすると良いでしょう。

また地震保険は、契約期間を長くするほど保険料に適用される割引率が高くなります。よって契約期間を1年で契約するよりも、最長の5年で契約するほうが保険料は安くなるのです。

なお地震保険の保険料は、基本的に経費に計上できます。契約期間を2年以上にした場合は、1年分の保険料を毎年の経費に計上していきます。

不動産投資で地震保険に加入するメリット・デメリット

ここでは、賃貸マンションや賃貸アパートのオーナーが地震保険に加入するメリットやデメリットをそれぞれ解説します。

地震保険に加入するメリット

不動産投資をするオーナーが地震保険に加入すると、地震や津波によって建物が損害を負うリスクに対策できます。

不動産投資をする人の多くが不動産投資ローンを組みます。不動産投資ローンの返済中に、地震や津波で建物が大規模な損害を負ってしまった場合、毎月のローン返済とは別に建物の修繕費用や設備の買い換え費用などを負担しなければなりません。

また地震によって建物が全損や大半損、小半損の状態になると、人に貸し出すことすら困難となり、家賃収入が得られなくなってしまう恐れがあります。

破損箇所が満足に修復されていない物件や、安定した家賃収入が得られない物件は、家族であっても誰も相続したいと思わないでしょう。

地震保険に加入することで、地震や津波が発生して建物が損害を負ったときに、保険金を受け取って修繕やローンの返済に充てられます。地震による損傷箇所をすみやかに修繕することで、賃貸経営への影響を抑えられるでしょう。

地震保険に加入する注意点

地震保険の保険金だけでは、建物の修繕費用や設備の交換費用などのすべてをカバーできない可能性があります。地震や津波で損害を負ったときに支払われる保険金が、最大でも火災保険の保険金額の半分であるためです。

地震保険は、被災者の生活の安定に役立てるための保険です。火災保険とは異なり、損害を負った建物や家財の修繕・復旧を目的に加入する保険ではありません。

損害保険会社によっては、火災保険に特約を付帯することで地震保険の保険金額を、火災保険金額の最大100%まで補償されるようになります。地震や津波によって生じた損害を保険金で充分にカバーしたい場合は、特約の付帯を検討すると良いでしょう。

ただし特約を付帯すると、保険料負担が増えます。地震や津波による損害を保険でどこまでカバーしたいのか考えたうえで保険料を確認し、地震保険への加入や特約の付帯を慎重に検討しましょう。

不動産投資で地震保険の必要性が高い理由

不動産投資をする際に不動産投資ローンを組む場合、金融機関から融資の条件として火災保険への加入を求められるのが一般的です。一方で地震保険への加入は、基本的に融資条件に含まれていません。

結論をいえば融資条件に含まれていなかったとしても、不動産投資をする際、地震保険に加入する必要性は高いといえます。理由は、主に以下の2点です。

● 日本は世界有数の地震大国
● 不動産投資では公的な補償が受けられない

それぞれみていきましょう。

日本は世界有数の地震大国

日本は、地震や火山活動が活発なエリアにあるため、世界各国の中でも非常に地震が多い国です。特に2010年以降は、日本の観測史上最大規模の地震である「東日本大震災」をはじめ、震度7クラスの大地震が3度も発生しています。

発生年月日 最大震度
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災) 2011年3月11日 7
熊本地震 2016年4月14日 7
北海道胆振東部地震 2018年9月6日 7

 

また気象庁によると、将来的には「南海トラフ地震」が発生し、静岡県から宮崎県にかけて震度7の地震が発生する可能性があるといわれています。※出典:気象庁

社団法人住宅管理業協会の発表によると、2011年の東日本大震災において倒壊や建て替えが必要な致命的損害を負った分譲マンションはありませんでした。一方で、61棟が大規模な補強や修繕が必要な損害を負い、1,070棟がタイル剥離やひび割れ等の補修が必要な損害を負っています。※出典:社団法人住宅管理業協会「東日本大震災 被害状況調査報告」

マンションは、戸建住宅やアパートと比較して耐震性能が優れている傾向にあります。とはいえ地震による被害を完全に防げるわけではなく、倒壊する確率も決して0%ではありません。地震や津波による損害が発生するリスクを軽減するために、地震保険の加入を検討する必要性は高いといえます。

不動産投資では公的な補償を受けられない

地震によって建物が損害を受けた場合「被災者生活再建支援制度」を申請すると、建物の損害状況に応じて最大300万円の給付が受けられます。

ただし被災者生活再建支援制度を申請できるのは、自らが居住していた戸建て住宅やマンションなどが地震によって被害に遭った場合です。投資用の不動産が地震や津波で損害を負っても、被災者生活再建支援制度は申請できません。

地震や津波が発生して投資用の不動産が損害を負っても、公的な補償は受けられないため、地震保険をはじめとした自助努力で備える必要があります。

まとめ

地震によって所有する収益不動産に損害が発生しても、火災保険ではカバーできません。地震による損害リスクに備えるためには、地震保険に加入する必要があります。

マンションは耐震性能が高いですが、地震による損害を完全に防げるわけではありません。また地震によって収益不動産が損傷しても、公的な支援である「被災者生活再建支援制度」は申請対象外です。

相続対策としてマンションに投資するとしても、安定的な賃貸経営をすることは大切です。地震が発生したときの損害をすみやかに修繕し、経営への影響を抑えたいのであれば、地震保険への加入を検討しましょう。

 

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