#57 不動産投資のランニングコストとは?

2021.11.05

不動産投資を始めると、税金や手数料などのランニングコストがかかります。安定した収益を得るためには、不動産投資におけるランニングコストの金額や、経費に計上できるものを把握することが大切です。

そこで今回は、不動産投資で発生するランニングコストの種類や経費に計上できる支出の種類などを解説していきます。

不動産投資の初期費用について

不動産投資の代表的なランニングコスト

不動産投資をする際に支払うランニングコストのうち代表的なものは、以下のとおりです。

● 税金(固定資産税・都市計画税など)
● 管理費(管理会社に委託する場合)
● 建物や設備の修繕費
● 共用部分の光熱費・維持費
● 損害保険料
● 不動産投資ローンの返済費用
● 税理士等委託費用

それぞれについて解説します。

税金

収益物件を所有して賃貸経営をしている場合、以下の税金の支払いが発生します。

● 固定資産税:毎年1月1日時点で建物や土地などの固定資産を所有する人に課せられる税金
● 都市計画税:所有する不動産が市街化区域内にある場合に課せられる税金
● 所得税:1年間の所得に対して課せられる税金
● 住民税:居住している都道府県や市区町村に支払う税金
● 個人事業税:事業を営んでいる個人に課せられる税金

固定資産税と都市計画税は、土地と建物それぞれの固定資産税評価額に、所定の税率をかけて税額を計算します。固定資産税評価額とは、市町村が決める土地や建物の値段です。

所得税は、年間の所得に税率をかけて計算します。年間の所得が高いほど、所得税の税率も高くなっていく仕組みです。住民税は、年間の所得に税率(基本的に10%)をかけて計算する「所得割」に、所得にかかわらず定額の「均等割」を加えて税額を計算します。

不動産投資で得た家賃収入から、必要経費を差し引いた金額は「不動産所得」となり、所得税や住民税の課税対象となるのです。また不動産所得が年間で290万円を超えている場合は、個人事業税を納める必要があります。

管理会社に支払う費用

不動産投資では、以下のような管理業務が発生します。

● 入居者の募集・契約手続き
● 入居者からのクレーム対応
● 家賃の入金管理・家賃滞納者への催促
● 工事業者の選定・発注
● 建物の警備・巡回
● 共用部運の清掃 など

管理業務のすべてをオーナー自身が行うのは、時間的にも体力的にも困難でしょう。また入居者募集やクレーム対応には、経験や知識が求められます。そのためオーナーの多くが、費用を支払って賃貸管理会社に管理を委託しているのです。

また新しく入居者を募集する場合、管理費とは別に仲介手数料や広告費などが発生する場合があります。

建物や設備の修繕費

建物の外壁や屋根、廊下等は、築年数の経過に伴って劣化していくため、定期的なメンテナンスが必要です。また給湯器や電気温水器、エアコンなどは、10〜15年程度で交換が必要となります。

入居者が退去したしたときは、お部屋を原状回復するための費用がかかります。ただし、入居者が故意に付けたと思われるキズの修理費用は、入居者が負担するのが一般的です。

共用部分の光熱費・維持費用

エントランスや廊下、エレベーターなどの共用部分の電気代も、代表的なランニングコストです。共用トイレを設置している場合は、水道代も発生します。

また物件にエレベーターを設置している場合、点検費用がかかります。

損害保険(火災保険・地震保険)の保険料

不動産投資におけるリスクの1つに「災害リスク」があります。災害リスクとは、火災や台風、集中豪雨、地震などで建物が損害を負うリスクです。不動産投資をする方の多くが、災害リスクに対処するため「火災保険」や「地震保険」などに加入しています。

火災保険の保険料は、損害が補償される範囲や加入する保険会社、建物の構造などで決まります。度重なる集中豪雨の影響により、一棟マンションの火災保険の引き受けを停止している保険会社もあるため、複数社に問い合わせて加入先を選ぶことが大切です。

地震保険の保険料は、建物の構造や建物があるエリアなどで決まりますが、保険会社による違いはありません。

不動産投資ローンの返済費用

不動産投資をする場合、多くの方が不動産投資ローンを組みます。不動産投資ローンを借り入れた場合は、借入元本に利息を上乗せした金額を毎月返済しなければなりません。

毎月の返済額や利息額は、不動産投資ローンの借入額や適用される金利によって決まります。借入額が多く金利が高いほど、毎月の返済額や利息額も高くなります。

法人名義で不動産を所有している場合のランニングコスト

プライベートカンパニー(資産管理会社)を設立して賃貸不動産を管理している場合、家賃収入は所得税ではなく「法人税」の課税対象となります。

また法人の経理処理は、個人の場合と比較して複雑であり、決算時期には決算書を提出する必要もあるため、費用を支払って税理士や会計士に委託するのが一般的です。

不動産投資で経費にできる支出とできない支出

不動産投資におけるランニングコストのすべてを、経費に計上できるわけではありません。

経費を正しく計上しないと、脱税となる恐れがあります。ここでは、不動産投資のランニングコストのうち、経費に計上できる支出とそうでない支出の例を解説します。

経費にできる支出

不動産投資のランニングコストのうち、経費に計上できる支出の例は以下のとおりです。

● 固定資産税・都市計画税・個人事業税
● 管理費
● 建物や設備の修繕費
● 共用部分の光熱費・維持費
● 損害保険料(火災保険料・地震保険料など)
● 不動産投資ローンの利息
● 通信費・交通費・接待交際費

固定資産税や都市計画税、管理費、修繕費など、不動産投資において必要な支出は基本的に経費と認められます。

また業者との連絡や不動産投資の情報収集のために支払った通信費、収益物件まで移動するために支払った交通費なども経費に計上可能です。業者と会食をした際に支払った飲食代は、接待交際費として経費に計上できます。

ただし事業だけでなくプライベートでもスマートフォンやパソコンを利用している場合は、家事按分をしなければなりません。家事按分とは、費用を事業用とプライベート用に分けて、事業で使用する金額のみを経費に計上することです。

経費にできない支出

経費に計上できない支出の例は、以下の通りです。

● 不動産投資ローンの元本部分
● 所得税・住民税
● 法人税・法人住民税
● その他不動産投資とは関係のない支出

所得税や住民税など、個人に課せられる税金や、法人税のような会社に課せられる税金は、経費への計上が認められていません。また不動産投資とは、直接的な関連がない通信費や食事代、交通費なども経費に計上できません。

経費に計上できるのは、事業において収益を得るために必要であったと説明できる支出です。判断に迷う場合は、税理士に相談しましょう。

 

不動産投資の減価償却費とは?

減価償却とは、経年劣化によって減少してしまった建物部分の価値を経費として計上する会計処理です。

投資物件の購入費用や不動産投資ローンの元本部分は、経費に計上できません。経年劣化によって失われてしまった建物部分の価値を減価償却費として、法律で定められた建物の耐用年数(法定耐用年数)が経過するまで経費に計上していきます。

法定耐用年数は、以下の通り建物の構造に応じて決められています。

● 鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造:47年
● 木造:22年
● 重量鉄骨造:34年
● 軽量鉄骨造:19年
※骨格材肉厚が3mm以下の場合

減価償却費は、基本的に「定額法」で計算をします。定額法とは、毎年同じ額の減価償却費を経費に計上する方法です。建物価格に、残りの法定耐用年数に応じて決まる償却率をかけて減価償却費を計算します。

例えば、建物価格が5,000万円、残りの法定耐用年数が47年の新築マンションを購入したとしましょう。減価償却資産の償却率等表によると、法定耐用年数が47年である場合、償却率は0.022です。よって5,000万円×0.022=110万円の減価償却費を、法定耐用年数の47年が経過するまで経費に計上できます。

また建物附属設備(エレベーターや給水設備など)の取得費用も、一括で経費計上するのではなく、法定耐用年数をもとに計算した減価償却費を経費に計上していきます。

減価償却費は、実際に支払っているわけではない経費です。そのため減価償却費を計上すると、収支は黒字であるにもかかわらず帳簿上は赤字となる場合があります。赤字が発生した場合は、確定申告をして給与所得をはじめとした他の所得と相殺すると、所得税や住民税の負担を減らせる可能性があります。

なお土地のような経年劣化しない固定資産の取得費用は、減価償却の対象とはなりません。

ランニングコストから考える不動産投資の失敗を防ぐコツ

不動産投資では、物件の選定を誤るとランニングコストが膨れ上がって収益率が低下してしまう恐れがあります。またランニングコストだけを考えて管理会社を選んでしまうと、かえって不動産経営に失敗するかもしれません。

不動産投資は新築物件で行うほうが良い

不動産投資を始めようと考えている方は、新築アパートや新築マンションに投資すると良いでしょう。築古物件は、新築物件よりもランニングコストがかかりやすく、安定した家賃収入を得にくいためです。

まず築古の物件は、建物や設備で経年劣化が進んでいるため、修繕費用や交換費用が発生しやすいです。また新築物件と比較して築古物件は魅力が低いため、空室が発生するとなかなか入居者が見つからない場合があります。

さらに築古物件は、担保としての価値が実際の売買価格よりも低くなる傾向にあります。担保価値と売買価格の乖離が大きいと、金融機関から融資を断られるかもしれません。

新築物件であれば、築古物件よりもランニングコストが低い傾向にあるだけでなく、入居者も付きやすいです。また担保価値が高く、金融機関から融資を承認してもらえる可能性が築古物件よりも高いです。

管理費だけで管理会社を選ばない

ランニングコストを抑えたいという思いから管理費用の安い管理会社を選んでしまうと、賃貸経営に失敗してしまう恐れがあります。

費用をかけてでも管理会社に賃貸管理を委託するオーナーが多いのは、物件を魅力的な状態に保って安定した賃料収入を得るためです。

清掃・修繕が行き届いておらず、破損箇所や汚れが目立つマンションに住みたがる人はいないでしょう。物件に魅力があったとしても、管理会社が新規入居者の募集に積極的でなければ、空室が続いてしまう恐れがあります。

管理費だけに着目するのではなく、誠実に管理業務をしてくれる管理会社を探すことが、安定的な家賃収入を得るためのポイントといえます。

まとめ

不動産投資を始めたあとは、固定資産税や都市計画税などの税金を支払う必要があります。また火災保険や地震保険などの保険料、物件の管理費や維持費用なども支払っていかなければなりません。

相続対策のために投資用の不動産を購入したとしても、安定した家賃収入が得られず赤字が続くと、貴重な財産を食い潰してしまうでしょう。不動産投資を始める際は、初期費用だけでなくランニングコストも試算し、安定した収益が得られるか確認することが大切です。

 

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