#42 ありがちな相続対策の失敗事例とは?不動産投資で本当に節税ができるのか

2021.07.12

不動産投資を相続対策として行い、失敗してしまう事例が存在します。

税制面で優遇されている不動産で相続対策を行ったにも関わらず、なぜ失敗してしまうのでしょうか?不動産投資で相続対策を行う事は避けたほうが良いのでしょうか?

不動産は相続の際に評価額が時価より2~3割低く設定されており、相続税の課税対象額(税金の対象となる価額)が現金などに比べ少なくなります。また、賃貸物件を活用すると一定の条件を満たした場合「小規模宅地等の特例」により評価額が減額となり、さらに節税となります。

相続対策として有効ではありますが、不動産会社選びを誤る、資産価値の低い物件を購入してしまうなどの理由で失敗してしまう場合があります。

今回は不動産投資と相続対策、失敗事例3つ、相続対策を成功させるためのポイントをお伝えしていきます。

不動産投資以外に節税効果のある金融商品も紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

不動産投資と相続対策~不動産投資は失敗する?~

相続税の節約効果が高い資産運用方法として「不動産投資」があります。

相続時において不動産は、建物が時価の約7割である「固定資産税評価額」、土地が主に時価の約8割となる「路線価方式(相続税評価額)」で評価され、評価額を圧縮する事が出来ます。

さらに土地は一定の条件を満たした場合「小規模宅地等の特例」が適用され、評価額から50~80%減額されます。

不動産の相続税評価額は時価の3~6割程度になるケースが多く、現金で保有する場合に比べ相続税の対象となる評価額が小さくなり、相続税を節約できるケースが多くなっています。

上記の理由から不動産投資は相続対策として人気がありますが、失敗事例も存在します。そのため「本当に相続対策になるの?」「逆に損をしてしまうのでは?」と不安や疑問を感じてしまう方もいらっしゃることでしょう。

実際に不動産投資を行っている方が運営するブログの中には「赤字経営」「区分マンションで失敗」などのキーワードが並ぶものも存在します。

相続対策として不動産投資を成功させるためのポイントをおさえておくことで、失敗する確率は低くなります。不動産投資で重要な事は「知識武装」であり、知識を身に付けることにより、成功確率を上げる事が出来ます。

成功した際には「賃貸経営で収益が出る上に相続税が節約になる」というメリットがありますので、成功のためのポイントを失敗事例から学び、効果的な相続対策を行っていきましょう。

 

相続対策として不動産投資を行った失敗事例3つ

相続対策で不動産投資を行い、失敗してしまった3人の事例と、失敗理由を見ていきましょう。

1.エリアの賃貸需要が低く失敗

Aさんは相続対策として地方都市にある一棟中古マンションを5000万円で購入しました。10戸満室の場合10%程度の高利回りの物件でしたが、雨漏り被害や給排水管の劣化から修繕費がかさみ、実質利回りは4%程度で運営を行っていました。

その後3戸ほど退去が続き、入居者募集を行いましたが地方の入居者が多くなる時期は4月前後と期間が限られていることからなかなか入居者が見つかりません。

家賃を下げて募集し居者は見つかりましたが、キャッシュフローが赤字になってしまい、Aさんは物件を手放すことを検討しています。

Aさんの失敗原因

Aさんの失敗理由は「エリアの賃貸需要を見誤った事」です。

Aさんは「中古マンションで利回りが高い」という好条件に魅かれ物件を購入しましたが、賃貸経営を行う前には、必ず物件が所在するエリアの賃貸需要を調べておく必要があります。

現在の日本は人口が減少傾向にあり、出生率と人口増加数・年平均人口増加率は下落し、死亡率は増加という状況です。政令指定都市も例外ではありません。

「東京一極集中」が続き、地方の人口は減少、東京以外の都市圏は人口が減少傾向にあります。

また中古物件は不動産投資で「思ったより修繕費がかかる」という事例が多く収益物件としては「利益が出ない」という事態に陥る可能性があります。マンションは約20年を経過したあたりから価格の下落率が高くなり、資産価値も落ちやすい傾向にあります。

不動産投資を行う際には、「賃貸需要の高いエリア」に「資産価値の高い物件」を購入することで失敗する確率が低くなります。

2.価額の圧縮効果が低く、相続税が払えない

数年前に妻に先立たれたBさんは相続に備え、都心の中古区分マンションを4戸、合わせて8000万円程度で購入しました。長女と長男は2戸ずつマンションを相続する予定で、生前に話し合い遺書も作成し相続対策は万全のはずでした。

Bさんが亡くなり長男と長女は4戸のマンションを相続する事になりましたが時価が低いために圧縮できる価額が少なくなってしまいました。

加えて長男と長女がBさんの遺産を調べていたところ、Bさんは先祖代々受け継いだ土地を保有していました。その土地の相続税評価額が高かったために支払う相続税が想像以上に高く、

支払うことができなくなってしまいました。そしてその結果、土地を手放さなければいけなくなりました。

相続対策に適した価額の不動産を購入する

中古マンションは購入価格が新築より安いですが、価格と共に資産価値が下落しやすい傾向にあります。

以下は指定流通機構(レインズ)が発表した2020年「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」のレポートに掲載されている中古マンションの築年帯別平均価格となっています。

(出典)「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2020年)」(公益財団法人 東日本不動産流通機構)

上記でも述べた通り、築年数が約20年以上の建物は価格の下落率が高い事が分かります。

よって「購入したころには資産価値が高くても、相続後には低くなっており相続対策として効果が低い」という事例が多くなっています。

相続の対象となる資産が多い方は新築の都心マンションなど規模が大きい物件をターゲットにすることで、不動産投資の相続対策のポイントである価額の圧縮効果が高くなります。

3.業者選びに失敗した

Cさんは70代で会社経営を行っています。1億円超の資産を保有しており、子供に相続税の負担をかけたくないと考え相続対策を検討していました。取引先の社長Dさんに「資産を不動産に換え賃貸経営を行う事で相続対策ができる」と聞き、業者を紹介してもらい物件を探していました。

Cさんは都心の築浅のマンション、購入価格8000万円を勧められました。

「築浅ではあるがエリア的に8000万円は高いのでは」と感じましたが、業者から「このマンションは人気があるから早く購入したほうが良い」「Dさんも同じようなマンションを購入している」と迫られ、紹介してくれたDさんの事もありマンションを購入しました。

人気エリアにあるためマンションは満室経営ですが、高額なローン返済のため毎月赤字経営です。

「やはり断るべきだった」とCさんは後悔しています。

不動産会社選びは重要なポイント

不動産会社の中には自社の利益を優先するあまり、購入希望者に割高な物件を勧める悪質な業者が存在します。

不動産投資において不動産会社は大事なパートナーとなりますので、会社選びは慎重に行いましょう。

 

不動産投資で相続税対策を成功させるためのポイント3つ

不動産投資で相続対策を行う際には、以下の3点を意識することで成功の確率が高くなります。

  • 需要の高いエリアで賃貸経営を
  • 新築・都心・一棟マンションは資産価値が高い
  • 信頼できる不動産会社選びを

1.需要の高いエリアで賃貸経営を

賃貸経営を行う際には、現在だけではなく将来にわたって入居需要の高いエリアを選ぶと成功する確率が高くなります。

総務省統計局が発表した、「三大都市圏(東京・大阪・名古屋圏)および東京圏の人口が総人口に占める割合」は以下の通りとなっています。

(出典)「三大都市圏(東京・大阪・名古屋圏)および東京圏の人口が総人口に占める割合」(総務省統計局)

 

三大都市圏全体が上昇傾向にありますが、中でも東京圏の伸びが顕著です。一方で三大都市圏以外の地域は既に減少傾向にあります。

今後も東京圏の人口は増加する見込みで、高い賃貸需要を期待する事ができます。

2.新築・都心・一棟マンションは資産価値が高い

相続対策として不動産投資を行う上で投資用物件の「資産価値」は重要となります。相続して子孫に受け継がれるものなので資産価値の高い物件を選びましょう。

上記の中古マンションの築年帯別平均価格のデータを見ると、新築物件の価値が高い事が分かります。一棟マンションは土地も資産となりますので、さらに資産価値が高い傾向にあります。加えて東京は新型コロナ感染症拡大まで地価が上昇傾向にあり、今後も地価が上がる可能性が高くなっています。

資産価値の高い物件を購入するためには「新築・都心・一棟」がポイントとなります。

3.信頼できる不動産会社選びを

不動産投資において不動産会社は重要な存在となります。複数の業者を比較・検討し、信頼できる業者を選びましょう。

担当者と話をし、顧客目線でマネープランを考えてくれるかを確認しましょう。

 

まとめ

不動産投資で相続対策を成功させるためには、①不動産会社選び、②新築・都心・一棟のマンション、③賃貸需要の高い東京での賃貸経営を心がけましょう。

今回ご紹介したような失敗事例もありますが、不動産投資により相続税が発生しなかった、納める税額が減ったという成功事例も数多く存在します。失敗を恐れるあまり、不動産投資を避けた結果、相続人が相続税に苦しむ可能性もあります。

相続税が気になる方や相続を予定している方は、不動産投資の資産圧縮効果で相続税が大幅に節約できる事例があることを踏まえ、対策を検討していきましょう。

 

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