事業承継で黒字廃業を防ぐ。M&Aという選択肢もある

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事業承継がうまくいかなければ、黒字でも廃業せざるを得ない事態に陥る可能性があります。廃業すれば従業員や取引先にも影響が及びますし、多額の費用もかかるでしょう。黒字廃業を防ぐためにできる代表的な対策について解説します。

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1.日本を支える中小企業が減少している

中小企業は日本国内の全企業のおよそ99%を占めています。日本の経済や産業は中小企業が支えているといっても過言ではないでしょう。そのような状況であるにもかかわらず、日本の中小企業は減少しています。

事業承継がスムーズに進まず黒字廃業する中小企業が増えれば、この状況はますます深刻さを増していくと予想されます。

1-1.約22兆円ものGDP消失の可能性

日本のほとんどの企業は中小企業です。高い技術力やノウハウを個々の企業が承継することは、その企業の成長や業績アップに役立つだけでなく、地域や国全体の経済力を高めるために重要なポイントといえます。

しかし多くの中小企業は事業承継がうまく進んでいないのが現状です。経営者が高齢になり引退の年齢に差し掛かっている企業の約半数は、後継者未定ともいわれています

このままでは中小企業の大規模な廃業は目前です。中小企業庁の資料によれば、2025年までに中小企業の廃業によって『22兆円』ほどのGDPが失われるといわれています。

地域経済を支え雇用の受け皿にもなっている中小企業の廃業は、社会全体に大きな影響を与える事態です。

参考:中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題 P.1|中小企業庁

1-2.黒字にもかかわらず廃業する会社も

廃業するのは赤字企業だけとは限りません。中には黒字であっても廃業せざるを得ない企業もあります。実際に2019年に休廃業や解散した企業の『61.4%』は、直前の決算期で当期純利益が黒字でした。

黒字であれば事業を継続できる可能性は十分あります。そのような状況にもかかわらず、廃業を選ぶ経営者が半数以上にのぼるのが現状です。

参考:2020年版中小企業白書・小規模企業白書概要 P.2|中小企業庁

1-3.黒字廃業が多い現状に対する国の動き

黒字廃業が多い状況が続けば、国内の経済状態の悪化にもつながるでしょう。そのため国はさまざまな対策を講じています。

例えば『経営承継円滑化法』による税制支援や、金融支援・民法の特例などもその一環です。事業承継にまつわる資金の問題や親族間トラブルを解消しやすい状況を整え、スムーズな承継を後押ししています

また『事業承継補助金』では『創業支援型』を創設しました。これにより親族間承継や従業員への承継が進まなかったとき、創業して間もない中小企業へ事業を引き継いでもらうという選択肢を採用しやすくしています。

加えて事業承継について詳しく知らない経営者向けに、中小企業庁では『事業承継マニュアル』を公開しています。

2.黒字で廃業となるケースとは

2.黒字で廃業となるケースとは

半数以上にものぼる黒字廃業は、どのようなケースで発生しやすいのでしょうか?代表的な状況を見ていきましょう。

2-1.資金繰りの悪化

黒字だからといって、必ずしも資金繰りが良好な状態とは限りません。損益計算書で把握できるのは計算上の利益のみで、実際のお金の流れを反映していないからです

取り扱う商品やサービスが売れていれば、売上として扱われるため利益になります。しかし企業の取引では、実際に売上金が入金されるのは、数カ月後というケースは珍しくありません。

売上の計上から売上金の入金までの間にも、支払いは発生します。このとき自己資本や借入金で支払えなければ、倒産しなければいけません。このような状況が予想される中、廃業を選ぶ経営者も多くいます。

商品を作っているけれど販売がうまくいかず在庫過多の状況も、資金がショートして黒字廃業になりやすいケースです。

2-2.後継者が見つからない

『後継者』が見つからず黒字のまま廃業する企業もあります。高齢になった経営者はいつまで事業を続けられるか分かりません。体力的に引退したいと考える経営者も少なくないはずです。

このようなとき後継者がいれば、事業承継して企業を引き継いでもらえます。しかし実際には約『65.1%』もの企業に後継者がいません。

多くの企業に後継者がいないのは、少子高齢化の影響でもあります。日本の総人口は減少していますが、今後高齢者の割合は増え続け、2036年には人口の33.3%が65歳以上になるそうです。

後継者にできる子どもや若い世代の従業員がおらず、廃業せざるを得ない企業も少なくありません。

参考:全国企業「後継者不在率」動向調査(2020年)|帝国データバンク
参考:第1章 高齢化の状況(第1節 1)|内閣府

3.廃業により起きること

3.廃業により起きること

中小企業が廃業すると、具体的にどのようなことが起こるのでしょうか?従業員や取引先など関係者への影響の他、経営者は廃業にかかる費用も負担しなければいけません。

3-1.従業員が解雇される

廃業して会社がなくなると、働いていた『従業員』を解雇しなければいけなくなります。職を失った従業員は再就職先を探すことになりますが、年齢によっては難しいケースもあるでしょう。

従業員に家族がいれば、家族の暮らしにも影響を与えます。ともに長い間働いてきた従業員は、家族同然の関係であることも多いでしょう。経営者にとっては心苦しい決断になるはずです。

3-2.取引先にも影響を及ぼす

影響は『取引先』にも及びます。常日頃取引のある会社の中には、廃業する会社がメインの仕入先や受注先の取引先もあるでしょう。

いきなり廃業を知らされた場合、取引先は何も準備できず売上が激減するかもしれません。そのような事態を避けるには、他の仕入先を検討したり、受注先を見つけたりする時間の確保が必要です。

できるだけ早い段階で取引先に廃業することを伝えるのがよいでしょう。

3-3.廃業費用がかかる

廃業には『費用』がかかります。経営者自身での手続きも可能ですが、専門家へ依頼するのが一般的です。例えば登記は司法書士へ、確定申告の精算は税理士へ依頼します。

費用の相場は司法書士『5~10万円』、税理士『15~30万円』です。この他に会社の置かれている状況によっては、債権者との交渉のために弁護士へ依頼しなければいけないケースもあります。

加えて事業で使っていた設備や機械の処分もしなければいけません。買い取ってもらえることもありますが、老朽化が進んでいれば業者に処分してもらわなければいけないでしょう。

大きな工場がある場合やトラックを複数台所有している場合には、処分に高額の費用がかかるかもしれません。

4.後継者難による黒字廃業を防ぐには

4.後継者難による黒字廃業を防ぐには

後継者がいないことによる黒字廃業は、早めの対策で予防できます。親族内承継や従業員への承継はもちろん、M&Aを利用する承継方法も検討するとよいかもしれません。

4-1.事業承継の早期対策を行う

退職するタイミングで後継者へ事業を引き渡せる状態にするには、早い段階で後継者を選定し打診する必要があります。企業を引き継ぐには株式の買い取りや債務の引受が必要です。

そのため後継者になるには、ある程度まとまった資金を用意しなければいけません。後継者にしたい従業員がいても、資金を用意できなければ承諾してもらえないでしょう。

後継者が決まったとしても、そこから必要な教育をするためにある程度の時間がかかります。余裕を持ったスケジュールで動いていれば、十分時間をかけて必要な教育が可能です。

また後継者にと考えていた人から快い返事がもらえなかったとしても、早めに動き出していれば方向転換がしやすいでしょう。

4-2.事業承継の専門家に相談をする

後継者がなかなか決まらずどうすればよいか分からない状態なら、『専門家』へ相談するのがおすすめです。まずは会社の経営状況を把握している『顧問税理士』へ相談するとよいでしょう。

顧問税理士が事業承継について詳しくないなら、詳しい税理士を紹介してもらってもよいかもしれません。『M&A仲介業者』へ相談すれば、自社のケースに合う選択肢を提案してもらえるはずです。

事業承継の窓口相談やセミナーを開催している『中小機構』へ相談するのもよいでしょう。

4-3.自社の価値を高める

「引き継ぎたい」と後継者が思えるような企業になるよう、自社の価値を高めるのも大切なポイントです。そのためにまずは、自社の価値を正しく把握しましょう。

その上で採算の取れていない事業の再建や撤退を決断し、実際に手続きを進めていきます。再建も撤退もすぐにできるものではありません。長い時間をかけて計画的に取り組み、価値を高めて行きましょう。

4-4.親族内承継以外の方法も検討する

中小企業の多くは、これまで親族内承継をメインに行ってきました。しかし帝国データバンクが対象とした企業への調査によると、親族内承継は2018年と比較して2020年は10%減り『34.2%』だったそうです

その代わり役員や従業員を後継者にする内部昇格は『34.1%』と、親族内承継とほぼ同じ割合に増加しています。親族内承継以外の選択肢が、中小企業の事業承継でも検討されるようになってきているのが分かる結果です。

親族内でも社内でも後継者を見つけられなければ、M&Aを検討してもよいでしょう。M&Aを取り巻く市場は変化してきており、日本国内でも活発化しています。

「うちの会社を買う企業なんてないに決まっている」という考えは1度脇に置き、仲介業者へ相談してみるのも一つの方法です。

参考:特別企画:全国企業「後継者不在率」動向調査(2020 年)|帝国データバンク
参考:中小企業白書 2018 2 M&Aの現状 P.305|中小企業庁

5.何らかの形で事業を引き継ぐメリット

5.何らかの形で事業を引き継ぐメリット

親族内承継にこだわらなくても、何らかの形で事業を引き継いでもらえれば、会社のさらなる成長が期待できます。加えて会社売却で事業承継できれば、経営者は多額の資金を得られるかもしれません。

5-1.今後さらに会社が成長する可能性がある

M&Aで第三者が会社を引き継ぐと、自社の廃業を避けられます。中小企業にとって経験ある従業員は重要な財産のため、従業員の雇用は守られるのが原則です。

従業員が会社に残れば、これまで培ってきたノウハウや技術を活用し、さらなる発展を遂げられるかもしれません。会社がM&A前より成長すれば、従業員の待遇もよりよくなっていくでしょう。

従業員にも買い手にもよい状態を作り上げられる可能性があります。

5-2.会社売却の場合、老後の資金を確保できる

会社売却で事業承継をするとき、経営者が保有する会社の株式を売却することで、買い手へ譲渡します。売却代金は会社の利益の数年分になるケースが一般的です。

会社の状況にもよりますが、数千万円といったまとまった資金を手にできるかもしれません。できるだけ高く会社売却をするには、企業価値が高いタイミングでの売却がポイントです。

経営状況が良好で利益が出ている会社であれば、買い手がスムーズに見つかりやすいでしょう。

6.自社のノウハウ、従業員などを守ろう

6.自社のノウハウ、従業員などを守ろう

廃業した企業のうち約60%は経営状況が黒字でした。黒字にもかかわらず廃業しなければならない理由として代表的なのが、後継者の不在です。

経営者が高齢になり引退を考えるタイミングで後継者がいなければ、事業は続けられません。会社は廃業する他に選択肢がない状態です。

このままでは従業員を解雇しなければいけませんし、培ってきたノウハウや技術は途絶えてしまいます。親族内承継や内部昇格による事業承継が難しいなら、M&Aを検討してもよいでしょう。

何らかの手段で事業承継できれば、育んできた事業や大切な従業員を守れます。事業承継の相談を税理士にするなら『税理士法人チェスター』へ相談するのもおすすめです。

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『廃業するときの注意点』を詳しく知りたいなら、下記もご覧ください。

事業承継できず廃業する際の注意点

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