自社株式を物納し会社が国から買い取るスキーム
相続によって財産を取得した場合、受け取った財産に応じて相続税の申告・納付が必要となることがあります。
相続税の申告・納付は「金銭一括」が原則となりますが、相続した財産が自社株式のみで納税資金がないというケースも珍しくありません。現金一括での納付が難しい場合には「物納」という方法で相続税を納付することができます。自社株式で物納は可能なのでしょうか?
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1.物納とは
相続税の納付は「金銭一括」が原則です。しかし、一括で支払うことが困難な場合には特例として「延納」という分割で納付する方法があります。さらに延納も難しいという場合には例外的に「物納」が認められています。
物納の許可を得るためには、以下の要件を満たしている必要があります。
また、物納ができる財産には順位が定められています。
物納財産の収納価額は相続税の課税価格を算出した際の金額が、物納財産の価額となります。
2.自社株式を物納に利用するには譲渡制限がなければ原則できる
上場株式であっても非上場株式であっても、物納の許可を得ることが出来れば物納することは可能です。
ただし、以下に該当する株式は「管理処分不適財産」に該当するため、物納できない財産となります。
3.物納した自社株式を発行会社が国から買取ることが可能
物納した自社株式は、会社が買い戻しをすることが出来ます。物納として納めた株式を会社が買い戻すことで、納税を行う相続人は納税資金として株式を活用することができ、会社は物納された株式を計画的に買い戻し、会社の経営を維持することが出来るようになります。
相続した株式を発行会社に売却すると、通常の買い取りとは異なりみなし配当となることはありません。
そのため、課税される譲渡益課税は20%です。
相続税額のうち、譲渡した株式は取得費として加算することができるため有利であると言われています。
しかし、相続後に相続人が物納した株式を発行会社が買取りを行うと、課税関係は一切生じません。
これは、物納による資産譲渡は原則非課税となっているためです。
自社株式の買い取りを行ない、資本金を減らす、利益消去を行うことで税負担を抑えることが可能となります。
4.事前の買い取り資金の準備が必要
物納によって国に株式を渡したからといって、会社の経営に国が口出しをするということは少ないと思いますが、特別決議が必要な場合や、配当金が適正に扱われていないという状況など一定の場合には、権利を行使することがあります。めったに無いことではありますが、物納した自社株式は計画的に会社で買い戻しを行ないましょう。
そのためにも、事前に買い取り資金をしっかりと準備しておく必要があります。
5.まとめ
相続税の金銭一括納付が難しく、延納も出来ないという場合には「物納」によって相続税を納めることが出来ます。自社株式は物納という方法で相続人の納税資金の代わりになり、かつ会社が買い戻しを行うことで税負担を抑えることができるというメリットがありますが、物納自体が簡単に認めてもらえることではありません。このような状況の場合には、税理士などの専門家に相談しながら進めていくようにしましょう。
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