日本の伝統工芸は後継者不足。問題解決に向けた取り組みは?

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日本の伝統工芸の世界では後継者不足が進んでいます。このままでは失われる技術も出てくるでしょう。独自の技術を守るため、どのような取り組みが行われているのでしょうか?経済産業省による伝統的工芸品産業支援補助金についても紹介します。

1.伝統工芸の後継者不足は深刻

1.伝統工芸の後継者不足は深刻

伝統工芸の職人は高齢化が進んでいますが、技術を引き継ぐ後継者の育成は思うように進んでいません。次世代を担う後継者がいない技術は、職人がいなくなるとともに失われてしまうでしょう。伝統工芸を未来へとつなぐため、新しい販路を海外に求める動きも出てきています。

1-1.伝統工芸の職人は高齢化が進んでいる

伝統工芸の職人は高齢化が進んでいます。伝統工芸に従事したいと希望する後継者候補は、かつてはまず職人に弟子入りしていました。弟子は従業員ではないため、1日中働いたとしても給料は発生しません。

また職人として十分な技術が身についた後は、個人で仕事を受注し活動します。素晴らしい技術を身につけていても、それが収入につながるという保証はありません。

会社のような組織がなく、安定した収入や暮らしを守る社会保険もない労働環境は時代に合っておらず、後継者候補が現れにくい一因にもなっています

1-2.職人がいなくなると技術も失われる

後継者がいないまま職人が引退すると、技術はそのまま失われます。伝統工芸品は分業制で作っているものも多いため、どこか一つの工程の職人がいなくなると、伝統工芸品そのものが作れなくなる場合もあるでしょう

また伝統工芸品として作り続けられている道具がなくなれば、その道具を使って作る製品も作れなくなります。

例えばしょうゆの醸造に使われる木桶は、消滅の危機に瀕していました。そのまま木桶作りが途絶えれば、木桶仕込みのしょうゆ醸造ができなくなるところだったそうです。

今後このような事例が増えていくかもしれません。中にはそのまま技術がなくなってしまうケースもあるでしょう。

1-3.海外へ販路を求めるケースも

これからも伝統工芸の技術を引き継いでいくためには、より高く売れる販路の開拓が必要です。伝統工芸品の中には、海外への販売を始めているものもあります

手仕事による質の高い伝統工芸品は、海外からの注目度が高まり人気です。刃物の産地では、地域で作っている刃物を同一イメージでアピールしブランド化を行い、さらに付加価値を高めているケースもあります。

2.日本の伝統工芸を承継する取り組み

2.日本の伝統工芸を承継する取り組み

これまで伝統工芸の技術は、職人が弟子に伝え引き継いできました。しかし時代に合わない方法では、後継者候補は集まりません。より多くの伝統工芸を承継するため、新しい取り組みが始まっています。

2-1.後継者育成インターンシップ

伝統工芸に興味を持ち職人を目指したいと思っても、「やってみて向いていなかったらどうしよう」と一歩を踏み出せない人もいるでしょう。そこで職人と後継者候補のマッチングを目的に、後継者育成インターンシップを実施している自治体があります。

本格的に職人の下で学び始める前に実際の仕事を体験すれば、後継者候補は伝統工芸への理解を深められます。後継者候補は自分に合っている仕事か判断した上で本格的に始められ、職人は適性のある人を後継者候補として迎え入れやすい仕組みです。

2-2.伝統工芸に特化した求人サイト

後継者候補として、伝統工芸の弟子やインターンを募集できる求人サイトを利用してもよいでしょう。求人サイトへの掲載は有料のサービスがほとんどです。しかし伝統工芸に特化したサービスなら、職人による掲載は無料の場合もあります

身近なところで後継者候補が見つからないのであれば、求人サイトを使うとうまくマッチングできるかもしれません。

3.伝統的工芸品産業支援補助金の活用

経済産業省では、伝統工芸を発展させるための『伝統的工芸品産業支援補助金』を交付しています。後継者を育成する事業も対象になっているため、伝統工芸の後継者不足を解消する上でも役立つ補助金です。

3-1.伝統工芸の発展を支援する

伝統的工芸品産業支援補助金は『伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)』に基づき、経済産業大臣が指定した工芸品の組合や事業者などの事業の一部を、国が補助する仕組みです。

法律によると、工芸品の中でも、以下の要件に当てはまるものを伝統工芸品として指定すると定められています。

  • 主に日常生活で使われるもの
  • 製造過程の主な部分が手工業的であること
  • 伝統的な技術や技法で作られていること
  • 伝統的に使われてきた原材料を主に使用していること
  • 地域内で少なくない数の者が製造している、もしくは製造に従事していること

単なる工芸品ではなく、伝統を次の世代へつなぐための制度です。

参考:伝統的工芸品産業の振興に関する法律 | e-Gov法令検索

3-2.後継者育成事業の目的や対象経費

補助金の対象となる事業も、伝産法で決まっています。後継者育成事業は伝産法第4条で定められている進行計画に基づく事業の一つです。後継者・従事者育成事業と若年層等後継者創出育成事業に分けられます。

後継者育成事業で補助金の対象となる経費は、研修にかかる以下の費用です。

  • 研修講師謝金・講師旅費
  • 産地外で行う研修旅費
  • 研修教材などの費用

研修教材などの費用にはテキストや材料にかかる費用のほか、後継者候補に支払うアルバイト賃金も含まれます。

参考:伝統的工芸品産業の振興に関する法律 | e-Gov法令検索

4.伝統工芸の後継者を探す方法はある

4.伝統工芸の後継者を探す方法はある

日本の伝統工芸は深刻な後継者不足に陥っています。しかしインターンシップ制度や専用の求人サイトを利用すれば、後継者候補を探せるでしょう。また育成にかかる費用をサポートする、伝統的工芸品産業支援補助金を利用できるかもしれません。

ただし補助金の申請には、通常2カ月以上の期間がかかります。作成する書類も多岐にわたるため、手続きにくわしい弁護士や司法書士へ依頼するとスムーズでしょう。

またマッチングがうまくいき後継者に事業承継を行う段階では、税理士への相談が必要になるかもしれません。税理士法人チェスターでは、相続事業承継コンサルティング部の実務経験豊富な専任税理士が、お客様にとって最適な方法をご提案いたします。

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