事業承継を中小企業が行う方法は?スムーズに進めるための準備も確認
タグ: #M&A事業承継を中小企業が行う上で、どのような方法があるのでしょうか?子どもなど親族に引き継ぐ親族内承継や、従業員や役員が引き継ぐ従業員承継、第三者に売却するM&Aについて確認しましょう。中小企業を取り巻く事業承継の現状も紹介します。
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1.中小企業における事業承継の現状
中小企業の事業承継について詳しく知るために、まずは事業承継の現状について確認しておくと役立ちます。後継者が思うように見つからず、事業承継が進んでいない中小企業は少なくありません。事業承継の種類についても解説します。
1-1.後継者不足により事業承継問題が浮上
『中小企業白書』によると、2022年に中小企業が休廃業や解散に至った案件は、約5万件あったそうです。中小企業が廃業を選択する理由の一つとして、後継者不足があげられています。
2022年の調査では、経営者の年齢層は60~70代が最も多く、これから事業承継の時期を迎える企業が多いと分かります。
後継者不在率は57.2%と、調査開始以来初めて60%を下回る結果ですが、以下の通り60・70代の経営者でも、後継者が決まっていないケースは少なくありません。
経営者の年齢 | 候補者はいるが本人の了承を得ていない | 候補者はいないか未定 |
---|---|---|
60代 | 26.7% | 24.6% |
70代以上 | 20.9% | 12.9% |
このままでは雇用や技術が失われ、日本経済全体に大きな影響を及ぼす可能性も考えられることから、事業承継が重要視されています。
1-2.事業承継の種類
中小企業の事業運営に必要なあらゆる資産を後継者へ引き継ぐことを、事業承継といいます。事業承継の方法として代表的なのは、親族内承継・従業員承継・M&Aの3種類です。3種類の事業承継は、誰が後継者となるかにより分類されています。
- 親族内承継:子どもや配偶者など親族による事業承継
- 従業員承継:役員や従業員など社内の人材による事業承継
- M&A:他社や起業家・ファンドなど第三者への売却により行われる事業承継
どの方法にもメリットやデメリットがあるため、自社や自社を取り巻く状況を見ながら、最適な選択肢を探さなければいけません。
参考:事業承継に必要な準備や引き継ぎ内容は?親族内承継、M&Aの違い
2.子・親族への「親族内承継」
経営者の子どもや配偶者・兄弟姉妹など、親族へ引き継ぐことを親族内承継といいます。周囲の納得を得やすい反面、実力不足や相続問題などのデメリットもありうる方法です。
2-1.親族内承継のメリット
事業承継には社内の役員や従業員はもちろん、取引先・金融機関などたくさんの関係者がいます。全ての関係者を納得させるのは簡単なことではありませんが、子どもや配偶者などの親族による事業承継であれば、周囲の納得を得やすいでしょう。
相続や贈与によって事業に必要な資産を引き継ぐ際に、事業承継税制を活用できるのもポイントです 。条件を満たせば相続税や贈与税の納付猶予・免除を受けられるため、後継者の負担を抑えて事業承継を進められます。
2-2.親族内承継のデメリット
経営者の親族という限られた範囲内で後継者を探すと、経営者としての実力や経験が不十分な人材しか見つからない可能性があります。また十分な実力がある場合でも、経営方針が合わないというケースもあるでしょう。
例えば、時代に合わせた新しいやり方に挑戦したいと考えている後継者と、これまでの体制を継続させたい経営者の間で方向性にずれが生じることで、事業承継がうまく進まない可能性もあります。
近年は、そもそも親族内承継では後継者が見つからないケースが増加中です。後継者となる子どもがいない経営者もいれば、子どもがいても別の仕事をしていて引き継ぐ気持ちがないという場合も珍しくありません。
2-3.親族内承継を進める流れ・準備
親族内承継を行う際には、後継者が引き継ぎやすいよう経営状況を整えておく必要があります。また、完了までには5~10年かかるケースも珍しくありません。事業承継の進み具合を確認できるよう、事前に以下のような計画を立ててから実行しましょう。
- 事業承継の必要性を確認
- 経営状況の現状把握
- 経営状況の改善
- 事業承継計画の策定
- 事業承継の実行
滞りなく進めるには、早い段階で後継者教育をスタートさせましょう。会社によっては、経営者として必要なスキルを身に付けるまでに10年以上かかる場合もあります。
また事業承継は、経営者の持つ自社株式の引き継ぎにより、経営権を移転することで完了します。
経営者の持つ財産が集中することで相続争いが発生するのを避けるため、不公平感が出ないよう財産を分配したり、事前に説明したりしておくことも重要です。
参考:事業承継における親族内承継とは。スムーズな会社の引き継ぎ方
3.新たな才能を見出す「従業員承継」
社内の役員や従業員を後継者にするのが、従業員承継です。企業理念や事業についてよく知っている人材へと引き継げるため、現在の体制を維持しやすいでしょう。ただし資金面が問題となる場合の多い方法でもあります。
3-1.従業員承継のメリット
役員や従業員を後継者とする従業員承継のメリットは、後継者が社風や事業について最初から理解している点です。共通の理解がある上で引き継ぎを行えるため、スムーズに進みやすく、事業承継による混乱が生じにくいでしょう。
経営者としての能力が高いことに加え、他の従業員や取引先から信頼されている人材を選べば、周りからの反発を受けることなく事業承継できます。
3-2.従業員承継のデメリット
デメリットは、変化が難しい点です。現経営者のやり方に慣れ親しんでいる後継者では、経営体制や方針を刷新するのはなかなか難しいでしょう。変化が必要なタイミングに、柔軟に対応できない恐れもあります。
事業承継で経営者から自社株式を引き継ぐために、後継者が多額の資金を用意しなければいけない点もデメリットです。
加えて、企業が金融機関から借りている事業用資金の、保証人にならなければならない場合もあります。負担が大きく、後継者の親族から反対されるケースも少なくありません。
3-3.従業員承継を進める流れ・準備
十分な教育期間を設けるため、後継者を早い段階で選定するのが従業員承継のポイントです。同時に取引先や金融機関などの関係者を訪問する際には後継者とともに訪れ、早い段階で周知しておくとよいでしょう。
従業員承継は、以下のような流れで進めます。
- 経営状況の現状を把握する
- 後継者を選ぶ
- 事業承継計画書を作る
- 後継者の育成と周知を行う
- 株式譲渡で経営権を移す
- 業務を引き継ぐ
参考:事業承継に必須のスケジュール作成。いつ、どんなことを実施するのか
4.「M&A」による社外への承継
親族内にも社内にも後継者が見つからない場合には、M&Aにより他社や起業家への売却を検討するとよいでしょう。従業員の雇用を守れることに加え、自社のノウハウを絶やさず後世に残せます。
4-1.M&Aによる事業承継のメリット
M&Aで事業承継を行うと、後継者が見つからなかった場合にも企業や事業を存続させられます。従業員の雇用を守れるのもメリットです。
売却先が資金力のある企業ならば、事業拡大や成長につながる可能性も期待できます。自社のみでは従業員に提供できなかったスキルアップの機会や、充実した福利厚生を用意できる可能性もあるでしょう。
4-2.M&Aによる事業承継のデメリット
ただしM&Aを決めたからといって、都合よく買い手が出現するとは限りません。買い手候補が現れても条件が合わないケースもあるでしょう。
M&A成立後に買い手が事業方針を変更すれば、離職する従業員が出てくる可能性があるのもデメリットです。
また長年かけて成長させた企業や事業を手放す上では、相当な覚悟も必要となります。
4-3.M&Aを進める流れ・準備
M&Aで事業承継を行う場合の手順は、以下の通りです。
- 相談先を選ぶ
- 買い手を選ぶ
- 買い手企業の決定権者とトップ面談を行う
- 基本合意書を結ぶ
- 買い手による詳細な調査(デューデリジェンス)が行われる
- 最終交渉の内容を踏まえ契約を結ぶ
契約締結までは、買い手と条件を調整しながら進めていかなければいけません。その過程で、買い手による調査であるデューデリジェンスにも応じます。思わぬ負債がないかといった点を、買い手が調べるために行う調査です。
M&Aの手続きには専門知識が欠かせません。自社のみで実施するのは難しいため、信頼できる相談先を見つけておくのが重要です。事業承継専門のプロ集団であるチェスターへ相談するとよいでしょう。
5.早めの準備で余裕のある承継を
スムーズな事業承継には、親族内承継・従業員承継・M&Aのどの方法を選ぶにしても、早めの準備が必要です。後継者への教育だけでも10年程度かかる可能性もあります。どの方法で行う場合でも、余裕を持って取り組むとよいでしょう。
自社に最適な方法で事業承継を行うには、事業承継の実績が豊富なチェスターへ相談し取り組むのがおすすめです。
事業承継についての基礎知識を解説している以下も、ぜひご覧ください。
事業承継とは|経営者が知っておきたい事業承継の基礎知識 – 【相続税】専門の税理士60名以上!|税理士法人チェスター
事業承継・M&Aを検討の企業オーナー様は
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