事業承継に必須のスケジュール作成。いつ、どんなことを実施するのか

事業承継の準備は余裕を持って進めましょう。後継者育成や事業の磨き上げなどは長い時間のかかる取り組みだからです。相続税対策には専門知識も欠かせません。具体的にどのような準備が必要なのか見ていきましょう。

1.事業承継をトラブルなく進めるために

1.事業承継をトラブルなく進めるために

スムーズな事業承継のために重要なのは『早め』の準備です。経営者の年齢や引き継ぐタイミングを意識して進めましょう。準備が遅くなると事業承継が必要になっても後継者がいない事態になりかねません。

1-1.経営者の年齢を意識して後継者を探そう

中小企業庁の調査によると経営者が引退するのは『68~69歳』が多くなっています。引退するタイミングで事業承継を実施し、後継者へ世代交代します。

ただし後継者から見てもそのタイミングがちょうどいいとは限りません。「遅い」と感じる後継者もいるでしょう。経営者の年齢を意識しながら、できるだけ早く後継者を探し始めるのがおすすめです。

参考:第2-2-6図 経営者交代で変化した平均年齢(親族内・親族外)P.235|中小企業庁

1-2.事業承継の準備が遅れるリスク

事業承継には入念な準備が必要です。中小企業庁によると60代の経営者では約5割、70代で約4割、80代でも約3割が後継者不在のまま事業を継続しています。

経営者が健康で事業を続けられるうちは、後継者がいなくても問題ないでしょう。しかし経営者に万が一のことがあったらどうでしょうか?高齢になるほどリスクは高まります

従業員に承継する方法もありますが、そのためには従業員側が会社の株式を取得する資金を用意しなければいけません。想定外の大金をすぐに用意するのは難しいでしょう。

後継者が決まっていたとしても、教育や体制の整備が必要です。事前の準備ができていなければ承継したくてもできなくなってしまいます。

参考:第1-3-24図 社長の年齢分布|中小企業庁

2.事業承継の5~10年以上前から準備を開始

2.事業承継の5~10年以上前から準備を開始

準備はできるだけ余裕を持って行い、引退しようと考えている時期の『5~10年』前には動き出しましょう。資産の把握や後継者探しなど、やるべきことが多いため時間が必要です。

2-1.引き継ぐ資産の把握

事業承継の準備を進めるとき、まず行うのが『資産』の把握です。資産というと『株式』や『不動産』などを思い浮かべるかもしれませんが、他に『技術力』や『顧客データ』『企業理念』なども含みます

特に企業理念や組織構造のような知的資産は形がないため、経営者・後継者ともに意識しづらい部分です。見えにくいところを意識することがスムーズな事業承継に役立ちます。

加えてマイナスの資産も考慮しなければいけません。負債があっても適正な範囲内であれば問題ないでしょう。しかし過度な負債であれば後継者に負担をかけてしまいます。

また帳簿にのらない『簿外債務』も確認しましょう。整理できる負債は承継前になくしておきます。

2-2.事業承継の方法、後継者候補を検討

代表的な事業承継の方法は主に3種類です。子どもや兄弟姉妹など親族に事業を引き継ぐ『親族内承継』は3種類の中で最も大きな割合を占めます。社内の従業員や取引先にも比較的受け入れられやすいでしょう。

ただし近年では価値観の変化も相まって減少傾向です。『親族外承継』では優秀な従業員を後継者とするケースが多いでしょう。

会社の事業や業務内容はもちろん、風土まで理解している後継者に任せられる点はメリットですが、資金面でうまくいかないケースもあります。

広く後継者を探せるのは『M&A』です。事業を存続させつつ、経営者は譲渡対価として現金を得られます。

3.「継ぎたい」と思われる会社に磨き上げる

3.「継ぎたい」と思われる会社に磨き上げる

後継者にとって魅力的な会社になるよう、磨き上げも意識するとよいでしょう。正しく現状把握した上で、事業の競争力を高めることが重要です。

3-1.経営体制について現状分析をする

磨き上げるには『現状把握』が不可欠です。強みを生かし弱みをカバーするには、客観的にどのような状態か知らなければいけません。

事業はもちろん組織体制や経営計画など、会社のさまざまな面を分析します。例えば経費がかかり過ぎていて利益率を押し下げていると分かれば、経費削減を進められるでしょう。

経営者主導の経営に偏っていると判断したなら、従業員に経営に参画してもらう体制作りで解決できるかもしれません。

3-2.本業の競争力をつける

今後も発展が見込める事業であれば、後継者に「継ぎたい」と思ってもらえるでしょう。そこで本業の『競争力』を高める取り組みも欠かせません。

単に質のよい製品やサービスの提供を目指すだけでなく、ブランドイメージ・知的財産・営業のノウハウなどを高めましょう。商品やサービスのブランドイメージが上がれば売上が増えます。

さらにノウハウの活用で利益向上を目指せるかもしれません。株主や金融機関などと良好な関係を築けていれば、スムーズに資金提供してもらえる可能性もあります。

4.事業承継計画を作成する

4.事業承継計画を作成する

事業承継は長い期間をかけて計画的に進めましょう。『事業承継計画』を作成しスケジュールを組んでおくと、事業承継がスムーズに進んでいるか確認する目安になります。

4-1.作成の適切なタイミングは決算後

事業承継計画を作成するなら『決算後』が最適です。計画の策定には株式の評価が欠かせません。決算後なら株式の時価総額が分かるため、計算の手間を省けます。

決算後は事業計画も見直す会社が多いはずです。このタイミングで事業承継計画を作れば、最新の事業計画にもとづいた内容で作成できます

1度作ってそのままにしておくと、事業承継計画は現状に合わないものになってしまうでしょう。決算ごとに進捗確認と計画の見直しをするのもポイントといえます。

4-2.事業承継時期に合わせてスケジュールを組む

準備のスケジュールは承継の時期に合わせて決めましょう。後継者育成計画であれば、下記のように段階的に権限移譲する計画を立てます。

  • 1年目:取締役
  • 3年目:常務
  • 5年目:専務
  • 6年目:副社長
  • 10年目:事業承継

同時に社内の各部門を経験できるよう配属先を決定するとよいでしょう。事業の全体像や現場で行われている業務の理解に役立ちます。

現場感覚をつかむと同時に、従業員との良好な関係性作りを通して後継者としての支持を得られるはずです。

5.親族内承継の場合

5.親族内承継の場合

親族内承継を行うときには、相続税や贈与税の対策が必要です。後継者以外の相続人との間に、財産をめぐってトラブルが発生する可能性もあるでしょう。対応に専門知識が必要な部分も多いため、専門家の活用がポイントです。

5-1.相続税、贈与税の対策が必要となる

経営者が親族へ事業承継するときには『相続税』や『贈与税』の対策が欠かせません。中小企業では経営者自身の名義で事業用資産を保有しているケースが多いからです。

年間110万円まで非課税の暦年課税で資産を移動しつつ、承継のタイミングには相続時精算課税制度で一気に自社株を後継者へ移します。相続税や贈与税の納税猶予を受けられる『事業承継税制』の活用も検討するとよいでしょう。

円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式などを、相続や贈与で引き継ぐときに利用できます。後継者がさらに次の世代へ事業承継するときに、納税の免除を受けられる制度です。

5-2.他の相続人とのトラブル対策を講じる

事業用の資産を後継者へ相続・贈与させると、他の相続人から『遺留分』を主張されるかもしれません。遺留分とは一定の条件を満たす相続人に保証される、最低限の遺産相続分のことです。

遺留分は法律で認められている権利ではありますが、請求されるとスムーズな事業の運営に支障をきたすかもしれません。この問題に対処するには経営承継円滑化法の『遺留分に関する民法の特例』が役立ちます。

特例を利用するには要件を満たし、推定相続人全員の合意を得ましょう。その上で経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可を受けます。

専門的な知識が必要で失敗できない手続きのため、専門家の活用がおすすめです。

5-3.積極的に専門家の活用を

親族への事業承継では会社の株式を後継者が引き継ぎます。このとき自社株の相続対策に詳しい税理士へ相談すると、役立つアドバイスを受けられるはずです

『事業引継ぎ支援センター』や『事業引継ぎ相談窓口』へ相談してもよいでしょう。事業承継に関して分からないことを基本的に無料で相談できます。相談内容に適した専門家を紹介してくれるかもしれません。

6.スムーズな事業承継には準備期間が重要

6.スムーズな事業承継には準備期間が重要

事業承継はしようと思ってすぐにできるものではありません。入念な準備をしなければ、計画はうまく進まないでしょう。実際に事業承継をするまでは5~10年を目安に考えておきます

その間に後継者の教育はもちろん、社内の体制整備や資産の整理が必要です。実際に承継の際には、相続税や贈与税の問題も出てきます。

中には相続人間でトラブルが発生するケースもあるでしょう。スムーズな事業承継のためには、税理士などの専門家を活用するのがポイントです。

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相続税の申告相談なら【税理士法人チェスター】

『事業承継』について全般的な知識を得るには下記の記事もご覧ください。

事業承継とは|経営者が知っておきたい事業承継の基礎知識|相続大辞典|相続税の申告相談なら【税理士法人チェスター】

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