相続税の節税をしよう! 事業承継対策を専門の税理士が分かりやすく解説

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自分が経営する会社の自社株式を後継者に譲りたいが、贈与の時や相続の時に後継者にかかってくる相続税や贈与税が心配だとお悩みではないでしょうか。一体いくら相続税や贈与税がかかるのか、またその相続税や贈与税を節税する方法はないのか、ということをここでは事業承継専門の税理士が徹底的に解説します。

適切な事業承継対策を早い段階から行えば、非上場株式の相続税評価上の株価を引き下げ、確実に相続税や贈与税の節税を行うことが可能です。では、詳しく見ていきましょう。

1.事業承継対策とは

一口に事業承継対策と言っても、大きく2つの意味があります。
1つは、「後継者問題」。後継者を誰にするのか、後継者をいかにして経営者として育成するか。いわば、「ヒト」の問題です。

もう1つは、「相続税に関する問題」。事業を承継するということは、経営する会社の所有権を後継者に譲るということです。多くの場合、非上場会社の株式を譲るということになりますが、この株式には当然財産的な価値がありますので、相続税が課税されることになります。この非上場株式というのは、基本的に現金化できないため、株式の相続税評価が高くなってしまうと納税資金が不足してしまうという点が問題になってきます。

これら2つの問題を生前に対策をしましょうというのが事業承継対策ですが、ここでは後者の「相続税に関する問題」を取り上げています。

2.事業承継に関するオーナーの悩みは大きく3点

①銀行が提案する事業承継対策は本当に正しいのか?

事業承継の対策を提案してくれる筆頭として取引銀行が挙げられます。銀行には様々なサービスや機能がありますので、融資等で身近な存在である銀行から事業承継対策の提案を受けることは多いでしょう。また会社のこともよく分かっている取引銀行であれば、会社の事業存続をサポートするのは自然な流れだといえます。

一方で銀行も事業承継の専門家が多数在籍しているわけではありませんので、事業承継対策を取り巻く法律や税金等の専門領域のアドバイスという側面からは少し弱い部分があります。この点大手銀行であれば提携している税理士事務所や法律事務所から税理士や弁護士といった専門家を紹介してもらえることもありますので、紹介を受けた専門家と面談をしてフィーリングがあえば相談を前向きに進めることが可能です。

ただし銀行のビジネスの視点に立った場合には、ケースによっては融資を絡めたスキーム提案(持分会社方式等)に偏重しがちな側面が前面に出る可能性もありますので、独立性のある専門家のアドバイスは重要でしょう。

②顧問税理士が事業承継や相続のアドバイスをしてくれず心配

相続や事業承継のアドバイスという観点からは、会社を長年見てきた顧問税理士が頼りになると考えられますが、なかなかそうもいかないのが現実です。これは税理士にも医者と同様に専門分野があり、特に事業承継の分野を得意としている税理士が少ないことが理由として挙げられます。

ただ顧問税理士がいるにも関わらず、他の税理士に相談に行くのは気が引けるという声もよく耳にします。
それでも風邪を引けば内科、手術の時は外科に行くように、相談先をしっかりと選別することが重要でしょう。

税理士法人チェスターのように顧問税理士と連携して、セカンドオピニオン的な立場から事業承継の相談に対応してくれる会計事務所もあります。

今の顧問税理士さんがあまり相続税や事業承継のアドバイスをしてくれないということであれば、事業承継に強い税理士に相談するとよいでしょう。

③会社の経理担当や従業員に任せているが進展がなく不安

本業が忙しく、事業承継のことを考えている暇がないというオーナーさんの中には会社の従業員の中で信頼できる人や経理の番頭さんのような立場の人に事業承継対策の取り仕切りを任せている人もいます。

ただ自分で対応しないだけに事業承継という重要ミッションを任せっきりにしていいかどうかと不安に思うことも少なくないでしょう。やはりそういった時でも社内のリソースだけで解決の糸口を探るのではなく、外部の事業承継のプロにも相談して進めていくことで任せているオーナーも安心することができます。

事業承継に強い専門家の選び方は、インターネットで「事業承継対策 税理士」といったワードで検索することで探すことができるでしょう。この記事の執筆者である税理士法人チェスターも事業承継に強い会計事務所です。

3.まずは後継者問題の道筋をつけることが大切

事業承継対策と聞くと税金面での対策を想定する人が多いと思いますが、本当に大切なことは「会社を誰に継がせるのか?」を決めることです。

この会社を誰に承継させるかについては、主に3つの選択肢があります。

  1. 親族に承継させる(親族内承継)
  2. 従業員等の親族外の者へ承継させる(親族外承継)
  3. M&A

また会社を継がせるということは、会社の株式の議決権割合を少なくとも2/3以上を譲る(売却、贈与)ということを意味します。株式会社は法的には株主が議決権割合に応じて重要な意思決定を行う権利を持つため、2/3以上の議決権を後継者が確保してはじめて支配権が移動したことになるのです。

この会社を誰に継がせるのかという方針を決めながらも、いずれ来る事業承継に備えて、自社株の評価が下がるタイミングでの対策、事業用資産の整理、オーナー経営者の税務対策を行っていく必要があります。そして何より、事業自体を一層魅力的に磨き上げ、成長させていくことも必要でしょう。

4.相続税や贈与税のことはまず事業承継税制の特例(非上場株式に関わる納税猶予)の適用を検討しよう!

2018年の税制改正で使いやすくなった事業承継税制の特例があります。これは後継者が非上場株式を先代経営者から取得し、その会社の経営を引き続きしていく場合には、承継する非上場株式の相続税や贈与税の納税が100%猶予されるという制度です。事業承継時の贈与税や相続税負担が0円となる非常に節税インパクトが大きい特例制度となっていますので、この特例を知らなかったという人は次の記事でしっかりと理解しておきましょう。

参考記事:自社株を無税で承継!事業承継税制の平成30年改正ポイント

事業継続税制は、生前に自社株を贈与する場合、相続発生後に自社株を相続させる場合、共に利用が可能ですので承継時期に応じて選択するようにしましょう。

この事業承継税制の注意点は納税が免除されるわけではなく「納税猶予制度」であるという点です。
次の事業継続要件を満たさなくなった場合には、納税猶予されていた相続税や贈与税を利子税と共に一括納付しなければならないため注意が必要です。

<事業継続のための主な要件>
  • 自社株式承継後に、譲渡等しないこと
  • 後継者が承継後も引き続き代表権を持ち続けること
  • 資産管理会社に該当しないこと(従業員が5名以上いる場合はOK)

このため事業承継の税金を考えていく上では、「事業承継税制を適用するかどうか?」を慎重に判断する必要がありますが、通常の自社株式の評価が下がるタイミングでの対策を行った方がいいか、事業承継税制を適用するかの判断は税金の専門的な知識や経験が不可欠ですので、事前に税理士に相談するとよいでしょう。

参考:国税庁(No.4439 非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例等)

5.自社株式の株価が下がるタイミングについて

事業承継対策のうち「相続税や贈与税に関する問題」を解決するためには、非上場株式の相続税評価が下がるタイミングが重要です。

これは後継者が決まった後、実際に現オーナーから後継者へ自社株式を贈与もしくは相続する際に自社株式の評価額に応じて贈与税や相続税が後継者にかかってしまうためです。特に自己資本が厚い優良な中小企業の自社株式の相続税評価額は高額になる可能性が高いため後継者に多額の税負担が生じてしまうのです。

非上場株式の相続税評価はどのようにすれば下がるのか、これを理解するには非上場株式の相続税評価を簡単に知る必要があります。

非上場株式の評価は、「会社の純資産」「会社の利益」「会社の配当」、この3つの要素で決まります。
つまり、これら3つの要素が数字上で下がれば株価は下がります。この3つの要素の中でも最も即効性が高く実効性があるのが、会社利益が下がることです。詳しい解説はここでは省略しますが、利益が減ることで自社株式の相続税評価額が下がりますので、相続税や贈与税の節税効果が高くなります。利益が減るタイミング対策としては例えば、以下のようなものがあります。

  • 損金性の高い生命保険に加入し利益を圧縮
  • 含み損失を抱えた資産の売却・除却で利益を圧縮
  • 航空機リース(オペレーティングリース)等で利益を圧縮
  • 役員退職金で利益を圧縮
  • 投資不動産の購入で資産及び利益の圧縮
  • 複数事業を行っている場合に、高収益部門を営業譲渡する
  • 合併・会社分割等の組織再編
  • 持ち株会社方式を活用した対策

こういった自社株式の相続税評価額を引き下げる対策は複数あり、またその対策内容も専門性が高く複雑です。
どの対策をとるべきかは、会社の規模や事業内容、事業承継の方法によっても千差万別である点も事業承継の節税対策が難しくなる一つの要因となっています。

また税の専門家である税理士でも事業承継の分野は専門性が高く経験も必要になるため、有効なアドバイスがなかなかできていないという現状があります。こうした背景から顧問税理士がいたとしても事業承継や相続の問題は別途専門の税理士に相談した方がよいと言われています。

6.株価が下がっていたらやるべきことは1つ

前述の方法で、株価が下がったタイミングでやるべきことは1つです。その株式を後継者へ贈与若しくは売買で移転をさせます。評価額や移転株数にもよりますが、贈与税を支払って贈与するケースや相続時精算課税制度を使って贈与するケース、また子供が設立した会社に銀行から融資を受けて買い取るケース等が想定されます。

この後継者への自社株式の移転方法も複数あり、専門家の助言が必要です。
特に上記の相続時精算課税制度を使って贈与するケースについては、贈与時と相続時の株価によっては節税にならない可能性もあります。
相続時精算課税制度については、下記の記事に事業承継と併せた活用方法も解説しています。

相続時精算課税制度とは?必要書類・手続きなどをわかりやすく解説!

自社株式の移転を終えて、はじめて事業承継対策が完了です。

7.事業承継対策は誰にお願いしたら良い??

ここまで事業承継対策の話を書いてきましたが、いざ事業承継対策を進めようという際に色んな事業者がいて、誰に相談すればよいのか分からないという方も多いと思います。まずは事業承継対策で登場する相談先をみてみましょう。

<事業承継の相談先>
  • 銀行
  • 証券会社
  • 税理士
  • 弁護士・司法書士
  • M&A仲介会社
  • コンサル会社

このように事業承継対策の相談先としては複数あります。さらにそれぞれの相談先の長所・短所を見ていきましょう。

相談先長所短所
銀行
  • 融資を絡めた対策の際に頼りになる
  • 取引銀行であれば決算内容等を含めて会社のことをよく理解してくれている
  • 対策内容が融資重視に偏重しがち
  • 税理士等の専門家が外注のケースも多い
証券会社顧客の資産を守るために専属コンサルタントのように柔軟に動いてもらえる
  • 事業承継対策がメインのサービスではない
  • 税理士等の専門家は外注のケースも多い
税理士
  • 節税対策の提案をしてもらえる
  • 自社株移転時の税金のアドバイスをもらえる
顧問税理士を含め、事業承継に詳しい税理士は少ない
弁護士・司法書士係争対策や自社株の承継についての法的な側面からのアドバイスが可能税金面の視点に弱みがある
M&A仲介会社M&Aを決めている会社にとっては良き相談先となるM&Aをすると決めていない場合に、事業承継対策全般の相談先としては弱い
コンサル会社幅広い視点で事業承継対策全般の助言をもらえる税理士や弁護士といった専門家は外注のケースも多い

上記表からも分かるように、それぞれの相談先で一長一短ある状況です。

そこで大切な視点は2点あります。

7-1.事業承継対策の相談先を選ぶ上で大切な2つのこと

①事業承継対策を専門にしているか?

事業承継対策と一口にいっても、本記事で紹介してきましたように、「経営、税金、法律等」幅広い領域で専門性が必要となります。だからこそ事業承継対策の専門家や経験値が重要となってきます。まずは相談先が事業承継対策において十分な経験や人材を有しているかどうかを確認しましょう。

②担当者のレベルと相性

次に事業承継対策を進める上で重要なことは、「担当者のレベル」になります。いくら事業承継対策に強みがある相談先でも、実際に担当してくれる人のレベルには差があり、また相性が合わないといったこともあります。

そこでいくつかの相談先に的を絞り、実際に担当してくれる担当者と話をして、相談したいと思える人がいる相談先を事業承継対策の支援先として選ぶとよいでしょう。

7-2.お勧めの相談先は税理士

事業承継対策では自社株を後継者へバトンタッチする際に多くのケースで贈与税、相続税、譲渡所得税といった税金の問題が発生します。このためどの相談先でも税理士が登場することが多いのが事業承継対策の特徴です。

また顧問税理士がいる場合でも事業承継対策の分野には詳しくないことも多いため、外部の専門税理士に相談することが一般的になってきています。
そうはいっても、顧問税理士以外の税理士で誰に相談すればよいか分からないという人も多いと思いますので、本記事の運営者である税理士法人チェスターが中小企業向けに提供している「簡易事業承継無料診断サービス」のようなものを利用して相談にいくというのもよいでしょう。

次の章ではこの「簡易事業承継無料診断サービス」についてご紹介します。

8.「簡易事業承継無料診断サービス」を利用してみよう

本記事の執筆者である税理士法人チェスターでは、相続・事業承継で頭を悩ませている中小企業向けに特別プランとして「簡易事業承継無料診断サービス」を行っております。

これは「何から手を付ければいいか分からない」という中小企業オーナーが納得かつ安心して事業承継を進めていただけるように提供しているサービスであり無料で行っています。お申し込み時にご提出いただく資料を元に、まずは会社の自社株評価の簡易算定を行います。そこから会社が抱えているであろう問題点を抽出し、具体的な対策プランを提案しています。

簡易事業承継無料診断サービスとは

簡易事業承継無料診断サービスの流れ

9.まとめ

このような事業承継対策は、経験が豊富な専門家と連携して対応するべきものですが、残念ながら現在の日本には相続や事業承継に強い専門家は僅かしかいません。一方、日本の多くのオーナー経営者が引退時期を迎え、事業承継対策は待ったなしの状況です。だからこそ事業承継対策は経験豊富な専門家に相談すべきであるといえるでしょう。本記事を参考にして頂き、是非事業承継対策を進めてもらえればと思います。

 

10.事業承継対策ならチェスターへ

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詳しくは、事業承継サービスHPをご覧ください。

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