相続放棄したら代襲相続は起きる?借金を背負いたくない人は注意

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相続放棄をしたら代襲相続をすることになるのか、もし代襲相続をするとなると誰が財産を背負うことになるのかわからないとお思いではないでしょうか。

最初に結論を言いますと、相続放棄しても代襲相続は起こりません。
あなたが相続放棄をしても子や孫に借金が相続されることはありません。

では誰に相続権が移るかというと、親や兄弟に移ります。

しかし問題は、借金の相続する権利が移っても、相続放棄した人から連絡がなければわからず「いつの間にか」借金を背負うといった事態になります。

相続放棄と代襲相続の正しい知識を身に着けてあなたはもちろん、あなたの親族に借金を背負わせないように注意するべきことを学んでください。

1.相続放棄しても子や孫に代襲相続はされない

多くの方が誤解されていますが、相続放棄した人の子や孫に代襲相続はされません。

代襲相続とは本来相続人であるべき人が先に死亡していたら『代わってその子が相続人になる』というものです。

代襲相続とは

例えば祖父・父・子の三人の場合を見るとわかりやすいと思います。
父は平成10年に死亡しており、祖父が平成25年に死亡。
祖父の相続人には『本来、父がなるはず』でしたが他界しています。
そこで子が父に変わって相続人となります。

繰り返しになりますが、相続放棄をしても代襲相続は起きないため借金が孫に引き継がれることはありません。

2.相続放棄は親・兄弟の順番で相続権が移る

相続放棄をしたら相続の権利がどこへ行くかといいますと下記の順で権利が移っていきます。

1.父母(祖父母)
2.兄弟姉妹

ここでいう父母、兄弟姉妹とは被相続人(死亡した方)の父母と兄弟です。

詳しくは図を見ながらご説明していきます。

相続放棄した後の相続権の移行の順番

① 最初は配偶者と子が相続する
最初に相続をするのは、法定相続人である配偶者と3人の子です。

【孫1】が相続人になっているのは、【子1】が【父】よりも「前」に死亡し代襲相続が起こったためです。

配偶者・子(孫)が、全員相続放棄をすると、親に相続権が移ります。

② 父母・祖父母が相続権を得る
最初に相続する権利を得る①の配偶者、子(孫)の全員が相続放棄をした場合、相続権は父母・祖父母に移ります。

父母・祖父母全員が相続放棄をする・もしくは既に全員死亡して生存していない場合、相続権は兄弟姉妹に移ります。

③兄弟姉妹が相続権を得る
父母も相続放棄、または既に死亡していた場合は、兄弟姉妹が相続人になります。

もし兄弟姉妹が被相続人(死亡された方)よりも先に死亡していた場合は、兄弟姉妹の“子”が代襲相続をします。

兄弟姉妹またはその子が全員相続放棄をしたら、誰も相続をする人がいないので相続権が消滅します。
このように相続の対象となる利害関係者全員が相続放棄をすることで、誰も借金を背負わなくてもすむのです。

3.誰も被害を受けない相続放棄をするためにやるべきこと

見てきましたように、相続放棄したら順を追って相続権がある人にわたっていきます。

最大の注意点は相続放棄をしても、次に相続権を得る人は相続したと知らないということです。

そのため相続放棄した場合にやるべきことは、死亡された方の親・兄弟に「知らせる」ことです。

もう一度先ほどの図を見ながら例を見てみましょう。

相続放棄した後の相続権の移行の順番

もしあなたが①の子に当たる立場で1億円の借金を相続したとします。

「自分は相続放棄をして借金がなくなったからよかった」と胸をなでおろしていてはいけません。

次に相続権を引き継ぐ親・兄弟は、借金を相続したことを知る手段はありません。
そのため「いつの間にか」借金を相続していては恨みを買います。

相続放棄をする際には、必ず相続放棄した旨を知らせましょう。

また、相続放棄は相続発生から3ヶ月以内に手続きをしなければいけないので、親族間で密な連絡を取り合い手続きを行いましょう。

4.相続放棄の手続きは必ず専門家に!

相続放棄をしたら相続放棄をした人の子供や孫への代襲相続は起こらず、死亡された方の父母から兄弟姉妹へと相続権が移ります。

代襲相続は相続人になるべき人が既に死亡していた場合に起こるもので、話が混ざってしまいがちですが相続放棄とは別です。

借金の相続放棄をあなたがする場合は、親族に前もって連絡をしましょう。

また親族が相続放棄をしたことを知らずにいつの間にか借金を背負っていたということがないように連絡を取り合って相続で苦労しないようにしてください。

相続放棄の手続きを失敗すると、自分だけでなく親族に思わぬ借金を背負わせてしまう可能性もあります。心配な方は、専門家に相談することをお勧めします。相続手続専門の司法書士法人チェスターへ相談してみては如何でしょうか。

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