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「復氏届」で夫の死亡後に苗字を旧姓に戻すことができる

夫の死後は旧姓に戻したい!「復氏届」で夫の死亡後に旧姓に戻すことができる

復氏届とは、結婚のときに姓を変えた人が配偶者の死亡後に旧姓に戻すための手続きです。

たとえば夫が死亡して妻が残された場合は、婚姻関係は終了しますが妻の姓は変わりません。旧姓に戻したい場合は、復氏届を提出することで結婚前のもとの姓に戻すことができます。

この記事では、復氏届の提出方法と提出する場合の注意点などをご紹介します。

(結婚したときは夫か妻のどちらかの姓を名乗ることになっていますが、妻が夫の姓を名乗ることが大半です。この記事では夫の死亡後に妻が旧姓に戻すことを前提にお伝えします)

1.復氏届で旧姓に戻す手続き

復氏届は、本籍地または住所地の役所に用紙を提出するだけで手続きができます。
提出すると旧姓に戻るだけでなく、戸籍も亡くなった夫とは別々になります。
一方、遺産相続や遺族年金で不利になることはありません。

1-1.復氏届は本籍地または住所地の役所に提出

復氏届は、夫が死亡して残された妻が、自身の本籍地または住所地の役所に提出します。

夫の死亡届を提出した後であればいつでも提出でき、期限はありません。
夫の親族の同意や家庭裁判所の許可などは必要なく、自分の意思だけで提出することができます。

復氏届の提出方法

届出人 亡くなった人の配偶者
提出先 届出人の本籍地または住所地の市区町村役場
手数料 なし
必要書類 復氏届、戸籍謄本(本籍地以外で届け出る場合に必要)
印鑑(認印でもよいがスタンプ印(シャチハタ)は避ける)
提出期限 配偶者の死亡届を提出した後であればいつでもよい
(死亡した配偶者が外国人であれば3か月を過ぎると家庭裁判所の許可が必要)

復氏届の記入例(用紙は提出先の市区町村役場の窓口で入手できます)

復氏届の記入例
札幌市役所ホームページに掲載の様式をもとに作成)

1-2.結婚前の戸籍に戻るか新しい戸籍を作るかを選択

復氏した後に入る戸籍は、結婚前のもとの戸籍に戻るか新しい戸籍を作るかの選択になります。どちらか一方を選んで復氏届用紙の「復氏した後の本籍」の欄に記入(チェック)します。

結婚前の戸籍か新しい戸籍どちらか選択

ただし、次のような場合は新しく戸籍を作ることしかできません。

  • 結婚前のもとの戸籍に誰も残っていない場合
  • 子供を同じ戸籍に入れたい場合

両親が死亡して兄弟姉妹が全員結婚(または死亡)した場合は、戸籍から誰もいなくなってしまいます。構成員が誰も残っていない戸籍は戸籍そのものが除籍されるため、復氏してその戸籍に戻ることはできません。

また、子供を同じ戸籍に入れたい場合も新しく戸籍を作る必要があります。
戸籍は一組の夫婦と未婚の子供で構成することとされていて、祖父母・親・子供のように三代にわたる構成は認められません。

(子供を同じ戸籍に入れるには別途手続きが必要です。詳しくは「2-2.【注意点2】子供の姓は変わらない」でお伝えします)

1-3.戸籍から婚姻歴が消えるわけではない

復氏届を提出すると、妻は入っていた戸籍(亡くなった夫の戸籍)から除かれます。
除かれるといっても戸籍の記載が消されるわけではなく、戸籍から除かれたことが記載されます。

もとの戸籍に戻った場合も新しい戸籍を作った場合も、復氏届で旧姓に戻した後の戸籍には亡くなった夫の戸籍から移ってきたことが明記されます。姓をもとに戻したからといって、亡くなった夫との婚姻歴が戸籍から消えるわけではありません。

1-4.相続と遺族年金で不利にならない

復氏届を提出して旧姓に戻っても、妻は亡くなった夫の遺族であり相続人であることには変わりありません。

したがって、夫の遺産を相続することができ、相続した遺産を返す必要もありません。
遺族年金をもらう権利もそのまま継続し、復氏届の提出が原因で遺族年金の支給が打ち切られることはありません。

夫が残した借金を引き継ぎたくない場合は、死亡から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄を申し立てる必要があります。復氏届を提出しただけでは相続を放棄したことにはならないため注意しましょう。

2.復氏届提出の注意点

復氏届を提出すると旧姓に戻って死亡した配偶者の戸籍から離れることになりますが、それだけでは手続きとして不十分な場合があります。

復氏届を提出しても夫の親族との関係は続いたままです。
正式に縁を切るには「姻族関係終了届」を提出する必要があります。
また、復氏届で姓と戸籍が変わるのは届け出をした本人だけにとどまります。
子供の姓や戸籍を変える場合は別途手続きが必要です。

2-1.【注意点1】夫の親族との縁は切れない

復氏届を提出しただけでは、亡くなった夫の両親や兄弟姉妹・親戚との関係は解消されません。

亡くなった夫の親族との関係を法的に解消したい場合は、「姻族関係終了届」を提出します。手続きは復氏届と同様で、届出人の本籍地または住所地の市区町村役場に届け出ます。期限はなく、夫の親族の同意は不要です。

姻族関係終了届の手続き方法と注意点については、下記の記事で詳しく解説しています。

「姻族関係終了届」で夫の死後に姑との親族関係を終わらせることができる

2-2.【注意点2】子供の姓は変わらない

復氏届で姓と戸籍が変わるのは届け出た妻本人だけです。
亡くなった夫との間に子供がいる場合は、子供は夫の戸籍に残ったままになり、母親と子供で戸籍と姓が異なる状態になります。

子供を新しい戸籍に入れる場合は復氏届提出後に子供の入籍届を提出する

子供の姓を変更して自分の新しい戸籍に入れたい場合は、次の2つの手続きが必要になります。

  • 「子の氏の変更許可申立書」を家庭裁判所に提出して許可を受ける
  • 市区町村役場に「入籍届」を提出して子供を戸籍に編入する

これらの手続きは子供本人がすることになっていますが、15歳未満であれば親など法定代理人が手続きをします。

子の氏の変更許可申立書の提出方法

届出人 子供(15歳未満であれば親など法定代理人)
提出先 届出人の住所地の家庭裁判所
(参考:裁判所|裁判所の管轄区域
手数料 800円、連絡用の郵便切手(家庭裁判所によって必要な金額は異なるが数百円程度)
必要書類 申立書、子供と父・母の戸籍謄本

入籍届の提出方法

届出人 子供(15歳未満であれば親など法定代理人)
提出先 届出人の本籍地または住所地の市区町村役場
手数料 なし
必要書類 入籍届、戸籍謄本(本籍地以外で届け出る場合に必要)、家庭裁判所の審判書の謄本
印鑑(認印でもよいがスタンプ印(シャチハタ)は避ける)

復氏届の提出や子供の姓の変更については、子供が15歳未満であれば母親自身の意思だけで手続きができます。しかし手続きをするかどうかは、一度子供の気持ちになって考えることも大切です。親の事情を知らない子供にとっては、母親と姓が違ったり姓が突然変わったりすることに戸惑う場合もあるでしょう。

3.復氏届提出のデメリット

復氏届を提出することに、法律や制度面でのデメリットはほとんどありません。
しかし、一方的に旧姓に戻して戸籍を抜けることで、家族関係に悪い影響が及ぶかもしれません。旧姓に戻ることで、数多くの氏名変更手続きも必要になります。

3-1.【デメリット1】夫の親族の心証を害することも

復氏届は残された妻だけの意思で提出することができますが、一方的に姓をもとに戻して戸籍を抜けることで夫の親族の心証を害することは十分考えられます。

夫の親族との縁が切れるわけではありませんが、経済的な援助を受けていた場合は感情的な対立を生むかもしれません。また、子供は亡くなった夫に代わって義理の両親の相続人になるため、遺産相続のトラブルが子供に降りかかる可能性もあります。

以前から仲が悪くどうしても縁を切りたいのであれば仕方がありませんが、復氏届で家族関係にどういった影響が及ぶかも考えてみる必要はあるでしょう。

3-2.【デメリット2】氏名変更の手続きが大変

復氏届で旧姓に戻した場合は、銀行の口座や健康保険証など、ありとあらゆるものの氏名変更手続きが必要になります。結婚するときにも氏名変更の手続きはあったかもしれませんが、結婚をして生活基盤を築いていく中で氏名変更手続きが必要なものは増えているでしょう。

主な氏名変更手続きは以下のとおりですが、他にも勤務先など必要に応じて手続きをします。子供の姓を変更した場合は、子供の氏名変更手続きも必要になります。

復氏した後で行う主な氏名変更手続き

手続きが必要なもの 手続き先
運転免許証 警察署または運転免許センター
パスポート 都道府県のパスポートセンター
国民健康保険証
マイナンバーカード
市区町村役場の窓口
遺族年金 市区町村役場の窓口または年金事務所
預金口座
証券口座
各金融機関
クレジットカード カード会社
生命保険
火災保険
自動車保険
各保険会社
電気・ガス・水道
電話(固定・携帯)
各事業者
不動産登記 法務局
自動車 普通自動車:運輸支局または自動車検査登録事務所
軽自動車:軽自動車検査協会

4.まとめ

ここまで、復氏届の提出方法と提出する場合の注意点をご紹介しました。

復氏届を提出して旧姓に戻しても、相続権や遺族年金の受給権がなくなることはありません。ただし、配偶者の親族との家族関係は変わらないことに注意が必要です。
子供がいる場合は親子で姓と戸籍が異なるようになるため、必要に応じて子供の姓を変えて戸籍を移す手続きをします。

復氏届の手続きそのものは簡単ですが、注意点やデメリットなども踏まえて提出するかどうかを考えましょう。判断が難しい場合は、夫婦問題を扱う相談機関や弁護士、司法書士、行政書士などに相談することをおすすめします。

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