故人の財産調査が必要な3つの理由と具体的な方法を徹底解説!

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故人の財産調査が必要な3つの理由と具体的な方法を徹底解説!

家族が亡くなって葬儀が終わると、相続手続きを始めなければなりません。相続放棄の申し立ては3か月以内、相続税の申告は10か月以内といった期限があるため、できるだけ早く手続きを始めることが重要です。

相続手続きを始めるためには、故人がどのような財産をどれぐらい持っていたかを調べなければなりません。生前に財産目録や遺言書を準備している人もいますが、ほとんどの人はそのようなものを準備しないまま亡くなります。財産目録や遺言書があっても、そこには載っていない財産がある可能性もあります。

この記事では、亡くなった人の財産を調査する具体的な方法をご紹介します。財産だけでなく借金や債務保証を調べる方法もお伝えします。

1.相続手続きは故人の財産調査から始まる

相続手続きを始めるためには、故人に財産がどれぐらいあったかを調査します。財産調査と並行して誰が相続人になっているかを確認する必要もあるため、効率よく進めたいものです。

1-1.故人の財産調査が必要な3つの理由

相続で故人の財産調査が必要な理由は、主に次の3つです。

  • スムーズに遺産分割するため
  • 相続税を正確に申告するため
  • 故人の借金を肩代わりしないため

スムーズに遺産分割するため

相続人が複数いる場合、遺産をどのように分けるかを決めるために遺産分割協議をします。たとえば故人の預金口座と自宅など、すぐに分かるものだけを対象に遺産分割協議をした場合、あとで遺産が見つかったときに、もう一度遺産分割協議をしなければなりません。

相続人が少なくて関係が良好であれば問題はありませんが、相続人が多かったり相続人どうしの関係が良くなかったりするとトラブルになる可能性があります。遺産分割協議を1回で済ませて手続きをスムーズにするためには、故人の財産を正確に調べることが大切です。

相続税を正確に申告するため

財産調査は相続税を正確に申告するためにも重要です。

税務署は故人にどれぐらいの財産があるかをよく調べていて、申告漏れの可能性があれば税務調査を行います。相続した財産を正確に申告しなければ、税務調査を受けて相続税を追加で徴収されるだけでなく、延滞税や過少申告加算税などが課される可能性もあります。

故人の借金を肩代わりしないため

故人の借金を肩代わりしないように、借金や債務保証の有無を調べておく必要もあります。

遺産相続は、預金や不動産などプラスの財産だけでなく、借金や債務保証などマイナスの財産も対象となります。故人の借金を肩代わりしないようにするためには、死亡から3か月以内に相続放棄をしなければなりません。ただし、相続放棄をするとプラスの財産も受け取れなくなるため、慎重に判断する必要があります。

1-2.どのような財産を調べればよいか

財産調査は、基本的にすべての種類の財産について行う必要があります。その中でも重要なものは、預金、不動産、借金、債務保証です。

預金と不動産は、どこか1か所に問い合わせて所在がすべてわかるものではありません。預金なら金融機関ごとに、不動産なら市区町村ごとに問い合わせる必要があります。借入金についても基本的には金融機関ごとに問い合わせることになります。個人どうしで貸し借りや債務保証をしている場合は、契約書だけが手がかりになります。

故人の財産調査は、どこに問い合わせるかといったことから調べなければならないなど、非常に困難な作業になります。

2.預金の調査は自宅をくまなく探す

故人の預金を調べるには、自宅をくまなく探します。ボールペンやカレンダーなど意外なものも、金融機関との取引関係を調べる手掛かりになります。証券会社についても同じ方法で調べることができます。

2-1.キャッシュカード・通帳を探す

故人の預金を調べるには、まずは財布や引き出しなどからキャッシュカードや預金通帳を探します。しかし、それだけでは十分ではありません。最近ではネットバンキングが普及していて、通帳がない口座も多くなっています。

インターネットバンキングでは、下の図のようなトークンと呼ばれる端末を使うことがあります。このような端末が引き出しに入っていないかも確認するとよいでしょう。

トークンのイメージサンプル

故人が使っていたパソコンやスマートフォン、携帯電話の中身が見られるのであれば、メールの内容やインストールされているアプリから取引関係を調べることもできます。

金融機関からの郵便物やノベルティ(ポケットティッシュやボールペン)なども手掛かりになります。壁に掛かっているカレンダーが銀行のものだったというケースもあります。

2-2.貸金庫を開けるには相続人全員の同意が必要

財産調査を進めていくと、貸金庫の鍵やカードが見つかることがあります。貸金庫の中には、通帳や印鑑が収められている可能性があります。

貸金庫を開けるには相続人全員の同意が必要です。指定された代理人であっても、契約者が死亡すれば貸金庫を開けることができなくなります。

2-3.金融機関ごとに届け出

故人が取引していた金融機関がわかれば、金融機関ごとに相続または解約の届け出をします。店舗がある金融機関では最寄りの支店で手続きをします。ネット銀行やネット証券では、コールセンターに電話して郵送で手続きをすることになります。

死亡の届け出があると、金融機関は原則として預金を凍結し、入出金が一切できなくなります。預金を引き出すためには、相続人全員の同意が必要になります。

3.不動産の有無は名寄帳を取る

故人が所有していた不動産は、次のような手順で調べます。

  • 権利証(登記済証、登記識別情報)を探す
  • 固定資産税の納税通知書を探す
  • 自治体ごとに名寄帳を取得する

権利証には不動産の所在が書かれていて、故人がどこに不動産を所有していたかがすぐに分かります。固定資産税に関する通知は、不動産がある自治体ごとに送られます。複数の自治体から通知が届いていれば、それぞれの場所に不動産を所有していたことがわかります。

どこの自治体に不動産があるかがわかれば、その自治体ごとに名寄帳を取得します。名寄帳は、その自治体にある土地や家屋について所有者ごとにまとめた台帳です。「固定資産課税台帳」など異なる呼び方をすることもあります。故人との関係がわかる戸籍などを提出して、各自治体の固定資産税担当の窓口で申請します。

名寄帳で不動産の所在がわかれば、登記事項証明書を取得します。権利証や固定資産税納税通知書が見つかった場合でも、すでに売却している可能性もあるため、登記事項証明書で現在の登記の状況を確認します。登記事項証明書は、最寄りの法務局のほか郵送やインターネットでも取得できます。

4.借金の有無を調べないと大変なことに

故人が生前に借金をしていた、あるいは他人の借金の連帯保証人になっていた可能性もあります。これらの債務も相続の対象であり、相続放棄をしない限り、相続人が借金を肩代わりしなければなりません。借金があることを知らなかったからといって返済義務を免れることはできないため、借金の有無はよく調べる必要があります。

4-1.借金の有無を調べる方法

故人に借金があったかどうかは、次の事項を手がかりにして調べます。

  • 返済額が預金から定期的に引き落とされていないか
  • 契約書や返済予定表がないか
  • 消費者金融からの郵便物がないか
  • 所有している不動産の登記事項証明書に抵当権が付けられていないか

このほか、信用情報機関(JICC、CIC、KSC)に照会するという方法もあります。

4-2.住宅ローンは団信で返済される

住宅ローンについては、ほとんどの場合は団信(団体信用生命保険)で全額返済されるため、遺族が返済の心配をする必要はありません。ただし、ごくまれに団信に加入していないケースもあるので、住宅ローンがあった場合は団信の加入状況について確認することをおすすめします。

4-3.連帯保証にも注意

連帯保証人が死亡したときは、相続人が連帯保証人の立場を引き継ぎます。債務者がきちんと返済すれば連帯保証人に返済義務はないと考えがちですが、安心はできません。法律上、債権者は債務者に請求するよりも先に連帯保証人に返済を求めることもできるからです。

連帯保証は債務に比べてその存在がわかりにくいという特徴があり、相続から何年もたって突然債権者が現れてトラブルになる事例もあります。契約書などを可能な限り探すことをおすすめします。

5.財産調査を専門家に依頼することもできる

預金、不動産、債務の財産調査をすべて個人で行うと、自宅をくまなく探して、次は銀行や市区町村役場で手続きをするなど手間がかかります。複数の銀行に口座がある場合や、複数の市区町村にわたって不動産を所有している場合は、限られた時間で手続きをするにも限界があります。

そのようなときは、弁護士、司法書士、行政書士など専門家に財産調査を依頼することをおすすめします。専門家であれば、財産調査のノウハウを持っているため、調査漏れの心配も少ないでしょう。ただし、依頼するときには報酬や条件についてよく確認することをおすすめします。

なお、この記事を制作している税理士法人チェスターは、相続に関する手続きやサポートに強い法律事務所とも提携しています。専門家に依頼したい場合はぜひご相談ください。

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