死亡後の手続きチェックリストと内容解説。期限のあるものに要注意

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死亡後の手続きチェックリストと内容解説。期限のあるものに要注意

家族の死亡後の手続きにはどのようなものがあるのでしょうか?チェックリストとして使えるよう、必要な手続きを順に紹介します。期限が設定されているもの、複数の書類が必要なものなどがあるため、事前に確認するとスムーズに進められるでしょう。

1.家族が亡くなったとき何から行えばよい?

家族が亡くなったとき

身近な家族が亡くなると、さまざまな手続きを実施しなければいけません。後々の手続きをスムーズに進めるためにも、すぐに対応が必要なことを紹介します。

1-1.死亡診断書を受け取り、コピーをとる

死亡診断書

まずは『死亡診断書』を受け取りましょう。これはどこでもらえるかというと病院になります。死亡届の提出や保険金の請求など、さまざまな手続きに必要な書類のため、2部以上作成してもらいます

併せて10部ほどコピーしておくと安心です。死亡届のために市区町村役場で死亡診断書を提出すると戻ってきません。先にコピーを用意しておけば、ほかの手続きに必要な死亡診断書を病院で再発行してもらわずに済みます。

なお、死亡した家族が病院に通院や入院をしていなかった場合、発行されるのは『死体検案書』です。

1-2.退院手続き、医療費の支払い

病院に入院していた場合には『退院手続き』を行いましょう。その後医療費の支払いを請求されますが、相続放棄を検討している場合には支払ってはいけません

入院中の医療費を故人の財産から支払うと、相続する意思があるとみなされ、相続放棄ができなくなるからです。請求された医療費は、相続放棄をすると支払いの必要がなくなります。

ただし配偶者は対象外で、相続放棄しても医療費を支払わなければいけません。夫婦は『日常の家事』に対して連帯責任があると、民法で定められています。医療費は日常の家事に該当するため、配偶者は支払いを拒めないのです。

2.亡くなってからすぐに役所で行う手続き

すぐに役所で行う手続き

役所での手続きも必要です。期限が短いものもあるため、できるだけ早いタイミングで実施しましょう。

2-1.死亡届と火葬許可申請書の提出

故人の死亡を知ってから7日以内に行うのは、市区町村役場への『死亡届』の提出です。無事に完了すると『火葬許可証』が発行されます。火葬するために必要な書類のため、忘れずに受け取りましょう。

死亡届が問題なく受理されると、自動的に住民票の抹消も行われます。また故人が3人以上の世帯の世帯主なら、同時に『世帯主の変更手続き』も実施しましょう

2-2.法定相続人が誰かを証明する調査

遺産相続をするためには『法定相続人』が誰かを証明するための調査も必要です。『遺産分割協議』に欠かせないため、できるだけ早く始めましょう。

具体的には役所で戸籍謄本などの書類を取り寄せ、故人が生まれてから死亡するまでの家族関係を明らかにします。特別な事情がない場合、法定相続人を特定するのはそれほど難しい作業ではありません。

ただし公的に確かに法定相続人であると証明するには、資料が必要です。相続手続きや名義変更の際にも提出を求められるため、あらかじめ調査しておきましょう。

2-3.当てはまる場合は高額療養費支給申請書も

条件に当てはまるなら『高額療養費支給申請書』も提出しましょう。生前の高額医療費の払い戻しを受けられるかもしれません。

故人が国民健康保険や後期高齢者医療制度を利用していた場合には、住所地の市区町村役場で手続きをします。社会保険に加入していた場合は、健康組合や協会けんぽで手続きしましょう。

手続きには被保険者である故人と請求者との続柄が分かる資料が必要です。戸籍謄本を用意しておくと、スムーズに手続きできます

3.葬儀に関する手続き

葬儀に関する手続き

役所での手続きと同時に、葬儀に関することも進めなければいけません。葬儀社の手配や葬儀費用の給付金について解説します。

3-1.葬儀社の手配、安置場所への搬送

亡くなってから葬儀社を探していると、さまざまな手続きに追われ、十分に検討できないまま決定しなければいけないケースもあります。信頼できる葬儀社を選ぶためにも、生前から下調べし決めておくと安心です。

死後に決定するときには、費用について詳細を説明してくれる葬儀社であれば信頼して任せられるでしょう。また一般葬だけでなく、家族葬・密葬・火葬のみなど、さまざまなプランがあります

故人の希望を考慮しつつ、ふさわしいプランを選びましょう。また病院で死亡した場合には、安置場所への搬送も必要です。葬儀社に依頼すると準備から管理まで、専用の安置所でしてもらえます。

3-2.葬儀費用の給付金を受け取る手続き

故人が加入していた健康保険へ手続きすることで『葬儀費用の給付金』を受け取れます。健康保険によって制度の名称や受け取れる給付金の金額が異なるため、問い合わせると確実です。

国民健康保険であれば、葬儀を実施した人に対して5~7万円が支給されます。また社会保険の加入者であれば『埋葬料給付金制度』の利用が可能です。

家族が埋葬を行ったときには埋葬料として5万円が、故人に家族がいない場合には埋葬を行った人に埋葬費が支給されます。

4.年金、保険に関する手続き

年金、保険に関する手続き

年金や民間の保険の手続きも必要です。相続の対象になるものとならないものがあり、扱いが異なります。

4-1.年金の給付停止、未支給年金請求など

生前に年金の支給をされていた人が亡くなった場合には、期限内に『年金受給権者死亡届』の提出が必要です。国民年金であれば14日以内、厚生年金や共済年金は10日以内に手続きします

提出が遅れると、死亡後にも年金が振り込まれてしまいます。返還の手間がかかるため、できるだけ早めに手続きしましょう。

また未支給年金がある場合には請求の届出をします。年金証書・戸籍謄本・住民票・受け取り用の通帳などを添え、年金事務所や年金相談センターへ提出しましょう。

ほかにも家計を支える人が亡くなったときには、遺族基礎年金・遺族厚生年金・寡婦年金・死亡一時金を受け取れる可能性があるため、条件に当てはまる場合は手続きしましょう。

4-2.民間保険会社へ死亡保険金を請求

故人が民間保険会社の被保険者となっているなら『死亡保険金の請求』も行います。まずは保険契約者か保険金受取人が生命保険会社へ連絡しましょう。すると必要書類の案内や請求書が送付されます。

一般的に必要書類として指定されるのは下記の通りです。ほかにも指定があれば、必要に応じて提出します。

  • 請求書
  • 保険証券
  • 被保険者の住民票
  • 受取人の戸籍抄本
  • 印鑑証明
  • 死亡診断書もしくは死体検案書

書類の受理後、保険金の支払い可否が判断され、問題なく受け取れるようであれば死亡保険金が支払われます。また保険金を受け取ったら税申告も行いましょう

保険料負担者と保険金受取人の組み合わせによって、所得税・相続税・贈与税のいずれかを納税します。

5.遺産、相続に関する手続き

遺産、相続に関する手続き

不動産・預貯金・自動車などの資産を故人が保有していたなら、遺産相続の手続きも発生します。中には複雑な手続きもあるため、税理士・司法書士・弁護士などへ代行の依頼も検討しましょう。

5-1.相続財産調査と名義変更

たとえ財産があったとしても、存在を知らなければ相続できません。そこでまずは『相続財産調査』を実施します。通帳・残高証明書・証券会社への確認・不動産の全部事項証明書の取得などを行いましょう

調査には被相続人の戸籍謄本・相続人の戸籍謄本・相続資産が分かる資料・本人確認書類などが必要です。これらをそろえた上で、各問い合わせ先に必要な書類を確認します。

相続が完了したら名義変更も実施しましょう。例えば自動車を相続した場合には、15日以内に所有者の変更手続きが必要である旨が『道路運送車両法』に定められています。

5-2.10カ月以内に相続税の申告

故人の財産を相続する場合には、税務署へ申告して相続税を納めなければいけません。申告の期限は死亡を知った日の翌日から『10カ月』以内のため、できるだけ早く開始しましょう。

遺産分割が決定し、相続後名義変更をしたら相続税の申告と納税を行います。十分な時間があるように感じられますが、場合によっては遺産分割協議がスムーズに進まず手続きが滞るケースもあるでしょう。

その場合には相続税を仮申告し、遺産分割協議終了後に修正申告することもできます。特に配偶者控除や小規模宅地の特例の適用を考えている場合は、税理士などと相談しながら進めるのがおすすめです。

適切に手続きが進められないと特例が受けられず、相続税額がはね上がる可能性があります。相続税の申告に関する相談なら『税理士法人チェスター』が力になってくれるでしょう。

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5-3.遺言書がある場合は検認を申し込む

遺言書が見つかったときには家庭裁判所へ『検認』を申し込みましょう。検認により遺言書の効力が変わるわけではありませんが、財産の名義変更時には検認済みの遺言書の提出を求められるケースがあるからです。

封筒に入れ封がされているものはもちろん、メモ書きのようなものであっても、必ず検認をしましょう。ただし遺言書が公正証書遺言として作成されている場合、検認は不要です。

5-4.相続放棄をする場合は覚知から3カ月以内に

資産を洗い出すと、不動産や預貯金といったプラスの資産以上に、自動車のローンや借金などマイナスの資産が多いケースもあります。マイナスの資産が多く相続しても負担が増えるなら、相続放棄も一つの手段です。

相続放棄を実施するなら、『相続の開始を知ったとき』から『3カ月』以内に手続きします。期限内に決定できないときには手続きをすると3カ月期限を延長できます。ただし期限を過ぎてからの手続きでは、原則的に相続放棄ができません。

事情によっては救済措置の可能性もあります。できるだけ早く弁護士へ相談するのが賢明です。

6.忘れがちな手続きに気を付けよう

忘れがちな手続き

ここまで代表的な手続きを紹介しました。ただしこれで終わりではなく、ほかにもさまざまな手続きがあります。特に無料で提供されているサービスや、普段使っていないクレジットカードなどは忘れがちな手続きです。

6-1.運転免許証返却、各種契約の解約など

役所や保険、相続以外にも手続きが必要なものは多々あります。各種サービスやカードを故人が契約していたなら、早めに解約や名義変更の手続きを行いましょう。

  • 運転免許証
  • パスポート
  • クレジットカード
  • 公共施設や交通機関の無料カード
  • ポイントカード
  • 新聞
  • 水道光熱費

これらは即座に手続きを行わなかったからといって、不都合が生じることはまれです。そのため存在に気づかず放置してしまうこともあるでしょう。

後になって不具合が出る可能性もあるため、早めの手続きが必要です。また幅広い手続きに対応する代行業者を利用すると、手間を削減できます。

7.死亡後の届出や手続きは多岐にわたるので注意

死亡後の届出や手続

死亡後に必要な手続きは多岐にわたります。期限が設けられているものもあるため、できる限り早めに行いましょう。例えば相続税の申告では、期限を過ぎると控除や特例を利用できず、税額が大幅に上がることもあります

遺産相続に関わる代表的な手続き以外にも、カード類やサービスの解約・名義変更も必要です。全てを自力で実施できない場合には、業者への依頼も検討しましょう。

税金に関する手続きは『税理士法人チェスター』への問い合わせがおすすめです。

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