「財産債務調書」で富裕層は資産の内容を届け出る必要がある

「財産債務調書」で富裕層は資産の内容を届け出る必要がある

財産債務調書制度は、一定以上の所得と財産がある富裕層に対して、財産と債務の内容を税務署に届け出るよう求める制度です。所得税や相続税の適正な課税を目的に、平成28年(2016年)1月から施行されています。

富裕層に財産と債務の届出を求める制度は以前からありましたが、かつての「財産及び債務の明細書」は提出率が低く実効性があるとはいえない状態でした。「財産債務調書」は記載内容がより具体的になり、未提出や記載漏れに対するペナルティが定められています。

この記事では、財産債務調書の提出が求められる要件と、調書への記載方法をご紹介します。

相続・各種手続き、お困りごとなど「相続」に関するご相談ならお任せください!【TEL】0120-992-430(平日9:00~18:00、土曜9:00~17:00)

※こちらからのお問い合わせは、税理士法人チェスターが運用を委託しています、東証一部上場「鎌倉新書」の相続専門相談員が相続に関するお悩みをお聞きします。

相続税申告、お見積り・面談予約。「相続税申告」に関することはお任せください!【TEL】0120-888-145(平日9:00~20:00、土曜9:00~17:00)

1.財産債務調書の提出義務がある人

次のすべての要件にあてはまる人は、翌年3月15日までに所轄の税務署に「財産債務調書」を提出しなければなりません。

  • 所得税の確定申告書の提出義務がある
  • 所得の合計額(退職所得を除く)が2,000万円を超える
  • 12月31日時点で総資産3億円以上または1億円以上の有価証券等を保有している

非上場企業の自社株式も対象になるため、中小企業のオーナーは財産債務調書の提出義務者になる可能性があります。

なお、海外で保有する資産の合計額が12月31日時点で5,000万円を超える場合は、別途「国外財産調書」も提出しなければなりません。

(参考)「国外財産調書」で税務署に海外資産の届け出が必要

財産責務調書を提出しなければならない要件

2.財産債務調書に記載する財産・債務の価額

財産債務調書の提出義務者となる要件である「総資産3億円以上」または「有価証券等1億円以上」については、12月31日時点の時価で判定します。財産債務調書へ記入する財産・債務の価額も、12月31日時点の時価に基づきます。

ここでは、時価の算定が難しい場合に使うことができる見積価額の算定方法や、外貨建ての財産・債務の換算方法、相続で取得した財産の扱いについてご紹介します。

2-1.財産の見積価額の算定方法

動産や不動産のように時価の算定が難しいものについては、時価のかわりに見積価額を使うことができます。

見積価額は財産の種類ごとに次の方法で算定します。

財産の種類 見積価額
土地、山林、建物 次のいずれかの価額

  • 当年の固定資産税評価額(財産が海外にある場合は固定資産税にあたる税の課税標準額)
  • 取得価額にその後の価格変動率を乗じた価額
  • 翌年1月1日から財産債務調書の提出期限までにその財産を譲渡した場合の譲渡価額
  • (業務用以外の建物)取得価額から経過年数に応じた償却費を控除した金額
預貯金 12月31日時点の残高
非上場の有価証券 次のいずれかの価額

  • 12月31日における適正な売買実例価額
  • 売買実例価額がない場合は、翌年1月1日から財産債務調書の提出期限までにその有価証券を譲渡した場合の譲渡価額
  • 売買実例価額、譲渡価額がない場合は次の価額
    • 株式は、発行会社の純資産価額をもとに合理的に算出した価額
    • 新株予約権は、対象となる株式の時価または見積価額から権利行使価額を控除して算出した価額
  • 上記のいずれの価額もない場合は取得価額
貸付金、未収入金、受取手形 12月31日時点の元本の額
書画骨とう、美術工芸品、貴金属類 次のいずれかの価額

  • 12月31日における適正な売買実例価額
  • 売買実例価額がない場合は、翌年1月1日から財産債務調書の提出期限までにその財産を譲渡した場合の譲渡価額
  • 上記のいずれの価額もない場合は取得価額
その他の動産 取得価額から経過年数に応じた償却費を控除した金額(業務用は除く)

財産の見積価額の算定方法についてより詳しい内容は、下記の国税庁の資料を参照してください。

国税庁 財産債務調書の提出制度(FAQ)

2-2.外貨建ての財産・債務の日本円への換算方法

外貨建ての財産・債務の価額は、日本円に換算して財産債務調書に記載します。日本円への換算は、財産債務調書を提出する人の取引金融機関が公表する以下のレートで行います。

  • 財産:12月31日の最終のTTB(対顧客直物電信相場)
  • 債務:12月31日の最終のTTS(対顧客直物電信相場)

12月31日が取引金融機関の休業日にあたる場合は、これより前の最も近い営業日の為替相場で換算します。

2-3.相続で取得した財産について

相続で取得した財産がある場合は、12月31日までに遺産分割が行われているかどうかによって価額を算定します。

  • 遺産分割が行われていない場合:財産の価額を法定相続分で分けた価額
  • 遺産分割が行われている場合:財産の価額を実際の相続分で分けた価額

なお、令和2年分以後の財産債務調書では、相続があったその年の相続財産は記載しなくてもよいことになります。この場合、財産債務調書の提出義務があるかどうかは、相続財産を除いて判定します。

3.財産債務調書の書き方

財産債務調書には、「財産債務調書」「財産債務調書合計表」の二つの様式があります。

これらの様式は国税庁ホームページからダウンロードできるほか、最寄りの税務署でもらうこともできます。

国税庁ホームページ [手続名]財産債務調書(同合計表)

3-1.財産債務調書

財産債務調書には、12月31日時点の財産・債務の区分、種類、用途、所在、数量、価額などを記載します。

「財産債務の区分」は、土地、建物、預貯金、借入金など「財産債務調書合計表」に記載されているものにしたがって区分します。

リゾートマンションなど土地付きの建物で、価額を土地と建物に区分することができない場合は、一体のものとして記載することができます。具体的には、建物として記載したうえで備考欄に「価額には土地を含む」といった事項を記載します。

財産債務調書の詳しい書き方は、以下の記載例を参照してください。

国税庁ホームページ 財産債務調書の記載例

財産責務調書
(出典:国税庁ホームページ 財産債務調書(様式及び記載要領)(OCR帳票)

3-2.財産債務調書合計表

財産債務調書合計表には財産・債務の区分ごとの金額を集計して記載します。
財産債務調書に添付して提出します。

財産責務調書合計表
(出典:国税庁ホームページ 財産債務調書合計表(OCR帳票)

3-3.国外財産調書を提出する場合

海外に5,000万円を超える財産があって「国外財産調書」を提出する場合は、財産債務調書に国外財産の内容を記載する必要はありません。ただし、財産債務調書・財産債務調書合計表の所定の欄に、国外財産の合計額を記載する必要があります。

なお、海外にある債務は財産債務調書に記載します。

財産債務調書への国外財産の価額の記載
財産債務調書への国外財産の価額の記載
(出典:国税庁ホームページ 財産債務調書の提出制度(FAQ)

財産債務調書合計表への国外財産の価額の記載
財産債務調書合計表への国外財産の価額の記載
(出典:国税庁ホームページ 財産債務調書の提出制度(FAQ)

4.過少申告加算税・無申告加算税の軽減・加算

財産債務調書制度では、過少申告加算税・無申告加算税の特例を定めています。

財産債務調書を期限内に提出した人には優遇措置を定める一方で、提出しない人にはペナルティを定めて、制度をより実効性のあるものにしています。

期限内に提出 財産・債務について所得税・相続税の申告漏れがあったときは、過少申告加算税・無申告加算税を5%軽減。
未提出
記載漏れ
重要事項の記載不十分
財産・債務について所得税の申告漏れがあったときは、過少申告加算税・無申告加算税を5%加重。
(死亡した人の所得税には適用しない。)

なお、国外財産調書では未提出や虚偽記載に対する罰則がありますが、財産債務調書について直接的な罰則は定められていません。

5.資産隠しで租税回避はできない時代に

国税庁では、財産債務調書制度や国外財産調書制度を通じて、富裕層が所有する国内外の財産・債務の情報収集に努めています。財産債務調書には相続税申告と同等の内容の記載を求めているほか、財産債務調書そのものを税務調査の対象にしています。

このほか、「重点管理富裕層プロジェクトチーム」(富裕層PT)を設けるなどして、富裕層に対する課税の適正化に取り組んでいます。

これらの取り組みの結果、今後、財産を隠して課税を免れることはより一層困難になっていくでしょう。

6.まとめ

財産債務調書は、一定の所得と資産があるいわゆる富裕層に対して提出が義務づけられています。
未提出に対する直接的な罰則はありませんが、申告漏れがあった場合は過少申告加算税等が加重されるため注意が必要です。

中小企業のオーナーも財産債務調書の提出義務者になる場合があります。
税理士に相談して確実に提出するよう心がけましょう。


相続・各種手続き・お困りごとなど
「相続に関するご相談ならおまかせください!」

\電話からのお問い合わせはこちら!/

アイコン0120-992-430

平日:9:00 - 18:00土曜:9:00 - 17:00

\webからのお問い合わせこちら!/

無料相談をする

※こちらからのお問い合わせは、税理士法人チェスターが運用を委託しています、東証一部上場「鎌倉新書」の相続専門相談員が相続に関するお悩みをお聞きします。

相続税申告・お見積り・面談予約など
「相続税申告に関するご相談ならおまかせください!」

\電話からのお問い合わせはこちら!/

アイコン0120-888-145

平日:9:00 - 20:00土曜:9:00 - 17:00

\webからのお問い合わせこちら!/

無料相談をする
もっと「相続」に関する信頼性高い情報の検索は
(検索ワード+「Enter」キーで検索できます)
もっと「相続」に関する信頼性高い情報の検索は
(検索ワード+「Enter」キーで検索できます)

税理士法人チェスター 全国6拠点



税理士法人チェスター 全国6拠点


年間1,000件以上の申告実績、相続税の専門家が100名以上在籍する全国トップクラスの税理士事務所。相続税申告に関わる初回面談は無料、夜間(20時まで)や土曜日、訪問での対応も可能。