相続税が払えない場合の5つの事情別対処法

inheritance-tax-approach

相続財産の中に現預金がない、遺産分割がまとまらず預金が凍結されたまま、そういった理由で相続税の申告期限までに相続税が払えないかもしれないとお困りではないでしょうか。何もしなければ、例え事情があったとしても国は待ってくれません。

そればかりが本来払う必要のないペナルティまで追加に余分でとられてしまうことになりかねません。

そうならないために、相続税が払えない場合の対処方法をしっかりと理解して、ペナルティで損をしないように気を付けてください。

以下では、相続税が払えない理由・事情別にその対処方法を5つ紹介しています。

1.相続財産の中に相続税を支払うだけの現預金がない場合

相続財産の中に相続税を支払うだけの現預金や金融商品がない場合の対処方法を以下で3つご紹介します。

1-1.相続税を分割で支払う延納という方法

相続税を最大約20年に渡って毎年分割で支払う延納という方法があります。但し、延納が認められるためには次のような要件があります。

(1)相続税額が 10 万円を超えていること
(2)金銭で納付することが困難な金額の範囲内であること
(3)「延納申請書」及び「担保提供関係書類」を期限までに提出すること
(4)延納税額に相当する担保を提供すること

この中で一番厳しい要件が、(2)と(4)です。(2)については、例えば、相続人が個人的に金融資産を所持しておりそれを使えば納税が完了できるようなケースでは要件を満たすことになりません。また(4)についても、担保提供ができるような不動産がなければ延納は許可されません。

この延納について詳しく知りたい方は、「見るだけで相続税の延納が使えるようになる4つの手順」を参考にして下さい。

1-2.相続税を土地等のモノで納める物納という方法

相続税を現預金ではなく、不動産などのモノで納める物納という制度があります。この物納について認められる要件は先にご紹介した延納よりもさらに厳しくなっています。
延納で分割しても相続税を納めることが困難で、かつ物納に適した(国が認めた)不動産等の財産が相続財産の中にあることが絶対要件となります。

ただ、物納は認められるためのハードルが高く、かつ次の項目でご紹介する相続財産を売却してから現金で納税する方がお得なケースも多々あるため慎重に検討が必要です。

物納について詳しく知りたい方は、「お金の代わりにモノで支払う!相続税の物納制度マニュアル」を参考にして下さい。

1-3.相続財産を売却し現金化した上で相続税を納める方法

相続財産の中に相続税を納めるだけの現預金がない場合、相続財産自体を売却して納税に充てるという方法があります。相続税の申告期限までに売却手続きを行い換金すれば、この方法をとることは可能です。まだ相続税を納めていない段階でその相続財産を売却してしまっても良いのかと思われる方もいるかもしれませんが、まったく問題ありません。但し、その相続財産につき、相続人の間で遺産分割が完了している必要はあります。

ただ、この相続財産を売却するときに気を付けなければならないのが、売却に関わる税金(所得税)です。例えば土地を例にあげれば、被相続人が購入した時の価格と今回売却したときの価格を比較して利益が出ていれば、その利益に対して譲渡税がかかってきます。この売却時にかかる税金も考慮し手取りを計算して納税資金の捻出を検討する必要があります。

2.遺産分割が纏まらずに預金が凍結されたままで相続税が払えない場合

相続財産の中に現預金はあるが、被相続人が遺言書を残さずに亡くなり、また相続人間で分割方法がなかなか決まらず、相続税の申告期限までに預金の凍結が解除できない場合にも、預金口座から通常の手続で現金を引き出すことができません。こういった場合の対処方法をご紹介します。

2-1.相続人間で話し合って納税資金分だけ一部遺産分割協議を行う

一番簡単な方法は、相続人間で話し合いを行い“とりあえず”納税資金の分だけ分割協議を一部行い預金口座の凍結を解除する方法です。

たとえば、すべての相続財産は1億円あり、相続人がAとB、それぞれ納税が1,000万円ずつ必要だったとします。このような場合、とりあえず1億円の中の2,000万円の現預金だけ1,000万円ずつ取得するような一部遺産分割協議を行うといったことが可能です。

但し、連絡をとることも難しいような場合にはこの方法をとることは困難です。そのような場合には次にご紹介する方法があります。

2-2.金融機関に対して法定相続分の預金の払い出し請求を行う

相続が発生した時点で、被相続人の所有する預金口座は金融機関によって原則“凍結”されます。一旦凍結されると、遺言書がある場合を除き、相続人間で分割協議が整わなければ通常の手続で預金を引き出すことができなくなります。相続人間で争っており、他の相続人の協力が得られなければなおさら困難となります。

ただ、このような場合でも適切な方法をとれば、凍結された預金口座から自らの法定相続分の払い出しを受けることが実は可能です。過去の最高裁判所の判例でこのようなことができる旨の判決が出ています。

ただ、素人の相続人が単独で金融機関にこのような主張をしても払い出しに応じてもらうことは困難でしょう。ではどうすれば良いのか、こういった相続事案に慣れた弁護士に依頼すると案外簡単に手続きが可能です。

但し、金融機関によって対応が異なる可能性があります。また、弁護士に依頼するためには報酬もかかりますので注意が必要です。

3.相続税を払わないままでいると最終的にどうなるのか!?

相続税を払わないまま放置すると、最終的には国に財産を強制的に差し押さえられそして没収されます。
大まかな流れとしては、次のようになっています。

督促状 → 税務署からの電話・訪問 → 最終督促状 → 差押え予告書 → 差押調書 → 差押え

ただ、上記は一般的な流れであって、滞納額や税務署からの連絡に対する対応によっては、税務署側の対応も異なる可能性がありますので注意が必要です。

税務署からの連絡は必ず無視せずに、誠意をもって対応をするようにしましょう。

4.まとめ

相続税が払えない場合の対処方法について解説してきました。
払えないからといって放置をすると、必ず損をします。払えないときは、それに対応する適切な対処方法をとるように心がけて損をしないように注意しましょう。
ご自身で判断ができない場合には相続専門の税理士に相談するようにしましょう。

当サイトの運営法人

semi

4000人以上に選ばれている
相続専門の業界大手税理士事務所


税理士法人チェスターの公式HPを見る