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2020年以降相続登記が義務化 土地所有者がその前にできること

2020年以降、相続登記が義務化。土地所有者がその前にできること

土地の相続登記が2020年以降に義務化される見通しです。

これまで土地の相続登記は義務ではなかったため相続登記をしないケースが多く、長い期間を経て土地の所有者がわからなくなることもありました。所有者がわからない土地は有効に活用することができず、このような土地の増加が社会問題になっています。

所有者がわからない土地がこれ以上増えないように、相続登記が義務化されることになりました。より実効性のあるものにするため、罰金をかけることも検討されています。

相続登記の義務化について方向性は明らかになっているものの、いつから施行されるかなど具体的な内容はまだ決まっていません。この記事では、相続登記が義務化されることになった背景と、土地の所有者が取るべき対策をご紹介します。

1.所有者がわからない土地がある

本来、土地を相続した人は、不動産の名義変更つまり相続登記をすることになっています。しかし、次のようなさまざまな事情で相続登記が行われないケースがあります。

  • 相続人全員の同意を求めるなど手続きが煩雑で司法書士費用もかかる
  • 相続人どうしでもめていて誰が土地を相続するかが決められない
  • 相続登記は義務化されていないので手続きを忘れてしまう

先祖代々住んできた土地では、何代にもわたって相続を繰り返す中で一度も相続登記が行われないケースもあります。このような場合では登記簿から所有者が判明せず、実際の所有者を探し出すことが困難になります。

国土交通省は平成28年度に地籍調査をした約62万筆(563市区町村1,130地区)の土地について所有者を調べたところ、登記簿から所有者が判明しなかった土地の割合は20.1%にのぼりました。そのうち3分の2は相続登記が行われていないもので、残りの3分の1は所有者の住所変更の未登記などによるものでした。

また、法務省は平成29年に全国10か所の地区約10万筆の土地を対象に、最後の登記からの経過年数を調査しました。その結果、大都市以外の地域では4分の1を超える土地が最後の登記から50年以上経過していることがわかりました。

長期間登記されていない土地は、現に所有者がわからなくなっているか、将来所有者がわからなくなる可能性が高いと考えられます。

(下記に示す割合は累積値) 最後の登記から90年以上経過しているもの 最後の登記から70年以上経過しているもの 最後の登記から50年以上経過しているもの
大都市
(所有権の個数:24,360個)
0.4% 1.1% 6.6%
中小都市・中山間地域
(同上:93,986個)
7.0% 12.0% 26.6%

(出典:法務省ウェブサイト「不動産登記簿における相続登記未了土地調査について」)

2.所有者不明の土地は有効活用しづらい

土地を取得したり利用したりするときは、所有者の同意が必要になります。登記簿から所有者が判明しない所有者不明の土地は、主に次の2つの点で土地の有効活用の妨げになっています。

  • 所有者の探索に手間がかかる
  • 所有者の同意を得るのに手間がかかる

大規模災害の被災地では、所有者不明の土地が復興事業の妨げになっているケースもあります。

2-1.所有者の探索に手間がかかる

相続登記が行われないことで所有者不明になっている土地は、亡くなった人が登記簿上の名義人となっています。法律の上では、所有者が死亡した土地は相続人が共同で相続するため、名義人の相続人を探し出す必要があります。

名義人の相続人を探し出すには名義人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要で、もし相続人が死亡していれば、その相続人の出生から死亡までの戸籍謄本も必要になります。

相続人の探索には時間と費用がかかり、これらの負担が土地の有効活用の妨げになっています。

2-2.所有者の同意を得るのに手間がかかる

所有者不明の土地の実質的な所有者(名義人の相続人)を探し出したとしても、次にこれらの相続人の全員と交渉して同意を得る必要があります。

親から子、子から孫、孫からひ孫へと相続を繰り返す中で一度も相続登記が行われなかった場合は、下の図で示すように相続人が十数人に及ぶこともあります。このような場合、すべての相続人の同意を得ることは困難です。

不動産の相続登記をしないと共有者が増えてしまう

3.所有者不明の土地が増えないように相続登記を義務化

これまで土地の相続登記が義務付けられていなかったことで、長い年月を経て土地の所有者がわからなくなる状態が生じてきました。

そこで、これ以上所有者不明の土地が増えないようにするため、相続登記が義務化されることになりました。

相続登記の義務化をより実効性のあるものにするため、次のような事項も検討されています。

  • 一定期間内に相続登記をした場合は手続きを簡素化して費用を軽減する
  • 違反者には罰金を科す

このほか、死亡届をもとに登記所が登記内容を書き換える仕組みづくりも検討されています。

相続登記の義務化についての民法と不動産登記法の改正案は、2020年秋の臨時国会に提出される予定です。したがって、相続登記が義務化されるとしても2020年秋以降になります。

所有権の放棄や遺産分割の期限設定なども検討中

今回の法改正では、所有者不明の土地を増やさないための施策として相続登記の義務化以外に次の事項も検討されています。

  • 一定の要件のもとで土地の所有権の放棄を認める
  • 早めの遺産分割を促すため遺産分割に期限を設ける

このほか、所有者不明の土地を有効に活用するため、土地の共有制限や財産管理制度を見直すことも検討されています。

4.義務化の前でも早めに相続登記を

現在検討されている相続登記の義務化は、今後相続される土地について適用されるものであり、現在相続登記されていない土地への適用はないと考えられます。

しかし、土地を相続したときにすぐに相続登記をしておかなければ、所有者自身にも次のようなデメリットがあります。

  • 売却するときや担保に差し出す場合にすぐに手続きができない
  • 相続登記の義務化以降に相続があれば子や孫に迷惑をかけてしまう

相続登記が義務化される前であっても、土地を相続したときはできるだけ早く相続登記をするようおすすめします。

相続登記は専門家に依頼しなくても自分で手続きをすることができます。相続登記されていないのが一代だけで相続人どうしで話し合いができれば、自分で手続きをしてもよいでしょう。相続登記の方法については、「相続登記の手続きを自分一人で行うことができる完全ガイド」を参照してください。

自分で手続きをすることが難しい場合や時間がない場合は司法書士に依頼することもできます。特に、何代にもわたって相続登記が行われず、相続人の数が多い場合は司法書士に依頼することをおすすめします。司法書士報酬の平均的な金額は10万円程度とされていますが、何代にもわたって相続登記が行われていない場合は高くなります。詳しい内容は、「相続登記の司法書士報酬の相場を徹底解説」も参考にしてください。

5.まとめ

ここまで、相続登記の義務化について検討の背景を中心にお伝えしてきました。

土地の相続登記をしないことは土地の有効活用を妨げるだけでなく、所有者自身にも不都合が生じます。相続登記は2020年以降に義務化される見通しですが、土地を相続したときは義務化の前であっても相続登記をしておくようおすすめします。

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