「住宅ローンの頭金はどれくらい用意すればいいの?」
「頭金が用意できそうにない場合はどうしたらいいんだろう……」
このように、住宅ローンの頭金について不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。
実は住宅ローンの頭金はそれぞれの資金状況によって設定することができます。
なかには頭金0円で組むことができる住宅ローンもありますが、返済額が相対的に上がってしまうリスクがあることには注意が必要です。
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1.住宅ローンの頭金は物件価格の2〜3割が一般的
「住宅ローンを借りるときの頭金って、みんなどれくらい用意するものなんだろう……?」
というのは多くの方が気になっている問題でしょう。
一般的に住宅ローンの頭金は購入する物件価格の2~3割程度が目安だといわれています。
一つ目の理由は頭金がないと住宅ローンの融資を受けることが難しかったからです。
それぞれ金融機関や申込者の経済状況などによって異なりますが、住宅ローンを組む際には「あなたにいくらまで貸すことができます」という融資の上限金額が設けられます。
この融資の上限額は住宅価格の8割を上限とするのが一般的だといわれていました。
さらに、二つ目の理由は、頭金を払っておけば総合的に見た返済額を減らせる可能性が高いからです。
このあと説明するように頭金が0円でも借りれられる住宅ローンがあることは事実です。
しかし、頭金0円の状態で物件価格の全額を借り入れると利息がその分多く発生し、頭金を用意できた場合より将来的に返済額が増えてしまうリスクがあるのです。
したがって、住宅価格の2~3割程度の自己資金が用意できた段階でローンを組んだ方が堅実な返済計画が立てられるでしょう。
2.頭金0円でもローンは借りられる!ただしメリット・デメリットは要確認
「貯蓄に余裕がないからできれば頭金0円で住宅ローンを借りたいんだけど……」
と感じている方も多いでしょう。
確かに頭金0円でも住宅ローンを借りることは可能です。
頭金0円で住宅ローンの融資を受けることを「フルローン」といいます。
頭金0円で借り入れられる住宅ローンが以前より増えてきたのは事実です。
また、住宅購入時にかかる税金や手数料などの諸費用、引っ越し費用、家具・家電購入費用など家の購入にかかる全ての費用を融資してくれるような住宅ローンも出ていています。
「自己資金がなくても将来のために家がほしい!」
という方にとっては心強い商品のように思えるでしょう。
しかし、このような住宅ローンは利息負担が大きく総返済額が増えてしまったり、返済金利が高く設定されている傾向があったりします。
2-1.頭金0円のメリット
フルローンの良い点は、自己資金の準備ができていなくてもマイホームを購入できることです。
計画的にお金を貯めてこなかった人でも購入できますし、フルローンを利用して自己資金は別のことに使用することもできます。
- ・手持ちのお金を他の費用にあてられる
- ・手持ちのお金がなくてもすぐに家が買える
- ・住宅ローン控除の割合が増える
家を購入する際は引っ越し費用や家具や家電の費用など物件価格以外にもこまごまと費用がかかります。
頭金が必要なくなれば、その分手持ちのお金を、ほかの費用にあてることができますね。
また頭金を貯めている間にマイホーム購入のタイミングを逃すなんてこともなく、今だ!と思った時にマイホームを購入することができます。
さらに住宅ローンを組むと「住宅ローン控除」で節税できる可能性もあります。
頭金0円でで住宅ローンを組むと、融資額が大きいため、控除を受けられる額もそれだけ大きくなるんですね。
2-2.頭金0円のデメリット
頭金0円で住宅ローンを借りるデメリットは、なんといっても総返済額が増えてしまうことでしょう。
-
・返済期間が延びる
・支払総額が増える手数料が増える
・金融機関のローンの審査が頭金を払う場合と比べて厳しい
頭金0円のフルローンは頭金を支払う場合に比べて返済額が大きくなるため、その分返済期間も伸び、金利によって支払い総額が増えるというデメリットは忘れてはいけません。
また、金融機関によっても異なりますが、契約の際に支払う手数料は、借入総額に対して●%という形で掛かります。
つまり、借入額が増えれば増えるほど手数料の負担も増えるということです。
さらに、融資の額が小さいほうが、返済能力があると判断されるのかローンの審査に通りやすくなると言われています。
つまり、フルローンで住宅ローンを借りようとするとローンの審査比較的厳しくなる可能性があるんですね。
3.頭金にあてる資金はできるだけ増やしてから住宅ローンを組もう!
頭金0円でも住宅ローンが組めることは事実ですが、結果的に返済額が増えてしまうというリスクがあることをお分かりいただけたでしょうか。
住宅価格の2~3割の頭金を用意しようとした場合、もし3,000万円の住宅を購入しようとすると600~900万円の頭金があった方が良いということになります。
「これだけの貯金、今から貯めても時間がかかる……」
「どうしてもすぐには自力で用意ができない」
という人もいるのではないでしょうか。
住宅購入の申し込みから引き渡しまでの間に、少しでも頭金を増やす努力をしましょう。
頭金を増やす方法1 貯める
頭金を増やす方法として、一番の正攻法は「貯める」ことです。
まだ物件が完成していない新築を購入するなら、物件の完成までに家計を見直してお金を貯めましょう。
ローンの審査を申込みした時点より、頭金が増えることで借入金額が減ることには何の問題もありません。
物件を購入するタイミングを延ばして頭金を貯めても良いでしょう。
⇒住宅ローンの事前審査と本審査の違いって?審査の流れを徹底解説!
⇒住宅ローンの審査に通らない原因は職業?年収?審査に通るコツとは
⇒20代で住宅ローンは組める?審査と借入額の注意点、返済のコツを解説
⇒30代で住宅ローンを組む際の注意点、審査のポイント、完済のコツは?
頭金を増やす方法2 予算を下げる
まだ不動産の売買契約が済んでいないなら、「物件の予算を下げる」という方法があります。
頭金を増やすというより、頭金の割合を増やす方法となりますが、これにより借入金額を減らし、利息負担を軽減させることができます。
また、物件の価格を下げる方法として、割安な中古物件も視野にいれるといいでしょう。
頭金を増やす方法3 親から借りる
もし、どうしても頭金を用意するのが難しいという方は、「身内の方に援助してもらう」ことも検討してみましょう。
「なんだかそんな気の引けるようなことしたくない……」と思われる人もいらっしゃるかとは思いますが、実は全く珍しくないことなのです。
ある調査ではマイホームを購入した人のうち2割程度は親からの援助を受けているというデータが出ています。
駄目元であったとしても、一度相談してみるといいかもしれませんね。
ただし、親族から援助を受ける場合には注意点があります。
無利息で借りると、贈与と見なされ贈与税がかかる可能性があります。
贈与とみなされて余計な税金をかけないためには、
-
・条件をしっかり決めて契約書を作成する
・金利を設定する
・返済した証拠をしっかり残しておく(銀行口座に振り込むなど)
ということに気を付けましょう。
通常の住宅ローンと違って親からは手数料なしでお金借りることができます。
またご両親の立場からしても、金融機関にお金を預金したと思えば、ローンの金利の方が高ければ利子がついて戻ってきますので両者にとってメリットがあるのではないでしょうか。
⇒住宅購入で親から援助を受ける場合の注意点は?お得な節税効果も紹介
頭金を増やす方法4 贈与を受ける
次に親からの「贈与」にも可能な限り頼るようにしましょう。
親からの贈与を受ける場合、気を付けなければならないのが「贈与税」で、非課税枠は110万円となります。その110万円の基礎控除額を超えると贈与税の対象となります。
ただし住宅取得の場合の贈与に関しては、特例が設けられています。
特例を活用するには税務署に申告が必要となります。
これから特例について詳しく解説していきます。
⇒不動産は贈与と相続どちらが良い?不動産の生前贈与について
3-4-1.特例を活用すれば非課税で住宅用資金を確保できる
「マイホームを購入する際は物件価格の2割程度の頭金が必要」と言われますが、これほどの資金の準備ができている家庭ばかりではありません。
「頭金が準備できない……」
そんなときに、もし親から資金援助の話があれば甘えてみるのも賢い選択です。
ある調査ではマイホーム購入にあたり、5人に1人が親からの資金援助を得たというデータも出ています。
通常、親族や知人などから財産をもらった場合は、金額によって贈与税がかかります。
もし、1年間にもらった財産の合計金額が110万円(基礎控除額)以内であれば、贈与税はかからず税務署に申告する必要もありませんが、110万円を超える場合は通常、贈与税がかかります。
住宅取得を目的とした贈与に関しては、2015年から非課税枠が大幅に拡大されています。
住宅取得等資金の贈与税非課税の特例は、家の種類、契約の締結時期、支払う消費税(8%もしくは10%)によって非課税限度額が変わります。
契約の時期にもよりますが、省エネ等基準・耐震等基準などの条件を満たせば、1000万円以上非課税となります。
活用できるチャンスがある方はぜひ利用を検討してみてくださいね。
消費税8%で購入した住宅は、一般の住宅であれば最大700万円の非課税枠、そして耐震、省エネ性、バリアフリー性など、一定の基準を満たした住宅であれば最大1,200万円の非課税枠の適用となっています。
住宅資金贈与の非課税枠(消費税8%) | |
---|---|
契約時期 | 非課税枠 |
2016年1月1日〜2020年3月31日 | 700万円 |
2020年4月1日〜2021年3月31日 | 500万円 |
2021年4月1日〜2021年12月31日 | 300万円 |
一定基準を満たす場合の非課税枠 | |
契約時期 | 非課税枠 |
2016年1月1日〜2020年3月31日 | 1,200万円 (700万円+500万円) |
2020年4月1日〜2021年3月31日 | 1,000万円 (500万円+500万円) |
2021年4月1日〜2021年12月31日 | 800万円 (300万円+500万円) |
仮に、親から住宅取得資金として1,200万円をもらって消費税8%で家を購入したとすると、贈与税の非課税枠がない場合は、課税額が1,200万円−110万円(基礎控除額)=1,090万円となり、250万円近くの贈与税がかかります。
しかし、取得する住宅が耐震性や省エネ性、バリアフリー性などの基準を満たした住宅であれば、非課税枠が1,200万円となるため、1,200万円−1,200万円=0円となり、贈与税はかかりません。
消費税10%で購入した住宅であれば、一般の住宅であれば最大2,500万円の非課税枠、一定の基準を満たした住宅であれば最大3,000万円の非課税枠が適用されます。
住宅資金贈与の非課税枠(消費税10%) | |
---|---|
契約時期 | 非課税枠 |
平成31年4月1日~令和2年3月31日 | 2,500万円 |
令和2年4月1日~令和3年3月31日 | 1,000万円 |
令和3年4月1日~令和3年12月31日 | 700万円 |
一定基準を満たす場合の非課税枠 | |
契約時期 | 非課税枠 |
平成31年4月1日~令和2年3月31日 | 3,000万円 |
令和2年4月1日~令和3年3月31日 | 1,500万円 |
令和3年4月1日~令和3年12月31日 | 1,200万円 |
ただ、この特例を利用するためには、贈与を受けた場合は翌年の3月15日までに税務署に申告しなければなりません。
特例制度である贈与税非課税枠の拡大を上手く利用することで、親からの資金援助を効率よく頭金に充当することが可能です。
住宅資金贈与おける非課税特例は、景気の状況や先行きまた住宅業界等からの要望などを考慮し、3年~4年ぐらいの期間で税制改正がなされます。
現在の特例期間は2020年3月時点では2021年12月31日までとなります。
ただ、これまでの経緯を踏まえますと、この特例が突然なくなることは無いと考えられます。
贈与をする人、受ける人、また住宅の仕様など要件の定義について詳しくは国税庁のWEBサービス「タックスアンサー」を利用したり、直接税務署に電話で問い合わせたりすると良いでしょう。
マイホーム購入にあたり、親などから資金援助を受けられる場合は今がチャンスです。
贈与税非課税枠の拡大により、大抵の援助額には贈与税がかかりません。
しっかりと非課税枠を活用して、援助額を効率よく頭金に充ててお得にマイホームを購入しましょう。
4.まとめ
住宅ローンの頭金について理解は深まったでしょうか。
「頭金0円の家」という広告をよく見かけますが、安易に頭金をなしにすると後々になって苦しむ可能性も大いにあります。
まずは今の自分の生活状況をよく考えて返済シミュレーションをしてみましょう。
少額でも頭金を用意すると、以下の4つのメリットを受けることができます。
-
・返済期間が短くなる
・月々の返済額が小さくなる
・住宅ローンの審査が通りやすい
・金利が優遇される
頭金を貯めてから住宅ローンを組むのが、結果的には賢い節約方法になるかもしれません。