「住宅ローンはできるだけ早いうちに組んで定年退職前に完済したいけど、自分の年収でも住宅ローンを組めるのかな?」
「なるべく多くの融資を受けたいけど、返済しきれるかちょっと心配……」
20代で住宅ローンを組みたいと考えている方の多くが、こうした不安をお持ちなのではないでしょうか。
この記事では、20代の方が住宅ローンを組む際に注意すべきポイントと返済のコツについて徹底解説していきます。
1.20代で住宅ローンを組むためには年収がいくら必要?
「20代で住宅ローンを組んで、できるだけ早く返済しきって老後の生活に余裕を持たせたい……」
という風に考えているいらっしゃる方は多いのではないでしょうか?
しかし、「20代で住宅ローンを組むために必要な年収はいくら?」「多額の融資を受けるための対策はあるのか?」など、気になることは山積みですよね。
1-1.20代であれば年収の伸びを期待しても良い
20代の方の平均年収は30代、40代と比べれば低くなっています。
しかし金融機関もそういった部分は加味して融資額を決定するので、年収に対して融資をしてくれる金額の倍率は30代、40代と比べれば上限が高く設定されることが多いです。
30代であれば年収の7倍程度、40代であれば5倍から6倍程度しか融資してくれない金融機関もあります。
しかし20代で正社員として勤務をしている人ならば、年収の8倍程度の融資を受けるのも無理ではありません。
今は年収が伸びにくい時代ともいわれますが、それでも年功序列で年収は徐々に伸びていきますし、20代はまだまだ伸びしろがあります。
そのため融資額も年収と比べて比較的高い金額になるので、20代でも住宅ローンを組むことは不可能ではありません。
1-2.まだ年収が少ない場合は、住替えを前提に安い物件を買うことも視野に
例えば「1,500万円の融資を受けて2,000万円の2LDKの物件を購入する」という選択肢があります。
夫婦2人、子供1人の3人家族ならこれくらいの大きさの家でもそれほど狭さを感じないでしょう。
もし子供を2人3人と増やしたいのであれば、2人目が生まれた段階で今住んでいる物件を売却して、新しい住宅の購入資金に充てましょう。
家族が増えたタイミングで住み替えや住宅ローンの借り換えをすること前提にしておけば、無理のない範囲で1件目の家の購入ができるはずです。
駅前など利便性の高い場所に家を購入すれば、購入時とそれほど変わらない価格での売却も可能です。
1-3.夫婦で相談し、合算ローンを利用すれば融資額が伸びる
夫婦で家を購入するのであれば、是非とも利用したいのが合算ローンです。
合算ローンは、二人の収入を合算した額に即した融資が受けられるので、お互いの年収が300万円という場合でも2人合わせれば3,000万円以上の融資を受けることが可能です。
もちろん夫婦二人でずっと働き続けるという覚悟は必要です。
しかし、女性が出産後も職場に復帰しやすく、育休が取りやすい職場であれば、夫婦合算ローンを利用しても返済できないリスクは少ないといえるでしょう。
合算ローンを組めば住宅ローン控除を夫婦それぞれが利用できるため、所得税あるいは住民税から毎年住宅ローン残高の1%が還元される可能性があります。
⇒夫婦で家を買うならペアローンはおすすめ?収入合算との違いを解説
2.20代で住宅ローンを借り入れる人が知っておくべき3つの知識
20代のうちから住宅ローンを利用したいと思っていても、
「自分は本当に審査に通るのかな?」
という不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。
2-1.20代は住宅ローンの融資が受けやすい
実は20代というのは住宅ローンの融資が受けやすい年代なのです。
20代の方の収入は将来的に上がることが期待される上、現在は65歳まで勤務が可能になっています。
そのため20代で正社員の方は金融機関から見ても比較的安定した顧客とみなされます。
2-2.住宅ローンの返済負担率が割高に設定されてしまうかも
審査に比較的通りやすいとはいえ、20代の方はまだ比較的収入が低いので返済負担率には気を付ける必要があります。
民間の住宅ローンであれば返済負担率を20%代に抑えられる商品も中にはありますが、そうした商品は審査が厳しい可能性もあります。
一方、比較的審査の通りやすいといわれている住宅ローンに「フラット35」という商品があります。
フラット35を利用すると、35年間固定金利で融資を受けることができます。
また、民間のローンの審査に通りづらい方でも比較的融資を受けやすいことがメリットとして挙げられます。
しかし、フラット35では年収が400万円以下だと返済負担率は30%にまでしか設定できません。
そのため、年収400万円の方の年間返済額は最大でも120万円となり、月額で換算すると毎月10万円となります。
2-3.信用情報には気をつけておく
審査の結果は信用情報によって左右されることがあります。
例えば、「携帯電話の毎月の料金を滞納してしまったことがある」、「解約したつもりだったのに解約ができていなくて後から請求が来た」などの些細なミスでも信用情報には傷がついてしまいます。
こういった信用情報のトラブルにより融資が受けられなくなることがあるので、自分の信用情報に問題がないか事前に確認しておくと安心ですね。
3.20代で住宅ローンを組む際のポイント
最近では日本人の初婚年齢は男性の場合、30代となっています。
しかし20代で結婚する方も多くいらっしゃいますし、なかには若いうちに住宅ローンを組んで家を購入したいと考える方も多いでしょう。
ポイント1 住宅ローン返済は必ず35年に設定する
まず基本ですが返済期間は必ず35年に設定しましょう。
住宅ローンの返済期間を長くすると金利の支払いが増えるので、できるだけ短期返済をしたいと考える方もいます。
しかし、借りた数千万円のお金を35年もかけて返せばいいというのは実は大変に大きなメリットなのです。
通常、融資を受ける場合の返済期間はできるだけ短く設定されてしまうものですが、住宅ローンの場合は例外的にこれほど長い返済期間を設定できるのです。
そこで、返済期間を長く設定して毎月の支出を抑えた方が収入が減った時などのリスクに備えるという観点からは有利だと考えることができます。
また、お金に充分な余裕があるときは繰り上げ返済を利用すれば任意のタイミングで返済が可能です。
基本的に毎月の返済には利息の支払いが含まれています。
しかし、繰り上げ返済をしたお金は借り入れた元金の支払いに回されるため、繰り上げ返済を積極的に行うことで利子分を節約することが可能です。
⇒住宅ローンの繰り上げ返済がお得な理由を解説!デメリットはない?
ポイント2 教育費や維持費も住宅ローン返済計画に入れる
住宅を購入する方の多くは子供が生まれることを想定してマイホームを買うことを決断しています。
返済計画を立てる際は、今後想定される子供の教育費や住宅を維持していくための修繕費を盛り込んで考えておくようにしましょう。
一般的に住宅ローンの安全な返済額の上限は年収の25%程度といわれます。
家を買っただけで精一杯になり、生活を楽しめなくなったり、他のことをを諦める羽目になったりしてしまわないよう、無理のない範囲で融資を受けるようにしましょう。
ポイント3 親族からの贈与を積極的に利用する
住宅購入の際に親族から贈与を受ける場合について、税負担を軽減する制度が用意されています。
若いうちに多くの自己資金を用意するのは難しいですよね。
頼れる親族がいる方は、親族からの贈与を積極的に利用しましょう。
2020年4月1日時点では住宅を購入するための資金を親族から贈与される際の非課税限度額は次のようになっています。
消費税率の区分 | 契約締結日 | 省エネ等住宅 | 一般の住宅 |
---|---|---|---|
家屋に対する消費税率が 8%の場合など(※) |
~2015年末 | 1,500万円 | 1,000万円 |
2016年1月~2020年3月 | 1,200万円 | 700万円 | |
2020年4月~2021年3月 | 1,000万円 | 500万円 | |
2021年4月~12月 | 800万円 | 300万円 | |
家屋に対する消費税率が 10%の場合 |
2019年4月~2020年3月 | 3,000万円 | 2,500万円 |
2020年4月~2021年3月 | 1,500万円 | 1,000万円 | |
2021年4月~12月 | 1,200万円 | 700万円 |
住宅購入のための資金贈与であれば、表に示した額まで税金がかかりません。
この仕組みを積極的に活用すれば、住宅ローンの負担を減らすことができるはずです。
ポイント4 共働きであれば合算ローンを使いたい
夫婦共働きの場合、夫婦合算ローンを活用するのもおすすめです。
例えば夫が年収350万円と妻が年収250万円のだった場合、夫婦の所得を合わせれば年収600万円になります。
このケースでは、3000万円以上の住宅ローン融資を受けることも不可能ではありません。
住宅ローンの収入合算には連帯債務、連帯保証、ペアローンの3種類があります。
- ・連帯債務……1つの住宅ローンに2人ともが返済義務を負う
- ・連帯保証……債務者が返済できなくなった場合に連帯保証人が返済義務を負う
- ・ペアローン……2人それぞれが住宅ローンを組む
金融機関によって、ペアローンの融資を受けることになるのか、連帯保証のローンになるのかなど、合算ローンの条件は違います。
20代でも安心して借りられるおすすめのローンはこちらの記事でご紹介しています。
4.20代で組んだ住宅ローンを無理なく返済していくコツ
20代のうちに住宅ローンを組んでおけば、60歳になる前に住宅ローンを完済することも可能です。
老後の生活に対し年金をあてにするのは難しくなっている今、できるだけ定年退職後は生活に余裕を持たせるには、住宅ローンを定年退職前に全て返済していくことが重要です。
コツ1 住宅ローン控除を受ける
住宅ローンを組むと、一定の条件を満たしていれば住宅ローン控除が利用できます。
住宅ローン控除を利用すれば、例えば3,000万円の住宅ローン残高がある場合、確定申告をすることで年間で30万円もの額が所得税や住民税から還元されます。
そのため実質的な毎月の住宅ローン支払いは25,000円も減るのです。
コツ2 繰り上げ返済は住宅ローン控除が終わってからでも活用しよう
繰り上げ返済は、住宅ローンを柔軟に返済していくために大変便利なシステムです。
繰り上げ返済によって借入元本を減らすことで、毎月の返済額を減らしたり返済期間を短く設定したりすることが可能です。
しかし、繰り上げ返済は住宅ローン控除の制度を最大限利用してから行うというのも一つの考え方です。
無理に繰り上げ返済行うと毎月の余裕がなくなってしまう可能性も考えられます。
無理な繰り上げ返済はやめ、住宅ローン控除が受けられる期間は充分に住宅ローン控除を利用して可能な限り税金の控除を受けると良いでしょう。
住宅ローン減税の制度を利用できなくなってから、一気に貯金で繰り上げ返済をすれば元本を大きく減らすことができます。
5.まとめ
20代の方は住宅ローンの融資を比較的受けやすい世代といえます。
若いうちから住宅ローンを組むことで、ゆとりある老後を過ごしたいですよね。
自分のライフスタイルや経済状況を振り返った上で、無理のない返済計画を立てるようにしましょう。
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