「フラット35ってよく聞くけど、どんな住宅ローンなんだろう?」
「他の住宅ローンと何が違うの?」
といった疑問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、フラット35のメリットや使うべき人、利用する際の注意点などについて一般的な住宅ローンと比較しながら解説していきましょう。
フラット35Sをはじめとしたフラット35のさまざまなバリエーションについても併せてご説明します。
1.フラット35は全期間固定金利が特徴の住宅ローン
「フラット35」は、国土交通省と財務省が管轄する独立行政法人住宅支援金融機構と民間の金融機関が提携し2003年に誕生した住宅ローンのことです。
いわば半官半民の住宅ローンだといえますね。
国が管轄する機関が出資するローンなので幅広い人が利用できるよう工夫されており、民間の金融機関が提供するローンよりも審査が通りやすい傾向にあるといわれています。
また借り換えにも対応しており、「フラット35S」や「フラット50」などのさまざまなバリエーションもあります。
2.フラット35のメリットは?民間ローンと徹底比較
フラット35と民間ローンとの大きな違いをまずは表で確認してみましょう。
フラット35 | 民間ローン | |
---|---|---|
金利タイプ | 全期間固定金利型 | 変動金利型 固定金利選択型 全期間固定金利型 |
ローン保証料 | 不要 | 必要な場合がほとんど |
団体信用生命保険 | 任意加入 | 強制加入 |
繰上げ手数料 | 無料 | 金融機関によって異なる |
このように、フラット35には民間ローンとは異なる特徴があることがわかりますね。
メリット1 返済額が変わらないので安心
フラット35の特徴は何といっても、「全期間固定型金利」のために返済額が変わらないということでしょう。
景気や金利の変動によって返済額が変わってしまうことがないため、安心して返済を続けられます。
つまり、最初に毎月の返済額が正確に決まるため、完済するまでの返済計画を立てやすいのですね。
⇒住宅ローンは変動?固定?選ぶべき金利タイプと返済方法を解説
⇒元利均等返済と元金均等返済の違いを解説!お得な返済方法はどっち?
メリット2 保証料がかからない
一般的に、住宅ローンの契約には保証料が必要となります。
しかし、フラット35なら保証料や保証人の必要はないというメリットがあります。
民間の住宅ローンを借りると高額のローン保証料が必要になってしまいます。
しかし、フラット35の場合には保証料を支払う必要がないため、住宅購入のときにかかる諸費用を抑えることができるのです。
メリット3 団体信用生命保険への加入が任意
フラット35では団体信用生命保険いわゆる団信に加入するかどうかを選ぶことができます。
一般的に、民間の住宅ローンを借りる際には団体信用生命保険に必ず加入しなくてはいけません。
つまり、団体信用生命保険に加入できない人は民間の住宅ローンを借りられないのです。
持病があるなど健康上の問題を抱えている方は、団体信用生命保険に加入できないため民間の住宅ローンは借りられない可能性が高いといえるでしょう。
しかし、健康に不安がある方もフラット35を利用すれば、住宅ローンを借りることが可能になるのです。
⇒住宅ローンを組めば生命保険はいらない?団信とフラット35を解説
メリット4 繰上げ手数料が無料
フラット35のもう一つのメリットとして繰上げ手数料がかからないことが挙げられます。
住宅ローンの利子は返済期間に対して適用されるため、返済期間を短くして少しでも返済額を減らすために繰上げ返済をする方は多くいらっしゃいます。
しかし金融機関によっては繰上げ返済の度に手数料がかかってしまう場合があるのです。
フラット35を利用すれば、繰上げ手数料がかからないので安心して繰上げ返済を行うことができるといえるでしょう。
⇒住宅ローンの繰り上げ返済がお得な理由を解説!デメリットはない?
3.フラット35にデメリットはないの?
フラット35で住宅ローンを借りると、ずっと同じ金利で返済を続けていくことになります。
つまり、借入後に金利が下がったとしても返済額は変わらないということです。
固定型の金利もその時々の景気の変動に合わせて更新されますが、既に契約してしまった方に適用される金利は契約時から変わりません。
もし金利が借りたときよりも下がっていった場合、変動金利型の住宅ローンよりも返済額が多くなり、損をしてしまう可能性があります。
また、一般に民間の住宅ローンの方が特典やサービスが充実しているということがいえるでしょう。
4.フラット35の利用条件は?
続いてフラット35を借りるための条件について見ていきましょう。
4-1.借り入れる人の条件
まずフラット35を借りる人は次の条件を満たしている必要があります。
- (1)申し込み時の年齢が満70歳未満
- (2)日本国籍の方、もしくは特別永住者または永住許可を受けている方
ただし、親子リレー返済の場合に限って、満70歳以上でも申し込むことができます。
4-2.物件の条件
フラット35で住宅ローンを借りるためには、物件も一定の条件を満たしていなければいけません。
まず、面積の条件があります。
- ・一戸建ての場合……70㎡以上
- ・マンションの場合……30㎡以上
また、住宅の建設費もしくは購入価格が1億円以下である必要があります。
さらに、物件が住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅でなければいけないのです。
基準に適合した住宅であることは、適合証明機関に「適合証明書」を発行してもらうことによって証明します。
中古物件の場合には、さらに以下の2つの条件があります。
- (1)既に人が住んだことがある
- (2)築年数が2年を超えている
4-3.審査の基準
フラット35を借りるための審査は明確な基準によってなされています。
年収に占めるローン返済の額が次の基準を満たす必要があるのです。
年収 | 総返済負担率 |
---|---|
400万円未満 | 30%以下 |
400万円以上 | 35%以下 |
審査に通るためには、フラット35以外の自動車ローン、カードローンなどあらゆるローンを含めた返済額の負担が以上の基準を満たしていなければいけません。
5.フラット35を使うべき人とは?
なぜそのような方々にとってメリットがあるのか、詳しくはこれからご説明していきましょう。
5-1.自営業の方
フラット35は所得が安定しない傾向にある自営業の方でも比較的審査に通りやすい住宅ローンだといわれています。
民間の住宅ローンでは、審査の際に過去数年の所得を重視されることが多くなっています。
そのため、節税などのために所得額を抑えている自営業の方は審査に通ることが難しくなっているのです。
しかし、フラット35の審査を通るために重要なのはあくまで返済負担率となっています。
したがって、過去の所得が低かったとしても、審査に通る可能性が高いといえるのです。
5-2.持病を持っていて団体信用生命保険に加入できない方
フラット35は、持病を持っているために団体信用生命保険に加入できない方にもおすすめです。
団信に加入できなければ、民間の住宅ローンを借りることはできません。
しかし、フラット35であればそうした方でも住宅ローンを借りることが可能となっているのです。
6.フラット35を利用する際の注意点
フラット35を借りる際に注意すべき点は主に4つあります。
- (1)金融機関によって借入の条件が異なる
- (2)土地だけの購入には利用できない
- (3)投資用物件の購入には利用できない
- (4)着手金などの支払いに対応できない
それぞれの注意点を解説していきますね。
注意点1 金融機関によって借入の条件が異なる
フラット35はさまざまな金融機関から申し込むことができ、金融機関によって借入の条件が異なります。
フラット35は銀行、信用金庫、JAなどの金融機関を通じて申し込むことができます。
同じフラット35でも、借りる金融機関によって金利や手数料、手続きの内容などが異なってくるのです。
フラット35で借入をする場合には、複数の金融機関を比較して条件の良いところを選ぶようにしましょう。
注意点2 土地だけの購入には利用できない
フラット35は基本的に、土地のみを購入する際には利用することができません。
土地を購入してからマイホームを建てるといった計画を立てている方は、他のローンと組み合わせるなどの対策を練っておくことが必要です。
注意点3 投資用物件の購入には利用できない
フラット35を投資用物件の購入に利用することはできません。
フラット35は、本人またはその親族が住む住宅の購入資金に充てなければいけないのです。
万が一、投資用物件を購入するためにフラット35を利用してしまうと、一括で借入金を返さなくてはいけなくなります。
注意点4 着手金などの支払いに対応できない
フラット35では、建物を新築する際にかかる着手金や中間金などの支払いに対応することができません。
自己資金が少なく、こうした費用を工面することが難しい方は、民間の住宅ローン利用を検討しましょう。
民間の住宅ローンであれば、着手金や中間金などの支払いに対応しているものもあります。
また、民間住宅ローンの担当者は、工務店やハウスメーカーに事前に支払うべきお金が発生したときにも相談に乗ってくれる可能性があるのです。
7.併用できるものも!活用したいフラット35のバリエーション
ここでは、フラット35の5つのバリエーションについて見ていきます。
7-1.フラット35S:高品質の住宅は金利が一定期間引き下げられる
フラット35Sは一定の条件を満たした住宅であれば、フラット35よりも金利がお得になる住宅ローンです。
フラット35Sでは、「省エネ・耐震」などの条件を満たすことで、一定期間金利を引き下げてもらえます。
フラット35Sには「金利Aプラン」と「金利Bプラン」の2つが用意されており、それぞれ金利の引き下げ期間と適用の条件が異なります。
金利の引き下げ期間は以下のとおりです。
プラン | 引き下げ期間 |
---|---|
金利Aプラン | 当初10年間 |
金利Bプラン | 当初5年間 |
それぞれの金利タイプの適用条件については、住宅金融機構の公式ページをご覧ください。
フラット35Sはフラット35リノベとの併用はできませんが、フラット35子育て支援型・地域活性型との併用は可能です。
フラット35子育て支援型・地域活性型についてはこちら をご覧ください。
7-2.フラット20:返済期間が20年以下なら金利がフラット35よりお得になる
フラット20は、返済機関が15年以上20年以下であれば金利がお得になる住宅ローンです。
フラット20はフラット35の最低金利より低い金利でローンを借りることができます。
毎月の返済に余裕がある方、短期間で低い金利でローンを支払いたい方におすすめのローンだといえるでしょう。
7-3.フラット35子育て支援型・地域活性型:地域によっては金利が一定期間引き下げられる
フラット35子育て支援型・地域活性型とは、条件を満たせば地域によって一定期間フラット35の借入金利が引き下げられる住宅ローンです。
フラット35子育て支援型は、子育て支援に積極的な地方自治体の支援によって、次の場合にフラット35の金利が当初5年間0.25%引き下げられます。
- (1)若い子育て世帯が住宅を取得する
- (2)若い子育て世帯が親と同居、もしくは近くに住むために住宅を取得する
また、フラット35地域活性型も、地方自治体の支援によってフラット35の金利が当初5年間0.25%引き下げられる住宅ローンです。
フラット35を利用して住宅購入を考えている方は、住宅を購入する地域がこうした仕組みに対応しているかどうか確認してみると良いでしょう。
7-4.フラット35リノベ:中古住宅のリフォームがお得になる
フラット35リノベは、住宅の性能を向上させるリフォームを行う場合に金利が一定期間引き下げられる住宅ローンです。
以下の2つの場合に、利用できる可能性があります。
- (1)中古住宅を購入して、住宅の性能を向上させるリフォームを行う
- (2)住宅事業者が既に住宅の性能を向上させるリフォームを行った中古住宅を購入する
基本的にフラット35リノベの適用には、リフォーム工事前には満たしていなかった基準を満たす工事をする必要があります。
フラット35リノベには「金利Aプラン」と「金利Bプラン」があり、それぞれに異なる金利の引き下げ期間と適用条件が設けられています。
プラン | 引き下げ期間 |
---|---|
金利Aプラン | 当初10年間 |
金利Bプラン | 当初5年間 |
それぞれの金利タイプの適用条件については、住宅金融機構の公式ページをご覧ください。
7-5.フラット50:最長50年間固定金利で長期優良住宅を取得できる
フラット50は最長50年の全期間固定金利の住宅ローンです。
フラット50の場合、借入対象となる住宅を売却する際、一度に限って住宅購入者に債務を引き継ぐことができるのです。
フラット50の借入金額は物件価格の6割までとなっていますが、フラット35やフラット20との併用もできます。
他の住宅ローンを併用することで、物件価格の全てをまかなうことは可能です。
長期間にわたって安定した資金計画を立てたい方、毎月の返済額を抑えたい方などにフラット50はおすすめといえるでしょう。
8.まとめ
フラット35は、政府の出資する機関が民間の金融機関と提携して提供する住宅ローンのタイプです。
大きな特徴の一つは、「全期間固定型金利」で契約したときから完済までずっと金利が一定ということでしょう。
景気の影響を受けず返済額が変わらないため、当初の返済計画通り着実に返済を進めていくことができます。
またフラット35には保証料や繰上げ返済がかからないなどの契約者に嬉しいメリットが多数あります。
公的機関が提供に関わっているため広く門戸を開かれており、特に民間の住宅ローンの融資審査が下りづらい傾向にある自営業の方や持病のある方には向いているローンだといえるでしょう。
フラット35にはさまざまなバリエーションもあるため、ご自身に合ったプランを見つけられるかもしれませんよ。
民間金融機関が提供する住宅ローンとの違いを把握し、自分に合ったものを選ぶようにしてくださいね。
フラット35を含めたおすすめの住宅ローンについてはこちらの記事でご紹介しています。
また、ご自身で比較するのが面倒だという方は同時に複数の住宅ローンの審査を受けられる「一括審査」を利用してみるのも手です。
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