転職・退職後はふるさと納税の手続きが必要?控除上限額の計算も解説

転職した場合、ふるさと納税の手続きは前年と同じように行って大丈夫なの?
退職を考えているんだけど、年収が変わるとふるさと納税の控除上限額が変わるって本当?

転職・退職後にふるさと納税を行う場合、どういった対応が必要なのか気になっている方もいらっしゃるでしょう。

また転職や退職で収入が変動する場合、ふるさと納税の「控除上限額(控除限度額)」がどう変わるのか確認したいという方もいらっしゃるかもしれません。

転職や退職を行った際には適切な手続きを行わなければ、ふるさと納税で寄附をしても税金が控除されなかったり、控除できても損をしたりする恐れがあります。

そのため転職や退職をした方、または予定している方はふるさと納税でどういった手続きが必要かを確認しておきましょう。

本記事では転職・退職後のふるさと納税の手続きや手順をご紹介し、控除上限額の計算方法をケース別に解説します。

税理士
加えて控除上限額の計算が簡単にできるおすすめのシミュレーター・ふるさと納税サイトもご紹介しますよ。

【転職・退職した方にもおすすめのふるさと納税サイト4選】
※横にスクロールできます
サイト名 特徴 掲載自治体数
楽天ふるさと納税 楽天ポイントが貯まる・使える!楽天ユーザー&楽天カードユーザー必見のサービス 1,653
ふるさとチョイス 掲載返礼品数55万超えの大規模な老舗サイト!幅広い決済方法に対応 1,788
さとふる オリジナルの返礼品を多数用意!最短1週間で返礼品が届くスピーディーな対応も魅力 1,428
ふるなび Amazonギフトカードや楽天ポイントなどに交換可能な「ふるなびコイン」がもらえる!独自の還元制度や家電・商品券などの返礼品が充実 1,275
※2024年4月時点
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目次

1.転職・退職後に行うふるさと納税の手続きとは?

ふるさと納税をしたいけど、転職したばかりでどのように手続きすれば良いのか分からないな……。
転職予定なんだけど、ふるさと納税をする場合何か手続きが必要なのかな?

このように転職・退職後にふるさと納税でどのような手続きが必要か知りたいという方もいらっしゃるでしょう。

ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附することで税金の控除を受けることができる制度です。

このふるさと納税の控除は「寄附金控除」と呼ばれ、寄附をした翌年の所得税・住民税が減額される仕組みですが、ご自身で手続きをしなければ控除を受けることができません

転職してふるさと納税を行う方は、以下のとおり年内に再就職をしたかどうかで控除を受けるための手続きが異なりますよ。

【転職・退職後に行うふるさと納税の控除の手続き】
メモ
この章では、会社に勤める給与所得者が別の会社に勤めて給与所得者になる場合の手続きについて解説しています。退職後、個人事業主・フリーランスとして独立した場合など、給与以外の収入を一定額得た方は確定申告による手続きが必要です。

なお転職・退職を機に引っ越しをした方は、住所の変更手続きも行う必要があります

税理士
住所の変更にまつわる手続きは注意点2 引っ越した場合は住所の変更手続きが必要でご説明しています。

1-1.年内に再就職した場合はワンストップ特例制度

退職をして年内に再就職した場合は、「ワンストップ特例制度」でふるさと納税の控除を申請できます

ワンストップ特例制度とは
本来、確定申告で申請することとされている寄附金控除の手続きを、ふるさと納税の寄附先の自治体に申請書などの必要書類を送るだけでできる制度です。制度の利用には条件があります。

ただしワンストップ特例制度を利用するには、以下の条件を全て満たす必要があります。

【ワンストップ特例制度の利用条件】
  • ・給与所得者(会社員など)である
  • ・ふるさと納税以外に確定申告を行う理由(医療費控除・住宅ローン控除の申請など)がない
  • ・ふるさと納税をした年の1〜12月の寄附先が5自治体以内である

利用条件を満たしていてワンストップ特例制度で手続きしようと思っている方は、転職前の勤務先から源泉徴収票を受け取り、新しい勤務先に提出をして年末調整をしてもらいましょう

なおワンストップ特例制度を利用するには、寄附した自治体に「ワンストップ特例申請書(寄附金税額控除に係る申告特例申請書)」を提出する必要があります

申請書は、寄附先の自治体に郵送してもらうか、ふるさと納税サイトで取得することが可能です。

税理士
退職をして年金を受給している方も、公的年金を含む収入金額が400万円以下であればワンストップ特例制度を利用できますよ。

注意
ふるさと納税をした年に転職・退職をした場合でも、寄附した翌年の1月10日までに寄附先の自治体へワンストップ特例申請書を送りましょう。期日に間に合わなかったり、送り忘れたりした場合は確定申告を行う必要があります。

ワンストップ特例制度について、詳しく知りたい方は「ふるさと納税はワンストップ特例制度が便利!確定申告が不要になる?」をご参照ください。

1ー2.年内に再就職しなかった場合は確定申告

退職後、年内に再就職しなかった方はご自身で確定申告をしなければ、ふるさと納税の控除を受けることができません

確定申告で寄附金控除を申請する際には、以下の書類が必要です。

【確定申告で寄附金控除を申請する際に必要な書類】
  • ・寄附をした年に自治体から送られてくる全ての寄附金受領証明書
  • ・前職の対象期間の源泉徴収票
  • ・還付金を受け取るための口座情報
  • ・マイナンバーカード(ない場合は番号確認書類と身元確認書類が一つずつ必要)

また確定申告を行うには、「確定申告書」と呼ばれる書類に必要事項を記入して税務署に提出する必要があります。

確定申告書は「会計ソフト」や「確定申告アプリ」または国税庁Webサイトの「確定申告書等作成コーナー」「手書き」といった方法で作成して提出することが可能です。

税理士
確定申告に不慣れな場合には、会計ソフトや確定申告アプリといった申告の補助をしてくれるツールの利用がおすすめですよ。

ふるさと納税の確定申告にもおすすめの会計ソフトはこちら、確定申告アプリはこちらでご紹介しています。

また本記事でご紹介しているふるさと納税サイトさとふるでは、ふるさと納税の控除に特化したPDF形式の確定申告書を作成できる「カンタン確定申告」というツールを提供しています。

ふるさと納税以外に確定申告を行う理由がない方であれば、カンタン確定申告で寄附から控除の申請書の作成まで一つのサイト内で完結できるのできますよ。

なお確定申告の期間はふるさと納税をした翌年の2月16日〜3月15日であることが原則であり、2月16日と3月15日が土曜・日曜・祝日の場合には翌日・翌々日の月曜が期限日になります。

例えば令和6年の1月1日〜12月31日の間に寄附したふるさと納税の控除の場合は、令和7年2月17日〜3月17日に確定申告書を税務署に提出する必要があります。

メモ
本来、所得税の確定申告をする義務のない方が、給与から源泉徴収された所得税やふるさと納税で寄附したお金などが納めるべき税額を超えていた場合に、必要以上に支払った税金を返還してもらうために確定申告をすることを「還付申告」といいます。

2.転職・退職後にふるさと納税の控除上限額を計算する方法

転職をして収入が変わると、ふるさと納税の控除上限額にどう影響するの?
転職で控除できる限度額が変わるって聞いたんだけど、自己負担を増やしたくないから確認しておきたいな。

このように心配している方もいらっしゃるでしょう。

ふるさと納税では、寄附者ごとに税金を控除できる金額に制限が設けられており、この限度額のことを「控除上限額(控除限度額)」といいます

控除上限額はその年の収入や家族構成によって決まるため、転職や退職で収入が変わると変動する可能性がありますよ。

ふるさと納税の控除上限額は以下の計算式で割り出されます。

【ふるさと納税の控除上限額の計算式】
  • 控除上限額=(個人住民税所得割額×20%)÷(100%-住民税の基本分10%-[所得税率×復興税率1.021])+2,000円

控除上限額の計算を行うには、ご自身の「住民税所得割額」と「所得税率」を確かめる必要があります。

住民税所得割額と所得税率は、所得の金額に応じて数値が異なるため注意しましょう。

そこでこの章では以下の四つのケースに分けて、控除上限額の計算方法をシミュレーションしてご紹介します。

【転職・退職後にふるさと納税の控除上限額を計算する方法】
税理士
控除上限額を超えて寄附をしてしまうと、損する恐れがあるので事前に確かめておきましょう。

2ー1.転職・退職した年の内に再就職した場合

転職・退職した年の内に再就職した場合、控除上限額は前職と転職後の仕事で得た収入の合計額をもとに算出します。

控除上限額を割り出すには以下の計算式を使用します。

【ふるさと納税の控除上限額の計算式】
  • 控除上限額=(個人住民税所得割額×20%)÷(100%-住民税の基本分10%-[所得税率×復興税率1.021])+2,000円

そのためまずは個人住民税所得割額と所得税率の数値を確かめないといけません

例として以下の条件の場合で計算してみます。

【転職・退職した年の内に再就職した場合の例】
  • ・状況:3月に退職し、4月から別の会社に再就職した
  • ・給与収入の金額:368万円(前職の月収26万円×3カ月分、現職の月収30万円×9カ月分+ボーナス20万円)
  • ・給与所得の金額:250万4,000円(給与収入368万円-給与所得控除117万6,000円)
  • ・家族構成:夫婦共働き(配偶者の年収が120万円)、16歳未満の子一人
  • ・税額控除:寄附金控除のみ

個人住民税所得割額と所得税率を確かめるには、まず「課税所得」の金額を求める必要があります。

課税所得とは
所得のうち課税対象になる所得のことです。原則的には全ての所得に税金が課されますが、社会政策などの見地から配偶者(特別)控除、扶養控除などの所得控除が適用されることで、税金が課されない「非課税所得」というものが生じます。

課税所得金額は給与所得の金額から基礎控除、配偶者(特別)控除、扶養控除、社会保険料控除といった所得控除の合計額を差し引いて割り出しましょう

以下の式で課税所得金額を算出します。

【課税所得金額の計算式】
  • 課税所得金額=給与所得金額-所得控除の合計金額
税理士
正確な給与所得の金額は源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」の欄、所得控除の合計額は「所得控除の合計額」の欄で確認できますよ。

例えば基礎控除48万円、配偶者特別控除16万円、扶養控除0円、社会保険料控除55万円と仮定すると、例の場合の課税所得金額は131万4,000円(給与所得金額250万4,000円-所得控除の合計金額119万円)です。

メモ
給与所得者の場合、源泉徴収票の所得控除欄を見れば正確な所得控除の合計が分かります。

課税所得金額が分かったら次に個人住民税所得割額を計算しましょう。

住民税所得割額を算出するには、以下の式を使用します。

【住民税所得割額の計算式】
  • 住民税所得割額=課税所得金額×標準税率10%

例のケースでは課税所得金額が131万4,000円であるため、住民税所得割額は13万1,400円(課税所得金額131万4,000円×標準税率10%)です。

続いて以下の表を参考に課税所得金額に応じて、所得税率を確かめます

【課税所得金額に応じた所得税率】
課税所得金額 所得税率
1,000〜194万9,000円 5%
195万〜329万9,000円 10%
330万〜694万9,000円 20%
695万〜899万9,000円 23%
900万〜1,799万9,000円 33%
1,800万〜3,999万9,000円 40%
4,000万円以上 45%
国税庁サイト「No.2260 所得税の税率」をもとに執筆者作成

例の場合、課税所得金額が131万4,000円なので、所得税率は5%であることが分かりますよね。

つまりこの例の場合の控除上限額は、以下のとおり計算することができます。

【例の場合の控除上限額の目安】
  • (13万1,400円×20%)÷(100%-10%-5%×1.021)+2,000円=3万2,955円

源泉徴収票があれば正確な数字を把握できますが、前職の源泉徴収票を受け取れるのは退職後1カ月以内であり、新しい職場の源泉徴収票は年末まで受け取れません

2ー2.転職・退職した年の内に再就職しなかった場合

転職・退職した年の内に再就職をしなかった場合も、その年の収入の合計金額からふるさと納税の控除上限額を計算します。

なお失業保険の手当は所得とはみなされないため、ふるさと納税の控除の対象から外されていますよ。

例として以下の条件で計算してみましょう。

【転職・退職した年の内に再就職しなかった場合の例】
  • ・状況:9月末に退職をして年内に再就職しておらず、失業保険の手当を受け取っている
  • ・給与収入の金額:490万円(前職の月収50万円×9カ月分+前職のボーナス40万円)
  • ・給与所得の金額:348万円(給与収入490万円-給与所得控除142万円)
  • ・家族構成:夫婦共働き(配偶者の年収が100万円)、子ども(高校生)一人
  • ・税額控除:寄附金控除のみ

この例の場合にも控除上限額を割り出すには以下の計算式を使用するため、最初に個人住民税所得割額と所得税率を確かめる必要があります。

【ふるさと納税の控除上限額の計算式】
  • 控除上限額=(個人住民税所得割額×20%)÷(100%-住民税の基本分10%-[所得税率×復興税率1.021])+2,000円

住民税所得割額・所得税率を知るために、課税所得を求めるところから始めましょう

所得控除の合計額が194万円と仮定した場合、課税所得は以下のとおり計算します。

【例の場合の課税所得金額の計算式】

※横にスクロールできます
課税所得金額(給与所得金額−所得控除の合計額) 給与所得金額348万円-所得控除の合計額194万円=154万円

課税所得が分かったら、以下のように住民税所得割額を算出します。

【例の場合の住民税所得割額の計算式】

※横にスクロールできます
住民税所得割額(課税所得金額×標準税率10%) 課税所得金額154万円×10%=15万4,000円

続いて以下の表をみると、課税所得が154万円なので所得税率が5%であることを把握できます。

【課税所得金額に応じた所得税率】
課税所得金額 所得税率
1,000〜194万9,000円 5%
195万〜329万9,000円 10%
330万〜694万9,000円 20%
695万〜899万9,000円 23%
900万〜1,799万9,000円 33%
1,800万〜3,999万9,000円 40%
4,000万円以上 45%
国税庁サイト「No.2260 所得税の税率」をもとに執筆者作成

つまりこの例のケースの控除上限額は以下のように算出されます。

【例の場合の控除上限額の目安】
  • (15万4,000円×20%)÷(100%-10%-5%×1.021)+2,000円=3万8,280円
税理士
年の途中で退職したことで年収が前年より下がった場合は、控除上限額も減少している可能性が高いといえますよ。

2ー3.転職・退職した年の年収が103万円以下の場合

転職・退職をした年の年収が103万円以下の方は、ふるさと納税をしたとしても全額、自己負担する必要があります。

そもそも年収が103万円以下の場合は、ふるさと納税の控除の対象となる所得税が発生しないためです。

メモ
年収103万円以下の場合には、給与所得者に適用される基礎控除額48万円と給与所得控除額55万円の合計103万円が控除され、課税対象となる所得が発生しません。

ふるさと納税を行うことにより寄附先からお礼の品を受け取ることはできますが、返礼品の価値は寄附金額の3割以内と決められているので通常よりも高い金額を支払って地域の名産品・特産品を受け取ることになります

税理士
転職を機に年収が減ってしまった方は転職前と後の合計額が103万円を超えているか確認して、ふるさと納税の利用を検討した方が良いといえますね。

2ー4.転職・退職後に扶養に入る場合

転職・退職をして配偶者の扶養に入る場合、ふるさと納税を行ったとしても全て自己負担となります。

ふるさと納税の控除上限額は個人の所得の金額などにもとづいて計算されます。

しかし配偶者の扶養に入った場合には基本的に所得がないとみなされ、控除の対象となる所得がないため、控除を受けることができません

転職・退職をして扶養に入る予定の方は、ご自身ではなく配偶者の方にふるさと納税をしてもらうと良いでしょう。

3.転職・退職後のふるさと納税の注意点

転職や退職した後にふるさと納税をする場合、何か注意すべきことはあるのかな?

転職・退職をすると年収や住居など変わることも多いため、注意点も知りたいという方もいらっしゃるでしょう。

転職・退職をする方がふるさと納税を行う場合、以下の注意点を確認しましょう。

【転職・退職後のふるさと納税の注意点】
税理士
後で慌てないためにも確認しておきましょう。

注意点1 退職金は控除上限額の変動に影響がない

年収額によって控除上限額が変わるなら、退職金の金額も影響あるのかな?

このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

しかし退職金を受け取っても、ふるさと納税の控除上限額に影響はありません

退職金には「退職所得控除」が適用され、退職金にかかる所得税が軽減されるためです。

退職所得控除とは
課税対象となる退職所得の金額を計算する際に、退職金などの収入金額から控除されるものです。退職所得は原則として他の所得と分離して所得税額を計算します。勤続年数や退職金の額に基づいて計算することで、退職金に対する税負担の軽減を目的としています。

高額な退職金を受け取り、退職所得控除が適用されても退職所得が大きな額になる場合を除き、基本的には退職金がふるさと納税の控除上限額に影響を与える可能性は少ないといえます。

注意点2 引っ越した場合は住所の変更手続きが必要

転職・退職をきっかけに引っ越しをする方もいらっしゃるでしょう。

引っ越しを行った方は以下のケースに該当した場合、住所の変更手続きが必要です。

【ふるさと納税にまつわる住所の変更手続き】
※横にスクロールできます
手続きが必要なケース 手続きの方法
返礼品や書類を受け取る前に転居した 寄附先の各自治体に住所変更の連絡を行う
住民票の住所がふるさと納税をした時点と翌年1月1日時点で異なる ・確定申告する場合は
確定申告書に寄附した翌年1月1日時点の住民票に記載された住所を記入し、転居先の管轄の税務署に提出する
・ワンストップ特例制度を利用する場合は
転居後、寄附した翌年の1月10日までに寄附先の各自治体に「寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書」を提出する

ワンストップ特例申請書を提出する前に転居した 寄附先の各自治体に相談する

なお、ふるさと納税をした翌年の1月2日以降に住民票の住所が変わった場合、返礼品や書類を受け取った後であれば住所変更の手続きが不要です。

注意
寄附した翌年の1月10日までに寄附先の自治体へ変更届を提出しなかった場合、ワンストップ特例制度を利用できないため、確定申告を行う必要があります。
税理士
ふるさと納税サイトの会員情報がある方は、サイトに登録した住所の変更も忘れないようにしましょう。

注意点3 所得が減ると控除を受けられない可能性がある

転職・退職をして所得が減ると、ふるさと納税をしても控除を受けられない恐れがあります

所得が低くなると所得税の負担が減少し、ふるさと納税で控除できる金額も下がります

ふるさと納税をしても控除を受けられない場合、寄附した金額全てを自己負担する必要がありますよ。

注意点4 退職・独立した場合は確定申告が必要

退職または、自営業・個人事業主として独立をしてふるさと納税の控除を受ける場合には、確定申告を行う必要があります。

一定の条件を満たす給与所得者以外は、ワンストップ特例制度を利用できないためです。

その他にも以下のケースに該当する場合は確定申告が必要です。

【ふるさと納税の控除を受けるために確定申告が必要なケース】
  • ・不動産収入がある
  • ・給与が2,000万円を超えている
  • ・給与以外の副収入が20万円以上である
  • ・二つ以上の会社から20万円以上の給与を受け取っている
  • ・退職後に年金を受給しており、その年の収入が400万円を超えている
  • ・医療費控除や住宅ローン控除といったふるさと納税以外の控除・還付を受ける予定である
  • ・ワンストップ特例制度の申請が期日(寄附した翌年の1月10日)に間に合わなかった
  • ・ワンストップ特例制度を申請する際に不備があった
  • ・1年間で6自治体以上にふるさと納税をしている など
税理士
ふるさと納税の控除は確定申告もしくはワンストップ特例制度を行わないと受けることができません。忘れずに手続きしましょう。

4.転職・退職後の控除上限額はシミュレーターで簡単に計算!

自分でふるさと納税の控除上限額を一から計算するのは面倒だな……。
もっと簡単に控除上限額の計算をする方法はないの?

ふるさと納税の控除上限額の計算はご自身の収入や支払った保険料などから住民税所得割額、所得税率などを調べる必要があり、手間がかかるといえます。

計算自体はそれほど難しくはありませんが、「もっと簡単に計算できたら良いのに……」と思う方もいらっしゃるでしょう。

多くのふるさと納税サイトでは、以下のような項目を入力するだけで控除上限額をすぐに計算できるシミュレーターを提供しています。

【控除上限額の計算シミュレーターで入力する項目の例】
  • ・寄附者の給与収入
  • ・社会保険料などの金額
  • ・給与収入以外の所得の金額
  • ・配偶者の有無と年齢
  • ・扶養家族の有無
  • ・医療費控除や住宅ローン控除といった控除の有無や金額 など

入力を求められる項目の多くは源泉徴収票に記載されているものがほとんどなので、「計算が面倒」「数字が苦手で間違えそう」といった方はぜひシミュレーターを活用しましょう。

項目を入力するだけで転職後の控除上限額が分かるのは便利だね。
税理士
控除上限額の計算シミュレーターが利用できる上、掲載している自治体や返礼品が豊富なおすすめのふるさと納税サイトは、5章でご紹介します。

5.転職・退職後のふるさと納税にもおすすめのふるさと納税サイト4選

控除上限額が簡単に計算できるふるさと納税サイトが知りたいな。
ふるさと納税を申し込みたいんだけど、どのサイトを利用すれば良いんだろう?

このようにふるさと納税を検討していて、どのサイトを選ぶべきかお困りの方もいらっしゃるでしょう。

転職・退職をした場合は、ふるさと納税で税金を控除できる上限額が変わっている可能性が高いので、必ず事前に控除上限額を調べてから寄附を行いましょう

本章では数あるふるさと納税サイトのなかでも、瞬時に控除上限額の計算ができ、参加自治体・返礼品の数が多いおすすめのサイトをご紹介します。

税理士
転職・退職をした方には以下の四つのサイトがおすすめです。

【転職・退職後のふるさと納税におすすめのふるさと納税サイト4選】
※横にスクロールできます
サイト名 参加自治体数 返礼品数 貯まるポイント
楽天ふるさと納税 1,653 500,219 楽天ポイント(楽天会員に限る)
・100円につき1ポイントが付与される
・楽天スーパーSALEやお買い物マラソンなどのポイントキャンペーンの対象(※換金性の高い商品はポイント付与対象外の可能性もあり)
ふるさとチョイス 1,788 55万以上 チョイスマイル
・ふるさとチョイスのキャンペーンに参加し、指定のアクションを行うことでもらえる
・有効期限は、通常、獲得日から1年間
さとふる 1,335 788,062 さとふるマイポイント
・キャンペーンへのエントリーおよび指定のアクションが必要
・ポイントの有効期限はポイントの種類によって異なる(通常ポイントの有効期限は1年間)
・さとふるマイステップ(さとふるの利用実績に応じた会員ステータス)に応じてポイント付与率が変わる
ふるなび 1,281 529,013 ふるなびコイン
・ふるなびやふるなび関連サービスの条件に応じてもらえる
・ふるなびは寄附金額の1%、ふるなびクラウドファンディングは2%
・対象の決済方法はクレジットカード、AmazonPay、PayPay、楽天ペイ、d払いなど
※2024年4月時点

四つのふるさと納税サイトでは寄附した額に応じて、独自のポイント付与を行っています

税理士
ご自身にとって使い勝手の良いサイトがどこかチェックしてみましょう。

おすすめ1 楽天ふるさと納税

メリット
楽天ポイントが貯まる・使える
参加自治体数や返礼品数が比較的多い
デメリット
利用できる支払い方法が限られている
こんな人におすすめ!
楽天ユーザー
参加自治体数 1,653
返礼品数 499,877
貯まるポイント 楽天ポイント(※楽天会員に限る)
・100円につき1ポイントが付与される
・楽天スーパーSALEやお買い物マラソンなどのポイントキャンペーンの対象(※換金性の高い商品はポイント付与対象外の可能性もあり)
決済方法 ・楽天市場の買い物と同様に各種クレジットカード、楽天ポイントが利用可能(※自治体によって利用可能なブランドが限られている場合がある)
・銀行振り込み(※各自治体のページで振込先の確認が必要)
特長 ・ワンストップ申請オンラインサービス
ワンストップ特例申請書類の提出がオンラインで完結できる(※マイナンバーカードが必要、未対応の自治体もある)
※2024年4月時点

楽天ふるさと納税楽天市場が提供する、楽天ユーザーにメリットがたくさんあるふるさと納税サイトです。

返礼品のレビューやランキングが充実しているので、返礼品選びに迷ったときや、返礼品のトレンドを知りたいときに参考になりますよ。

また楽天ふるさと納税ではワンストップ特例制度を利用する際に、オンライン申請ができるサービスを提供しています。

楽天ふるさと納税寄附履歴ページから申請できて、書類の準備や郵送の手間が不要なので、申請期限に間に合わず確定申告をする事態も防げますよ。

なお楽天ふるさと納税の控除上限額計算シミュレーターは簡単版と詳細版の二つがあり、還付金が振り込まれる時期の目安も表示されます。

年内に転職して複数の会社から収入があった場合は、それぞれの源泉徴収票の金額を合算して入力しましょう。

また勤務先で年末調整がされない場合にも対応しているので、幅広いケースで利用できますよ。

おすすめ2 ふるさとチョイス

メリット
参加自治体数や返礼品数が比較的多い
特集や検索機能が充実しており欲しい返礼品を見つけやすい
デメリット
情報量が多いため、寄附先や返礼品を絞り込みにくい
こんな人におすすめ!
多くの選択から返礼品を探したい方
docomoユーザー
参加自治体数 1,788
返礼品数 55万以上
貯まるポイント 「チョイスマイル」
・ふるさとチョイスのキャンペーンに参加し、指定のアクションを行うことでもらえる
・有効期限は、通常、獲得日から1年間
決済方法 ・クレジットカード決済
・Amazon Pay
・PayPay
・d払い
・au PAY
・楽天ペイ
・メルペイ
・あと払い(ペイディ)
・PayPal
・auかんたん決済
・ソフトバンクまとめて支払い
・Pay-easy
・ネットバンク支払い
・コンビニ支払い
・チョイスマイル(※オンライン決済のときに利用可能)
※自治体によっては下記の決済方法にも対応
・郵便振替
・銀行振り込み
・現金書留
・納付書払い
・コンビニ納付書払い
・自治体へ直接持参
特長 ・「災害支援」検索機能を利用して被災地に寄附できる
・決済方法が充実している
・実店舗でも寄附を申し込める
・オンラインでワンストップ特例申請ができる
※2024年4月時点

ふるさとチョイス申し込み可能な自治体数やお礼の品の掲載数、サイト限定の返礼品数、決済手段数、ともにナンバーワン*1のふるさと納税サイトです。

ふるさと納税をする際に多様な返礼品から選ぶのは大変と思う方もいらっしゃるでしょう。

しかしふるさとチョイスでは地域や寄附の使い道、ランキング、特集などの項目で返礼品を絞り込む機能が用意されているので、心配ありません。

また特に欲しいジャンルがなく返礼品をじっくり選ぶ時間がないという方には、「寄附金額別オススメ特集」から返礼品を選ぶのがおすすめです。

さらにふるさとチョイスではマイナンバーカードとスマートフォンがあれば、ワンストップ特例の申請がオンラインで完結できます

ワンストップ特例申請は翌年1月10日が期限なので、年末に駆け込みで寄附した場合でもオンラインで手続きができれば余裕を持って準備できますよ。

なおふるさとチョイスの控除上限額シミュレーションには簡単版と通常盤があり、源泉徴収票または確定申告書の控えを参考に入力するだけで、控除上限額を計算することが可能です。

算出された控除上限額のなかでもらえる返礼品の組み合わせも提案してくれますよ。

*1 JMRO調べ 2023年9月期 指定領域の検証調査より

おすすめ3 さとふる

メリット
検索機能が使いやすい
返礼品数が多い
デメリット
ふるさとチョイスや楽天ふるさと納税と比べ参加自治体数が少ない
こんな人におすすめ!
たくさんの返礼品のなかから欲しいものを探したい方
普段からPayPayを利用している方
参加自治体数 1,428
返礼品数 788,197
貯まるポイント 「さとふるマイポイント」
・キャンペーンへのエントリーおよび指定のアクションが必要
・ポイントの有効期限はポイントの種類によって異なる(通常ポイントの有効期限は1年間)
・さとふるマイステップ(さとふるの利用実績に応じた会員ステータス)に応じてポイント付与率が変わる
決済方法 ・クレジットカード
・コンビニ決済
・PayPayオンライン決済
・ソフトバンクまとめて支払い
・auかんたん決済
・d払い
・ペイジー (ぞれ利用可能額が異なる)
特長 ・会員ページから返礼品の配送状況が確認できる
・PayPayポイントがもらえるキャンペーンを実施している
・ふるさと納税専用の確定申告書作成ツール「カンタン確定申告」が利用できる
※2024年4月時点

さとふるは2023年1月に実施された「ふるさと納税に関するアンケート」において認知度トップ*2に選ばれるとともに、お客様満足度90%以上*3と高い評価を得ているふるさと納税サイトです。

返礼品数が多いのにもかかわらず、検索しやすいサイト構成や毎月開催されるキャンペーン、充実したサポート体制といったユーザーにうれしい要素が満載のふるさと納税サイトです。

またさとふるでは、ふるさと納税に関する手続きを簡単・便利にするために以下のサービスを提供しています

【さとふるのふるさと納税の手続きに関するサービス】
  • ・ワンストップ特例制度の申請ができるさとふるアプリ
  • ・1年間の寄附の証明書をまとめて書面または電子データで発行できる機能
  • ・年間の寄附を一元管理する機能(返礼品の配送状況の確認、必要書類の発行、ポイント交換の申請などができる機能)

さとふるのカンタン確定申告というツールを使用すると、ふるさと納税の控除に特化した確定申告書が最短5分で作成可能です。

初めてふるさと納税の確定申告をするから、簡単に作成できるツールがあるなら安心だな。
税理士
ワンストップ特例制度の申請が間に合わず、短期間で確定申告の準備をしたいという方にもおすすめですよ。

注意
カンタン確定申告は確定申告書のPDFファイルを作成するツールです。印刷した確定申告書を直接もしくは郵送で税務署に提出する場合に利用できます。電子申告には対応していません。

なおさとふるの控除上限額のシミュレーションは年収と家族構成だけで判断する簡単版と源泉徴収票や確定申告書をもとに算出する詳細版の二つがあるので、ご自身に合ったものを利用してみましょう。

*2 2023年1月時点(株)インテージ調査による
*3 2023年1月時点 さとふるサイトユーザー対象 さとふる調べ

おすすめ4 ふるなび

メリット
Amzonギフト券やPayPay残高に交換できるポイントが貯まる
電化製品などの返礼品が充実している
デメリット
参加自治体数が少なめ
こんな人におすすめ!
普段からPayPayやAmazonを利用している方
年末で返礼品をじっくり選ぶ時間がない方
参加自治体数 1,275
返礼品数 530,551
貯まるポイント 「ふるなびコイン」
・ふるなびやふるなび関連サービスの条件に応じてもらえる
・ふるなびは寄附金額の1%、ふるなびクラウドファンディングは2%
決済方法 ・クレジット決済
・Amazon pay
・PayPay
・楽天ペイ
・d払い
・銀行振込
・郵便振替
・現金書留
・自治体に直接持参
(利用可能な決済方法は自治体によって異なる)
特長 ・ポイント制や美食体験、高額寄附者限定など独自のサービスを提供している
・他のふるさと納税サイトにはないジャンルの返礼品が充実している
・寄附金受領証明書を1枚にまとめるサービスを実施している
※2024年4月時点

ふるなび寄附や返礼品のレビューを投稿することで「ふるなびコイン」が付与されたり、ポイント制のふるさと納税を実施していたりと、独自のサービスが特徴のふるさと納税サイトです。

ふるなびコインはふるなび運営のサイトを経由し、ショッピングや旅行の予約などのさまざまなサービスを利用すると付与されます。

付与されたふるなびコインはAmazonギフトカードやdポイント、PayPayなどのポイントと1コイン1円相当で交換できます

税理士
お店によっては加えてショップ独自のポイントももらえるので、2倍でお得になります。

またふるさと納税は寄附する際に自治体と返礼品を決めることが一般的ですが、ふるなびでは先に寄附をしてポイントを獲得し、お好きなタイミングで特産品と交換することが可能です。

メモ
ふるなびのポイント制ふるさと納税「ふるなびカタログ」のポイントは有効期限がないため、翌年に持ち越したり、積み立ててプレミアムな返礼品と交換したりできます。

なお、ふるなびの控除上限額シミュレーションには「簡易シミュレーション」と「本格シミュレーションの二つがあります。

気軽に目安が知りたい方は簡易シミュレーション、より具体的な数値を知りたい方は源泉徴収票もしくは確定申告書を手元に用意して、本格シミュレーションに入力してみましょう。

6.転職・退職時によくあるふるさと納税の疑問

退職金を受け取ったんだけど、ふるさと納税の控除上限額にどのくらい影響するの?
ふるさと納税の控除を申請したいけど、確定申告のやり方が分からない……。

このように転職や退職後にふるさと納税をしようと思っていて、疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

そこでこの章では転職や退職した場合のふるさと納税に関してよくある以下の四つの疑問について解説します。

Q1 退職金や失業手当は控除上限額に影響がある?

退職金を受け取ったんだけど、ふるさと納税の控除上限額を計算する際の収入に含めるの?
失業手当がある場合は、控除上限額が上がるのかな?

転職・退職した場合、退職金や失業手当を受け取るケースは珍しくないので、このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

ふるさと納税の控除上限額の計算には寄附した年の収入額を使用しますが、退職金や失業手当はほとんどの場合、ふるさと納税の控除上限額に影響がないといえるでしょう。

退職金は他の所得とは違って税制上優遇されており、一部が課税対象であったり退職所得控除が適用されたりするため、そもそも退職金にかかる所得税が多額になりません。

そのためふるさと納税の控除上限額に影響を及ぼすケースは稀だといえます。

メモ
転職時に受け取った退職金ではなく、年金として受け取る退職金(公的年金控除の対象)の場合には一定額が課税対象となり雑所得に分類されることもあります。雑所得の金額が高額であれば控除上限額に影響があります。

また失業手当についてはそもそも所得とみなされないため、ふるさと納税の控除の対象ではありません

再就職先を探している間に受け取った失業手当は、収入として加算しないように注意しましょう。

Q2 ワンストップ特例制度は誰でも利用できる?

ワンストップ特例制度の手続きが簡単だから、退職してからも利用できるのかな?
独立して個人事業主になったけど、今までどおりワンストップ特例制度を利用することはできないの?

ワンストップ特例は確定申告をする手間なくふるさと納税の控除を受けられる制度なので、誰でも利用できたら便利ですよね。

しかしワンストップ特例制度を利用するには以下の条件を全て満たす必要があります

【ワンストップ特例制度が利用する条件】
  • ・ふるさと納税以外の控除(医療費控除や住宅ローン控除など)で確定申告する必要がない給与所得者である
  • ・寄附した年の給与に対する年末調整を勤務先が行っている
  • ・寄附した年の1月1日から12月31日に寄附した自治体が5カ所以内
  • ・寄附した翌年の1月10日までに全ての寄附先にワンストップ特例申請書を提出している

ワンストップ特例制度は給与所得者を対象とした制度なので、退職した方や個人事業主の方が利用することはできません

メモ
ワンストップ特例制度を利用した場合、控除されるのは翌年の住民税からのみです。所得税の控除は受けられません。

ただし退職した年の内に年金の受給が始まり、公的年金を含む収入の合計が400万円以下の方はワンストップ特例制度を利用することが可能です。

ワンストップ特例制度が利用できない場合、ふるさと納税の控除を受けるには確定申告が必要です。

税理士
確定申告のやり方はQ4でご説明しているので参考にしてくださいね。

Q3 無職でもふるさと納税をした方が良い?

失業中なんだけど、ふるさと納税をしても大丈夫?
退職後は働いてない場合でも、ふるさと納税はした方が良いのかな?

失業中や定年退職後といった無職の状態でもふるさと納税をするべきか、気になる方もいらっしゃるでしょう。

無職かつ所得がない場合には基本的に課される所得税と住民税がないため、ふるさと納税をしても税金の控除を受けられず、全額自己負担で寄附することになります。

ふるさと納税でお好きな自治体を応援できたり、自治体から返礼品をもらえたりできますが、金銭面のメリットは得られないので注意しましょう。

なお無職であっても年金受給者の方や別の所得がある方などで収入がある場合には、税金の控除を受けられるので、多くの場合お得にふるさと納税をすることができますよ。

Q4 確定申告のやり方は?

ふるさと納税の控除を受けるために確定申告をしようと思っているんだけど、やり方が分からない……。

ふるさと納税を機に初めて確定申告をする場合は、手順や必要書類などが分からず困っている方もいらっしゃるかもしれませんね。

ふるさと納税の確定申告を行う際には「確定申告アプリ」や「確定申告書等作成コーナー」、さとふるのカンタン確定申告といったサービスの活用をおすすめします。

それぞれの方法のメリット・デメリットについて以下の表にまとめました。

【確定申告の方法別メリット・デメリット】
※横にスクロールできます
確定申告の方法 メリット デメリット
確定申告アプリ ・スマホで手続きできる
・電子申告に対応している
・入力画面が分かりやすい
・給与所得以外の所得にも対応
・会員登録が必要
・有料の場合もある
・マイナンバーカードが必要
確定申告書等作成コーナー ・窓口・郵送提出、電子申告に対応している
・無料で利用できる
・会員登録が不要
・スマホで手続きできる
・給与所得以外の所得にも対応
・マイナンバーカードもしくは税務署で発行するID・パスワードが必要
・初心者には不向き
さとふるのカンタン確定申告 ・無料で利用できる
・最短5分で確定申告書を作成できる
・一つのサイトで寄附から控除の申請書類の作成ができる
・作成した確定申告書は印刷して窓口に持参もしくは郵送で提出する必要がある
・電子申告に対応していない
・給与所得者のみ利用可能

転職をして給与所得を得ている方であれば、さとふるのカンタン確定申告を使用することで無料かつ簡単に申告書類を作成できるといえるでしょう。

ただし電子申告に対応していないので、ご自身で税務署に持参するか、郵送する必要があります

インターネットで確定申告を完結したいといった方には、確定申告アプリや確定申告書等作成コーナーの利用が向いていますよ。

確定申告アプリや確定申告書等作成コーナーであれば、確定申告書のデータを「e-Tax」を介して電子申告することが可能です。

e-Tax(国税電子申告・納税システム)とは
所得税や法人税、相続税、贈与税、消費税といった国税に関する手続きをインターネットなどを利用して電子的に行うことができるシステムのことです。「イータックス」と呼びます。

なおe-Taxで電子申告するために確定申告アプリや確定申告書等作成コーナーで書類を作る場合は、ふるさと納税サイトで寄附金控除に関する証明書全てを一つのデータにまとめて準備しておきましょう。

税理士
おすすめの確定申告アプリについてはこちらの記事でご紹介しているので、チェックしてくださいね。

メモ
確定申告書は国税庁サイトでダウンロードをして印刷するか、税務署で入手して手書きで作成することも可能です。ただし記入事項が分からない初心者の方は、確定申告アプリや確定申告書等作成コーナー、ふるさと納税サイトのツールの利用をおすすめします。

7.まとめ

転職や退職をした場合、ふるさと納税による税金の控除を受けるに当たり、適切な手続きを行う必要があるので注意しましょう。

前職を辞めて年内に再就職し、ふるさと納税をした年の寄附先の数が5自治体以下であれば、ワンストップ特例制度を利用できるので、手続きを簡便化できます。

一方転職・退職した年の内に再就職しなかった場合や独立した場合には、ワンストップ特例制度を利用できないため、確定申告が必要です。

ふるさと納税の控除を適用するために確定申告を行う必要がある方は、源泉徴収票に記載された数字を入力するだけで申告書を作成できる確定申告アプリや確定申告書等作成コーナーの利用をおすすめしますよ。

なお転職・退職を機に転居した方は、寄附先の自治体に住所などの変更を届け出る必要があるので注意しましょう。

またふるさと納税では控除上限額を超えて寄附した場合、自己負担額増えてしまうので、上限額を把握しておくことが重要です。

転職・退職後に年収の額に変動があった方は、ふるさと納税を行う前に必ずご自身の控除上限額を計算しておきましょう

なおふるさと納税サイトにあるシミュレーターを利用すれば、必要な項目を入力すると自動で計算できるので活用するのがおすすめです。

税理士
以下のサイトでは控除上限額が分かるだけでなく、限度額内でおすすめの返礼品を探せるので便利です。

【転職・退職した方にもおすすめのふるさと納税サイト4選】
※横にスクロールできます
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