スマホを使って確定申告の手続きが最後までできたら便利で助かりますよね。
国税庁はスマホからサイト上で確定申告書類の作成から提出までを済ませられるサービスを提供しています。
ただし、残念ながらこのサービスは対象者が限られており、一定の条件を満たしていないと利用することができません。
しかしこの条件に当てはまっていなくても会計ソフトを利用することでスマホで確定申告書類の準備をすることは可能です。
この記事では、確定申告書類の準備がスマホでできる便利なやり方や、スマホで確定申告書類の提出をする方法をイチから解説します。

福留 正明
1.確定申告はスマホでできる?
このようにお思いの方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
1-1.国税庁のサイトを通じて確定申告書の作成・提出を行う方法
国税庁はスマホでも確定申告書の作成・提出が済ませられる「確定申告書等作成コーナー」を用意しています。
作成した申告書等はe-Taxで税務署に提出できるほか、印刷して郵送することも可能です。
ただし、確定申告書等作成コーナーのスマホ専用画面を利用できる人は限られています。
まず大きな注意点として挙げられるのは、「事業所得」を得ている方はこのサービスを利用できないということでしょう。
つまり個人事業主として事業所得を得ている方は、「確定申告書等作成コーナー」の利用対象外となってしまいます。
また不動産所得・山林所得なども対象外となり、主として「確定申告書等作成コーナー」のサービスを通じて所得を申告できるのは給与所得を得ている方ということになります。
「確定申告書等作成コーナー」を利用して申告が行えるのは具体的には以下の所得・控除などです。
区分 | 種類 | 具体例 |
---|---|---|
収入 | 給与所得 | 年末調整済、年末調整が行われていない所得、2カ所以上の勤務先からの所得など |
雑所得 | 年金収入、副業からの収入など | |
一時所得 | 生命保険の一時金など | |
所得控除 | 全ての所得控除 | 配偶者控除、扶養控除、医療費控除など |
税額控除 | 政党等寄附金特別控除 | – |
災害減免額 | – | |
その他 | 予定納税額 | – |
本年分で差し引く繰越損失額 | 純損失、雑損失、居住用財産の譲渡損失など |
また上記の条件に当てはまっていてもマイナンバーカードとその読み取り機器を持っているか、事前に税務署に行って手続きを行うという事前準備を行わなければスマホから確定申告書を提出することはできないため注意してくださいね。
1-2.会計ソフトで帳簿付け・確定申告書の作成を行う方法
このように残念に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに事業所得や不動産所得を得ているなど、「確定申告書等作成コーナー」の対象外となる方は、確定申告をスマホで完結させることはできません。
しかし確定申告の準備であれば申告の内容や機器の有無にかかわらず、会計ソフトを導入することでスマホを通じて行えるようになりますよ。
「確定申告書等作成コーナー」では事業所得などが対象外となるため青色申告は行えませんが、会計ソフトを利用すれば青色申告の準備も可能です。
2.確定申告準備がスマホでできるおすすめ会計ソフト
実は会計ソフトのなかには無料で確定申告書の作成までを済ませられるものもあります。
ここではスマホで確定申告の準備を行うのにぴったりの会計ソフトをご紹介しましょう。
ソフト名 | プラン | 利用料金 | 特徴 |
---|---|---|---|
やよいの白色申告オンライン |
フリープラン | 無料 | 永年無料で利用できる |
ベーシックプラン | 初年度:4,600円(税抜) 2年目以降:8,000円(税抜) |
電話・メール・チャットで操作質問ができる | |
トータルプラン | 初年度:8,400円(税抜) 2年目以降:16,800円(税抜) |
電話・メール・チャットで操作質問・業務相談ができる | |
やよいの青色申告オンライン |
セルフプラン | 初年度無料 2年目以降:8,800円(税抜) |
確定申告書を簡単に作成できる |
ベーシックプラン | 初年度:6,900円(税抜) 2年目以降:13,800円(税抜) |
電話・メール・チャットで操作質問ができる | |
トータルプラン | 初年度:12,000円(税抜) 2年目以降:24,000円(税抜) |
電話・メール・チャットで操作質問・業務相談ができる | |
freee |
スタータープラン | 年間11,760円(税抜) | 確定申告書の作成が簡単にできる |
スタンダードプラン | 年間23,760円(税抜) | 枚数無制限で領収書を写真から読み込み可能 | |
プレミアムプラン | 年間39,800円(税抜) | 税務調査のサポート補償が受けられる | |
マネーフォワード クラウド確定申告 |
パーソナルミニ | 1カ月無料 年額9,600円(税抜) |
確定申告書の作成が簡単にできる |
パーソナル | 1カ月無料 年額11,760円(税抜) |
月次推移のレポートが確認できる | |
パーソナルプラス | 1カ月無料 年額35,760円(税抜) |
電話サポートで操作質問ができる |
やよいの白色申告オンライン・やよいの青色申告オンライン
・freee
にはスマホのカメラを通じてレシートや領収書を読み取る機能も付いています。
レシートや領収書の束を抱えて仕訳を行う手間が省けるのです。

日頃の帳簿付けがぐんと楽になると考えられますね。
おすすめ1 やよいの白色申告オンライン・青色申告オンライン
「やよいの白色申告オンライン」・「やよいの青色申告オンライン
」は24年連続売上ナンバーワンの弥生が提供する確定申告ソフトです。
2020年に行われた「クラウド会計ソフトの利用状況調査」では個人事業主が利用するクラウド会計ソフトの約57%を弥生が占め、信頼されていることが分かりますね。

これほど多くの人に選ばれているソフトであれば、会計ソフトを利用するのが初めての方でも安心ですよね。
「やよいの白色申告オンライン」・「やよいの青色申告オンライン
」を利用すれば自分で一から作業する場合に比べて少ない手順でe-Taxを利用することができます。
スマホアプリには記帳のほかにカメラで撮影したレシートや領収書が自動で仕訳されるという便利な機能もあります。
なんと、やよいの白色申告オンラインのフリープランなら全ての機能を無料で利用することができますよ。
サポートが必要になったときは、年額4,600円からのベーシックプランに切り替えましょう。
おすすめ2 freee
freeeは会計の知識がないから確定申告書の作成ができるか不安……と思っていらっしゃる方の強い味方です。
○か✕かの質問に答えるという簡単な操作だけで税金の控除額の算出など確定申告に必要な情報を入力することができますよ。
クレジットカードや銀行口座と連携しておけば、確定申告の時期に慌てて記帳をする必要もありません。
freeeのスマホアプリでは確定申告書類の作成・出力までを行えます。
これだけ便利な機能が1カ月当たり1,000円程度で利用できるというのはコスパの面でも素晴らしいですよね。
スタンダードプランでは、レシートを撮影すると自動で仕訳・記帳される機能が枚数無制限で利用できます。
またfreeeの大きな特徴として、e-Taxを通じて確定申告書の提出まで済ませられるという点があるでしょう。
e-Taxを通じての確定申告書提出には事前の準備が必要ですが、既に用意のある方にとっては非常に魅力的ですよね。
おすすめ3 マネーフォワードクラウド確定申告
マネーフォワード クラウド確定申告はスマホを使った確定申告のための機能を充実させています。
銀行口座やクレジットカードとの連携ができるのはもちろん、マネーフォワードが提供する家計簿アプリ「マネーフォワードME」とも連携しています。
また、2021年から確定申告書の提出もできるようになりました。
副業などで確定申告をしなければならない人のためのパーソナルミニプランが1カ月当たり1,000円未満の手頃な価格で提供されているのもうれしいポイントですよね。
年額11,760円(税抜)のパーソナルプランなら月次推移のレポートも確認できるため個人事業主の方は経営改善にも利用できると考えられますよ。
3.確定申告書類をスマホで提出する方法
1−1.で解説した利用条件に当てはまる人であれば、スマホから確定申告をすることができます。
確定申告書類をスマホで提出する方法は、以下の2通りです。
- 方法1 マイナンバーカード方式
- 方法2 ID・パスワード方式
スマホから申告する場合には、通常の手続きに加えて必要になるものがあるので準備しておきましょう。
また提出方法により利用の流れも異なりますから、あらかじめ把握しておくことが重要です。
方法1 マイナンバーカード方式
マイナンバーカード方式は、マイナンバーカードとマイナンバーカード読み取り対応のスマホまたはICカード読み取り機を利用してe-Taxにログインする方法です。
スマホでマイナンバーカード方式を利用する際には、以下の二つを用意する必要があります。
- ・マイナンバーカード
- ・マイナンバーカードの読み取りに対応したスマホ
確定申告書の作成・提出は、以下の二つのうちいずれかの方法で行います。
- (1)e-Taxソフト(SP版)から手続きする
- (2)マイナポータルアプリから手続きする
なお、どちらの方法を利用するとしても、あらかじめスマホに「マイナポータルアプリ」をインストールし、利用者手続きを済ませておくとスムーズに手続きできますよ。
それぞれの手続きの流れは以下のとおりです。


詳しくは国税庁ホームページ「マイナンバー方式について」を参考にしてくださいね。
方法2 ID・パスワード方式
このように思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、実はマイナンバーカードや読み取り機器がなくても、スマホで確定申告書を提出できる「ID・パスワード方式」と呼ばれる方法があります。
ID・パスワード方式を利用する手順は以下のとおりです。

ID・パスワード方式でe-Taxを利用するには、事前に「ID・パスワード方式の届出完了通知」を発行してもらう必要があります。
なお発行の手続きは、以下の二つのいずれかの方法で行います。
- (1)税務署に行き発行してもらう
- (2)確定申告書 等作成コーナーにアクセスして発行する
税務署で手続きをする際には、免許証などの本人確認書類が必要なので忘れずに持参しましょう。
また確定申告等作成コーナーにアクセスして発行する場合には、マイナンバーカードとICカードの読み取り機を利用してパソコンから手続きを行う必要があります。
ID・パスワード方式の詳細は、国税庁ホームページ「 ID・パスワード方式について」をご確認ください。
4.まとめ
国税庁のサイトではスマホから確定申告書類を作成・提出することができますが、一定の条件に当てはまっていないと利用することができません。
残念ながら確定申告書作成コーナーを利用できない方も、会計ソフトのスマホアプリ版を利用することで確定申告の準備をスマホで簡単に済ませることができます。
やよいの白色申告オンラインは白色申告でサポートも必要ないという方にとっては永年無料で使えるとても魅力的なサービスです。
会計の知識がないから確定申告書類を作成できるか不安だという方はfreeeを使えば○か✕かの質問に答えるだけで簡単に青色申告・白色申告書類が作れますよ。
スマホで確定申告書類の提出までできるマネーフォワード クラウド確定申告にも注目です。