ふるさと納税の「ワンストップ特例制度」について気になっている方も多いのではないでしょうか。
ワンストップ特例制度は確定申告を行わずにふるさと納税が行えるように導入された制度です。
この記事ではふるさと納税のワンストップ特例制度と確定申告との違いや、それぞれの手続き方法について詳しく解説します。
福留 正明
1.ふるさと納税の仕組みと流れ
ワンストップ特例制度についてご説明する前に、まずはふるさと納税とはどのようなものなのか簡単にご説明しましょう。
1-1.ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税は「納税」と名前に付くものの、実は「寄附」に当たります。
通常、国や地方公共団体、特定公益増進法人などに寄附を行った場合、その分「寄附金控除」という控除が受けられます。
ふるさと納税では寄附額から2,000円を差し引いた金額が所得税・住民税から控除されます。
これだけでは本来支払うべき税額+2,000円の出費がある状態ですが、ふるさと納税においては寄附額の1/3程度を上限とした寄附先自治体の地場産品などの「返礼品」を受け取ることができます。
つまり寄附額の1/3が2,000円を超えていれば、金銭的にもメリットを享受しながら寄附ができるのです。
ふるさと納税を利用できるのは、所得税・住民税を支払っている方全員です。
ただし控除を受けるためにはふるさと納税を行った旨を税務署に申告する必要があります。
控除を受けるための手続きには、「ワンストップ特例制度」と確定申告の2種類があります。
1-2.ふるさと納税の流れ
ふるさと納税では返礼品を受け取った後、控除・還付の手続きが必要です。
実際どのように返礼品を選んだり手続きを行ったりすれば良いのか気になっている方もいらっしゃるかもしれませんね。
ここでは簡単にふるさと納税の流れをご説明しましょう。
STEP1 寄附上限額を確認する
ふるさと納税を行う場合、自分の寄附上限額を知るところから始めるのが良いでしょう。
ふるさと納税は所得税・住民税が控除される仕組みです。
所得税・住民税が所得や家族構成などによって変わるのと同様に、ふるさと納税で控除される額にも上限があり、人によって異なります。
上限額を超えて寄附した分は自己負担になるので事前に確認しておきましょう。
ふるさと納税サイトとは寄附する自治体や返礼品を通販感覚で選ぶことのできるサイトのことです。
各サイトが上限額のシミュレーターを用意しているため面倒な計算を自分で行う必要はありません。
STEP2 返礼品を選ぶ
上限額が分かったら、いよいよふるさと納税サイトを通じて返礼品を選びます。
さまざまな返礼品のなかから探すことができ、サイトによっては特集が組まれているものもあります。
サイト名 | 特徴 | 掲載自治体数 |
---|---|---|
楽天ふるさと納税 | 楽天ポイントが貯まる・使える!楽天ユーザー&楽天カードユーザー必見のサービス | 1,687 |
ふるさとチョイス | 大規模な老舗サイト!幅広い決済方法に対応 | 1,788*1 |
さとふる | 会員数が1,000万人を突破!*2専用アプリで控除の手続きや管理が簡単 | 1,416 |
ふるなび | 豊富なレビュー数が特長!独自の特集や検索機能で寄附先・返礼品を選びやすい | 1,380 |
ふるさと納税サイトではインターネット通販と同様、クレジットカード決済などで支払いが可能です。
なお所得税や住民税は1月1日〜12月31日の所得に対して課されるものであるため、ふるさと納税の申し込みも1月1日〜12月31日に行います。
STEP3 返礼品・必要書類の受け取り
ふるさと納税サイトを利用して返礼品を選んだら、インターネット通販と同様、クレジットカード決済などで料金を支払い返礼品の到着を待ちましょう。
また必要書類も自宅に届けられます。
こちらは控除・還付の手続きに必要となるため紛失しないよう注意が必要です。
STEP4 控除・還付の手続きを行う
最後に控除・還付の手続きを行います。
控除・還付の手続きはワンストップ特例制度を利用するか、確定申告を行うことで完了します。
詳しくは後述しますが、手続きの期限はワンストップ特例制度を利用する場合はふるさと納税を行った翌年の1月10日、確定申告を行う場合は翌年の2月16日〜3月15日です。
なお、ワンストップ特例制度を利用する場合と確定申告を行った場合では税金が控除・還付されるシステムが異なりますが、基本的にはどちらを利用してもふるさと納税による控除・還付の総額に変わりはありません。
2.ワンストップ特例制度とは
ワンストップ特例制度は、ふるさと納税を確定申告なしで済ませられるように作られた制度です。
本来ふるさと納税による控除を受けるためには、年間の納税額を確定する「確定申告」の手続きが必要になります。
しかし特定の条件を満たしていればワンストップ特例制度を利用することで手続きを簡略化することができるのです。
ここでは、ワンストップ特例制度について詳しくご説明しましょう。
2-1.ワンストップ特例制度の対象者
ワンストップ特例制度を利用できるのは、以下の条件を満たしている方です。
- ・他に確定申告を行う必要性のない給与所得者
- ・1年間(1月1日〜12月31日)でふるさと納税を行った自治体が五つ以内である
年末調整を受けていてふるさと納税の他に確定申告が必要な要素がない方は、ワンストップ特例制度を利用して簡単に控除・還付の手続きを済ませることができます。
ただしワンストップ特例制度が利用できるのは1年間の寄附先が5自治体以下の場合に限るため注意しておきましょう。
2-2.ワンストップ特例制度の仕組み
本来、控除を受けるためには確定申告が必要となります。
確定申告は所得額を確定し税額を計算して税務署に申告する手続きであるため、複数の書類を用意しなくてはならず慣れない方にとっては面倒な作業になってしまいます。
しかし、ワンストップ特例制度では寄附先の自治体から送られてくる「ワンストップ特例申請書」を記入し返送するだけで控除の手続きが完了します。
控除のために必要な情報は寄附先の自治体が所轄の税務署に伝えてくれるのです。
ワンストップ特例制度を利用した場合、ふるさと納税を行った翌年の6月から翌々年の5月までの住民税が控除されます。
2-3.ワンストップ特例制度の利用方法
ワンストップ特例制度はどうやって利用したら良いのかが気になる点ですよね。
利用にはワンストップ特例制度の申請書が必要になります。
申請書は返礼品を申し込む際の操作で自治体からの郵送を希望したり、ふるさと納税サイトからダウンロードしたりすることで手に入れることができます。
申請書が手に入ったら、あとは必要書類を添付して寄附先の自治体に返送します。
必要書類とは、マイナンバー確認書類と本人確認書類で、以下のいずれかの組み合わせです。
マイナンバー確認書類 | 本人確認書類 | |
---|---|---|
マイナンバーカードを持っている方 | マイナンバーカードの裏のコピー | マイナンバーカードの表のコピー |
マイナンバー通知カードを持っている方※ または個人番号通知書を持っている方 |
通知カード※のコピー、または、個人番号通知書のコピー | ・運転免許証 ・運転経歴証明書 ・パスポート ・身体障害者手帳 ・精神障害者保健福祉手帳 ・療育手帳 ・在留カード ・特別永住者証明書 いずれかのコピー |
どちらもない方 | 個人番号が記載された住民票の写し |
※個人番号通知カードは記載された氏名、住所等が住民票に記載されている事項と一致する場合のみマイナンバー(個人番号)を証明する書類として使用できます。一致しない場合、個人番号通知カードはマイナンバー(個人番号)の証明としてはご利用いただけません。
書類の返送期限は例年ふるさと納税を行った年の翌年1月10日頃です。
必ず忘れずに発送するようにしましょう。
また、複数の自治体にふるさと納税を行った場合はそれぞれの自治体に書類を送らなくてはならない点にも注意してくださいね。
3.ワンストップ特例制度について気になる疑問を解説
ここではワンストップ特例制度や確定申告について気になるあれこれをご説明しましょう。
Q1 確定申告が必要なケースは?
このように不安になった方もいらっしゃるかもしれませんね。
ここでは確定申告が必要なケースについてご説明しましょう。
なお確定申告でふるさと納税の控除・還付の手続きを行う場合は、寄附先の自治体から送られてきた「寄附金受領領収書」を確定申告書に添えて提出します。
普段から確定申告を行っている方であれば手間が大きく増えることはないのでご安心くださいね。
確定申告を行うとふるさと納税を行った翌年の4〜5月(確定申告の1〜2カ月後)に所得税の還付が行われ、6月〜翌々年5月に住民税の控除が行われます。
ふるさと納税で確定申告が必要になるケース
まず、六つ以上の団体にふるさと納税を行った場合には確定申告が必要です。
またワンストップ特例制度を利用するつもりだったにもかかわらず返送を忘れてしまった、書類に不備があり期限までに受理されなかったという場合にも確定申告をしなければならなくなってしまいます。
複数の自治体にふるさと納税を行い、一部だけ返送を忘れてしまっていたという場合にも既にワンストップ特例制度で申請を行った分も含め確定申告を行う必要があります。
ふるさと納税以外の要因で確定申告が必要になるケース
個人事業主の方など他の要因から確定申告が必要な方は、ふるさと納税の申告も確定申告時に行います。
一つの企業だけから給与所得を得ているいわゆる「会社員」の方は基本的に確定申告を行う必要はありませんが、会社員の方でも確定申告が必要なケースがあります。
例えば給与所得が2,000万円を超える方は年末調整の対象にならないため確定申告が必要です。
その他、年間の医療費が10万円を超えている方や住宅ローンを新たに借り入れた方などは控除が受けられるため、確定申告を行った方が良いといえます。
Q2 ワンストップ特例制度の利用はキャンセルできる?
ワンストップ特例制度を利用するつもりだったが、途中で他の要因から確定申告を行う必要が出てきてしまった、という方もなかにはいらっしゃるかもしれませんね。
ワンストップ特例制度の申請書を返送してしまった後でも、確定申告を行うことは可能です。
ただし確定申告を行うと、既に提出していたワンストップ特例制度の申請書は全て無効になってしまいます。
Q3 申請書を紛失したらどうしたらいいの?
ワンストップ特例制度の申請書を紛失してしまった場合には、ふるさと納税サイトから申請書をダウンロードできるケースが一般的です。
利用するふるさと納税サイトを確認してみましょう。
4.まとめ
ワンストップ特例制度は確定申告をせずにふるさと納税による控除の申請を済ませられる便利な制度です。
書類を寄附先の自治体に返送するだけで手続きが済ませられるので、利用の要件を満たしている方は積極的に利用したいですよね。
ワンストップ特例制度を利用できるのは、他に確定申告を必要とする要因のない給与所得者で、年間の寄附先が5自治体以内だった方です。
この条件に該当しない場合は確定申告の手続きが必要となります。
期限間近になって慌てないよう、ご自分がどちらに当てはまるのか事前にしっかり確認しておきましょう。
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