会社設立の流れとは?準備から設立までに必要な手続きや書類を解説!

会社を立ち上げたいんだけど何から始めたら良いんだろう?
株式会社と合同会社、どっちを選ぶのが良いのかな?

このように疑問を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

法人化を視野に入れていても、何からして良いのか、株式会社と合同会社のどちらを設立したら良いのかなど、分からないことがたくさんあって困ってしまいますよね。

営利目的で設立される会社(法人)は「株式会社」、「合同会社(LLC)」、「合名会社」、「合資会社」の4つに分けられます

多くの場合、事業を法人化する際には株式会社か合同会社のいずれかを選ぶことになるでしょう。

株式会社の方が見聞きする機会が多いかもしれませんが、場合によっては合同会社を設立した方が良いケースもあります。

この記事では個人が会社を設立するタイミングや株式会社と合同会社の違い、会社を設立するための流れについて詳しく解説します。

税理士
会社設立の際には状況に応じて司法書士や税理士、行政書士などに依頼するのがおすすめです。

それぞれの士業がどのような業務を請け負っているのかについてもご説明していくので、安心してくださいね。

この記事の監修税理士
監修税理士の税理士法人チェスター代表 福留正明
税理士法人チェスター代表
福留 正明
税理士・公認会計士・行政書士・登録政治資金監査人・ファイナンシャルプランナー。富裕層の資産税コンサルティングに強みを持つ税理士法人チェスターの代表社員。 相続税申告実績は税理士業界でもトップクラスの年間1,700件以上(累計9,000件以上)を取り扱う。相続税申告サービスやオーダーメイドの生前対策、相続税還付業務等を行う。 資産税関連書籍の執筆や各種メディアから取材実績多数有り。
税理士法人チェスターは、グループ総勢200名以上の税理士事務所です
「税理士が教えるお金の知識」(以降、本メディア)では一部、メーカーやサービス提供事業者から広告出稿をいただいておりますが、コンテンツの内容については本メディア独自に制作しており、情報の掲載有無やコンテンツ内容の最終意思決定に事業者は関与しません。

1.会社設立の適切なタイミングは?

事業を始めたいんだけど、まず会社を作れば良いのかな?

このように思っている方もいらっしゃるかもしれません。

確かに法人を設立すれば以下のようなメリットが得られます。

【法人化のメリット】
  • ・所得が大きい場合は節税になる
  • ・事業の信用性が高まる
  • ・社会保険に加入できる
  • ・有限責任にできる(法人の種類による)
  • ・決算期を決められる
メモ
個人事業主の場合、金融機関からの借入金や仕入れ先への未払金などの債務は個人で負う必要があります(無限責任)。一方、法人化した場合はこれらの債務は会社のものとなるため、返済に対する責任は(個人保証による借り入れを除き)出資金の範囲内のものとなります。これを有限責任といいます。

しかし法人化すると大きなコストがかかるというデメリットもあります。

例えば個人事業主であれば費用(経費)を差し引いて赤字になってしまった場合には所得税や住民税は発生しませんが、法人に課される「法人住民税」はたとえ赤字であっても支払う必要があります。

また法人化すると社会保険への加入が必須となるため人件費の負担が大きくなることが考えられます。

そこで個人事業主が法人化するかどうかは事業所得で判断するのが良いといえるでしょう。

具体的には、事業所得が600万〜800万円を超えると法人化した方が節税になるといわれています。

個人事業主の利益は個人の所得になりますが、所得税は「累進課税制度」をとっているため所得が増えるほど税率が上がり、最大45%の税金を納めなくてはなりません(令和3年4月1日時点)。

一方企業の利益に課される法人税の税率は法人の種類と規模によって決まり、どれだけ利益が大きくなっても23.4%で高止まりします(令和3年4月1日時点)。

そこで事業所得が一定のラインを超えたタイミングで法人化した方が良いといえるのですね。

メモ
個人の所得や企業に対して課される税金にはほかに個人の場合住民税、企業の場合は法人住民税や法人事業税がありますが仕組みが複雑なのでここでは割愛します。

2.事業に合った法人の種類を選ぼう

会社を立ち上げるならやっぱり株式会社が良いのかな?

営利目的で立ち上げられる法人(会社)は「株式会社」、「合同会社(LLC)」、「合名会社」、「合資会社」の4つに分けられます。

「株式会社はよく聞くけど、合同会社や合名会社、合資会社って何?」

と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。

それぞれに特色があり事業のスタイルに合ったものを選ぶことが重要です。

2-1.法人の種類

まずは株式会社と合同会社、合名会社、合資会社がどのようなものなのか簡単にご説明しましょう。

種類1 株式会社

株式会社は株式を発行し株主から資金を集めて運営される会社です。

株式とは簡単にいえば分割された会社の経営権だといえるでしょう。

そのため株主は持株の数に応じて経営への影響力を持ちます。

また株式会社は株主からの出資によって営業しているため、出資額に応じた利益を株主に還元する必要があります。

株式会社の経営者は有限責任を負います。

種類2 合同会社

合同会社は2006年に施行された新会社法によって有限会社に代わって登場した新しい会社の形です。

社外の株主から出資金を募って運営される株式会社と違い、原則的に合同会社では出資者全員が有限責任を負う社員になります

ここでいう社員とは従業員ではなく、経営権を持つ人のことです。

つまり合同会社では出資者と経営者が原則として同じメンバーとなります。

また合同会社では出資額に関わりなく自由に利益を分配することができます

あまり耳慣れないように感じられるかもしれませんが、実はアマゾンジャパンやグーグル、アップルジャパン、DMM.com、西友などは合同会社です。

DMM.comは2018年までは株式会社でしたがその後合同会社になりました。

種類3 合名会社

合名会社は無限責任を負う社員だけで構成される会社です。

複数の個人事業主が集まって共同で事業を行うイメージともいえるでしょう。

メモ
合名会社は一人でも設立可能です。

種類4 合資会社

合資会社は無限責任を負って事業を行う社員と、有限責任を負って資本金を提供する社員によって運営される会社のことです。

合資会社は事業を行う経営者と資金提供を行う出資者に役割分担する必要があるため、一人では立ち上げられません。

2-2.株式会社と合同会社の比較

株式会社と合同会社は一人で設立できるのに対し、合名会社と合資会社は複数の社員がいなければ設立できません。

また合名会社と合資会社は無限責任を負う社員が必要になるため、「無限責任を負う必要がなくなる」という法人化するメリットの一つを享受できません

そのため基本的には事業の法人化を検討している個人事業主の方には、株式会社と合同会社のいずれかの設立をおすすめします。

株式会社と合同会社、どちらを設立するのが良いんだろう?

というのが気になる点ですよね。

ここでは株式会社と合同会社のメリットとデメリットを比較してみましょう。

株式会社のメリットとしては、社会的信用度が高いことがまず挙げられます

知名度が高く株主から出資を募っている分、取引先などからも信頼されるものと考えられますよね。

また株式発行による資金調達が可能という点も大きなメリットでしょう。

事業が拡大していけば上場のチャンスもあります。

一方で株式会社は合同会社に比べて設立費用が高い上、「決算公告」の義務があります。

決算公告とは
会社の決算を公にすることです。株主や債権者などに対して会社の経営状況などを明らかにすることで取引の安全性を保つために行われます。

決算公告は(一部を除く)株式会社に対して会社法で定められた義務です。

また合同会社の場合は自由に利益配分を行うことが可能であるのに対し、株式会社は株主からの出資金で運営されるため、出資の比率に応じた利益配分を行わなくてはなりません。

さらに合同会社には役員任期がないのに対し、株式会社の役員任期は最大10年で、同じ人が役員に再任される場合も再度登記を行う必要があります。

そのため都度手続きにかかる登記免許税を納めなくてはなりません。

しかし合同会社にもデメリットはあります。

株式会社に比べて知名度が低いため、場合によっては株式会社に比べ信頼を得られない可能性があります。

また事業を拡大しても上場はできません。

税理士
事業に合った形態を選ぶことが重要なのですね。

3.株式会社設立の流れ

株式会社はどうやったら設立できるの?

会社を立ち上げるときにはさまざまな手続きが必要となります。

ここでは株式会社設立の流れを簡単にご説明しましょう。

株式会社設立の流れ

STEP1 必要事項を決める

まずは会社設立に必要なことを決めていきましょう。

株式会社設立のためには、以下の点について決めなくてはなりません。

【株式会社設立前に決めるべきこと】
色々あってややこしそう……。

このように思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、一つずつご説明しましょう。

(1)会社名(商号)

まずは会社名(商号)を決める必要があります。

株式会社の会社名には、必ず前か後ろのいずれかに「株式会社」と付ける必要があります

会社名に用いることができるのは以下の文字です。

【会社名に用いられる文字】
  • ・ひらがな
  • ・漢字
  • ・ローマ字(大文字・小文字)
  • ・アラビア数字
  • ・「&(アンパサンド)」、「’(アポストロフィー)」、「,(コンマ)」、「-(ハイフン)」、「.(ピリオド)」、「・(中点)」の6種類の記号

例えば「★」「♪」といった記号やキリル文字などは使用できないので注意が必要です。

また似たような名前の会社がないかチェックしておくのが良いでしょう。

似たような名前の会社がすでにある場合、ホームページなどを作っても取引先やお客様に見つけてもらいにくくなってしまいます。

さらに同じ地域に似た名前の会社があった場合には営業妨害として訴えられてしまう可能性もゼロではありません。

覚えやすく、独自性の高い会社名を付けておきたいですね。

メモ
会社名が決まったら、印鑑を作成しましょう。実印・銀行印・角印(社印)の3つが必要になると考えられます。実印は登記手続きに用いるため法律上必要なもので、正式な意思決定に基づく書類に用います。銀行印は金融機関に届け出るものです。角印は会社の認印的な役割を果たし、請求書や領収書など日常的な書類に用います。

(2)本店所在地

続いて本店所在地を決めましょう。

本店所在地は会社の所在地のことで、一般的には事業活動の本拠地を登録します。

会社を立ち上げる前にオフィスを借りたいという場合、法人化がまだできていないため個人として賃貸契約を交わすことになります。

契約の際には事業に使う目的で借りることを必ず貸し主に伝えておきましょう

会社を設立後、会社名義の契約に変更することが可能です。

ただし名義を書き換える場合には名義変更料などの手数料を請求される場合があるため事前に確認しておきたいですね。

税理士
最近では登記予定の会社名で仮契約を結べるケースもあるようです。物件のオーナーや賃貸会社に確認してみましょう。

また自宅を本店所在地にしたいという方もいらっしゃるかもしれません。

自宅を本店所在地にすることは可能ですが、賃貸である場合には貸し主の承諾を得る必要があります

契約書に「事務所等には使用してはいけない」といった記載があるケースもあるので必ずチェックしておきましょう。

会社の所在地は気軽に決めてしまうと後からトラブルになったり、損をしたりする可能性もあるため注意が必要です。

例えば事業のための助成金や融資制度は地方自治体によって異なります。

助成金を受けられたり、低い手数料で融資を受けられる地域に本店所在地を置いた方が良いと考えられますよね。

また事業によっては本店の場所によって許認可を受けられない場合もあります。

例えば中古物品の買取事業を行う場合には古物商の許認可を受ける必要がありますが、使用目的が「居住専用」となっている物件や「営業活動を禁止する」とされている物件を本店所在地とすることはできません。

マンションや集合住宅などで古物商を営む場合にはその物件の所有者やマンションの管理会社・組合などから当該の場所を古物営業の営業所として使用することを承諾してもらう必要があります。

またコワーキングスペースを本店所在地とするのも要注意です。

事業用の口座開設の際、ちゃんとしたオフィスが登記されていないという理由で断られてしまう可能性があります。

事業に適した本店所在地を選ぶことが重要なのですね。

(3)事業目的

事業目的とは文字どおりなんのために事業を行うのかという目的を表すものです。

事業内容といい換えても良いでしょう。

例えば不動産会社であれば「不動産の売買、賃貸借、管理、仲介、斡旋、賃貸および管理」、飲食業であれば「飲食店の経営」など、何をしている会社なのか一目で分かる内容を記載します。

事業目的を決める際には以下の3つの観点を意識する必要があります。

【事業目的を決める際に意識すべき点】
  • ・適法性
  • ・営利性
  • ・明確性

適法性とは、会社の事業に違法性がないことを指します。

当然ですが法律に反した事業を立ち上げることはできません。

営利性は事業の目的を利益を追求するものにしているかということです。

会社は利益を追求するための組織であり、非営利の目的では立ち上げることができません。

明確性とは文字どおり分かりやすさのことです。

一見してなんの会社なのか分からない事業目的を掲げていたり、関連性のない事業目的が並んでいたりする場合には実態のない会社という視線を向けられてしまう可能性もあります。

事業目的は誰が読んでも何をしている会社なのか分かるように設定しましょう。

税理士
登記後に事業目的を変更する場合は別途登録免許税がかかってしまいます。登記簿に載せる事業目的は今後行う予定のものを記載しておいても良いことになっているので、今後増やす予定の事業がある方は会社設立時から登記しておくのが良いでしょう。

(4)資本金

資本金も決める必要があります。

資本金とは一言でいってしまえば事業を運営する元手となるお金のことです。

株式会社においては、経営者がもともと持っていた自分のお金と、株主から出資されたお金を合わせたものが資本金となります。

法律上は資本金が1円でも会社を立ち上げることは可能ですが、事業がすぐに軌道に乗らなかったときのことも考えて3カ月〜半年分の運用資金を資本金として用意しておいた方が良いといわれており、100万〜300万円程度の資本金を用意するのが一般的です。

また資本金の額は資金調達の可否や調達可能額に影響する可能性もあります。

金融機関は融資の審査を行う際に資本金の額を参考や基準にしており、事業開始に必要な資金の○分の1を自身で用意しなければ融資が受けられなかったり、融資額が資本金の○倍という形で決められたりする場合があるのです。

大きな額の資本金を用意すればそれだけ信頼性の高い会社だと思ってもらえるというメリットもあるので、資本金はある程度まとまった額を用意しておいた方が良いといえるでしょう。

ただし資本金が1,000万円を超えてしまうと、通常免除される設立初年度の消費税を納める必要が出てきてしまうので注意が必要です。

税理士
融資についても事前に調べてから資本金を決めた方が良いと考えられますね。

(5)事業年度

事業年度とは何月から何月までを事業における1年とするか、ということです。

決算期をいつにするか、といい換えた方が分かりやすいかもしれませんね。

年度の変わり目というと3月のイメージが強いかもしれませんが、決算期は必ず3月にしなくてはならないというものではなく、会社ごとに自由に決定して良いことになっています。

メモ
個人事業主の場合、事業年度は確定申告の対象期間となる1月1日から12月31日が事業年度になっているといえます。

決算期は以下のような観点から決めると良いでしょう。

【決算期を決めるポイント】
  • ・売上の上がる月を避ける
  • ・キャッシュが不足する月は避ける
  • ・繁忙期を避ける
  • ・消費税の免税期間

要件を満たすと、設立から最大2期の事業年度は消費税の免税が行われます。

1期目の免税の要件は以下のとおりです。

【1期目の消費税免税の要件】
  • ・資本金が1,000万円未満であること
  • ・基準期間における課税売上高が5億円を超える法人が50%超を出資して設立した法人(大企業の子会社)ではないこと

2期目は、1期目に上記の条件を満たしていたことに加え、以下のいずれかの条件を満たしてれば消費税免税の対象となります。

【2期目の消費税免税の要件】
  • ・特定期間の課税売上高が1,000万円未満
  • または

  • ・特定期間の給与支払額が1,000万円未満

特定期間とは、ここでは原則として「1期目の事業年度開始日から6カ月間」のことです。

詳しくは国税庁のサイトをご確認ください。

1期目の事業年度は「法人設立の日~最初の決算日」のことを指すため、会社設立の前月に決算期を定めることで免税期間を最長にすることが可能です。

(6)役員報酬額

会社設立の際には役員報酬も決定する必要があります。

ここで注意しておかなければならないのは、役員報酬は費用(経費)にならないという点です。

創業間もない企業にとっては最も大きな出費になると考えられます。

役員報酬は事業の負担にならない程度の額を設定しましょう。

メモ
役員報酬額は後述する定款に記載する必要はないので、設立後に決定しても問題はありません。

(7)発起人と出資者、持ち株比率

発起人って何?

このように疑問に思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

発起人とは会社設立の際に手続きを行う方のことです。

株式は会社の資金源になると同時に、株主(株を持っている人)に経営参加の権利を与えるものでもあります。

そのため株式会社設立のためには、発起人が1株以上の株式を保有している必要があります

なお株主に認められる権利は持ち株の数や持ち株比率(全体の株式に対してその人の持ち株が占める割合)によって異なります。

【持ち株比率・持ち株数による株主の権利の違い】
持ち株比率・持ち株数 権利
1株以上 ・書面による事前質問
・定款、株主総会議事録、取締役会議事録、株主名簿、計算書類、監査報告書など各種書類の閲覧および謄写の請求
・(6カ月以上の継続保有で)株主代表訴訟の提起
1%以上 ・株主総会における議案提出
3%以上 ・業務および財産状況調査のための検査役選任の請求
・会計帳簿の閲覧および謄写の請求
・(6カ月以上の継続保有で)株主総会招集の請求
・(6カ月以上の継続保有で)取締役および監査役の解任請求
・整理申し立て
10%以上 ・会社の解散請求
1/3超 ・定款の変更や取締役の解任、合併や解散などの重要な意思決定の単独否決
1/2超 ・経営権の獲得
・取締役および監査役の選任、報酬額、解任の決議
・計算書類の株主総会承認
・会計監査人の選任
2/3超 ・定款変更などの特別決議の成立
・新株発行など持ち株比率を変化させる事項の決定
・合併、定款変更、会社の解散など会社の内容を変えてしまう重要事項の決定
100% ・全て自分の意思で決定可能
定款とは
会社の運営に必要な基本的な規則のことです。会社名や事業目的、本店所在地など会社設立に際して定められた事柄のほか、取締役会の設置に関する規定、取締役などの役員の人数、事業年度などが定められます。

代表取締役は定款変更などの特別決議を成立させることのできる1/3超の株式を持っておく方が安心だといえます。

メモ
特別決議とは原則議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成を必要とする決議のことです。

また持ち株比率が50%以下の場合、代表取締役であっても自ら以外の株主の意思によって解任されてしまう可能性があります。

できれば50%を超える割合の株式を所持しておきましょう。

税理士
半分を超える株式を持つだけの出資金が用意できない場合は個人で借り入れを行ったり、資本金を下げたりすることも視野に入れましょう。

STEP2 定款の作成

必要事項が決まったら、定款を作成します。

定款は「会社の憲法」とも呼ばれ企業にとって非常に重要なものです。

定款に定める事項は絶対的記載事項と相対的記載事項、任意的記載事項に分けられます。

絶対的記載事項とは定款に必ず記載しなければならない内容のことで、以下の6つの事項が該当します。

【株式会社の定款の絶対的記載事項】
  • ・事業目的
  • ・商号(会社名)
  • ・本店所在地
  • ・設立に際して出資される財産の価額またはその最低額(出資金)
  • ・発起人の氏名又は名称及び住所
  • ・発行可能株式総数

これらの事項が記載されていない定款は無効になってしまうので注意が必要です。

「設立に際して出資される財産の価額またはその最低額」とは簡単にいってしまえば会社設立の際の出資金のことです。

定款に記載する出資金は確定した額である必要はなく、「その最低額」を記載すれば良いことになっています。

税理士
ただし、登記の際には確定した資本金の額を記載する必要があるので注意してくださいね。

相対的記載事項とは、定款に記載しなくても定款自体は効力を持つものの、定款で定めなかった場合にはその効力が認められない事項のことを指します。

例えば設立に当たって車、パソコン、OA機器、不動産などの現物の出資があった場合や株式の譲渡に制限をかける場合などは相対的記載事項として定款に記載します。

任意的記載事項とはその企業が自主的に定款に記載する事項で、法律の範囲内であればどんな内容でも認められます。

例えば事業年度や株主総会に関する内容が任意的記載事項に該当します。

一度定款で定めた内容は法律に則った手続きを踏まなければ変更ができないため、定款に記載しておくことで拘束力を高められるのです。

なんだか難しそう……誰かに作成を代行してもらうことはできないのかな?

このように気になった方もいらっしゃるかもしれませんね。

定款の作成代行を請け負える専門家は司法書士と行政書士です。

ただし後述する登記の申請手続きを代行できるのは司法書士だけです。

まとめて手続きの代行を依頼したいという方は司法書士に依頼するのが良いと考えられますね。

なかには税理士事務所が設立後の顧問契約を条件に定款の作成や登記手続きの代行を無料で請け負うケースもあります。

定款作成や登記手続きは事務所内や提携している司法書士・行政書士に任せ、その報酬を顧問契約費用から捻出しているのです。

法人を設立したら税理士と顧問契約を結ぶのが一般的なので、税理士事務所でまとめて契約してしまった方が手間がなく楽かもしれませんね。

税理士
税理士事務所探しには無料で条件に合った税理士を見つけられる税理士紹介サービス「税理士ドットコム」がおすすめですよ。

また会社設立に必要な書類を簡単に作成できるサービスを利用するのも一つの手です。

行政書士などに依頼する手間や費用をかけずに、指示に従って必要な情報を入力するだけで電子定款や登記申請書などを作成できるサービスも登場しています。

電子定款とは
PDFデータで提出する定款のことです。電子定款には紙で提出する場合にかかる約4万円の収入印紙代が発生しません。

通常電子定款をご自身で作成する場合にはマイナンバーカードやそれを読み取る機器、PDFに電子署名を付けるソフトなどが必要になるため、収入印紙代は必要ないものの数千円の費用がかかってしまいます。

しかし会社設立をサポートするサービスを利用すればそれらを用意する必要はなく、代行手数料だけで電子定款や登記申請書を作成できます

代行業者に依頼するよりも費用が抑えられるのもうれしいポイントですよね。

税理士
以下のようなサービスがおすすめですよ。会計ソフトのブランドが提供しているので、同時に導入すれば設立後の会計業務もばっちりです。

【おすすめ会社設立サポートサービス】

STEP3 定款の認証手続きを受ける

定款が完成したら、次は会社の本店所在地を管轄する法務局所属の「公証役場」で「公証人」による認証手続きを受けます。

管轄の公証役場の場所はこちらのページで確認できます。

公証人とは
判事や検事などを長年務めた法律の専門家が法務大臣からの任命を受けて就任する、公証事務を担う公務員のことです。公証人は公務員でありながら役所に勤めるのではなく、事務所を開き、国が定めた手数料を収入源としています。

認証のためには原則的に発起人全員が公証役場に足を運ぶ必要があります

メモ
電子定款の認証を行えるのは法務大臣の指定を受けた公証人だけです。そのため電子定款の認証を受けるには、設立する法人の所在地の管轄区域で指定の公証人を探す必要があります。

公証役場に行く前に、以下の3点をチェックしておくようにしましょう。

【公証役場に行く前にチェックしておきたいこと】
  • ・その公証役場が本店所在地を管轄しているか
  • ・訪問希望日に公証人のスケジュールが空いているか
  • ・認証を受けたい定款に問題がないか

公証役場によっては、事前にファックスなどで定款を送っておくと問題がないかチェックしてくれるところもあります

必ず公証役場に確認し、事前の確認を受けるようにしましょう。

認証の際には以下のものを公証役場に持参します。

【認証役場に持参するもの】
  • ・定款:3通
  • ・発起人(出資者)全員の印鑑証明書:1通ずつ
  • ・公証人へ払う手数料:5万円
  • ・定款の謄本(写し)交付手数料:250円×ページ数
  • ・収入印紙:4万円

なお発起人のなかにスケジュールが合わず公証役場に行けない方がいた場合にはその委任状も必要です。

電子定款に関しては、申請はオンライン上で行い、受け取りのために公証役場に足を運ぶことになります。

受け取りの際には以下の物を用意しましょう。

【電子定款の受け取りの際に用意するもの】
  • ・電子定款のデータを入れるためのディスクなどの記録媒体
  • ・法人保存用、登記申請用の定款2部
  • ・印鑑証明書
  • ・実印
  • ・身分証明書

電子定款の受け取りには、発起人全員が揃っている必要はありません。

STEP4 資本金の払い込み

定款の認証が完了したら、資本金の払い込みを行います。

また定款作成の日付よりも以前に資本金の払い込みをしてしまうと登記の際に認められないので注意が必要です。

資本金の払い込みとは、発起人の個人口座に資本金を入金または振り込みする過程のことです。

発起人が複数いる場合には誰か一人の口座に資本金を入れます。

メモ
個人事業主が法人化する場合、個人事業主時代の屋号で作成した口座では認められないケースがあります。必ず個人名義の口座を使用しましょう。

口座に出資額分の残高があるだけでは出資金として認められないため、もとから残高のあった口座に資本金の払い込みをする場合には一度引き出して再度入金する必要があります。

また出資金は必ず発起人(出資者)本人の名義で払い込みましょう。

家族や会社の名義では認められないので注意してくださいね。

出資金が払い込まれたら、通帳の表紙・表紙の次のページ・入金が確認できるページのコピーを取ります。

また払い込みがあったことを証明する「払込証明書」の作成を設立時の取締役などが作成します。

払込証明書には会社の実印を押印します。

メモ
現物出資があった場合には現物出資を行う発起人が「現物出資財産引継書」を作成し、取締役が出資された物について調査をして「調査報告書」を作成します。さらに「資本金の額の計上に関する証明書」を作成する必要があります。

STEP5 登記書類の作成

資本金の払い込みが終わったら登記の準備を始めましょう。

法人登記とは
会社名や本店所在地、代表者の住所・氏名、事業目的、取締役など会社に関する重要な事項を法務局に登録することです。登記された事項は全て誰でも自由に閲覧できるようになります。

法人登記を行うと正式に登記を行った証拠として「登記事項証明書」の交付請求が行えます。

登記は会社に実態があることを示す重要なものです。

取引先として信頼が置けるか確認する手段として使われる場合もあります。

登記手続きは代表取締役もしくは依頼を受けた司法書士が行います。

株式会社の法人登記に必要な書類は以下のとおりです。

【株式会社の法人登記に必要な書類】
書類 備考
株式会社設立登記申請書 法務局のサイトからダウンロードして記入
定款(謄本) 定款の写し
登録免許税納付用台紙 資本金の0.7%(端数切り捨て、15万円未満の場合は15万円)の登録免許税の支払いのため、収入印紙を貼り付けるための台紙
印鑑届書 法人実印の届け出を行うために必要な書類
出資金の払込証明書 出資金を払い込んだ際の銀行通帳のコピーに表紙を付け冊子化したもの
代表取締役取締役・監査役の就任承諾書、印鑑証明書など 取締役会を設置しない場合 取締役全員が実印を押印し印鑑登録証明書を添付
取締役会を設置する場合 代表取締役が実印を押印し印鑑登録証明書を添付
その他の取締役は認印を押印し印鑑登録証明書を添付
監査役を設置する場合 取締役と同等の記載内容で作成した就任承諾書に認印を押印し本人確認書類のコピーを添付
発起人決定書(発起人議事録) 定款で本店所在地を番地まで示さなかった場合や「代表取締役を株主総会で選定する」とした場合など 会社の発起人が会社名や事業目的、本店所在地などを詳細に決定したことを示す書面
登記する事項を記録・保存した電磁的記録媒体(CD-Rなど) 申請書の一部記載を電磁的記録媒体に代えて提出する場合 詳細は法務省のサイトを確認
調査報告書 現物出資がある場合 取締役が作成
財産引継書 現物出資を行う発起人が作成
資本金の額の計上に関する証明書 代表取締役が作成

STEP6 会社設立の登記をする

書類が揃ったら、いよいよ登記の申請を行います。

会社の本店所在地を管轄する法務局に必要書類を提出します。

この際、登録免許税を支払う必要があります。

株式会社設立にかかる登録免許税は多くの場合15万円だといえるでしょう。

資本金の0.7%が15万円以上であった場合には、資本金の0.7%の登録免許税を支払います。

なお登記申請の代行を請け負えるのは司法書士だけです。

STEP7 開業に必要な手続きを行う

設立登記が終われば株式会社の設立は完了です。

しかし、開業のためには設立後にさまざまな手続きが必要です。

まず、国税を納めるために税務署に提出すべき書類があります。

【税務署への提出書類】
書類 備考
法人設立届出書 国税庁のサイトからダウンロード
定款(謄本) 定款の写し
青色申告承認申請書 青色申告の承認を受けたい場合 国税庁のサイトからダウンロード
給与支払事務所等の開設届出書 従業員を雇用する場合 給与の他、税理士や司法書士への報酬の支払いも含む。国税庁のサイトからダウンロード
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 給与の支払人員が常時10人未満の場合 毎月の源泉所得税を半年ごとにまとめて徴収する許可を受けるための書類
メモ
個人事業主として開業届を税務署に提出して行なっていた事業を法人化した方は、「廃業届」の提出が必要です。
また減価償却方法や棚卸資産の評価方法を変更したい場合はそれぞれに届出を提出する必要があります。
さらに設立初年度の消費税免税の要件を満たせなかった場合には消費税課税事業者となるため届出書の提出が必要です。
そのほか、法人税の申告期限を延長したい場合や特別な事情により定時株主総会が招集されない状況にある場合には「申告期限の延長の特例の申請書」を提出します。

地方税に関しては各都道府県税務所・市区町村役場への届出が必要です。

それぞれに以下の書類を提出する必要があります。

【都道府県税事務所・市区町村役場への提出書類】
  • ・法人設立届出書
  • ・定款(謄本)
  • ・登記事項証明書

法人設立届出書の呼称や形式は都道府県・市区町村によって異なります。各自治体のサイトをご確認ください。

税理士
税務関連の手続きは煩雑で、制度について詳しく理解していないと支払う必要のない税金を支払ってしまう場合もあります。税理士へのご相談がおすすめですよ。

また会社を設立すると特別な場合を除き社会保険への加入が必須になります。

社会保険に関する手続きの窓口は年金事務所です。

【年金事務所への提出書類】
書類 備考
健康保険・厚生年金保険新規適用届 日本年金機構のサイトからダウンロード。登記簿謄本を添付。
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 国税庁のサイトからダウンロード
健康保険被扶養者(異動)届 被保険者に扶養者がいる場合 戸籍謄本・被扶養者の年収が130万円未満であることが証明できる書類などを添付

これらの届出のなかには会社の設立から数日中の提出が必須のものもあります。

忙しくて手が回らない、自力で手続きができるか不安、という方は社労士(社会保険労務士)に相談するのが良いでしょう。

税理士
会社の設立までには非常に多くの手間がかかってしまうため、適宜専門家に相談しながら進めるのがおすすめです。

4.合同会社設立の流れ

合同会社を設立するにはどうしたら良いんだろう?

このように疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

続いて合同会社設立の流れをご説明しましょう。

合同会社設立の流れ

ステップで見ると株式会社設立の流れとあまり変わらないようにも見えますが、大きな違いとしては合同会社の設立のためには定款の認証が必要ないということが挙げられます。

その分手間がかからない上、費用も不要になります。

STEP1 必要事項を決める

まずは株式会社と同様、会社設立に必要な事項を決めていきます。

【合同会社設立前に決めるべきこと】

(1)から(6)までは株式会社と同じです。

税理士
気になる項目をクリック・タップすればその説明をお読みいただけます。

(7)社員構成

合同会社では原則的に出資者全員が有限責任を持つ社員になります。

ここでいう「社員」とはいわゆる従業員ではなく、原則的に経営権を持つ人のことです。

ただし出資者のなかに経営に参加したくない、他の社員に任せるという人がいた場合、経営に参加する「業務執行社員」と経営に参加しないその他の社員を定款によって定めることも可能です。

なお業務執行権を持たない社員にも、業務の状態や財務状況を調査・監視する権利はあります。

また業務執行社員が複数いた場合はそのなかから「代表社員」を定めることができます。

経営権を持っている社員が複数いると誰が最終的な意思決定権を有しているのか分からず混乱を招いてしまいますよね。

代表社員を定めればそのような混乱は避けられると考えられます。

業務執行社員は株式会社における「取締役」、代表社員は株式会社における「代表取締役」のようなものだといえるでしょう。

代表社員は複数置くことも可能です。

なお業務執行社員・代表社員は会社設立登記の際に登記する必要があります。

税理士
必要事項が決まったら印鑑の作成も忘れず行ってくださいね。

STEP2 定款の作成

必要事項を決めたら定款を作成します。

合同会社の定款の絶対的記載事項は以下のとおりです。

【株式会社の定款の絶対的記載事項】
  • ・商号(会社名)
  • ・本店所在地
  • ・事業目的
  • ・社員の氏名および住所
  • ・社員を有限責任とする旨
  • ・社員の出資の目的と出資額など

株式会社と違い、合同会社の場合定款の認証は必要ありません

認証にかかる手間や費用がかからないのがうれしいポイントですが、設立登記を行う際法務局に定款を提出しなければならないのは株式会社と同様です。

定款に不備があった場合には登記が認められなくなってしまいます

内容に不備がないか必ず複数人で確認するようにしましょう。

定款の作成については株式会社設立の流れのこちらでご説明しています。

専門家に依頼したり、会社設立のサポートをしてくれるサービスを利用したりするのが良いでしょう。

STEP3 資本金の払い込み

続いて資本金の払い込みを行います。

資本金の払い込みは定款作成の日以降に行う必要があるので注意してください。

社員一人の口座に、それぞれの出資者(社員)が資本金を入金します。

資本金の払い込みが済んだら、設立登記に必要な払込証明書を作成することも忘れないようにしてくださいね。

資本金の払い込みについては株式会社設立の流れのこちらで解説しています。

STEP4 登記書類の準備

資本金の払い込みが終わったら設立登記に必要な書類の準備をします。

株式会社の設立登記に比べ、合同会社の設立登記に必要な書類の数は少なくなっています。

【合同会社の設立登記の必要書類】
書類 備考
合同会社設立登記申請書 国税庁のサイトを確認
登記申請書の写し
定款 2部(会社保存用・法務局提出用)
代表社員の印鑑証明書
払込証明書
印鑑届書 国税庁のサイトを確認
メモ
代表社員を定款で定めていなかった場合は代表社員が就任を承諾しているという旨を示す「代表社員就任承諾書」、定款で本店所在地を最小行政区画までしか記載していなかった場合には「本店所在地及び資本金決定書」の提出が必要です。

STEP5 会社設立の登記をする

設立する会社の本店所在地を管轄する法務局で登記手続きを行います。

なお登録免許税として6万円の収入印紙が必要になります。

収入印紙は法務局で購入することができます。

書類に不備がないかチェックしてもらってから収入印紙を購入して貼付すると良いでしょう。

窓口には登記の完了予定日が掲示されている場合がありますが、会社の設立日は申請書を提出した日になります。

そのため土日・祝日などの法務局が休業している日を会社設立日とすることはできません。

STEP6 開業に必要な手続きを行う

設立登記が終われば合同会社の設立は完了です。

しかし会社の開業のためにはさまざまな手続きが必要となります。

開業に必要な手続きに関しては株式会社設立の流れのこちらで解説しているのでご覧ください。

5.まとめ

会社を設立したいけれど何から始めて良いのか分からないという方は多くいらっしゃるでしょう。

会社の設立には大きな手間や費用がかかるため、適切なタイミングでご自身の事業に合った形の会社を設立することが重要です。

個人事業主としてやってきた事業を法人化する場合は事業所得が600〜800万円を突破したタイミングが適切だといえるでしょう。

また一口に「会社」といっても株式会社・合同会社・合名会社・合資会社の4種類があります。

会社を設立するメリットを享受しやすいのは株式会社と合同会社だといえるでしょう。

「会社」といえば株式会社が思い浮かぶかもしれませんが、合同会社にも株式会社にはない大きなメリットがあります。

法人の種類はご自分の事業内容や目的に応じて選びましょう。

会社設立までには多くの過程があり、専門的な知識が必要になる部分も少なくありません。

必要に応じて専門家の力を借りるのが良いと考えられるでしょう。

会社設立に重要な定款作成や登記の代行を請け負えるのは司法書士です。

会社設立後、税務に関して税理士からサポートを受けたいという方は会社設立のサポートをしており提携もしくは在籍する司法書士のいる税理士事務所を探すのも良いでしょう。

設立に必要な手続きから資金調達、継続的な税務相談、経営相談まで幅広くサポートを受けられます。

税理士
税理士ドットコム」を利用すれば、無料で希望の条件に合った税理士を紹介してもらえますよ。

また専門家に依頼せず極力自力で手続きを行いたいという方は会社設立をサポートしてくれるサービスの利用がおすすめです。

以下のようなサービスを利用すればコストを抑え簡単に会社設立に必要な書類を揃えることができますよ。

【おすすめ会社設立サポートサービス】