このように疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そもそも「税理士」とはどのような仕事をしているのか、契約によってどのようなメリットがあるのか、よく分からないことがたくさんありますよね。
この記事では税理士の仕事内容や顧問契約を結ぶメリット・デメリットなど、顧問税理士について気になるあれこれを詳しく解説します。
福留 正明
1.顧問税理士とは?契約や業務の内容を解説
「顧問弁護士」という語はよく聞いても具体的にどのようなものなのかピンときていないという方も少なくないのではないでしょうか。
まずは顧問税理士とはどのようなものなのか詳しくご説明します。
1-1.顧問税理士とは顧問契約を結んだ税理士のこと
顧問税理士とは、「顧問契約」を交わした税理士のことです。
顧問契約を結ぶと継続的に税務に関するアドバイスや経営のサポートを受けることになります。
月に1回程度面談を行い、節税対策や資金繰り、業務の合理化などを相談するための相談を行うのが一般的です。
また税務署の調査が入った場合も顧問税理士が対応します。
なお顧問税理士の報酬は月額制で、決算や記帳代行には別途料金がかかるケースが一般的です。
一般的には、法人の場合は起業のタイミングで税理士と顧問契約を結びます。
個人事業主の場合は年間売上高1,000万円を超えると顧問税理士を置いた方が良いといわれています。
1-2.顧問税理士の業務内容
このように気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
税理士には、法律で定められている3種類の「独占業務」というものがあります。
独占業務は税理士だけが行える業務のことです。
独占業務には以下のようなものがあります。
また独占業務の他にも、その他の税務に付随する業務を行います。
独占業務1 税務代理
税務代理とは依頼主が税務官公署に対し法令に基づいて行うべき申告や申請、請求などの税務を税理士が代わって行うことです。
例えば青色申告の承認申請や確定申告などを事業者に代わって行うことが税務代理に該当します。
e-taxを利用して確定申告書を代理送信できるのも税理士だけです。
また税務調査が入った場合に事業者に代わって対応したり、税務署の決定に不服がある場合には代理人として申立てをしたりすることもできます。
税務は専門的な知識を必要とすることもあり、特に税務調査が入ってしまった場合にはどのように対応して良いのか困ってしまいますよね。
税理士がいれば安心して税務を任せられます。
独占業務2 税務書類の作成
税務を行う上では、税務官公署にさまざまな書類を提出する必要がありますよね。
例えば確定申告書や青色申告承認申請書、相続の場合は相続申請書などが挙げられます。
これらの税務書類を依頼主に代わって作成することができるのは基本的に税理士だけです。
税務書類は納税者自身で作成することもできますが、専門的な知識を必要とすることが少なくありません。
税理士に依頼すれば専門的な知識に基づいて間違いのない書類を作成してもらえます。
独占業務3 税務相談
納税者が税務関連の申告や書類の作成を行う際、相談に応じることができるのも税理士だけです。
「相談に応ずる」とは、具体的には相談を受けて意見を述べたりアドバイスしたりすることを指します。
ただし税務相談に当たるのは相談者が実際に置かれている個別具体的な状況について、税務に関する相談に乗る場合のみです。
仮定の事例に基づいた計算や一般的な税法の解釈などは税務相談には該当しません。
その他の業務
独占業務の他に、税理士は税務に関連のある業務や親和性の高い業務を行うこともあります。
例えば以下のような業務が考えられます。
- ・帳簿の作成(記帳代行)
- ・経営改善のためのコンサルティング
- ・従業員の給与計算
- ・計算関係書類作成 など
税理士によって得意とする業務は異なります。
例えば自分の業種に詳しい顧問税理士を雇うことで、経営改善に役立てることもできます。
スポット契約の場合と異なり顧問税理士とは継続的な関係を築くことになるので、事業を熟知した身近な立場からアドバイスを得られることでしょう。
また税務以外の会計業務も税理士のサポートでスムーズになる可能性もあります。
1-3.顧問税理士の費用
というのが気になるところですよね。
ここでは、顧問税理士の費用をご紹介しましょう。
顧問税理士の報酬は依頼主が個人事業主であるか法人であるか、売上規模はどれくらいであるかによって変動します。
個人事業主の場合
まずは個人事業主が税理士と顧問契約を結んだ場合の報酬の相場をご紹介しましょう。
年間売上高 | 訪問頻度別顧問料(1月当たり) | 記帳代行(月額) | 決算料(年額) |
---|---|---|---|
〜1,000万円 | 毎月 20,000円〜 |
+5,000円〜 | 80,000円〜 |
3カ月に一度 15,000円〜 |
|||
6カ月に一度 10,000円〜 |
|||
1,000万〜3,000万円 | 毎月 25,000円〜 |
+5,000円〜 | 100,000円〜 |
3カ月に一度 20,000円〜 |
|||
6カ月に一度 15,000円〜 |
|||
3,000万〜5,000万円 | 毎月 30,000円 |
+5,000円〜 | 120,000円〜 |
3カ月に一度 25,000円〜 |
|||
6カ月に一度 20,000円〜 |
|||
5,000万〜1億円 | 毎月 40,000円〜 |
+10,000円〜 | 140,000円〜 |
3カ月に一度 35,000円〜 |
|||
6カ月に一度 30,000円〜 |
|||
1億円以上 | 要相談 |
法人の場合
法人の顧問税理士の報酬相場は以下のとおりです。
年間売上高 | 訪問頻度別顧問料(1月当たり) | 記帳代行(月額) | 決算料(年額) |
---|---|---|---|
〜1,000万円 | 毎月 25,000円〜 |
+5,000円〜 | 100,000円〜 |
3カ月に一度 20,000円〜 |
|||
6カ月に一度 15,000円〜 |
|||
1,000〜3,000万円 | 毎月 30,000円〜 |
+5,000円〜 | 120,000円〜 |
3カ月に一度 25,000円〜 |
|||
6カ月に一度 20,000円〜 |
|||
3,000〜5,000万円 | 毎月 35,000円〜 |
+5,000円〜 | 140,000円〜 |
3カ月に一度 30,000円〜 |
|||
6カ月に一度 25,000円〜 |
|||
5,000万〜1億円 | 毎月 40,000円〜 |
+10,000円〜 | 160,000円〜 |
3カ月に一度 35,000円〜 |
|||
6カ月に一度 30,000円〜 |
|||
1億〜5億円 | 毎月 60,000円〜 |
+10,000円〜 | 240,000円〜 |
3カ月に一度 50,000円〜 |
|||
6カ月に一度 40,000円〜 |
|||
5億円以上 | 要相談 |
2.顧問税理士と契約する3つのメリット
このように疑問に思った方もいらっしゃるかもしれませんね。
ここでは税理士と顧問契約を結ぶメリットについてお伝えしましょう。
メリット1 本業に集中できる
事業を営むためには本業だけでなく事業に関連してさまざまな雑事をこなすことが必要になりますよね。
税務もその一つです。
また従業員の給与計算、計算書類の作成などの会計業務があなたの手を煩わせているかもしれません。
顧問税理士を雇って税務や会計に関する業務を一任すれば、その分本業にかける手間と時間を確保することができます。
これまで税務に充てていた時間でより利益を拡大できるかもしれませんよね。
メリット2 節税や経営改善についてアドバイスを受けられる
事業の運営において税金はできるだけ抑えたいものですよね。
顧問税理士を雇うことで、継続的に節税に関するアドバイスを受けられるのも大きなメリットです。
税に関するシステムは非常に複雑です。
専門的な知識がなければ納める必要のない余分な税金を納めることになる可能性もあります。
税金は事業者の申告によって決定され、利用できる税額控除などの制度が申告されていなかった場合でも残念ながら税務署が教えてくれるようなことはないのです。
その点、税務の専門家である顧問税理士がついていれば余分な税金を納める心配はありませんよね。
また経営全般に関するコンサルティングを受けることもできます。
メリット3 税務調査も安心
事業を営んでいると税務署の税務調査が入る場合もあります。
日本の税金の多くは納税者による自己申告制となっているため、内容や税額に誤りがないか確認が行われるのです。
突然税務調査が入ると、どうして良いのか困ってしまいますよね。
税法に関する専門的な知識がなければ説明を求められても根拠を説明できなかったり、指摘に対して反論できなかったりするかもしれません。
場合によっては正しく処理をしていたにもかかわらず調査員に反論できなかったために税金の追納が生じてしまうケースもあるのです。
しかし顧問税理士がいれば、税務調査に立ち会って調査員に対応してくれます。
3.顧問契約にデメリットはある?
と気になった方もいらっしゃるかもしれませんね。
税理士と顧問契約を結ぶデメリットはずばり、費用がかかってしまうということでしょう。
月額報酬が発生するため、必要に応じてその都度契約を結ぶスポット契約よりも費用がかさんでしまう傾向にあります。
ただし税理士への報酬は費用として計上できます。
また顧問契約を結んだ税理士から節税のためのアドバイスや経営改善のためのコンサルティングを受けられるため、費用がかさんでもその分メリットを享受できる可能性も高いといえます。
会計ソフトとは帳簿作成などの会計業務を効率化できるソフトのことです。
事業費の決済に使用するクレジットカードや法人口座などと連携し、仕訳を自動で行ってくれる機能などが搭載されています。
会計ソフトを導入すれば税理士との帳簿の連携もスムーズになるものと考えられますよ。
以下のような会計ソフトがおすすめです。
4.税理士探しには税理士紹介サービスがおすすめ
一口に税理士といっても得意とする業務内容は人によって異なり、業種に合った税理士を選ぶことが重要です。
また継続的に面談を行うことにもなるため、人としての相性を見極めることも欠かせません。
できれば複数の税理士事務所を比較・検討して実際に契約を結ぶ税理士を見つけたいところですが、自力で税理士を探すのは面倒な上時間がかかってしまいますよね。
またなかには税理士ではないのに税理士を名乗る悪質な業者も存在します。
そこでおすすめなのが、税理士紹介サービスを利用することです。
税理士紹介サービスはその名のとおり希望に合った税理士を紹介してくれるサービスの総称です。
なかでも、利用者実績ナンバーワンの税理士ドットコムがおすすめです。
税理士ドットコムではスタッフがあなたの希望を詳しくヒアリングし、希望に合った税理士を最短即日で紹介してくれます。
もちろん、登録しているのは本物の税理士だけなので悪質な業者にだまされる心配もありません。
24時間365日電話やメールで問い合わせを受け付けており、利用に一切の費用がかからないというのもうれしいポイントですよね。
5.まとめ
顧問税理士とは、顧問契約を交わした税理士のことです。
顧問契約を結ぶと税務に関するアドバイスだけでなく、事業を熟知した立場から継続的に経営コンサルティングなどを受けられるようになります。
月に1回程度面談を行うのが一般的です。
また税務署の税務調査が入ったときにも顧問税理士が対応してくれるので安心です。
専門家のサポートを受けることで業務をスムーズに進められるようになると考えられます。
顧問税理士の報酬は月額制であるため出費はかさみますが、その分享受できるメリットは大きいといえるでしょう。
法人の場合は起業のタイミング、個人事業主の場合は年間売上高が1,000万円を超えたタイミングで顧問契約を結ぶのが一般的とされています。
節税や経営改善のため必要に応じて顧問契約を結びましょう。