「税理士試験は独学で合格できるのかな?」
「税理士試験に独学で臨むとどんなメリットとデメリットがあるんだろう?」
税理士試験を目指す方にとっては、独学でも突破できるのかどうかが気になるところですよね。
予備校に通ったり、通信講座を利用したりしない独学は経済的負担が少なく済む、自分のペースで勉強できるなどのメリットがあります。
一方、勉強方法から参考書まで全て自分で決めなければならない独学ではモチベーションの維持が難しい、教材の選び方が分からないなどのデメリットがあることが考えられます。
福留 正明
1.まずは税理士試験の受験資格や合格の基準を確認
「そもそも税理士試験ってどんな試験なんだろう?」
税理士試験の勉強を始める前に、税理士試験の概要は確認しておきたいところですよね。
税理士試験は誰でも受けられるというものではなく、税理士試験を受験するには受験資格を満たしている必要があります。
受験資格を持つ人が5科目の税理士試験に合格した状態のことを「官報合格」といいます。
また官報合格をしたからといってすぐに税理士になれるというわけではありません。
税理士登録を受けるためには官報合格に加えて、租税または会計に関する事務のうち所定の業務に従事した経験が通算2年以上必要です。
実務経験の後、必要書類をそろえて税理士事務所が所在する区域の税理士会に提出し、税理士名簿への登録がされて初めて税理士を名乗ることができるのです。
まずは税理士試験の受験資格や合格の基準をお伝えしていきましょう。
1-1.税理士試験の受験資格
これからご紹介する税理士試験の受験資格のうち、自分に当てはまるものがあるかを確かめてくださいね。
1-1-1.学識による受験資格
学識による受験資格は大学で社会科学に属する科目を1科目以上履修することで得ることができます。
経済学部や法学部を卒業していなくても、以下のいずれかの条件を満たしていれば受験することができますよ。
- ・社会科学を1科目以上履修し、大学または短大を卒業する
- ・大学3年生以上で、社会科学を1科目以上含む62単位以上を取得する
- ・社会科学を1科目以上履修し、一定の専修学校の専門課程を修了する
- ・司法試験に合格する
- ・公認会計士試験の短答式試験に合格する(平成18年度以降の合格者に限る)
1-1-2.資格による受験資格
資格による受験資格は「日商簿記検定1級」もしくは「全経簿記検定上級」に合格することで得られます。
- ・日商簿記検定1級合格
- ・全経簿記検定上級合格(昭和58年度以降の合格者に限る)
どちらも税理士試験の簿記論・財務諸表論の前提知識となりますよ。
試験の難易度は高く、日商簿記検定1級の合格率は約10%、全経簿記検定上級の合格率は約15~20%となっています。
1-1-3.職歴による受験資格
職歴による受験資格は、税理士事務所などで実務経験を積むことによって得ることができます。
以下の条件のうちどれか一つを満たす必要があります。
- ・法人または事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事する
- ・銀行・信託会社・保険会社などにおいて、資金の貸し付け・運用に関する事務に2年以上従事する
- ・税理士・弁護士・公認会計士などの業務の補助事務に2年以上従事する
- ・税務官公署における事務またはその他の官公署における国税もしくは地方税に関する事務に2年以上従事する
- ・行政機関における会計検査などに関する事務に2年以上従事する
実は税理士試験に合格してもすぐに税理士資格が得られるわけではなく、2年の実務経験が必要です。
職歴による受験資格をクリアしておけば、合格後の就職もスムーズになるといえますね。
1-2.5科目合格して初めて税理士試験の合格となる
税理士試験を突破するためには合計5科目の試験に合格しなければなりません。
税理士試験は会計学に属する2科目、税法に属する3科目の合計5科目に受かって初めて合格となります。
会計学に属する簿記論、財務諸表論は必修ですが、税法に属する3科目は受験生自ら決めることが可能です。
税法の科目は所得税と法人税法のどちらかに必ず合格する必要があります。
残りの2科目は相続税法、消費税法、酒税法、国税徴収法、住民税、事業税、固定資産税のなかから選択します。
合格した科目は生涯有効とみなされます。
そのため、数年かけて5科目合格を目指すのが一般的です。
2.税理士試験を独学で受ける3つのメリット
「金銭的にも時間的にもあまり余裕がないんだけど、税理士試験を独学で受験するメリットってあるのかなあ……」
というように、独学で税理士試験の合格を目指している方もいらっしゃるでしょう。
難しい試験に一人で挑戦する不安を感じてしまうこともあるかもしれませんが、独学で税理士試験を受験するメリットもあります。
ここから詳しくご紹介していきましょう。
メリット1 経済的な負担が少ない
独学の最大のメリットは経済的な負担が少なく済むことですよね。
税理士試験対策に予備校の費用はさまざまですが、多くの場合年間数十万円の授業料が必要です。
一方独学なら参考書代程度しかかからないため、費用を大きく抑えることができます。
メリット2 仕事や家事、育児と両立しやすい
会社勤めや家事、育児と並行して税理士試験の勉強を進めたい方にとっては予備校に通うのはハードルが高いかもしれません。
仕事に余裕がある時期にまとまった時間をとる、あるいは少しの空き時間を利用するなど自分に合った学習スケジュールを立てられるのは独学の利点ですね。
税理士試験対策用のスマホアプリなどを活用すれば、通勤時間や子どもが寝ている間の時間を有効に活用することができますね。
メリット3 自分に合った勉強時間の配分ができる
学習する単元と時間があらかじめ決められている予備校では、得意科目の学習時間を削って苦手科目の学習に充てるなどの工夫がしにくい可能性があります。
独学ならどの科目の勉強にどれだけの時間を割くのかを全て自分で決めることができます。
予備校の授業を受けるよりも、独学の方が効率的に学習ができるという方もいらっしゃるかもしれませんね。
スタディングはビデオ講座を主体とした完全オンライン講座です。
「簿財2科目合格コース」では54,980円というお手頃な値段で税理士試験の必修科目である簿記論、財務諸表論の対策をすることができます。
机に向かう時間が取れない方のためにスマホやタブレットを使って学習を進められるようになっているため、仕事や家事に忙しい方におすすめですよ。
3.税理士試験を独学で受ける2つのデメリット
税理士試験は難関であるだけに、独学で受けることには当然デメリットも存在しています。
試験を受験するとなったら悔いなく準備をしたいですよね。
そのためにも、独学のメリットだけでなくデメリットも確認しておきましょう。
デメリット1 モチベーションの維持が難しい
税理士は1年で終わるものではなく、5科目合格するまで複数年勉強するのが一般的です。
教科書から学習スケジュールまで全て自分で決めなければならない独学では、不安が生じるポイントが多くあります。
たくさんの不安を抱えたまま数年にわたる税理士の勉強を続けるのは心身ともに大きな負担がかかることもあるでしょう。
試験に落ちてしまってから「予備校に通っておけば……」と後悔するのはとても悔しいですよね。
デメリット2 独学用の教材が乏しい
実は税理士試験の独学用の教材はそれほど充実していないのが現状です。
教材が不足している状態で、税理士試験合格圏内まで実力を高めるのは難しいといえるでしょう。
特に酒税法や事業税といったマイナーな科目は独学用の教材があまりありません。
そのうえ、独学用の教材は1~2年前の税法に基づいて作成されている場合が多く、最新の法改正に対応できていないものもあります。
スタディングは予備校に通えない事情がある方の強い味方です。
豊富なビデオ講座と音声講座が用意されているため、予備校に通わなくてもしっかりとした対策を行うことができます。
トレーニング、実力テストなどアウトプット用の教材も充実しており、知識の定着が期待できますよ。
4.税理士試験対策でおすすめの予備校
「独学で受験するのは厳しそうだから、予備校に通いたいなあ……」
「資格の予備校ってたくさんあってどこに通ったらいいのか分からない」
とお考えの方もいらっしゃるでしょう。
そこで、ここからは税理士試験対策におすすめの予備校を厳選してご紹介していきます。
おすすめ1 資格の大原
「資格の大原」は高い合格率で知られています。
2019年度の税理士試験では、なんと合格者のうち57.9%が大原の受講生でした。
長年にわたって税理士試験対策のノウハウを活かして、充実したサポートを提供しています。
また、税理士試験の11科目全ての科目の講座を用意しているのは大原とTACのみです。
北海道から沖縄まで全国各地に校舎があるため、地方にお住まいの方も通学ができますよ。
受講料は比較的高めに設定されていますが、信頼のおける予備校の一つであるといえるでしょう。
おすすめ2 TAC
「資格の学校 TAC」は大原と並んで高い人気を誇っています。
なるべく少ない労力で5科目合格を目指す戦略が用意されているだけではなく、合格後の就職支援も万全です。
全国34校舎で講義をしており、校舎間の振り替えも可能です。
働きながら税理士試験の勉強をする方にとっても通いやすい環境が準備されているといえるでしょう。
また、通学講座への通信講座への変更もできるため、ライフスタイルの変化に柔軟に対応できますよ。
おすすめ3 CPA
「東京CPA会計学院」の税理士コースは短期合格を目指す方におすすめです。
通常の予備校では1年間の学習科目数が2~3科目のところを、CPAでは3~4科目同時に学習します。
また、日商簿記検定1級もしくは全経簿記検定上級の取得がカリキュラムに組み込まれていることも特徴です。
税理士試験の受験資格を満たしていないが税理士を目指しているという方は、CPAで受験資格を取得と税理士試験の合格を一挙に目指すのも良いでしょう。
おすすめ4 LEC
LECでは割引キャンペーンを豊富に展開しているため、予備校のなかではリーズナブルな価格で通学することができます。
割引キャンペーンの内容は早期申込割引、他社受講生割引、同一科目再受講割引などさまざまで、20~40%の割引を受けられます。
また、公式サイトではLECで使用されている教材を一部公開されています。
実際に使われている教材を事前に確かめられるのはうれしいポイントですよね。
5.まとめ
税理士試験に独学で挑戦することには「お金がかからない」「自分のペースで学習を進められる」といったメリットがあります。
しかし、一人で勉強のモチベーションを維持したり、独学用の教材を揃えたりすることは難しいといわざるをえないのも事実です。
合格のためには予備校へ通うことがおすすめです。
税理士試験対策を行っている代表的な予備校としては合格実績トップを誇る資格の大原、就職支援まで万全のTAC、短期合格を目指すCPA、割引が豊富でリーズナブルなLECなどいくつかの選択肢があります。
また、近くに予備校がなかったり、時間的に余裕がなかったりする場合はスタディングなどのオンライン講座を利用すると良いでしょう。