お父さんの相続税申告は私に任せておきなさい

父が心筋梗塞で急死して、何から手を付けていいのか分からない私は
藁にもすがる気持ちで父が生前から確定申告をお願いしていた顧問税理士に
相続税の相談をした。

70歳過ぎの見た目にはお爺さんに見えた少し頼りない税理士であったが、
父が生前から頼りにしていたこともあり、私は迷うことなく相続税申告を
その初老の税理士にお願いした。

きっと長年の税理士としての経験値があるから大丈夫だと思った。

しかし相続が起きてからすでに半年が経過しているが、税理士からの進捗の連絡はなく
私は少し不安になっていた。

確か、相続税申告の期限は相続開始から10か月以内。

あと4か月しかない。
大丈夫なんだろうか。

そういえば今回の相続税申告についての税理士報酬についてもいくらかかるのか
知らされていない。

私は不安な気持ちを抱いたまま税理士へ電話をした。

いや~ちょっと顧問をしている会社の決算作業が忙しくてね。
これから急いで作業に取り掛かるので大丈夫ですよ。

ああ、税理士報酬はね、まあ今回は財産が1億円位あるので
200万円位になると思いますよ。

なんだ、まだ作業をスタートしていなかったのか・・・相談したのはもう3か月も前なのに。

それに税理士報酬は200万円もかかるのか・・・想像していたよりも高い印象だ。

そして申告期限まで残り2週間と迫ってきた日にようやく税理士から
申告書が完成したという連絡を受けた。

内容について詳しい説明を受けないまま、私は申告書に判子を押して
税務署へ相続税を納めた。

色々と税理士に対する不満はあったが、ようやくこれで一息つけると
ほっと胸を撫で下ろした。

しかしそれから約1年が経ったある日、税務署から連絡があった。

父の相続税について税務調査をしたいという内容。

私は特に隠し事もしていなかったし、なぜ税務署が調査に来るのか首を傾げた。

税務調査当日は税理士にも立ち会ってもらった。

税務調査の終盤、調査官が今回の調査のポイントを話し始めた。

すると本来、私の相続のケースでは要件を満たしてない特例を誤って
使って申告をしていることが分かり追徴課税とペナルティが発生する
ということだった。

横に座っている税理士に説明を求めたところ、俯きながら
小さな声で「すみません」と言っただけだった。

明らかに税理士のミスだったため私は渋々と追加納税を行った。

納得がいかなかったのでインターネットで税理士を探して
当初の相続税申告書をもう一度見てもらった。

他に誤りがないか、誰かに見てもらわないと私の怒りが収まらなかった。

するとその相続税専門という税理士事務所でさらに衝撃の事実が明らかになった。

これは土地の評価に誤りがあります。適正に評価しなおすと
相続税がもっと少なくなりますよ。それにこちらの内容ですと私たちに最初からお願い
して頂いていれば税理士報酬は70万円程となります。税理士もお医者さんと同じように
得手不得手があるんですよ。

私は税理士であれば全ての税金に詳しいと勘違いしていた。
税理士報酬も同じくらいだろうと思っていた。

それが全て違ったのだ。

父が生前に親交があったという理由だけで税理士を選んでしまった私にも
責任があったのかもしれないと、今さら後悔しても仕方ないが私は唇を噛みしめた。

このような失敗をしないために専門家からのアドバイス

相続税の申告は依頼する税理士によって納税額が異なります。
相続税の計算は専門性が高く、税金のプロである税理士が計算しても担当する税理士によって大きく納税額が異なることも珍しくありません。

このようなことが起こる理由には、相続税申告業務の特殊性があります。税理士は全国に7万人以上いますが、相続税の申告は全国で年間5万件程度しかありません。そのため、ベテランの税理士でも相続税の申告をほとんど経験したことのない方が多く存在するのが実情です。いわば通常の税理士にとって相続税申告は特殊業務なのです。

この失敗事例のようにならないように、相続税の申告を依頼する税理士は慎重に選びましょう。まずは、相続税申告件数の実績を確認すると良いでしょう。税理士法人チェスターのように相続税申告を専門とする税理士事務所は日本では数少ないですが、相続税を得意にする税理士事務所に申告を依頼することが重要です。

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