医療法人の相続対策を相続税専門の税理士が解説

DarkoStojanovic / Pixabay
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医療法人の相続対策では、医療法人に特有の事情を考慮する必要があります。

医療法人は設備投資が多いことや、一般的に利益金額が大きいこと及び配当ができないことなどから、税務上の評価額が高くなり、相続税も高くなる傾向があります。
医療法人の出資持分が相続などで分散してしまった場合、相続税が高すぎて払えないときや持分を持ちたくないと考える相続人が取得したときは、医療法人に対して出資持分の返還を求めるケースがあります。

出資持分の返還を求められた医療法人は経営が脅かされ、患者だけでなく地域の人々にも影響が及びます。医療を安定的に提供するためにも、医療法人の計画的な相続対策がカギとなります。

この記事では、医療法人の相続対策について相続税専門の税理士が解説します。医療法人のオーナーや経営に携わっている人はぜひ参考にしてください。

1.出資持分の有無に応じて2種類の医療法人がある

医療法人には大きく分けて「社団医療法人」と「財団医療法人」があります。医療法人の多くは社団医療法人で、財団医療法人は少数にとどまります。

さらに、社団医療法人は出資持分の有無に応じて「出資持分のある医療法人」と「出資持分のない医療法人」に分けられます。現在、社団医療法人の大半は出資持分のある医療法人です。

1-1.出資持分のある医療法人

2007年3月31日までに設立された社団医療法人については、定款に出資持分に関する規定をすることが義務付けられており、定款に出資持分に関する規定がある社団医療法人を「出資持分のある医療法人」といいます。

2007年に医療法が改正されたことにより、2007年4月1日以降は出資持分のある医療法人の新設はできなくなりました。ただし、改正前に設立された出資持分のある医療法人は引き続き存続できることとされています。このような経緯から出資持分のある医療法人を「経過措置型医療法人」と呼ぶ場合もあります。

1-2.出資持分のない医療法人

定款に出資持分に関する規定がない社団医療法人を「出資持分のない医療法人」といいます。2007年の医療法改正により、4月1日以降に新設された社団医療法人はすべて出資持分のない医療法人となります。

出資持分のある医療法人は出資持分のない医療法人に移行することができますが、出資持分のない医療法人から出資持分のある医療法人への移行はできません。

出資持分のない医療法人については、その持分は相続税の対象となりません。

2.出資持分のある医療法人の相続税問題

医療法人に出資している人は、法人から脱退すれば出資分が払い戻され、法人が解散した場合には残余財産が分配されます。そのため、税務上、医療法人への出資持分は財産としての価値があるとみなされ、出資持分を相続した人には相続税が課税されます。

医療法人の出資持分の相続では、相続税が巨額にのぼる可能性があります。医療法人は事業会社とは異なり剰余金を配当することができず、経営が好調であるほど出資持分の評価額が高くなるからです。

相続人が相続税を払えない場合は医療法人に対して出資持分の払い戻しを求めることになります。

しかし、医療法人の資産の大部分は病院の建物や医療機器などで、出資持分の払い戻しに応えるだけの資金を持っていることはありません。金融機関からの借り入れや資産の売却などで資金を用意しなければならず、病院経営に影響を及ぼす可能性があります。

3.出資持分のない医療法人には簡単には移行できない

医療法人の説明の部分でお伝えしたように、「出資持分のある医療法人」は「出資持分のない医療法人」に移行することができます。相続税が課税される出資持分をなくすことで、医療法人の相続税にかかわる問題が解決できます。

しかし「出資持分のない医療法人」への移行は簡単にはできないのが実情です。理由としては次のようなことがあげられます。

  • 出資者の全員が出資持分を放棄しなければならない
  • 医療法人に贈与税が課税される

「出資持分のある医療法人」が「出資持分のない医療法人」に移行するためには、出資者の全員が出資持分を放棄する必要があります。一部の出資者が放棄に反対している場合は、その出資者の持分を医療法人が払い戻すか、他の出資者が買い取ることになります。このような場合、医療法人が出資持分の払い戻しを求められるという問題の解決にはつながりません。

出資者の全員が持分の放棄に合意できたとしても、次に、医療法人に贈与税が課税されるという問題が起こります。

医療法人は出資者に持分を払い戻す義務がなくなることから、出資持分が医療法人に贈与されたとみなされます。仮に医療法人の出資持分の評価額が10億円であるとき、持分の放棄で医療法人が納める贈与税は約5億4,540万円と巨額にのぼります。評価額の半分を超える金額の税金を現金で一括して納付することは、病院経営に大きな影響を及ぼします。

4.出資持分のある医療法人の相続税対策

この章では、出資持分のある医療法人の相続税対策についてお伝えします。相続税対策として実際に取ることができる方法には次の2つがあります。

  • 医療法人の評価額の引き下げ
  • 税制上の特例を活用した出資持分のない医療法人への移行

4-1.医療法人の評価額の引き下げ

医療法人の相続税対策が問題となるのは、医療法人の相続税法上の評価額が高くなることが原因です。対策として、次の方法で医療法人の評価額を引き下げることが考えられます。

  • 役員報酬を増やす
  • 退職金を支給する
  • 生命保険に加入する
  • 不動産を購入する

ただし、評価額を引き下げることは医療法人の経営に悪い影響を及ぼす場合があります。相続税対策のために病院経営が立ち行かなくなるようでは本末転倒です。

4-2.税制上の特例を活用した出資持分のない医療法人への移行

医療法人の相続税にかかわる問題点は行政でも認識されています。最終的な判断は個々の法人の判断に任されているものの、出資持分のない医療法人への移行が促進されています。

出資持分のない医療法人への移行計画を厚生労働省に届け出ることで、税制上の優遇措置や低利の融資などが受けられます。出資者側の課税が事実上免除されるメリットはあるものの、医療法人に対する課税は解消されない点には注意が必要です。

ただし、平成29年度税制改正でこの特例は改正される見通しで、一定の基準を満たす場合は医療法人に対する贈与税は課税されなくなる予定です。

4-3.基本的には非上場株式の相続税対策と似ている

医療法人の相続税対策は、基本的には事業会社の非上場株式の相続税対策と似ています。相続税を計算するときの医療法人の評価方法は非上場株式と共通していて、評価額を引き下げる手法もおおむね共通しています。

ただし、医療法人は配当ができないという点で事業会社とは異なります。また、非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予の特例を医療法人に適用することはできません。医療法人の経営は一般の事業会社に比べて高い公共性が求められる点にも配慮が必要です。

5.まとめ

医療法人の相続税対策は、医療法人の相続税法上の評価額を引き下げるか、特例を活用して出資持分のない医療法人に移行するぐらいしか方法がないのが実情です。病院経営に支障が出ないようにするには計画的な対策が必要になります。

医療法人の相続税対策をお考えの方は、相続税の実務に詳しい税理士に相談することをおすすめします。

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