会計ソフトは会計処理を効率的に行うための便利なツールです。
専門的な経理の知識がなくても簡単に会計処理ができるため、企業はもちろん個人事業主の確定申告にも使われています。
しかし会計ソフトをいざ導入しようと思っても、お手持ちのMacに対応しているのか分からず、まだ使用したことがないという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
会計処理をするためにわざわざWindowsを併用するのは面倒ですし、導入すればコストもかかってしまいますよね。
そこでこの記事ではMacで会計ソフトを使う方法とおすすめの会計ソフトについて解説します。
福留 正明
1.Macでも会計ソフトは使える?
Macユーザーの方の中には、このように思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
結論から言ってしまえば、Macでも会計ソフトを使うことは可能です。
Macで会計ソフトを使用する方法には以下の三つがあります。
- ・クラウド型の会計ソフトを使う
- ・Mac専用の会計ソフトをインストールして使う
- ・MacにWindows OSをインストールしてからWindows版の会計ソフトを使う
以前はWindowsのみに対応した会計ソフトがほとんどでしたが、現在はMacとWindows両方で使えるクラウド型やMac専用のソフトも開発されています。
またBoot Campなどを利用してMacにWindows OSをインストールすれば、Windows版の会計ソフトをインストールして使用できます。
詳しい内容については Apple公式ホームページをご覧ください。
ただしWindows版の会計ソフトのMacでの使用を推奨していないメーカーもあり、万が一動作に不具合が出てもサポート対象外となるケースも考えられるため注意が必要です。
そのため業務で使う会計ソフトに指定があるなどWindows版を使いたい事情がある場合を除き、MacではMac OSに対応した会計ソフトを使う方が良いでしょう。
2.Macにはクラウド型の会計ソフトがおすすめ
Mac対応の会計ソフトと一口に言ってもさまざまなタイプがありますから、どれを選べば良いか分からないという方も多いのではないでしょうか。
会計ソフトには大きく分けてクラウド型とインストール型の2種類があります。
それぞれにメリット・デメリットはありますが、Macを使う場合、特に利用者が個人事業主や中小企業の法人であればクラウド型の会計ソフトがおすすめです。
この章ではクラウド型とインストール型の会計ソフトの違いとMacにクラウド型が適している理由を解説します。
2-1.クラウド型とインストール型の違い
クラウド型とインストール型の最大の違いは、会計ソフトをPCにインストールする必要か不要かという点です。
以下の表は、クラウド型とインストール型を比較したものです。
【クラウド型・インストール型の比較】
比較項目 | クラウド型 | インストール型 |
---|---|---|
インストール | 不要 | 必要 |
対応OS | Windows・Mac両方に対応 | Windowsのみに対応する製品が多い |
コスト | インストール型より安価な傾向 | クラウド型より高価な傾向 |
デバイス | PC、スマートフォン、タブレット | PCのみ |
バージョンアップデート | 無料 | 有料 |
利用人数 | 別の端末を利用して複数で利用できる | PC1台につき1ライセンスが必要などの制限がある |
機能性 | 個人事業主や中小企業の会計処理には十分な機能 | 複雑な会計処理に対応しているものが多い |
2-1-1.クラウド型
オンラインで使用するタイプの会計ソフトをクラウド型といいます。
クラウド型はPC本体にソフトをインストールする必要がなく、MacとWindows両方のOSに対応しています。
またスマートフォンやタブレットなどPC以外のデバイスで使用できる製品も多く、出先などパソコンのない環境であっても気軽に使用できます。
処理した会計のデータはWeb上のクラウドで管理できるため、バックアップの必要もありません。
またインボイス制度の導入や電子帳簿保存法の改正など、法改正により対応が必要な場合にもバージョンが自動でアップデートされるので安心です。
その他にもインストール型より導入コストが低く、初心者でも直感的に操作できる仕様のものが多いなどの特長があります。
基本的な会計処理に使用する機能はクラウド型でもインストール型でもほぼ同じなので、個人事業主や中小の法人の会計処理であればクラウド型で十分だといえます。
2-1-2.インストール型
PC本体に会計ソフトをインストールして使用するタイプをインストール型といいます。
インストール型はローカルディスクでデータを管理するため、セキュリティー性が高いものが多いといわれています。
またインストール型の会計ソフトには高機能なタイプが多く、複雑な会計処理にも対応できる製品が多いというメリットがあります。
しかし以下のようにインストール型会計ソフトの中でも高いシェアを誇る製品は、ほとんどがWindows専用でありMac 非対応となっています。
【高機能なインストール型会計ソフト3選】
※横にスクロールできます
ソフト名 | 参考価格 | 対応OS | 備考 |
---|---|---|---|
弥生会計 24+クラウド | 【スタンダード】 セルフプラン付き:50,000円(税抜) ベーシックプラン付き:50,000円(税抜) トータルプラン付き:83,650円(税抜) 【プロフェッショナル】 |
Windows | 25年連続売り上げ実績1位の弥生会計シリーズ。*1 プロフェッショナルなら経営分析など管理会計にも対応。 |
会計王 | 44,000円(税込) | Windows | 銀行口座・クレジットカードの取引明細を仕訳データとして自動で取り込み可能。 |
わくわく財務会計 |
エコパッケージ(特別価格):23,100円(税込) ダウンロード版(特別価格):20,900円(税込) |
Windows | 低コストでインストール型の中では気軽に始められる。 |
このようなWindows専用のインストール型会計ソフトをMacで使う場合、あらかじめMac本体にWindows OSをインストールしておく必要があります。
詳しくは Apple公式ホームページをご覧ください。
なお以下のようにMac対応のインストール型会計ソフトも販売されているため、Windows版やクラウド型会計ソフトを使いたくないという方は参考になさってみてください。
【Mac対応のインストール型会計ソフト】
ソフト名 | 価格(メーカー小売り希望価格) | 備考 |
---|---|---|
やるぞ!青色申告2024 フルサポートパック [Mac] | ダウンロード版12,980円(税込) | Mac OS X 11/12/13/14に対応 |
Macの会計Standard | ダウンロード版19,800円(税抜) | Mac OS X 10.8.5〜10.15に対応 ※Mac OS 11 Big surには非対応 |
2-2.Macにはクラウド型が適している
導入のしやすさやコストの面から、Macで会計ソフトを使うときにはクラウド型を選ぶことをおすすめします。
クラウド型であればMacでも問題なく利用でき、オンライン環境があればすぐに始めることができます。
また種類やプランも多くインストール型より導入コストもかかりませんから、自分の目的に適した会計ソフトを安価で利用できます。
一方でインストール型の会計ソフトでMacに対応している製品は限られており、Windows版を使うならあらかじめWindows OSをインストールしなければなりません。
個人事業主や中小の法人の会計処理であればWindows版を利用しなくてもクラウド型の機能で十分ですから、基本的にはMacで会計を使うならクラウド型が適しているといえます。
3.Macユーザーにおすすめの会計ソフト3選
会計ソフトと一口にいってもさまざまな製品がありますから、どれを選べば良いか迷ってしまいますよね。
特に初めて会計ソフトを導入する場合、使いやすくて人気のあるソフトを選びたいという方が多いのではないでしょうか。
会計ソフトにはインストール型とクラウド型の2種類がありますが、Macユーザーや個人事業主であればクラウド型の会計ソフトを使うのがおすすめです。
青色申告をする方はもちろん白色申告をする方も、クラウド型の会計ソフトなら低コストで導入でき確定申告を楽に済ませることができますよ。
青色申告は正規の簿記原則に従って作成された帳簿を備え、帳簿の記録に基づき確定申告を行う方法です。
青色申告を行えば最大65万円の特別控除を受けられ、赤字の繰り越しもできますが、事前に「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
この章ではMac対応のクラウド型の会計ソフトの中から、特に個人事業主に人気のある三つのソフトをご紹介します。
おすすめ1 freee
プラン | 初年度価格 (税抜) |
二年目以降 (税抜) |
無料期間 | |
---|---|---|---|---|
freee 確定申告 | スターター | 11,760円 | 最大30日間 | |
スタンダード | 23,760円 | |||
プレミアム | 39,800円 |
現在業界シェア2位となっている会計ソフトfreeeは、会計の知識がない初心者におすすめの会計ソフトです。
freeeの最大の特長はスマホで確定申告書の作成まで済ませられるという点です。
専用のアプリが提供されており、スマホでレシートや領収書を撮影するだけで青色申告に必要な複式帳簿を作成できます。
PCのない方や隙間時間を利用して会計処理を行いたい方にも手軽に使えて便利でしょう。
もちろんPCでの操作性も抜群ですから、Macユーザーにもおすすめです。
なお青色申告だけでなく白色申告書の作成も可能です。
なおインボイス制度や電子帳簿保存法にも対応しています。
おすすめ2 マネーフォワード クラウド確定申告
プラン | 初年度価格 (税抜) |
二年目以降 (税抜) |
無料期間 | |
---|---|---|---|---|
マネーフォワード クラウド確定申告 | パーソナルミニ | 10,800円 | – | |
パーソナル | 15,360円 | 1カ月 | ||
パーソナルプラス | 35,760円 | – |
マネーフォワードのクラウド型会計シリーズは、弥生シリーズ、freeeに続き業界シェア3位を誇ります。
副業で確定申告が必要な方から個人事業主、規模の大きな法人に対応できるサービスまで幅広い対象に向けてさまざまな会計ソフトやプランが提供されているのが特徴です。
インボイス制度や改正後の電子帳簿保存法に対応しているのでずっと安心して使い続けられますね。
なお簿記の知識がある方向けのシステム設計になっていますが、初心者向けの使い方動画や解説記事などの導入サポートも用意されているため安心して利用できます。
おすすめ3 弥生会計シリーズ(白色申告/青色申告)
プラン | 初年度価格 (税抜) |
二年目以降 (税抜) |
無料期間 | |
---|---|---|---|---|
白色申告オンライン | フリー プラン |
0円 | フリープランはずっと無料 | |
ベーシック プラン |
0円 | 11,500円 | ||
トータル プラン |
10,500円 | 21,000円 | ||
青色申告オンライン | セルフ プラン |
0円 | 10,300円 | |
ベーシック プラン |
0円 | 17,250円 | ||
トータル プラン |
15,000円 | 30,000円 |
白色申告オンライン、青色申告オンラインは、25年連続売り上げ実績1位の弥生会計シリーズの個人事業主向けクラウド会計ソフトです。
初心者にも易しいシステム設計で、簡単に確定申告を済ませることができます。
白色申告オンラインには、ずっと無料のフリープラン、電話やメールでの操作サポートが付いたベーシックプラン、仕訳や確定申告についての質問ができるトータルプランの三つがあります。
白色申告を行う方で、初めて会計ソフトを利用するという場合であればまずはフリープランから始めてみるのも良いかもしれませんね。
白色申告オンラインを利用していて途中で青色申告に切り替えることになった場合も青色申告オンラインにデータを移行できるので安心です。
青色申告を行っているという方は青色申告オンラインを利用しましょう。
セルフプランであれば初年度は無料で利用できます。
またベーシックプランでは操作に関する質問を、トータルプランではそれに加え業務に関する相談を受け付けてもらうことができます。
確定申告についての知識がないが税理士に頼むほどではない、という方には特におすすめです。
なおインボイス制度や電子帳簿保存法の改正にも対応しています。
4.まとめ
現在Macで会計ソフトを利用する方法には以下の3種類があります。
- ・クラウド型の会計ソフトを使う
- ・Mac専用の会計ソフトをインストールして使う
- ・MacにWindows OSをインストールしてからWindows版の会計ソフトを使う
コスト面でも導入のしやすさでもMacユーザーに最もおすすめなのはクラウド型会計ソフトです。
クラウド型の会計ソフトはインターネット環境さえあればMacでも使用可能であり、多くのサービスの中から自分に合った機能や利用プランを選べます。
支払いは月額制や年額制なので導入コストも安く済みますから、初期費用を抑えたい方にもおすすめです。
なお無料体験期間が設けられている製品も多いので、実際に使ってから継続するか決めたいという方はぜひ活用してみてください。
現在さまざまな企業がクラウド型会計ソフトを開発・提供していますが、なかでも特にシェアが大きくMacユーザーの個人事業主におすすめなのは以下の三つです。
- ・freee
- ・マネーフォワード クラウド
- ・弥生シリーズ(やよいの白色申告オンライン/やよいの青色申告オンライン)