経費のなかでも「雑費」というと「その他」のようなイメージがあり、他の経費との線引きが曖昧に感じますよね。
仕訳に迷ったものを雑費に入れがちになっているケースも多いのではないでしょうか。
しかし経費を雑費に計上し過ぎてしまうことにはデメリットがあります。
そこで、この記事では、
- ・雑費にはどのような経費を計上するべきか
- ・雑費が増えることのデメリット
- ・雑費を減らすための方法
以上の3点について詳しくご説明していきます。
福留 正明
1.雑費に計上するべき費用とは?
雑費とは「金額が少額」かつ「普段は発生しない経費」で「他の勘定科目に当てはまらないもの」のことをいいます。
基本的には上述の3項目全てに該当するものを雑費として帳簿に付けるようにしましょう。
こちらはあくまでも例です。
例の中に記載したものでも、頻繁に発生するものや高額になってしまう経費に関しては、雑費として計上しない方が良い費用もあります。
2.雑費を増やし過ぎるデメリット
「雑費って便利だから仕訳しづらいものをつい入れちゃうんだよなあ……」
という方も多いかもしれませんね。
「金額が少額」で「普段は発生しない経費」、かつ「他の勘定科目に当てはまらないもの」である雑費はつい気軽に使ってしまいがちです。
しかし雑費の目安は経費全体の5~10%、他の科目より最も少ない割合であるのが理想的であるといわれています。
なんでもかんでも雑費に入れてしまっていては、すぐに5~10%を超えてしまいますよね。
デメリット1 税務署の調査理由になる
雑費を増やし過ぎることのデメリットとして、決算書の信頼性が低いと判断され税務署の調査理由になってしまうことが挙げられます。
雑費は他の勘定科目と違い用途が明確でない経費ですから、雑費が大きな割合を占めてしまっている決算書では信頼性が薄いといえます。
そのため、雑費があまりにも巨額になってしまうと税務署から目を付けられてしまう可能性が出てきます。
もし税務調査が入るということになれば時間や手間が取られてしまう上、心理的にもプレッシャーがかかりますよね。
デメリット2 事業実績を把握できなくなる
雑費を計上し過ぎると、自社にとっても「事業実績を把握できなくなる」というデメリットが発生します。
決算書は「何にいくら使っているか」、「〇〇の費用がかかり過ぎているから減らしたい」など、自社の事業の見直しにも役立つものですよね。
しかし、雑費が多くの割合を占めている決算書を見ても経営の問題点を見つけることは難しいでしょう。
逆にいえば事業実績を正しく把握するためには、なるべく雑費の割合を抑えると良いということですね。
3.必読!雑費を減らすための3つの方法
「じゃあ雑費を減らすためにはどうしたら良いんだろう?」
というのが最も気になるポイントですよね。
ここからは、雑費を賢く減らしていくための三つの方法をご紹介していきます。
- 方法1 消耗品費として計上する
- 方法2 新しい勘定科目を作成する
- 方法3 高額な出費は雑費に計上しない
方法1 消耗品費として計上する
雑費に近い科目として消耗品費という科目があるので、なるべく消耗品費として計上しましょう。
消耗品費とは文字どおり「消耗品を購入した費用」のことです。
- ・家具、家電
- ・日用品
- ・事務用品
- ・ソフトウェア(ライセンス料、使用料など含む)
- ・ガソリン など
- 1.取得費用が10万円未満の物品
- 2.使用できる期間が1年未満の物品
以上の二つの条件を満たしている物品のみが消耗品費として計上できます。
また消耗品費というのは使用に応じて物品の機能が失われていくという特徴を持つ勘定科目です。
一つ注意したいのが、「消耗品費に計上できるのは使用した分だけ」ということです。
消耗品はまとめて買うことが多いものですが、期末までに使用しなかった分は1度資産として「貯蔵品」か「消耗品」で計上します。
そして翌期に再度消耗品費として処理することになります。
ただし「毎年おおよそ一定の量を購入する」、「毎年継続的に消費する」という2点に当てはまる物品であれば、今期の分として計上しても良いとされています。
方法2 新しい勘定科目を作成する
仕訳をする際に決まった勘定科目がありますが、その他に自分で作ることもできます。
新しい勘定項目を作成して雑費に計上する経費を減らしてみましょう。
経費の例 | 作成する勘定科目 |
---|---|
・コワーキングスペースを頻繁に利用する ・多目的ルームなどを借りて会議をする |
施設利用費 |
・資料、本が必要になることが多い | 書籍費 |
・銀行での振り込み回数が多い | 支払手数料 |
・頻繁に荷物の輸送を行う | 運送費 |
・さまざまな場所に会費を支払っている | 諸会費 |
このように一定の取引が頻繁な場合は金額が多額になってしまうので、新しく勘定科目を作成することをおすすめします。
方法3 高額な出費は雑費に計上しない
高額な支出は事業運営において重要な意味を持つと考えられます。
重要な意味を持つものは適切に事業実態に反映させたいですよね。
そのため雑費に計上するのではなく、その支出が何であるのかが明確に分かるようにしかるべき勘定科目に当てはめるか、勘定科目を新しく作成するのが良いでしょう。
また10万円以上の支出は固定資産に該当する可能性があります。
固定資産の取得価額は減価償却を行う必要があるため、雑費とは会計処理が異なります。
減価償却とは、固定資産の取得価額を法定耐用年数で割って毎年の決算書において「減価償却費」として計上することです。
経費に計上される金額に誤りが生じてしまわないよう、支出の内容を確認し適切な勘定項目に計上するように気を付けましょう。
4.まとめ
雑費は仕訳に迷ったからといってなんでも計上して良い科目ではありません。
雑費が増え過ぎると自社の事業実績が曖昧になり、今後の事業の発展の妨げとなる恐れがあります。
まず他の勘定科目に該当するかを考え、該当しない経費は新しく勘定科目を設定するなど工夫し、雑費に計上する経費を減らしましょう。
その上で仕訳ができない「継続的に発生しない少額の経費」を、最終手段として雑費に計上するのが有効です。
また、雑費の計上や新しい勘定科目の作成も会計ソフトを利用すれば簡単にできます。
いずれも無料お試し期間が設定されているので、使い心地を試してみるだけでもおすすめですよ。